TUSCANY イタリアワインとグルメ食材の店
Interview

突撃インタビュー

2016/05/20

マラミエーロ社 アントニオ キャヴァローリ氏

世界No.1に輝く大人気の白「プンタ ディ コッレ」を産み出すアブルッツォの実力派ワイナリー「マラミエーロ」

マラミエーロ社アントニオキャヴァローリ氏
マラミエーロはアブルッツォ州ペスカーラにワイナリーを構え、120年前からブドウ栽培を行なっています。1960年代に入り本格的にワイン造りを開始し、インターナショナルワインコンクールで「プンタディコッレ」が世界No.1に、またヴィーニタリで「アニマ」が金賞、瓶内二次発酵の「マラミエーロブリュット」はスプマンテ専門評価誌で何度も最高賞に輝くなど高い評価を受けています。ワイナリーの最高責任者であるアントニオ キャヴァローリ氏にお話を聞きました。

生産量の7割が赤ワインモンテプルチアーノ種

ペスカーラの畑ペスカーラは海岸部から25キロ程の海と山に囲まれた地です。約100ヘクタールの畑を所有しています。土壌は凝灰岩や粘土質が主のミネラル豊富な土地です。白ワイン用はトレッビアーノ、シャルドネ、ペコリーノの3種、赤ワイン用はモンテプルチアーノとスプマンテ用にピノネーロを植えています。土壌のテロワールを活かして相性の良いブドウをセレクトして植えています。標高は180~250メートルで、標高の高い畑にはピノネーロを植えています。白ワインはリリースしている種類は多いですが、全体生産量の30~35%程で、マラミエーロのワインのメインはモンテプルチアーノから造る4種の赤ワインとなります。

戦争後イタリア復興にも注力したマラミエーロ

マラミエーロはブドウ栽培農家をやりながら、様々な仕事を行なってきました。先代のダンテマラミエーロは農業家ですが、第二次大戦が終わった後、新たに道を造ったり、ガスラインを構築する等、イタリア復興の為に建設業にも注力してきました。アントニオ氏は大のワイン好きで、入社した当時から先代に本格的なワイン造りを始めるように説得を続けていたそうです。

「複雑味があっても理解しやすい味わい」

マラミエーロセラーアントニオ氏は、「納得のいくワインでなければ出さない」と言う方針を当時から貫いていたそうです。今も彼は、マラミエーロの味わいのスタイルを醸造家と決めています。マラミエーロのポリシーは「複雑味があっても理解しやすい味わい」でなければならないし、ワインに飲みなれている人もそうでない人も楽しめるようなワイン造りを行なっています。味わいが複雑すぎるとワインが理解しづらいものとなってしまいます。マラミエーロのワインは「友達」のような存在です。是非気軽に楽しんで飲んで欲しいです。

新発売されたマラミエーロのシャルドネ

4ヶ月間アッチャイオ(ステンレスタンクの意)で熟成させたフルーティーでクリーミーな仕上がりです。厚みもありながらエレガントで飲みやすいスタイルです。樽熟成のプンタディコッレと同じシャルドネを使っていますが、こちらはステンレスタンクのみで造っています。20年前はプンタディコッレも今と違いステンレスタンクのみで造っていました。そのスタイルがあってもいいのでは?という発想から新たにリリースしました。
シャルドネ イン アッチャイオ2015

試飲
コメント

ステンレスタンクのみとは思えない厚みのある味わいとフレッシュでクリーンな酸味のバランスが見事です。上品でありながら気軽に楽しめる味わいです。

ミネラリーでクリーミーな味わい

アニマは魂の意味です。樹齢40年のトレッビアーノから造られます。ステンレスタンクのみで醸造します。2006年ヴィンテージがヴィニタリーで金賞を獲得しました。樽を使ってない分ブドウのストレートな風味がありますが、決してシンプル過ぎず、リッチで複雑味も感じられます。「飲みやすくて楽しめるワイン」です。
アニマ トレッビアーノ ダブルッツォ2015

試飲
コメント

すっきりした果実味がありながら厚みがあり、ミネラル感と旨味が綺麗に広がります。とてもバランスの良いワイン。

リッチでクリーミーな樽熟トレッビアーノ

アルターレは醗酵、熟成共に100%新樽で行い、1年間の瓶内熟成を経てリリースされます。使われるオーク樽は4種類の異なるフランス産、1種類のスロヴェニア産のものを使い、香ばしくリッチ、そしてクリーミーで柔らかい味わいに仕上げています。先日、日本で鰻と合わせて頂きましたが、とても相性が良かったです。
アルターレ トレッビアーノ ダブルッツォ2013

試飲
コメント

完熟したゴールデンアップルにオレンジやスパイス、トーストや蜜の甘美なニュアンスが素晴らしく溶け合う豊かな香り。凝縮した果実の旨さと円やかなボディがあります。酸とミネラルが屋台骨に綺麗に走っているので味わいは非常に洗練されています。

濃密シャルドネのエレガントな余韻

100%新樽で造るリッチなシャルドネです。マラミエーロの目指す「理解しやすいシンプルな複雑味」を表現したワインです。複雑すぎるワインは飲み手にとって理解しづらいと考えています。新樽は使っていますがバリック風味が強くならないようにしています。あくまでワインを造る為のバリックであり、ワインを上手にサポート出来る存在であると考えています。ワインを飲みなれている方にも、そうでない方にも楽しんでいただきたいワインです。
プンタ ディ コッレ2013

試飲
コメント

ゴールドが魅力的な深い色調です。オレンジやハチミツ、トースト、完熟した桃、バラやコーヒー、メープルシロップを掛けたパンケーキ、スパイスなどのリッチで複雑な香りがあります。濃密で深い果実感と香りがあり、フルボディの見事な味わいですが、エレガントな余韻が感じられます。非常に満足感の高いシャルドネです。

「魔法」という意味のモンテプルチアーノ「インカント」

バリックは使わずにステンレスタンクのみで醸造します。搾ったブドウのピュアでイキイキとした特徴と、モンテプルチアーノ種そのものの味わいを表現しています。インカントは「魔法」という意味です。ラベルに使われている旧マラミエーロが住んでいた家と夕日が魔法のように美しいことから名づけられました。ステンレスタンクのみでの仕込みですが、素晴らしい厚みと風味があります。
インカント モンテプルチアーノ ダブルッツォ2012

試飲
コメント

チェリーやプラムの果実が入り混じる溌剌とした印象にスパイスやミネラル、タバコのニュアンスが重なり、複雑で豊かな香りがあります。飲むと、とてもステンレスタンクのみでつくられたとは思えないほどの果実の見事な厚み。円やかなボディで飲み応えもあり、ブドウの力強さと柔らかさが共存していて実に見事です。まさに「魔法」の味わいを持つ素晴らしいモンテプルチアーノです。

濃厚なボディの非常に滑らかな口当たり

インフェリとは「地獄」という意味です。ワインとしてインパクトのある名前を付けました。24ヶ月間ステンレスタンク熟成、バリックで16~20ヶ月間熟成し瓶内熟成に6ヶ月間後にリリースされる長期熟成を経たモンテプルチアーノです。濃厚なボディにタンニンが溶け合い継ぎ目無く非常に滑らかな口当たりです。コーヒーやビターチョコレートの香ばしいアロマと熟成による深い味わいがあります
インフェリ モンテプルチアーノ ダブルッツォ リゼルヴァ2011

試飲
コメント

プラムの濃密な果実の香りにバニラやコーヒー、タバコの複雑なアロマが複雑に溶け合います。存在感のあるボディは濃度を感じる果実感と熟れたタンニンが溶け合い、継ぎ目無く滑らかに口中に広がります。中盤から広がる樽の風味、ボディを支える酸味のコントラストが秀逸。唯一無二の個性を持つ圧倒的なモンテプチアーノです。味わいの要素が全てが溶け合い今がまさに飲み頃。地獄という名前の「インフェリ」ですが、その味わいは「天国」のように心地良く非常にノーブルな味わいが楽しめます。

世界で唯一!ブドウの皮と一緒にバリック熟成

リリース前に亡くなったダンテ マラミエーロ私とダンテ二人で造ったワインプロジェクトがこのワインで、残念なことに1993年、ダンテはこのワインがリリースする前に亡くなりました。ダンテとは本格的なワインを造っていこうと、常に話していました。1998年が初ヴィンテージでダンテに感謝を込めて「ダンテ マラミエーロ」と名づけました。世界で唯一!ブドウの皮と一緒にバリック熟成ダンテマラミエーロは樹齢70年以上の特別な畑で、天候に恵まれた優良年のみ生産されます。それ以外は全て「インフェリ」とブレンドしてリリースされます。醗酵したブドウとブドウの皮を一緒にバリックの中に入れワインと共に24ヶ月間熟成させます。ブドウの皮と一緒に熟成させる方式は世界でもマラミエーロだけが唯一行っている熟成法です。皮を取り出しプレスにかけ、ジュースを得てブレンドされます。残った皮はグラッパに回されます。別にバリックに移し変えさらに24ヶ月間熟成させます。樽メーカーを実際ワイナリーに呼んで、ダンテ マラミエーロに合う樽を造らせています。2016年5月現在の樽メーカーはモロー社、ガルベルラット社、ソリ社の3社の樽を使っています。10年以上かけてリリースされる唯一無二のモンテプルチアーノ合計4年の樽熟成を終えたワインは、72ヶ月間の長期瓶内熟成を経てトータル10年以上かけてようやくリリースされます、唯一無二のスケール感をもったモンテプルチアーノです。生産量の50%はワイナリーのストックに廻される為、市場には滅多に流通していません。
ダンテ マラミエーロ モンテプルチアーノ ダブルッツォ リゼルヴァ2003

インタビューを終えて

「納得がいかないワインはリリースしない」という揺るがない信念を持つマラミエーロのワインはどれも味わいが深いものばかり。その全てにおいてピュアで豊かなブドウの味わいがワインに見事に反映されていました。バリックの濃い味わいばかりが注目されがちですが、ブドウ本来の味わいが素晴らしかったです。元々農業家だったマラミエーロ家の栽培技術と近代的醸造が見事に融合したマラミエーロのワインにすっかり魅了されました。

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