TUSCANY イタリアワインとグルメ食材の店
Interview

突撃インタビュー

2013/10/16

スキオペット社 カルロ スキオペット氏 Mr.Carlo Schiopetto

カルロ スキオペット氏 と
今やイタリア屈指の白ワイン産地として知られるフリウリ ヴェネツィア ジュリア州。フリウリが現在の名声を得ることができた最大の功労者のひとりであり、「フリウリワイン醸造の父」と呼ばれているのが今回来日されたスキオペットです。偉大な白ワインは熟成を続けること、そして年月を経た白ワインの味わいは私たちの想像を超えた素晴らしいものであることを体感することができました。

フリウリワイン醸造の父と呼ばれる創業者のマリオ スキオペット

マリオ氏スキオペットは家族経営のワイナリーです。私と双子の兄のジョルジョ、そして姉のマリアンジェラの3人で運営しています。設立したのは父のマリオ。実家はオステリア(庶民的な居酒屋)を営んでいましたが、マリオは運送会社で運転手として働いていました。マリオは仕事柄、フランスやドイツにも行く機会が多かったのですが、そこでイタリアとは比較にならないぐらいに進んだワイン造りを目の当たりにします。実家の商売柄、ワイン造りに興味を持っていたマリオはドイツワインの進んだ醸造技術と、フランスワインのフィネスに感動し、品質の追及というワイン造りの理念を学び取り、地元フリウリで高品質ワインに取り組み始めました。「厳しい収量制限」「使い古された樽の排除」「醸造所での温度管理」「近代的な醸造設備」を実践し、それを地元の生産者たちにも指導していきました。そうしてフリウリワインのレベルが向上していきました。だから父は「フリウリワイン醸造の父」と呼ばれるのです。

山と海に挟まれた小さなエリア「コッリオ」で白ブドウをメインに栽培

コッリオはとても小さなエリアです。北側を山に、南側は海まで20km。夏は暖かい風が吹き、冬でも北からの冷たい空気は山々に遮断されて入ってこない。大陸性気候と地中海性気候が混ざったような気候になります。スキオペットで造るブドウは90~95%が白ブドウです。その中でも生産の45%をフリウラーノが占めています。そしてこのフリウラーノとピノビアンコ、ピノグリージョ、ソーヴィニョンの4つが私たちの伝統ワインになります。

健康なブドウを造っているから酸化防止剤(SO2)はボトリング時に少量添加するのみ

私たちが目指すワインのスタイルは「バランスが良くてエレガント」。そして「香りも味わいも度が過ぎないこと」。コッリオという土地はミネラル、酸、アロマが特徴です。でも、ミネラルを強く感じるというよりは、飲んでいて最後にじわっと感じるのがいいと思っています。単一品種の4つの白ワインはどれも同じ醸造です。発酵後はステンレスタンクで翌年の8月まで熟成。ブレンドタイプの「ブラン デ ロシス」と「マリオスキオペット」は熟成に一部トノーを使っています。一般的なワイナリーでは果汁の段階で酸化防止剤(SO2)を添加しますが、私たちは最後のボトリング時に少量添加するだけです。ブドウが健康だからそうできるのです。

熟成による変化を楽しんでもらうため、あえてマグナムボトルは3年以上寝かせてからリリース

マグナムワインボトル達私たちのワインは熟成させればさせるほどテロワールを感じるワインに変化していきます。それでだいたい900本ぐらいをマグナムボトルにしてワイナリーで寝かせ、随時その変化を確かめています。リリースは3年以上寝かせた後ですね。(注:現在日本にはマグナムの入荷はありません)

 ここから試飲をしました。

塩気を感じるほどのミネラル感が特徴!スキオペットの主力ワイン

熟成させればさせるほど、コッリオのテロワールを感じさせるワインになるのがこのフリウラーノです。若いヴィンテージのうちはフルーティーな印象がまずきますが、4年以上たったこのヴィンテージでは土壌のミネラル感をより感じます。
コッリオ フリウラーノ2008

試飲
コメント

これぞコッリオのミネラル感!エレガントな果実味と心地よい苦味、余韻の塩気が凄い。

ニューワールドではなく、ヨーロッパのソーヴィニョン

ニュージーランドなどニューワールドのソーヴィニョンも有名ですが、私たちのソーヴィニョンはサンセール、ヨーロッパのソーヴィニョンです。クリスピー感とやわらかさが融合した上品な味わいだと思います。
コッリオ ソーヴィニヨン2008

試飲
コメント

クリスピーと言われてなるほど、と思う興味深い味わい。品種特有のベジタブル感は控えめながら存在。

シャルドネとフリウラーノのブレンドで造るフラッグシップ マリオスキオペット2005

コッリオ地域のフリウラーノとコッリオリエンターリデルフリウリ地域のシャルドネのブレンドです。そのためDOCではなくIGTになります。シャルドネはトノーで熟成させています。1992年に新しい醸造所を建てた頃、バリック使いが流行していましたが私たちは大樽を使っていました。でも私たちのワインには大樽は合わないと分かりトノーに変えました。別にバリック嫌いというわけではなく、単純にワインに最適な樽の大きさを考えた結果です。
マリオ スキオペット ヴェネツィア ジューリア2005

試飲
コメント

濃密なハチミツのニュアンス。その後、ミネラル感とスパイシーさが広がる。複雑でまろやか。

インタビューを終えて

「まだ収穫もしていないうちから『今年はビッグヴィンテージだ』と言うジャーナリストもいるけど、実際は飲んでみないとわからないよ」とカルロさん。造ったワインをセラーで寝かして1年ごとに試飲して、熟成していく変化を感じる。生産者だからできる贅沢だなあと思います。今回は思いがけずスキオペットの熟成ヴィンテージを飲むことができました。ブドウ本来の果実感は控えめになり、テロワールの力と時間という魔法がワインをさらに魅力的にすることを改めて感じました。熟成を楽しめるのは赤ワインだけではありません。相当のポテンシャルを持った偉大なフリウリの白は寝かせるほどに面白いです。
集合写真

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