TUSCANY イタリアワインとグルメ食材の店
Interview

突撃インタビュー

2018/06/04

ルイジ リゲッティ社 ジャン マリア リゲッティ氏

100年以上続くアマローネの老舗にして抜群のコストパフォーマンスを誇る「ルイジ リゲッティ」突撃インタビュー

ルイジリゲッティ社オーナー ジャンマリアリゲッティ氏
ルイジリゲッティは1909年にヴァルポリチェッラクラシコ地区の中心、ヴァルガタラに設立したワイナリー。アマローネを造り始めた最初の生産者のひとりという長い歴史を誇っています。自社畑と、親子代々続く栽培農家たちと契約した畑でヴァルポリチェッラ地区の伝統的なワインを造り続けています。ルイジリゲッティの魅力は品質の高いワインを抑えた価格で提供し続けていること。4代目でエノロゴのジャンマリアリゲッティ氏からワイナリーの取り組みやワインの内容についてお話をお聞きしました。

ヴァルポリチェッラ地区の中心、マラーノのヴァルガタラに1909年設立。アマローネを造り始めた最初の生産者の一人

ヴァルポリチェッラ地区ルイジリゲッティは1909年に設立しました。ワイナリーはヴァルポリチェッラクラシコ地区にある3つの谷の真ん中、マラーノの中にあります。私の父で3代目のルイジリゲッティから自分たちの名前でラベルを付けて販売を始めました。それまではもっぱら地元ヴェローナで消費されていましたが、この頃からヴェローナの外に向けて売り出していきました。当時はまだ「アマローネ」という呼称はありませんでした。アマローネは第2次世界大戦後に誕生したワインです。もう少し遡って曾祖父の時代はレチョート、ヴァルポリチェッラ、リパッソを造っていました。

私たちはアマローネを1950年代から造っています。アマローネを造り始めた最初の生産者の一人です。セラーには1961年産のアマローネや1957年産のレチョートなども保管されています。

5ヘクタールの自社畑と、代々続く栽培農家たちと契約し、全部で160ヘクタールの畑でワインを造る

私は今のカンティーナで生まれたときからずっと暮らしています。自宅兼カンティーナですね。最初の醸造所は家の地下にありました。子供のころからずっと父と一緒に畑仕事をしてきましたので、もうかれこれ50回以上収穫を経験しています。

ヴァルポリチェッラ地区は西にガルダ湖、北側にアルプス山脈があり、これらによって守られているエリアになります。円形劇場のように周りを山々が囲んでいて、寒さもそれほど厳しくない、恵まれた場所になります。

ヴァルポリチェッラの畑


ルイジリゲッティ ペルゴラ仕立て自社畑は5ヘクタールですが、それ以外に5ヘクタールの借畑と、60の栽培農家と契約していてトータルで160ヘクタールの畑からワインを造っています。個人経営のワイナリーとしては規模は大きい方ですね。畑はマラーノ地区の標高200~500メートルのところに広がっています。アマローネ用の畑は標高は300メートル以上です。仕立ては伝統的なペルゴラ仕立て。これはブドウが目の高さにあるので良い房を見分けやすく、特に、傷があってはならないアマローネ用のブドウの選別に適しています。

契約している60の栽培農家は長い年月一緒に仕事をしてきている人達です。基本的には私たちが管理をして収穫のタイミングを決めています。

陰干しから陰干し後の作業がとてもデリケート。飲み心地の良いアマローネにするため度数が高すぎないように仕上げる

アマローネは2010年ヴィンテージからDOCGに認定されました。そのため、他のヴァルポリチェッラやリパッソよりも規制がとても厳しく、収量は1ヘクタール当たり4800kgです。そのため、いいブドウの房をよく見極めて収穫する必要があります。アマローネにする畑は固定しているわけではなく、毎年の状況によって変えています。

ルイジリゲッティ社カンティーナ収穫したあと、90日から120日間陰干しを行います。陰干しをする部屋のことをフルッタイオと言いますが、自宅の最上階がフルッタイオになっています。当時は空調設備などありませんでしたから風通しをよくするために窓が多く設けられています。この部屋には7000箱のブドウを乾燥させることができます。今は、それだけでは足りませんので他の場所にもフルッタイアを持っています。

陰干しは昔ながらの木製の箱と、現在主流のプラスチック製の両方を使用しています。木製の箱は50cmx50cmぐらいの大きさになります。陰干しも、陰干しが終わった後もとにかくデリケートな仕事が続きます。乾燥の間、ボトリティス菌が多すぎると色を変えてしまうので湿度の調整には気を使います。

アパッシメント


私たちは食事に合う、アルコール度数が高すぎないアマローネを造っています。最終的に15%から15.5%ぐらいになるようにしています。中には17%などの度数のアマローネを造る人もいますが、私たちはこれは高すぎると思っています。1杯飲んで終わるのではなく、2杯目、3杯目も欲しくなるような、食事と合わせられるアマローネが私たちのアマローネです。

造っているアマローネは2種類。寒い時期に天然酵母で発酵

ルイジリゲッティでは2つのアマローネを造っています。上級ラインの「カピテルデロアリ」とスタンダードのアマローネです。カピテルデロアリは特別なアマローネで、あえて遅く収穫する時もあります。翌年の1月から2月にプレスして発酵の工程に入るわけですが、その時期は気温が3~4度と非常に低いです。つまり、天然のクリオマセラシオンになっているわけです。一般のワインでしたら発酵は10月頃ですからね。また、天然酵母で発酵をさせますので必然的に発酵期間が長くなります。これはブドウについている菌の影響により、天然酵母がより増え、発酵がゆっくり進み、酸があまり高くならないという効果をもたらすおかげです。

樹齢は7,8年の若いものから30年、50年という古い樹齢のものまであります。アマローネの収穫は10日間ほどですが、天候に左右されるのでとても気を使います。私たちは60の栽培農家と契約していますがひとつひとつはとても小さい畑なので収穫のタイミングを見計らい、ほぼ一度に収穫をすることができます。これはアマローネのブドウの品質を保つ上でとてもいいことです。

カピテルデロアリでだいたい10万本、スタンダードのアマローネで20万本ほど造っています。2014年は夏に雨が多かったのですが日中は天気が良かった。9月のいい天気の日に収穫しました。収穫量としては例年に比べ10%ほど落ちました。
ルイジリゲッティ熟成樽

モダンスタイルのアパッシメント

コルヴィーナを1ヶ月間陰干し(アパッシメント)して造ったワインです。アパッシメントはヨーロッパでも人気が高く、私たちにもリクエストが多く届きます。より手軽に、お手頃価格でアパッシメントを楽しみたい、というお客さまに向けて造りました。

コルヴィーナとロンディネッラ、カベルネソーヴィニョン、メルロをブレンドしています。アパッシメントをするのは粒の大きいコルヴィーナだけです。若々しい果実のニュアンスのある、飲みやすいワインですが、アマローネに通じるニュアンスも感じることができます。
プリモ ロッソ ヴェネト2016

試飲
コメント

イキイキとした明るい果実味。滑らかでスムーズな飲み心地でタンニンもごく僅かに感じる程度。ドライな飲み口ながらバランスが良く、フルーティーさを楽しむなら冷やしても美味しいはず。

サンジョヴェーゼもブレンドしたちょっと実験的なアパッシメント

コルヴィーナとカベルネソーヴィニョン、サンジョヴェーゼのブレンドで造っています。これもコルヴィーナだけ1~1ヶ月半アパッシメントをしています。モダンテイストのアパッシメントワインになっています。樽熟成で、アマローネに使ったバリックを利用しています。

ヴェネトのワインですがサンジョヴェーゼはちょっと珍しいかもしれません。
ヴァルサイア2016

試飲
コメント

濃厚なガーネット色で、熟した果実やバニラのニュアンスのあるモダンな雰囲気の味わい。やわらかな果実味でとても飲み心地が良く、贅沢感がありながらスルスル飲める。

陰干しコルヴィーナと国際品種で造るインターナショナルなワイン

コルヴィーナとロンディネッラに、カベルネソーヴィニョンとメルロー、シラーという国際品種をブレンドした、インターナショナルをコンセプトにしたワインです。コルヴィーナを2~2ヶ月半アパッシメントをしています。熟成にバリックの新樽を使っているのでそのニュアンスが出ています。

ノンヴィンテージですが、これは収穫が2016年のブドウで造っています。
ソル ロッソ ヴェネトNV

試飲
コメント

濃厚な色合いで香りにはバニラのニュアンスがしっかりと感じられるが強すぎず、上品。陰干しブドウ独特の風味とバランスのとれたまろやかな果実味。

誰もが美味しいと感じる素晴らしいバランスのリパッソ

アマローネの搾りかすを利用して造られるリパッソです。リパッソの造り方はご存じだと思いますが、10月に発酵させて寝かせていたワインを、翌年の2月にアマローネを搾った後に残った果皮を加えて再発酵させて造ります。この搾りかすは2つのアマローネのものを使います。法律上、1本のアマローネの搾りかすからは2本のリパッソまでしか造ることはできません。

バランスのとれた食事に合うリパッソになっています。
ヴァルポリチェッラ クラシコ スペリオーレ カンポリエッティ リパッソ2014

試飲
コメント

花や果実の甘みのあるやわらかな香りがとにかく心地いい。リパッソらしいやや強い濃密さにきれいな酸味が加わって、誰もが美味しいと思うやわらかな味わい。

コストパフォーマンス抜群、上品な甘さとやわらかさで繰り返し飲みたくなるアマローネ

私たちのスタンダードアマローネです。アルコール度数は15~15.5%で、どれだけ暑い年だったとしても陰干し期間を短くするなどしてこれ以上の度数にならないようにしています。15%ぐらいだとワインにハーモニーが感じられます。

2年間フレンチオークの50ヘクトリットルの大樽で熟成させています。甘すぎず、疲れさせない味で食事に良く合います。
アマローネ デッラ ヴァルポリチェッラ クラッシコ2013

試飲
コメント

強く甘いアロマ。滑らかな口当たりでやわらかく、上品な甘さが広がる。骨格のしっかりとしたボディだが強すぎず、アルコールと酸のバランスがとてもいい。

セレクションしたブドウで造る上級アマローネ

セレクションしたより良い畑のブドウから造るアマローネです。10月にひと房ひと房、注意深く選別しながら収穫します。熟成は50%がバリック、50%が大樽で、バリックは新樽と旧樽の両方を使います。18ヶ月から20ヶ月間熟成させています。牛肉や熟成したパルミジャーノチーズとよく合います。
アマローネ デッラ ヴァルポリチェッラ クラシコ カピテル デ ロアリ2013

試飲
コメント

深みのある濃厚な色調。ビターチョコレートや甘いスパイスの香り。口に含むと素晴らしい凝縮感と濃密な味わいがなめらかにひろがる。上品な甘さなので飲み疲れしない。

インタビューを終えて

ルイジリゲッティのアマローネはコストパフォーマンスが抜群に良くてリピーターする方も多い人気のアマローネ。今回、アマローネとヴァルポリチェッラだけでなく、比較的新しいラインナップのアパッシメントによるワインも飲ませていただき、長い歴史を持つ伝統的な部分と、今のニーズにこたえる革新的な部分と、バランスをとりながらワイン造りに取り組んでいらっしゃることが良くわかりました。

オーナーのジャンマリア氏は幼いころから畑仕事をしてきた方で、とにかくその掌の大きさに驚きました。厚みがあってがっしりとして、まさに毎日畑仕事をしている方の手でした。

「ワインは食事と合わせて楽しむもの」「アマローネでも15.5%以上にならないようにする」と、一貫したポリシー。ジャンマリアさんがこだわる飲み心地の良さが日本でずっと長く愛されている理由なのだとよくわかりました。
ルイジリゲッティ家

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