TUSCANY イタリアワインとグルメ食材の店
Interview

突撃インタビュー

2018/11/14

ニーノ フランコ社 プリモ フランコ氏

単一畑プロセッコの先駆者!素晴らしいこだわりが産む本格派!世界に知られる3大プロセッコ「ニーノ フランコ」

ニーノ フランコ社 プリモ フランコ氏と
プロセッコの歴史が一番古いヴァルドッビアーデネ村で1919年創業、1980年代から高品質な単一畑プロセッコ造りに取り組み、単一畑プロセッコの先駆者としてリスペクトされています。一般的に安価な泡と認識されるプロセッコのエリアにおいて非常に高い信念を持ち続けるニーノフランコは、イタリアにおける「3大プロセッコ」としてその名を世界中に知らしめています。全てにおいて手作業にこだわるニーノフランコのプロセッコはみずみずしく、果実のしなやかさと美しい酸とミネラルが交錯するワイン通やプロフェッショナルに絶大な信頼を持つ生産者です。オーナーのプリモフランコ氏にお話を聞きました。

プロセッコの歴史が一番古いヴァルドッビアーデネ村で1919年創業

カンティーナ上空からプロセッコの歴史が一番古いヴァルドッビアーデネ村で1919年創業
はじめまして。プリモ フランコです。ワイナリーとしては私で3世代目となります。私たちの歴史は第一次世界大戦後の1919年、私達はプロセッコの歴史が一番古いヴァルドッビアーデネ村でワインを販売するネゴシアン&ワイナリーとして創業しました。来年でちょうど100周年を迎えます。

地図白ワイン、トレヴィーゾからワインを買い付けて販売する事もありました。当時の潮流としては「ワインはカロリーを摂取する為の物でその場を楽しむための飲物」、つまり「食品」としての認識が多くありました。

父の代から私に切り替わる1960~70年代にかけて、私はワイナリーの改革を始めました。1967年にコネリアーノにある醸造学校を出て、1971年からワイナリーで父と仕事を始めましたが、その時プロセッコだけのワイン造りに専念しようと決心しました。

高品質なワイン造りに特化
父と一緒にワイナリーを運営して10年程たった1982年、父が亡くなりました。そのタイミングでこれまでの慣習による「食品的」なワイン造りから高品質なワイン造りに特化しワイナリーを目指そうと決めました。

単一畑プロセッコの先駆者!世界に知られる「3大プロセッコ」の一角

フランコ家 単一畑プロセッコの先駆者!20年前DOCG単一畑プロセッコをリリース
ニーノフランコの生産量は現在年産10万本で、内70%が国外に輸出、30%が国内消費となっています。一番消費されているのは北部アメリカです。日本には1994年から販売を始めてから、20年以上ずっと日本市場で販売されています。娘のシルヴィアはワイナリーの海外輸出担当で4代目として一緒に働いています。

世界に知られる「3大プロセッコ」の一角
一般的に、ヴァルドッビアーデネエリアで産まれるプロセッコはエレガントで、コネリアーノエリアで産まれるプロセッコはよりアルコール度数が高くボディを感じます。プロセッコに単一畑の概念が入ってくる前の時代は、ヴァルドッビアーデネとコネリアーノのブドウをブレンドし、バランスをとる事が一般的でした。

20年前からプロセッコの品質、ポテンシャルをより強く表現する為、DOCG単一畑プロセッコをリリースするようになりました。私達は歴史的な土地であるDOCGコネリアーノ ヴァルドッビアーデネエリアの5ヘクタールの単一畑のブドウのみを使ってワイン造りを行っています。

当時、単一畑のプロセッコを造る生産者は殆どありませんでしたね。

例えばトスカーナには巨大な畑が広がっているけれども、ブルゴーニュやピエモンテのような場所には小さな畑、小さな区画というものが点在している。つまり単一畑の概念があるのです。同じプロセッコではアダミも単一畑の「ヴィニェートジャルディーノ」を同じフィロソフィーで造っています。世界ではアダミ、ルッジェーリ、ニーノフランコが3つの重要なプロセッコのカンティーナ「3大プロセッコ」として知られています。

オペラワインイタリアのベストワイナリー100社に3回選出
現在は「ワインエンスージアスト」「ワインスペクテーター」「デカンター」等の評価誌へのサンプル提供は今はやっていません。それでも「ワインスペクテーター」は自分たちの所までやってきてくれて仕事ぶりを見てくれます。ヴィニタリー開催の前に「ワインスペクテーター」が10年間続けているイベント「オペラワイン」でイタリアのベストワイナリー100社に3回選ばれています。(プロセッコから選ばれているカンティーナは多い年でも3社程)

最高のプロセッコを造る為、ひたすらワイン造りに没頭

インタビュー最高のプロセッコを造る為、ひたすらワイン造りに没頭
私達が自社所有する単一畑のプロセッコ造りに着手したのが1983年の事でした。より高い品質を追求する上で必要な事でした。周りからは「おかしな」「狂った」と呼ばれましたが、本当に美しいものを造りたいと思って取り組みましたが、他の人たちは納得してはくれませんでした。「簡単にできる事ではなく、違う事にチャレンジしよう」と思いました。

最高のプロセッコを造ると決めたので、ひたすらワイン造りに没頭しました。レストランにも行かずにね(笑)市場でのプロセッコのイメージは「安い泡」というのが一般的で、より安いモノを求める傾向がありますが、私達のプロセッコは常に高い品質を目指し全てが手作業です。沢山の手仕事が私達のプロセッコの味わいに反映されています。

特にスパークリングワインに関して言える事ですが栽培、醸造のそれぞれにおいて専門知識が必要となります。醗酵に携わる人と栽培家は別々に存在している事が多いです。畑と醸造は切り離されているケースです。特にフランスシャンパーニュ地方の有名なメゾンにも言えますが、昔からブドウ栽培をやっている人達は醸造所を持つにはお金がかかるので栽培に特化しているプロフェッショナルが多いです。

プリモフランコ氏単独所有畑「サンフロリアーノ」、樹齢100年超も!「グラーヴェ ディ ビステッカ」
畑と私達のカンティーナは半径500メートルの範囲内にあります。私達が所有する単一畑で単独所有(モノポール)している畑「サンフロリアーノ」の地価は一平方メートルあたりほぼ60ユーロ。ほぼ日本の地価と一緒で高価だと思いますが、いかがでしょう?もうひとつの単一畑「グラーヴェ ディ ビステッカ」はクロ(塀)に囲まれた南向きの区画で2.4ヘクタールの広さです。この畑を2014年に親しい知人から購入したのですが、そこには人知れずに樹齢100年以上のブドウ樹も存在していました。不思議なことに私達が購入するまで(樹齢100年の古木に)誰も気が付かずにいたわけです。そのような事からこの畑には特別なケアが必要でどのようなアプローチがベストであるか、注意深く見極めなければならないのです。栽培から収穫のタイミング、カンティーナに運び、醸造に至るまで常に仕事に集中しなければなりません。

環境を配慮した持続可能な農法
温暖化による病害虫から守る為にはまず剪定の方法を変えました。樹の状態にもよりますが、大きく剪定する事で木の中に入り込む病気を防ぎ、環境を配慮した持続可能な農法を採っています。病害虫に対抗する術をやってはいますが、ただ直ぐに簡単に出来る事ではありませんので、進行速度としてはゆっくりですが着実に進めています。

セラー平地でワイン造りをすることに比べ「何と難しい事か」
例えば斜面の畑に50ミリの雨が降ったならば、もう畑には入れなくなります。気候、天候というものは変わってきています。それに対応するためのアイディアを持たなくてはいけません。ブドウを大事にしながらも環境に配慮して持続可能な農業を同時に進める。それを考えると、平地でワイン造りをすることに比べ「何と難しい事か」と思います。単独所有畑の「サンフロリアーノ」は雨が降った翌日は歩く事も難しいです。ヴァルドッビアーデネでビオディナミをやるという事は非常に難しいです。とにかく斜面が急だからです。そうではない平地では(斜面に比べると)容易かと思います。しかしそれはある意味「工業的」なビオディナミといえるのではないでしょうか。手作業しか出来ない私達の畑はビオディナミというよりは、より持続可能な農業を目指しています。

DOCGには家族経営の小さな生産者が多く、DOCには大規模な組合や生産者が多い

畑 DOCプロセッコとは明らかに違う
昨今の世界的なプロセッコ人気もありますが、不運なことに現在DOCプロセッコというワインの市場が大きくなり過ぎてしまった。プロセッコ全体で5憶3000万本が生産されていますが、DOCGを名乗れるプロセッコはそのうち9000万本のみで全体の16%程の生産量です。

私達はDOCとDOCGをハッキリと区別しなければならないと考えています。DOCGヴァルドッビアーデネは全て丘陵地帯の険しい斜面の畑で全てを手作業で行わなければなりません。DOCGに畑を所有する私達にとってはブドウの樹を植え替えるにしても、必ず樹が死んでしまってから植え替える事をしています。平地でDOCプロセッコを造っている生産者とは明らかに違う点です。

DOCGには家族経営の小さな生産者が多く、DOCには大規模な組合や生産者が多い
DOCGヴァルドッビアーデネ全体では7500ヘクタールの広さで3000もの栽培農家が存在しています。平均して栽培家ひとり2.5~3ヘクタールを担っている事になります。一方ヴァルドッビアーデネの周辺に広がる巨大なDOCのエリアに目を向けると、どんどん畑を購入、拡張しブドウを植えている現状があります。特に巨大な会社などに見られます。

プロセッコQ.一般的な生産者と家族経営の生産者のプロセッコ。端的に言うとどのような違いがあるのでしょうか?

まず言える事は「考え方の違い」でしょうか。誰に対して販売するか、という事も言えます。スーパーマーケットに大量に販売するのか、少量生産で高い品質を追い求めるかの違いです。私達のそれぞれのキュヴェは全く異なる味わいが楽しめると思います。単一畑で造っている事もあるので個性はそれぞれ異なっています。

つまりコンセプト、そもそもの考え方の違いがDOCとDOCGにはあると思います。DOCGには家族経営の小さな生産者が多く、DOCには大規模な組合や生産者が多い。そうしたマネジメントの違いもあり、ブドウ栽培から醸造においても同じプロセッコの名前がついていますが、全く違う仕事になります。

デイリーで楽しんで頂ける高品質なプロセッコ

ルスティコは私達の主力プロセッコです。デイリーで楽しんで頂ける高品質なプロセッコです。果汁を7~8度の低い温度でタンク保存して、適宜醸造し常にフレッシュな味わいで出荷できるようにしています。ルスティコのラベルにはヴィンテージ表記は入っていませんが単一ヴィンテージでボトリングしています。裏ラベルに情報を記載しています。4.8~5気圧あり、味わいはブリュットになります。
ルスティコ プロセッコ コネリアーノ ヴァルドッビアーデネ スペリオーレ ブリュットNV

試飲
コメント

明るい麦わら色で繊細で持続性のある香り。心地よくクリスピーで、フルーツと花のニュアンスを感じる。クリーミーで清々しい味わいのプロセッコ。前菜、リゾットやパスタと良く合います。

樹齢80年のブドウが栽培されている単一畑

ノディは「結び目」という意味があります。樹齢の高いブドウの樹が、まるで紐の結び目のように絡まっている様子から名付けられています。ノディの畑は別名コル デル ヴェント(風の丘)とも呼ばれ、風が非常に強く場所にあります。土壌は粘土質が主体です。風量を数える単位でもある「ノード」からも由来しています。樹齢80年のブドウが栽培されている単一畑です。2016年は8400本ボトリングしました。本当に小さな畑です。最後に塩味を感じます。
ノディ ヴァルドッビアデーネ プロセッコ スペリオーレ2016

試飲
コメント

フジやバラを思わせるフローラルな香りに洋梨やスグリのフルーティーなアロマが感じられます。凝縮感がありスムーズな口当たりでキメの細やかな泡が続きます。味わいの深みもありながら、心地よい酸味があり余韻には塩味が感じられます。

プロセッコDOCGとは異なるキャラクターがあるので、あえてスプマンテとして販売

グラーヴェ ディ ステッカと呼ばれる古くからある畑で採れるグレラ100%を使用していますが、このワインはプロセッコのデノミネーションを名乗っていない「特別」なキュヴェです。これこそ「テロワール」の味わいです。このワインを有識者でプロセッコのパネルテイスティングした時これは「ティピコ」(典型的)ではないねと言われました。でも土地ならではの味わいが確りと感じられます。プロセッコDOCGとは異なるキャラクターがあるので、あえてスプマンテとして販売しています。2次醗酵の前に6~7ヶ月間澱と接触させワインとしての膨らみ、深みを造ります。私達のプロセッコが長期熟成出来るワインである事を証明しています。瓶熟成で4年寝かせてからリリースさせます。
グラーヴェ ディ ステッカ2012

試飲
コメント

完熟フルーツの豊かさ、香り高いハーブに火打石やミネラルの清らかさが重なる複雑なアロマ。飲むと深みのある味わいながら、驚くべきフレッシュな酸とミネラルがボディを支えています、余韻には芳ばしいアーモンドのニュアンスを感じます。他には無い個性を備えています。燻製したハム、エビやカニの甲殻類と非常に良く合います。

長期熟成も可能!プリモフランコ

収穫するブドウをセレクションしています。こちらは2013年のプロセッコです。残糖量は1リットル当たり30グラムですが、フレッシュな酸があるので、実際に感じる残糖値はそれ程高くないと思います。瓶詰め後30日間寝かせてから出荷しています。長期熟成も可能なキュヴェです。
プリモ フランコ プロセッコ ヴァルドッビアーデネ スペリオーレ2013

試飲
コメント

明るい、淡い麦わら色。熟したフルーツ、芳しいハーブに美しいミネラルが寄り添うアロマ。残糖量は1リットル当たり30グラムですが、フレッシュな酸があるので、実際に感じる残糖値はそれ程高くなく、熟したブドウ、リンゴの甘やかで豊かな風味とキメ細やかな泡が口中に広がります。ニーノフランコの実力がしっかりと感じられる長期熟成プロセッコです。

インタビューを終えて

20年以上も前に高品質な単一畑プロセッコ造りに取り組み、高品質プロセッコの先駆けとなったプリモ フランコ氏。「当時周りからは「おかしな」「狂った」と呼ばれましたが、本当に美しいものを造りたいと思って取り組みました」「簡単にできる事ではなく、違う事にチャレンジしよう」というお話がとても印象的でした。シャンパーニュやフランチャコルタではない、一般的に安価な泡と認識されるプロセッコのエリアにおいて、これほどまでに自身の信念を昇華させた生産者は知りませんでした。

非常にストイックな仕事ぶりでDOCGプロセッコがいかに高品質で大変な作業の下に造られているか、その素晴らしさをゆっくりと語ってくださったプリモ氏。「ニーノフランコは3大プロセッコに選ばれていますね」と伝えるとプロセッコDOCとDOCGの決定的な違いを、より詳しく話してくれました。

プリモ氏のこだわりがギュッと詰まったプロセッコは全てにおいて、淀みの無い果実の美しさと無理のない自然なブドウの深みがしっかりと感じられました。圧巻は2012、2013の長熟ワイン。これ程の時間を経過していながら、酸とミネラルは崩れる事無くハリのあるシャープさと熟成による深みが溶け合う珠玉の味わい。プロフェッショナル、ワイン通も唸る素晴らしい深みがあります。妥協のない細やかな仕事が飲む度に感じられ、流石の一言。

DOCGプロセッコの素晴らしいポテンシャルをしっかりと楽しめる偉大な生産者です。是非お試しください。
ニーノ フランコ社 プリモ フランコ氏とトスカニースタッフ

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