TUSCANY イタリアワインとグルメ食材の店
Interview

突撃インタビュー

2012/10/11

トゥア リータ社 ステファノ フラスコッラ氏来社

スーパートスカンの代名詞 トゥア リータ社運営担当者 ステファノ フラスコッラ氏来社

ステファノ氏とトゥア リータのワインを前に
「ジュスト ディ ノートリ」、「レディガフィ」と、造るワインがワインガイドでいきなり最高評価を獲得して世間をあっと驚かせたトゥアリータ。その衝撃的なデビューから20年近く経ち、更なる発展を続けるトゥア リータでワイナリー運営の中心的役割を果たしているステファノさんがトスカニーに来てくださいました。

たまたま売りに出されていたから購入した畑はとんでもないポテンシャルを持っていた!

ステファノ氏(以下トゥアリータ):簡単にワイナリーの歴史をご説明します。私の義理の父ヴィルジリオが1984年にスヴェレートに土地を買ったのが始まりです。当時ヴィルジリオは42歳、妻のリータは40歳でした。畑は0.5haありました。その後徐々に自分たちで畑を広げていきます。最初にリリースしたのが1992年のジュストディノートリです。

トスカニー:そして、すぐにトレビッキエリを獲得したんですよね。

トゥアリータ:ええ。当時伝統的な銘醸地以外で最高賞を取っていたのはサッシカイアやサッフレディぐらいでした。オルネライアもまだ出てなかった頃です。

トスカニー:どうしてスヴェレートに土地を購入したのですか?

トゥアリータ:たまたまここの土地が売りに出されていたからです。畑が大好きだったヴィルジリオは趣味で農業をしたかったんです。それで見つけた土地がここだった。まさに天から与えられた運命そのものです。

レディガフィがシンデレラワインならステファノさんはシンデレラボーイ?!

トスカニー:ステファノさんはいつからトゥアリータで仕事をしているのですか?

トゥアリータ:ある意味最初からです(笑)。その頃20歳ぐらいだったのですが、ヴィルジリオの娘と交際中でした。だから土日は二人で遊びに行く代わりに畑仕事を手伝わされていたんですよ。本格的に仕事を始めたのは1996年です。それまでは新聞のディストリビューターの会社で働いていました。

トスカニー:なるほど、そうだったんですね

このエピソードを聞きながら、ステファノさんはとてもラッキーな方だと思いました。付きあっていた女性のお父さんがたまたま購入した土地が世界的に有名なワインを生んだわけで、そのおかげでステファノさんは今こうしてトゥアリータの中心的役割を果たすまでになった。レディガフィはシンデレラワインと言われていますが、ステファノさんはまさにシンデレラボーイ!

伝説を作った100点満点ワイン「レディガフィ」とルカダットーマ

トスカニー:レディガフィのことを話してください。

トゥアリータ:ジュストディノートリはメルローとカベルネで造っていました。1994年のメルローはとてもいい出来だったのでメルローだけでワインを造る事にしました。それがレディガフィです。そして1997年ヴィンテージがワインスペクテイターで100点を取ったんです。

トスカニー:ルカダットーマがエノロゴをしていたんですよね。

トゥアリータ:はい。でも畑を造っていたのはヴィルジリオです。そしてルカダットーマがやってきた。そのとき彼は醸造学校を卒業したばかりで若いエノロゴでした。このレディガフィのおかげでルカはすごく有名になりました。それで忙しくなってきたのでエノロゴをステファノキオッチョリに代えたんです。でも今はキオッチョリも忙しくなったので、またルカダットーマがアドバイザーとして戻ってきています。でもあくまでもアドバイザーですね。ワインの味わいなどは80%ぐらいは私が決めています。それに、社員としてヴァレリオというエノロゴが働いています。

2012年は暑く、生産量は落ちたが品質はグッド!

トスカニー:2012年は暑い年だったそうですが、いかがですか?

トゥアリータ:5月半ばに突然暑さがやってきました。この時期の日照で花が焼けてブドウが若干減りました。そのおかげでブドウのつき方が密にならず、少し隙間ができたので風通しが良くなりました。 6月は平年並み、7月、8月は非常に暑かったです。収穫量は例年に比べると落ちました。だいたい20~25%ぐらい減少しました。そのかわり品質はとてもいいですよ。

トスカニー:輸出の割合はどれぐらいですか?

トゥアリータ:85%が輸出です。46ヶ国に輸出しています。

その後、ステファノさんから「どんなワインが売れているか」や「販売や仕入れの方法はどうしているのか」など逆に質問がありました。ビジネスマンとしてのステファノさんが垣間見えてちょっと面白かったです。

ここから試飲が始まりました

若いうちに楽しむ白ワイン

トゥアリータ:トレッビアーノ、アンソニカ、ヴェルメンティーノで造っています。醸造はすべてステンレス。若いうちに飲む白ワインです。

トスカニー:フレッシュでミネラル感がありますね。アンソニカはトスカーナの品種ですか。

トゥアリータ:リヴォルノからローマまでの海岸沿いに育つブドウです。シチリアにもありますが、インソリアと呼ばれています。
ペルラート デル ボスコ ビアンコ

もはやセカンドではない!年々品質が上がり、上のクラスに昇格

トゥアリータ:50%がサンジョヴェーゼ、残りは国際品種です。最初はセカンドワインとして造り始めましたが、今はもうセカンドではありません。2010年に上級クラスと同じラベルデザインにしたのですが、それはセカンドではなく、上のクラスとしてのレベルになったからです。2010年からロッソデイノートリの下のクラスとなるブランドを造り、より選別されたブドウをロッソに使うようにしています。

トスカニー:はい、毎年毎年美味しくなっているのを実感していました。ところでロッソデイノートリ用のブドウと、レディガフィやジュストディノートリ用のブドウとは最初から分けているのですか?

トゥアリータ:畑ごとに分けている部分もあります。若い樹はロッソに使いますね。あとは熟成中の樽から試飲して決めています。
ロッソ デイ ノートリ

サンジョヴェーゼへのこだわりが表現されたペルラートデルボスコ

トゥアリータ:ペルラート デル ボスコは最初はサンジョヴェーゼ100%で造っていたのですが、2002年からカベルネを混ぜています。スヴェレートのサンジョヴェーゼはアルコールだけが上がりフェノール類が不足する傾向にあります。それを補うためにカベルネをブレンドしています。2003年に暑さに強いサンジョヴェーゼのクローンを植樹していて、2008年にようやくサンジョヴェーゼを50%にまでもっていきました。2011ヴィンテージのペルラート デル ボスコは100%サンジョヴェーゼが復活します。

トスカニー:サンジョヴェーゼだけにこだわる理由は何でしょうか?

トゥアリータ:他のトゥアリータのワインとの差別化です。ブレンドワインはジュストディノートリもロッソもそうですから。それにトスカーナ=サンジョヴェーゼとイメージがあります。スヴェレートは本来サンジョヴェーゼの土地ではありませんが、私たちはサンジョヴェーゼ100%にこだわりたいのです。
ペルラート デル ボスコ

トゥアリータにとって一番大切なワイン

トゥアリータ:2007ヴィンテージはここ10年の中でも最も良いヴィンテージのひとつです。エレガントさがストラクチャーと一緒に存在しています。深みがあってビロードのような舌触りのタンニンがあります。

トスカニー:とても濃厚な味わいですが、なめらかですね。

トゥアリータ:2008もリリースしていますがちょっとまだ強すぎるかな。もう少しおいた方がいいですね。
ジュスト ディ ノートリ

ジュストディノートリからの偶然のたまもので誕生した偉大なメルロー!初ヴィンテージの1994はなんと150倍以上の価格に

トゥアリータ:メルロー100%で造っている、説明するととってもシンプルなワインです。収穫したブドウをテーブルの上に並べてよい粒だけを選別しています。1本の樹から使うのは300gです。

トスカニー:そんなに少ないのですね。

トゥアリータ:はい。アルコールは15度近くあります。エストラットセッコも50と高く、酸も多い。味わいを決める要素すべてが高い値で存在していますが、どれひとつとして突出したものがありません。つまり、高いレベルでバランスが取れているのです。

トスカニー:だから飲みやすいんですね。

トゥアリータ:そうです。私たちは2つのポリシーがあります。ひとつめは「飲みやすいこと」。そしてふたつ目が「エレガントであること」。

トスカニー:ここがメルローにとって素晴らしい土地だということはご存知でしたか?

トゥアリータ:いいえ。もともとカベルネとメルローからワインを造ろうと考えていました。この2つで造ったのがジュストディノートリです。メルローだけでつくろうとは思っていませんでしたが、たまたまある年にすごいメルローができた。それでメルローだけでワインを造ってみたのです。

トスカニー:土壌でしょうか?

トゥアリータ:トゥアリータの土地は特に鉄分が多いのです。遠くからトゥアリータの畑を見ると赤っぽいところと緑っぽいところがあります。これは鉄分の色です。最初のメルローはバリック2つ分でした。エノテカピンキオーリのオーナーが来て試飲するなり全部欲しいと言ってきました。それで樽ひとつ分を売ったのです。 実は彼らはいい商売をしたんです。今年、ネゴシアンに1994年のレディガフィを当時私たちが売った値段の約150倍で販売したそうですよ(笑)

トスカニー:えーそれはすごい。でも、1994年のレディガフィなんて、本当に稀少ですから。
レディガフィ

インタビューを終えて

実は社長は約15年ほど前にトゥアリータを訪問したことがあり、ステファノさんと会っていました。当時は狭かった醸造所も今はとても大きく立派になったそう。そして、ご自身も「私もこの仕事をしているおかげで体重が増えて、かなり貫禄がつきました」とおっしゃっていました。

スーパートスカンの代名詞として語られるトゥアリータのワインですが、それだけに期待は高く、答えられないとすぐに批評されてしまう厳しい世界でもあります。「期待されている以上のものを造らなければならない。トゥアリータのワインは美味しくて当然。Buonissimo(ブォニッシモ:美味しいの最上級形のイタリア語)でなければならないんです。」と語るステファノが造るトゥアリータのワイン。じっくりと味わっていただきたいと思います。
ステファノ氏とトスカニースタッフの集合写真

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