突撃インタビュー
2013/9/13
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バローネ リカーゾリ社 セールス&マーケティングディレクター ステファノ カプルッソ氏 来日セミナー
ワイナリーを買い戻してからの再出発
シーグラム社に売却されて1972年から1993年まで「バローネリカーゾリブランド」で販売されたワインは私たちが築いてきたリカーゾリの価値をすっかり落としてしまう結果になりました。そして1993年にフランチェスコ男爵がシーグラムから買戻し、かつてのバローネリカーゾリの輝きを取り戻す努力を続けてきました。
今年は再スタートから20年目に当たります。さらなる発展のために私たちは「ボルゲリプロジェクト」と「クリュプロジェクト」という2つのプロジェクトを進めてきました。
リカーゾリがキャンティ地区以外で初めて造るワインは「ボルゲリ」
ボルゲリは土地があまり広くなく、新たに購入するのは難しかったので「ポデーレ サパイオ」というワイナリーとのコラボレーションでリカーゾリのボルゲリワインを造ることにしました。
ボルゲリは海にも山にも近く、土地はほぼ平坦で穏やかな気候です。土壌も砂質で、キャンティクラシコのような石の土壌ではありません。水はけがよいのでカベルネやメルローに適していて、素晴らしいワインが出来るポテンシャルを秘めています。私たちはそのボルゲリの中でも自分たちの個性を表現することを大切にしています。
"所有する250haの土地の特性を研究。区画を細かく分けて最適な品種を最適な土壌で栽培する「クリュプロジェクト」
リカーゾリらしさとボルゲリが融合した新しい味わいの「ボルゲリロッソ」
試飲
コメント
2009年はとても強い年で、非常に力のあるブドウができたとのこと。ボルゲリロッソが約1年半の熟成に対し、スペリオーレは2年以上。「強い年」という形容詞がピッタリのとても凝縮感のあるパワフルなスペリオーレ。でもここにもやはり、リカーゾリらしいという言葉を使いたくなるエレガントでしっかりとした酸が味わいのポイントになっています。2009年がリカーゾリのボルゲリとしては初めてのヴィンテージになるのですが、このスペリオーレの生産本数はわずか900本!世界で一番早く味わうことのできたラッキーな体験をしてしまいました。
そしてこのスペリオーレに合わせたのがトリュフソースを添えたサーロイン。柔らかい肉の旨みと上質な脂の甘みが、エレガントな酸味とタンニンを持ち合わせたスペリオーレにとかされていくのを実感しました。
余談ですが、このステーキを食べたステファノさんも「このお肉の柔らかさに比べるとトスカーナのビステカフィオレンティーナは靴底みたい」と感激されてました。
サンジョヴェーゼの優雅さを表現したクリュキャンティクラシコ
試飲
コメント
密度の高さを感じさせる熟した果実の香り。全体的に果実味がとてもエレガントな印象。ふくよかさとともに涼やかな印象もある、まさに優雅なサンジョヴェーゼ。
キャンティクラシコ地区ならではのメルロー
試飲
コメント
新樽の強い香りから力強く濃厚な果実へと移り、その後ハーブの清涼感。味わいも力強く、優美でしっかりとしたタンニン。確かにメルローだと言われないとわからない。
リカーゾリの所有畑から最上級のブドウを厳選して造るトップキュヴェ
試飲
コメント
リカーゾリが目指すキャンティクラシコだということが伝わってくる。どこから攻めても完成されている印象。
インタビューを終えて
そんなリカーゾリも悲しい時代がありました。ワイナリーが1970年にシーグラム社に売却され、1993年にフランチェスコ氏が買い戻すまでの約20年間でリカーゾリブランドはその評判をすっかり落としてしまったのです。それを復活させたのがフランチェスコ男爵を筆頭とするワイナリーのスタッフたち。
そして2013年はバローネリカーゾリが再スタートを切って20年。ボルゲリプロジェクトやクリュプロジェクトの取り組みなど、現在の名声に安住することなく努力を続けるリカーゾリのワインは以前に増して完成度が高くなっていると感じました。
試飲
コメント
カベルネソーヴィニョン、メルロー、プティヴェルド、カベルネフランで造るボルゲリロッソと一緒にフルーツトマトで造ったやや甘めのソースのカッペッリーニがサービス。まずワインだけを頂くと、果実の心地よい甘みを感じる上品なアタック、そして程よい厚みと凝縮感が広がるとともにしっかりと存在感を見せる酸が実に印象的。ボルゲリと言われなければわからないような、そんな印象も持ちました。
このワインにトマトソースのパスタ?と食べる前は思いましたがフルーツトマトのしっかりとした甘みとフレッシュ感がこのボルゲリロッソのまろやかさとエレガントな酸にぴったりはまる!感動的なマリアージュに思わずうなりました。