TUSCANY イタリアワインとグルメ食材の店
Interview

突撃インタビュー

2018/11/19

ルナロッサ社 林 達史氏

他社ワイナリーからも購入希望が殺到!家族経営の良心が詰まった地元でこよなく愛されるコスパ抜群トスカーナ「サンルチアーノ」

ルナロッサ社 林 達史氏と
サン ルチアーノはコストパフォーマンス抜群、安定・安心のトスカーナワインとして、地元の人のみならず、他社ワイナリーからも購入希望が殺到する程の絶大な信頼を得ているワイナリーです。ワイナリーを構えるモンテ サン サヴィーノはキャンティにもモンテプルチアーノにも属さない、いわば「銘醸地から外れたエリア」ですが、栽培に長けたドヴィーディオ氏がトスカーナ中のありとあらゆる畑を廻り見つけ出した素晴らしい条件を備えたエリアです。イタリア国内での消費が圧倒的に多く、有名DOC、DOCGでなくとも美味しく、価格は高くなくとも生産者の情熱や想いがいっぱい詰まった、食卓を彩るお手軽高品質トスカーナです。サン ルチアーノを日本に紹介するイタリア在住のエージェント、林 達史氏に地元トスカーナで絶大な支持を得るをサン ルチアーノついてお話を聞きました。

イタリアを代表する素晴らしいカンティーナを長年に渡って日本に紹介する林 達史氏

林氏林 達史氏
イタリア トスカーナ在住

「ダルフォルノロマーノ」「サンジュゼッペ」「フェルゲッティーナ」「サン ルチアーノ」等イタリアを代表する素晴らしいカンティーナを長年に渡って日本に紹介するエージェント。ワイナリーとの親交も非常に厚い。

他の生産者は殆どいない「モンテ サン サヴィーノ」

ロゴ「畑作業が重要で、畑に全てがある」
サンルチアーノが造るワインは言えることは「畑作業が重要で、畑に全てがある」という考え方です。不必要な人間の手は一切加えないという事です。

他の生産者は殆どいない「モンテ サン サヴィーノ」
サン ルチアーノはツィアントーニ家が運営するワイナリーです。トスカーナはフィレンツェの南東、アレッツォから10キロ程南に下ったモンテ サン サヴィーノに位置しています。標高300~350メートルのなだらかな丘の側面、南向きの畑を約60ヘクタール所有し、年間で約30万本を生産しています。栽培している品種はトレッビアーノ、マルヴァジーア、シャルドネ、グレケット、ヴェルメンティーノ、サンジョヴェーゼ、チリエジョーロ、モンテプルチアーノ、カベルネソーヴィニヨン、メルローを植えています。

「化学的なアプローチは一切せず、オーガニック栽培にこだわっています」
実はこのエリアはキャンティにもモンテプルチアーノにも属さないIGTエリアで、いわば「銘醸地から外れたエリア」なんです。他の生産者は殆どいないですね。なぜこの場所を選んだか、それは後程お話しますね。ブドウと言うよりは野菜を植えた畑が多いです。サン ルチアーノとは20年以上のお付き合いになりますが、化学的なアプローチは一切せず、オーガニック栽培にこだわっています。化学的なモノを使いたくないという思いがあります。特に有機認証などは取得していませんが、サン ルチアーノのワインを飲むと健全育てられたブドウの味わいが感じられいつ飲んでも「安心」があります。

「昔ながらのイタリアの家庭がサン ルチアーノに行くと感じられますね」

ファミリー完全な家族経営のワイナリー
サン ルチアーノに行って、一緒に食事をとると分かるのですが、彼らはほぼ自給自足なんですね。豚や牛も飼っていて、トウモロコシや麦等も栽培しています。今でも昔ながらの非常にシンプルな生活をしています。オーナーのオヴィーディオ、奥さんのジーナ、2人の息子ステファノとマルコとその妻、その2家族の子供が4人、完全な家族経営のワイナリーです。息子ステファノは45歳で現在醸造と販売を担当、マルコは畑を担当していて本当に良いコンビです。

オヴィーディオ氏「昔ながらのイタリアの家庭がサン ルチアーノに行くと感じられますね」
オヴィーディオは昔ながらの頑固おやじという言葉がピッタリで、カンティーナに行くと沢山の郷土料理で私達をもてなしてくれます。前菜、パスタからキアナ牛に至るまで、、オヴィーディオのホスピタリティを強く感じますね。昔ながらのイタリアの家庭がサンルチアーノに行くと感じられますね。「今日のパスタは俺が造ったから旨いだろ?」っていう感じです(笑)。そんなオヴィーディオの造る料理は重たくなくて、繊細でとても味が深くてほっこりする美味しさがあります。そしてオヴィーディオのごつごつした大きな手。まさに真面目な農民の手です。

Q.輸出と国内消費どちらが多いですか?

イタリア国内消費が殆どですね。輸出はベルギーなどヨーロッパ圏内が主ですね。地元の系列店だけのスーパーでも販売しています。地元の人達が日常的に飲んでいるという事は「安全で安心」出来るワインであるとも言えます。

トスカーナ中のありとあらゆる畑を廻り、見つけだした理想的な栽培環境

白黒ローマからトスカーナに移り住む
オヴィーディオはラツィオ州、ローマ近郊にあるマリーノの出身です。曾祖父がローマ県の南部カステッリロマーニ地区で初めて設立された協同組合のゴットドーロを立ちあげた一人です。元々ラツィオでブドウ畑を持っていて、オヴィーディオの祖父、父もラツィオでブドウ栽培を行っていました。オヴィーディオも15歳位からブドウ栽培をてつだうようになります。

トスカーナ中のありとあらゆる畑を廻る
当時トスカーナの土地は今ほど高くは無かったんです。むしろ住んでいたローマの畑の方が地代が高くて。ローマでのワインの消費が高かった事も影響したのかもしれませんが新しい可能性を見出すべくローマの畑5ヘクタールを売りました。当時その売価でトスカーナの畑が50ヘクタール買えた時代です。モンテプルチアーノやブルネッロが国際的に騒がれ始める1980年代よりもっと前の話です。オヴィーディオはこれまでのブドウ栽培の経験と勘を活かして、トスカーナ中のありとあらゆる畑を5年かけて廻りました。1972年にようやく見つけたのが、それまで全く開拓されていなかったモンテ サン サヴィーノです。

銘醸地に拘らず、土地に生える植物を見て畑を購入
キメ手になったのはワイン造りに向いているといわれている土地に生えているという植物がワインの銘醸地と言われるキャンティにもモンテプルチアーノにも生えていなかった。オヴィーディオはネームバリューに拘らず、その植物が生えていたモンテ サン サヴィーノを選んだといいます。モンテ サン サヴィーノは保水力に優れた肥沃な土壌が広がる絶好の場所でした。オヴィーディオは1974年に現在の場所へ完全移住しました。最初に購入した何もない8ヘクタールの畑にオヴィーディオは自分でブドウを植え始めました。

雨などは西側から来るサンルチアーノは2つの峰に挟まれており、雲がこの峰に沿っていき、この場所を避けてくれます。気温差はそれほどあるわけではないですが、保水性の高い粘土質土壌が暑い夏を癒やすナトリウム、カリウムの含有量が高いことが分かっていて、白ワインのレベルが高い理由のひとつでもあります。粘土質で、夏場でも保水性がある程度あるので、土壌は夏でも温度を低く保ってくれます。

畑小ブドウが本来持っている味わいをしっかりと引き出す事に注力
サンルチアーノのワインは「出来る限り良いモノを」という思いがしっかりと伝わってきます。強制的に残糖を残してワインにボディを与えたり等、味わいに何かを足そうとするような事は一切しないですね。ブドウが本来持っている味わいをしっかりと引き出す事に注力しています。

他のワイナリーが購入にやってくる程!大人気の量り売りワイン

インタビュー2「サンルチアーノの白はバランスが取れていて好きですね」
個人的にはサンルチアーノの白はトスカーナの白ワインの中でも非常にバランスが取れていて好きですね。サンルチアーノの赤ワインのキーポイントになるのがモンテプルチアーノ種を使っている事です。インパクト、ストラクチャー、余韻の長さを含めとても良いパフォーマンスがあります。

「トスカーナ州でモンテプルチアーノ?」
トスカーナ州でモンテプルチアーノ?とお思いになるかもしれませんが、サンルチアーノが使うモンテプルチアーノはオヴィーディオの地元ラツィオから持ち込まれたものです。ラツィオ州でも特にローマは昔から白ワインの消費が明らかに多く、8:2で白が優勢でした。ローマでは赤は早飲みのサンジョヴェーゼ種しかありませんでしたが、祖父ジューリオの時代にアブルッツォから手伝いに来ていた小作人が、アブルッツォのモンテプルチアーノ種を根っこごと持ってきてくれて、それを植えたといいます。それを基にオヴィーディオが黒ブドウの栽培方法も修得し、今に伝えています。(今のワイナリーのモンテプルチアーノは苗木屋から購入したものに変わっています)

醸造家のチウフォーリ氏はオヴィーディオの従弟にあたります。20年以上のエノロゴ経験があり、サンルチアーノでは数年前より醸造責任者となっています。『ガンベロロッソ』で6回最高評価トレビッキエリを獲得した(2012年現在)、マルケ州のボッカディガッビア社のスーパーワイン「アクロンテ」を世に送り出した経歴の持ち主です。

外観他のワイナリーが購入にやってくる程!大人気の量り売りワイン
家族総出で日々ワイン造りに励むサン ルチアーノには、毎日多くのワイン購入者で賑わいます。彼らのワインの品質の高さは地元では大変な評判で、造るワインの多くが地元の人の量り売りで消費されています。1日で300リットル、多い時で600リットルも販売することもあります。現金収入があるので、ほぼ無借金経営です。

遠いところではフィレンツェやローマのレストランがハウスワインとして購入するため、態々足を運ぶのだとか。さらには、そのコストパフォーマンスに、なんと他のワイナリーが購入にやってくる程で、同業他社でさえ買いにきてしまう美味しさがあります。

最上級キュヴェ「ドヴィーディオ」
最上級キュヴェ「ドヴィーディオ」は20年程前から造り始めたワインです。オヴィーディオの為のワイン「ドヴィーディオ」と名付けられています。現行が2009ヴィンテージで、もうすぐ2010ヴィンテージがリリースされます。ものすごく長い瓶熟期間をとってからリリースするワインです。

収穫後のブドウモンテプルチアーノのインパクト、ストラクチャー、余韻の長さ
モンテプルチアーノのインパクト、ストラクチャー、余韻の長さがしっかりと感じられ、味わいも豊かで広がりがあります。モンテプルチアーノ種だけだと重ためになるのでサンジョヴェーゼ、他品種でバランスを取っています。非常にポテンシャルの高いワインだと思います。造った当初はモンテプルチアーノのブレンド比率を5~10%で始めていましたが、年々ブドウの樹齢も上がった事、モンテプルチアーノ種のブレンド比率も増えてきて、ドヴィーディオは素晴らしく品質が向上していますね。もしこのワインが、モンテ サン サヴィーノのたった数キロ先にある「キャンティ」のエリアであったなら、価格も跳ね上がると思いますね。

「サンルチアーノのモンテプルチアーノは熟成させると非常に良くなります」
サンルチアーノのモンテプルチアーノは熟成させると非常に良くなります。旧樽のバリックで1樽だけ試験的に熟成させたモンテプルチアーノ2004年をカンティーナで飲みましたが、素晴らしかったです。日本の飲食店の方々がイタリアにいらっしゃった時に、銘柄を隠して出してみたのですが誰も「モンテプルチアーノ」とは分かりませんでしたね。プロフェッショナルの方も注目する程、興味深い熟成をしていましたね。息子のステファノはモンテプルチアーノ100%でワインを造りたいようですが、父オヴィーディオは昔ながらのスタイルを崩す事を許さないようですね。ステファノから、「タツ(林氏)、お前からも父に言ってくれよ」と内なるステファノの思いを聞いた事もありましたねオヴィーディオは今ではもう殆どワイン造りに携わっていないようですが、影響力はかわっていませんね(笑)

他ワイナリーでさえ買いつける美味しさ!フレッシュな香りと心地良い果実感の優良トスカーナビアンコ

家族総出で日々ワイン造りに励むサン ルチアーノには、毎日多くのワイン購入者で賑わいます。彼らのワインの品質の高さは地元では大変な評判で造るワインの多くが地元の人の量り売りで消費されており、遠いところではフィレンツェやローマのレストランがハウスワインとして購入するため、態々足を運ぶのだとか。さらには、そのコストパフォーマンスに、なんと他のワイナリーが購入にやってくるという話もある程で、同業他社でさえ買いにきてしまう美味しさを誇っています。
トスカーナ ビアンコ2016

試飲
コメント

リーズナブルでありながら、柑橘類の爽やかな香りに、瑞々しくフルーティで心地良い果実感のコストパフォーマンスに優れた辛口白ワインです。食事の種類を問わず幅広く合わせやすいワインで、冷やして飲むことでクリアーな果実感がより一層楽しめる、この価格帯ではとても優良なトスカーナビアンコです。

しっかりしたミネラルと程よい酸のバランス、ジューシーな味わい

ワインのベースは地のものを使用し、そこに少し国際品種を加え、バリック樽熟成をすることで国際色を出したワイン。厳密にいえば、ベースは地のものなので、地元のアイデンティティを表現しつつ、より幅を広げたワイン。昔の仕立て方法「レシィコ」から付けられています。
レシィコ2016

試飲
コメント

グレープフルーツのような柑橘系果実、火打石や蜂蜜、ハーブなどのニュアンスが感じられます。飲むと白い花の香りに、ジューシーな果実味が口の中に広がります。ミネラル豊富な土壌由来のしっかり骨格と程よい酸とのバランスが取れています。

良心的旨安トスカーナロッソ!肉料理と抜群の相性使い勝手の良い優良コスパ赤

醗酵はステンレス タンクで行い、その後、ステンレス タンクにてマロラクティック醗酵。熟成もステンレスタンクで行います。トマトを使ったパスタや赤身肉のグリル等トスカーナの伝統料理と非常に相性が良いワインです。
トスカーナ ロッソ2016

試飲
コメント

鮮やかなルビー色で、チェリーやプラムの香りがあり豊かな果実味と心地よいタンニンが広がります。サービス温度は15度がお勧めです。牛肉のステーキなどお肉料理と相性が良いです。

リーズナブルながら美味しさの詰まった「イタリアワインらしいワイン」

一般的にトスカーナワインはサンジョヴェーゼにはカナイオーロやコロリーノをブレンドするのが常ですが、アブルッツォやマルケ等で多用されるモンテプルチアーノをブレンドしています。ローマ出身のカンティーナならではの柔軟で独創的な発想ですが、これが非常に良いアクセントになっていて、風味豊かでボディには心地よい丸みがあります。
コッレ カルピート2014

試飲
コメント

明るい鮮やかな色合い。ハーブや杉のニュアンス、きれいな果実香が好印象。甘みののった熟した果実味に、滑らかなタンニン。決して派手ではないが、この飲み疲れのなさが正に食事向き。

3000円台で楽しめる長期熟成トスカーナ!複雑かつ滑らかに広がる豊かな風味トップキュヴェ「ドヴィ―ディオ」

20年程前から造り始めたワインです。オヴィーディオの為のワイン「ドヴィ―ディオ」と名付けられています。現行が2009ヴィンテージで、もうすぐ2010ヴィンテージがリリースされます。ものすごく長い瓶熟期間をとってからリリースするワインです。モンテプルチアーノのインパクト、ストラクチャー、余韻の長さがしっかりと感じられ、味わいも豊かで広がりがあります。モンテプルチアーノ種だけだと重ためになるのでサンジョヴェーゼ、他品種でバランスを取っています。
ドヴィーディオ2009

試飲
コメント

深いルビーにガーネットが入る深みある色調です。熟したベリーやプラム、レザーやタバコのニュアンス、樽由来の甘やかなバニラの香りと重なり堂々たる存在感があります。飲むと熟したサンジョヴェーゼの柔らかな酸の旨み、モンテプルチアーノのよこに広がるおおらかな果実の凝縮感が素晴らしいバランスを成しています。タンニンは豊かですが細やかさがあり溶け込んでいます。

インタビューを終えて

トスカーナ中のありとあらゆる畑を廻り、キャンティでもモンテプルチアーノにも属さないIGTエリア「モンテ サン サヴィーノ」で素晴らしいコストパフォーマンスワインを造りだすサン ルチアーノ。林氏のお話から「どんなに安いワインでも、この土地や気候が表現された、なにより生産者の情熱や想いがいっぱい詰まったワインを造りたい。ワインを通じてそれらを感じてもらえるようにしたい。」という生産者の想いが強く感じられました。

試飲では「トスカーナビアンコ」の瑞々しくスッキリとしたキレのある味わいの素晴らしい出来映えで、価格を見て改めて驚かされました。「トスカーナロッソ」の飲み心地の良さ、「コッレ カルピート」の深みある滑らかさ、3000円台で熟成トスカーナが楽しめる「ドヴィーディオ」もワイン愛好家ならば見逃せない完成度がありました。

有名DOC、DOCGでなくとも美味しくて、価格は高くなくとも小さな喜びがいっぱい詰まっている、サンルチアーノは食卓を彩るお手軽で高品質トスカーナだと思います。デイリーでトスカーナワインを楽しむには最適なワインだと思います。是非お試し下さい。
カンティーナ

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