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Interview

突撃インタビュー

2016/11/16

スピネッタ社 ジョルジョ リヴェッティ氏

完璧なバランスを誇る美しきバルバレスコ&バローロ!ラスピネッタ社リヴェッティ氏突撃インタビュー

スピネッタ社 ジョルジョ リヴェッティ氏と
溢れんばかりの情熱とほとばしるエネルギー、妥協を許さない独自の哲学でバローロ、バルバレスコの偉大な造り手として『ガンベロロッソ』最高賞を始め、世界的権威のあるワインジャーナリスト『アントニオガッローニ』『ジェームズサックリング』から常にハイスコアの評価を受け続けるラ スピネッタ社のオーナー兼エノロゴのジョルジョ リヴェッティ氏。『仕事の90%は畑にある』と徹底したネッビオーロによるテロワールの表現に注力しています。繊細なタッチを持ちつつも内に秘めた力強さ、美しさの素晴らしいハーモニーを奏でるバルバレスコとバローロについてリヴェッティ氏に聞きました。

父から学んだ「ブドウへのリスペクト」

南向きの畑

ラ スピネッタ社はピエモンテの方言で「丘の頂上」を意味します。カスタニョーレ ランツェで父が1977年に創業しました。元々は白ワインのモスカート種の造り手として名を馳せていて、イタリアで初めて単一畑のモスカートをリリースする等こだわりの造り手としても有名でした。父は実直な性格でブドウに対しても人と接する時と同じようにリスペクトをもってブドウ栽培、醸造を行っていました。父の考えはラスピネッタ社の基礎となり、偉大なワインを造る為にブドウ、特にピエモンテの土着品種をリスペクトしています。

「いかに高品質のブドウを育てるか」にかかっている

テイスティングワインは飲んで心地よいものでなければならないと考えています。そのためにブドウの段階でバランスが取れている事が一番重要です。醸造段階で手を加える事、バランスを整える事ではありません。偉大な農民とは「いかに高品質のブドウを育てるか」という事でこれは世界中のどこのワイン産地に当てはまる事だと考えてます。


1985年から本格的に赤ワイン醸造をスタート
ラスピネッタ社は高品質のブドウ造りを追求し、1985年から本格的に赤ワイン醸の醸造を始めます。まずバルベーラ100%の「カ ディ ピアン バルベーラ」を醸造します。1995年にはクリュバルバレスコである「ガッリーナ」の醸造を始めます。96年に「スタルデリ」、97年に「ヴァレイラーノ」、2000年になってバローロ北東部、グリンツァーネ カブールに畑を購入し、初のバローロである「カンペ」の醸造をスタートしました。

スピネッタのトレードマークであるサイのラベル

ラベル

力強く突き進むサイと百獣の王ライオンのラベル
スピネッタのトレードマークであり、バルバレスコのラベルに使われているサイは1995年から採用しています。

ルネサンス期に活躍したドイツの画家アルブレヒト デューラー(1471-1528))の作品です。力強く、進む方向を決めたらまっすぐ突き進むサイの絵をいたく気に入っていたことによります。スピネッタのバローロに使われているライオンも同じくデューラーの作品です。

サイルネサンス期の天才画家デューラー
1515年に、生きているサイがポルトガルインド総督からポルトガル王に贈られました。実物のサイがヨーロッパに初めて届いた話題性もあり、サイの記述がスケッチと共に、ドイツにも直ぐ届きました。デューラーはそのスケッチを参考に、実際にサイを見ないで素晴らしい版画に仕上げた名作で、その後300年にもわたり、生きているサイを実際に見ることができるようになっても、デューラーの作品を画家達は模写するほど完成度が高い作品だったと言われています。

実際にサイを購入したリヴェッティ氏!
リヴェッティ氏が今回新たに教えてくださったのが、今から3年半前に産まれたばかりの本物のサイを購入たそうです!名前をクリュバルバルバレスコと同じ「スタルデリ」と名付けたそうで、現在はドイツの動物園からロンドンの動物園に移っているそうで飼育費の一切を負担しているそうです。サイを実際に購入してしまうジョルジョ氏にビックリしました・・

バルバレスコとバローロのテロワールの特徴

地図テロワールによる味わいの違い
すべてのバルバレスコに同じ醸造法で造るのでクリュ毎の特徴が如実に表れます。最も樹齢が若いボルディーニで40~45年です。中には樹齢80年近い畑もあります。テロワールの異なる畑の表現に注力していて、「ガッリーナ」は女性的なスタイルでバラやユーカリ、ミントの香りがあります。「スタルデリ」は筋肉質で男性的な果実味があります。「ヴァレイラーノ」は一番南に位置する畑ですが、標高が最も高く、高い熟成能力とポテンシャルがあります。

真南を向く単独所有畑「ガレッティ」
バローロ北東部に位置するグリンツァーネ カブールのヘクタールの畑はバローロ地区の畑でも非常に珍しい真南を向いています。クリュバローロである「ガレッティ」はラスピネッタ社が単独所有しているクリュです。非常に恵まれた区画です。その中にある最上の区画から産まれるバローロがラスピネッタ社の最高峰クリュバローロ「カンペ」です。「カンペ」に使用されなかった若木や標高の低いブドウで「ガレッティ」としてリリースしますが、それでもガレッティに使用されるブドウの平均樹齢は30~35年です。


種や皮も熟した健全なブドウのみを使う
糖度計を見るリヴェッティ氏一昔前のバローロは飲み頃なるまでとても時間を要するものが多かったです。私が造るワインは若いうちからでも楽しめ、当たり年ともなれば向こう50年経っても楽しめます。早くから楽しめる要因の一つは熟した健全なブドウのみを使っているからです。樹齢の高さ由来のブドウの凝縮感もありますが、実の完熟だけでなく、皮や種まで完熟を迎えているかどうか、私自身でチェックして収穫時期を決めます。

「ワイン造りの90%は畑での仕事にある」

グリーンハーベスト自然に従う事が最も良い栽培法
ラスピネッタ社は「ワイン造りの90%は畑での仕事にある」と考えます。その為ブドウには最大限の注意を払います。ブドウ畑は会社が購入する前から存在していたため、自然に従うのが最も良い栽培法であると考えます。化学薬品の使用は最小限に控え、夏期にまだ色づかない段階でグリーンハーベストを3度行い、収量を厳しく制限しています。

「一般的な収量の1/3以下に抑える」
一般的なバルバレスコが1ヘクタールあたり8000本程生産するのに対し、ラスピネッタ社はヘクタールあたり2000~2500本に抑えています。このように収量を抑えることで土地の特徴、個性を十分に表現し、糖分、果汁、果実味の凝縮したワインが産まれてきます。

完璧なバランスを持つ非の打ちどころないスピネッタのバルバレスコ「ボルディーニ」

バルバレスコ ボルディーニはネイヴェの位置する標高270メートルの約5ヘクタールの南東向きの畑です。元々オーガニックで育てられていた畑を2004年12月に購入しました。スピネッタ社のバルバレスコの中でもブドウの樹齢が一番若い畑ですが、それでも40~45年の樹齢であるというから驚きです。
バルバレスコ ボルディーニ2010

試飲
コメント

レッドチェリー、ラズベリーのフレッシュな果実にフローラルな花のニュアンスとスパイスの香りが上品に寄り添います。豊かなタンニンは感じますが、粗さは無く果実感との素晴らしい調和が感じられます。果実感は美しい酸と相俟って流麗で魅力的なスタイルとなり、余韻かけてエレガントな風味が長く続きます。

最上級カンペバローロの弟分!スピネッタが造る注目のクリュ「ガレッティ」

バローロエリアの北東部、グリンツァーネ カブールにある約2.2ヘクタールの真南向きの素晴らしいクリュ「ガレッティ」から産みだされるワインです。スピネッタ社の最高峰クリュバローロ「カンペ」に使用されなかった若木や標高の低いブドウで造られていますが、ガレッティに使用されるまだ若いブドウの平均樹齢は30~35年というから驚きです。ファーストヴィンテージが2006年で約2.2haの石灰質土壌の畑から造られます。生産量が少なく、年産僅か8000本程です。
バローロ ヴィニェート ガッレッティ2011

試飲
コメント

ブラックチェリーや、ミント、ハーブ、の複雑で力強い香りがグラスから広がる。飲むと、充実した果実感とスパイスやナッツ、タバコの豊かな風味が現れてきます。絹のようなシルキーなタンニンがあり、完成された調和を魅せています。

最もエレガントな味わいのスピネッタのクリュバルバレスコ「ガッリーナ」

ネイヴェのガッリーナの丘に位置しています。標高270メートルの石灰質土壌から成る5ヘクタールほどの南向きの畑でブドウの平均樹齢は50~60年。厳しいグリーンハーベストを行い、年間僅か11500本程を生産します。元々この地区に目をつけたのはブルーノ ジャコーザで、最近までガッリーナの農家からブドウを購入していた程の優れた区画であると言えます。
バルバレスコ ヴィニェート ガッリーナ2011

試飲
コメント

熟したプラムやブルーベリーのアロマに、フローラルな花の香り、スパイス、レザーのニュアンスが溶け合い凛とした美しさを感じます。飲むとタンニンは確りとしたものですが、果実の豊かさと相俟って既に素晴らしい調和を形成しています。粗さやブレは無く、細部に至るまで隙のない洗練された滑らかさと、バルバレスコの力強さが共存するエレガントで豊かな味わいがあります。

力強くエレガンスに溢れる2011年!スピネッタのバルバレスコ スタルデリ

スタルデリは男性的ですが、女性的味わいとされるガッリーナと1キロも離れていない畑です。栽培と醸造は全て同じ工程を取るのでテロワールに因って味わいが変わります。ネッビオーロだからこそ違いが産まれるものです。ブルゴーニュにおけるピノ ノワールの存在と非常に似ています。
バルバレスコ ヴィニェート スタルデリ2011

試飲
コメント

プラム、バラの花束、スパイスとレザーの香りが広がります。果実の魅惑的な深みと骨格の確りとした深い味わいがあります。中盤から広がるスタルデリらしい力強さが感じられるが酸とミネラルのバランスも取れていて美しいスタイルが魅力的です。

もっとも標高の高い畑で造るスピネッタのクリュバルバレスコ複雑で退廃的な魅力の果実感

ブラインドでテイスティングするとバローロに近いものを感じます。畑としては南ですが、標高はスピネッタ社が所有する畑で一番高いです。厳格なスタイルという表現がピッタリです。他に比べ小石や礫が多い土壌です。ブドウが熟していくのも他のバルバレスコに比べ最も遅いです。
バルバレスコ ヴィニェート ヴァレイラーノ2011

試飲
コメント

深いルビーの色調に、バラ、チェリー、セージやユーカリの香りに、リコリス(甘草)や革のニュアンスがしっかりと感じられます。厳格で密度のあるタンニンがありながらもしなやかな味わいがあり、美しい調和と風味豊かな余韻が長く続きます。

樹齢50年超の恵まれた区画「カンペ」バローロ!堂々たる存在感を放つ深い味わい

2009年は非常に暑い年となりました。現在では攻撃的な要素が無く丸みがあります。カンペバローロはテイスティングの為に造られたものではなく、食事と合わせて楽しんでもらいたいバローロです。
バローロ ヴィニェート カンペ2009

試飲
コメント

輝きのある濃いルビー色です。熟したチェリーや赤いベリーの香りが広がります。飲むと骨格の確りとしたボディと濃密な果実感と酸の見事な調和があり、粗さやブレは無く、力強くもエレガントで高貴な余韻が感じられる、堂々たる存在感を放つ味わいの深さがあります。少なくとも2時間前には抜栓し、ブルゴーニュ型のグラスで楽しんで頂くとより豊かな風味が味わえます。

「ラ スピネッタ」の名を世界に知らしめた最上級のモスカート

甘味と、ミネラル、酸のバランスがあり、5~6年ボトル熟成出来るポテンシャルがあります。先月2005年のブリッコクワリアを飲んだら非常に素晴らしい状態だった。パネトーネと相性が良いです。
ブリッコ クアリア モスカート ダスティ2014

試飲
コメント

「ブリッコクワリア」と言う名前の単一畑で造られるクリュモスカート。ミネラルの香りがたっぷりとする清涼感に始まり、アカシアの蜂蜜の香り、奥行きのある複雑な甘みはどこかきりっとひきしまったような感じも。後には、草原の香り、キャラメルの香りがかすかに残る、長い余韻が感じられます。調な単甘さではなくエレガントで、上質なモスカート ダスティ。

インタビューを終えて

毎年リリースの度に、世界中のワイン愛好家から注目を集めるラスピネッタ社のバルバレスコとバローロ。素晴らしいテロワールへの魅力、妥協のない栽培・醸造哲学もさることながら、ジョルジョリヴェッティ氏のカリスマ的な魅力に圧倒させられました。オーラとエネルギーに溢れる彼の情熱的な話にすっかり聞き入ってしまいました。それとは裏腹に、彼の造るワインは極めて美しいバランスがあり、芯に感じる力強さがありながら繊細なニュアンスが複雑に溶け合う実に優雅で深い味わい。「この人の造ったワインをまた飲んでみたい」と思える胸を打つような美味しさがありました。
スピネッタ社 ジョルジョ リヴェッティ氏とトスカニースタッフ

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