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Interview

突撃インタビュー

2021/6/29

アンドレア ダルディン氏 Mr. Andrea Daldin

ブルネッロの起源とされるサンジョヴェーゼクローンが生まれた地「ラーモレ」!キャンティクラシコ屈指の標高の高さを誇るラーモレの丘で美しい酸とエレガントさを引き出す「ラーモレ ディ ラーモレ」突撃インタビュー

アンドレア ダルディン氏
「ラーモレ ディ ラーモレ」は、ブルネッロの起源とされるサンジョヴェーゼクローンが生まれた土地ラーモレに拠点を置きキャンティクラシコを生産しています。今回、そんな「ラーモレ ディ ラーモレ」に2018年6月以来、2度目となるインタビューの機会をいただきました!独自クローンR10や標高の高さが存分に引き出されたワイン、キャンティクラシコ協会が導入する新サブゾーンについて、醸造家を務めるアンドレア ダルディン氏にオンラインでお話を聞きました。

11世紀からブドウ栽培が行われ、レオナルド ダ ヴィンチがモナリザの肖像画の依頼を受けたラーモレで、第二次世界大戦後に創設された「ラーモレ ディ ラーモレ」

ラーモレ畑ラーモレ ディ ラーモレは第二次世界大戦後に創設され、キャンティクラシコで最も標高の高いラーモレの丘でワイン生産を行っています。拠点を置くラーモレ地区の人口は85人と少なく、非常に静かで眺めの良い場所として知られています。その昔、この地域の数々の城を所有していたゲラルディーニ家のモナリザ ゲラルディーニの夫(フランチェスコ デル ジョコンド)が、あの有名なモナリザの肖像画をレオナルド ダヴィンチに依頼したと伝えられています。そのため、ラーモレ地区には外国人アーティストが所有する家が多々あり、作家やジャーナリストなども滞在しています。ラーモレ地区は、急斜面の段々畑や取り巻く自然が美しく、その素晴らしい景観が評価され、2018年には歴史的景観の国家登録簿に登録されています。

ブルネッロの起源とされるサンジョヴェーゼクローンが生まれた土地ラーモレ

あのビオンディ サンティも持ち帰ってブルネッロに使用したラーモレ独自のクローンR10
ラーモレブドウラーモレで栽培されているサンジョヴェーゼクローンにR10と呼ばれるものがあります。これがラーモレのクローンとして知られています。イタリア最高級ワインの一つ、ブルネッロ ディ モンタルチーノの生みの親ともいうべきビオンディ サンティが、ラーモレ村を訪れた際、この地のワインを試飲するやいなやブドウとブドウ畑の形態から、モンタルチーノの土地に適していると考え、このラーモレのR10を持ち帰ったと言われています。2021年、ラーモレのスタッフがビオンディ サンティを訪れた時に“ラーモレのクローン”と書かれた看板を見つけたそうです。

ラーモレは、そのクローンR10を用いてキャンティクラシコ白ラベル、キャンティクラシコ グランセレツィオーネ カンポルンゴを生産しています。カンポルンゴにいたっては、使用するサンジョヴェーゼの50%をR10が占めており、濃密かつ洗練されたエレガンスが表現されています。また、ラーモレのエノロゴを務めるアンドレア ダルディン氏によると、「今後、グランセレツィオーネにおけるR10の割合を増やしていくつもりです」と話し、カンティーナを代表するキャンティクラシコ グランセレツィオーネ カンポルンゴの個性がさらに引き出されると予想され、今後も目が離せない逸品となりそうです。

キャンティクラシコ屈指の標高の高さと、異なる5つの畑が織りなすラーモレ特有のバラエティ豊かなキャンティクラシコ

ラーモレ段々畑
キャンティクラシコ随一の標高の高さと段々畑が生み出す鮮やかな酸味
ラーモレワインラーモレの畑は海抜350~655メートルにも及ぶ高い丘に位置しており、ワイン造りには欠かせない要素である寒暖差が生まれます。段々畑で栽培される場所も多く、ブドウ全体が太陽の光を存分に浴び、風通しも良くなり、ブドウをじっくりと熟成させることができます。これらの条件が揃うことで、ラーモレの特徴である“柑橘系の皮の香り”や“エレガントで酸味が特徴的な味わい”が生み出されるのです。それだけでなく、標高の高さは猛暑にも対応できる要素でもあり、標高が高く冷涼な丘に位置するラーモレは近年注目されている生産者でもあります。


所有する5つの畑で異なる特徴を持ったブドウを生産
ラーモレ全畑ラーモレ地区最大の生産者であるラーモレ ディ ラーモレは、地区内に複数の畑を所有しています。どの畑も標高の高さが特徴でありながら、それぞれの畑が持つ特性がブドウに与えられることで、バラエティ豊かなキャンティクラシコが生産されています。
◆ラーモレ ディ ラーモレ

1. カンポルンゴ
標高420~576メートル、南西向き。1982年から2009年にかけて段々畑に部分的に植えられました。ワインに優雅さとストラクチャーを与える、ラーモレを象徴する卓越した畑です。ラーモレ独自のクローンR10が植えられていて、キャンティクラシコ白ラベルやグランセレツィオーネに使用されます。

2. イル プラート
標高470~556メートルの非常に美しい畑。西向きの砂質土壌。1945年3月に植樹して以降、2009年、2011年、2013年にも新しく植樹を行いました。洗練されたピュアな果実味、柔らかいタンニン、風味、長い余韻をワインに与えます。キャンティクラシコ ブルに使われるカベルネソーヴィニヨンが植えられています。

3. レ マッセ
標高607~655メートルで1ヘクタールのみの“偉大”な畑。絶壁にある平らな区画です。透き通ったルビー色、フルーティ、酸味、偉大なフィネスをワインに与えます。キャンティクラシコ ブルに使われるメルローが植えられています。

4. グロスポリ
標高540~580メートルにある黄土色の岩の砂質土壌を備えた壮大な段々畑です。段々畑によって強い太陽光を受け、風通しの良い状況で南にさらされています。

5. リダルディ
標高598~655メートル、南西にさらけ出された段々畑。ヴィンサントに使用しています。ラーモレ特有の気候により、豊富な酸味を保ったまま甘くて優しいワインを生み出します。

キャンティクラシコ協会が導入する新サブゾーン、11の地区に名を連ねたラーモレ
2022年からラベルにラーモレの名が記載可能に

UGAキャンティ クラシコ協会は、地域の差別化を図り、消費者に特定の原産地をより知ってもらう目的でUGAプロジェクト(Unita Geografiche Aggiuntive/追加地理的単位)を始めます。このプロジェクトにより、醸造学的な認知度、歴史的な信頼性、知名度、生産量などの基準に基づいて11の地区が区分けされています。

その中にラーモレが選ばれ、地区名がラベルに記載可能になりました。2022年より開始される予定で、現段階ではグランセレツィオーネのみ(2019年ヴィンテージから)の適用となります。

また、グランセレツィオーネの規定が変わります。これまでは、80~100%のサンジョヴェーゼと最大20%認定品種のブレンドでしたが、これからは90%以上のサンジョヴェーゼと在来品種のブレンドとなり、国際品種は使用できなくなりました。これにより、産地とキャンティクラシコのワイン造りの伝統が重んじられ、キャンティクラシコ グランセレツィオーネに今まで以上のアイデンティティが与えられます。EU

偉大なブルネッロを生み出したサンジョヴェーゼクローンで造るキャンティクラシコ!
フレッシュな酸と洗練されたエレガンスが光る逸品

標高の高さを生かして多様なキャンティクラシコを造るラーモレのキャンティクラシコ白ラベル。使用されるサンジョヴェーゼには、ブルネッロの起源とされるR10クローンが一部使用されています。R10は、イタリア最高級ワインの一つ、ブルネッロ ディ モンタルチーノの生みの親とも言うべきビオンディ サンティが持ち帰り、植樹してブルネッロを造ったクローンと言われています。

エチケッタブル同様に飲みやすさが表現され、非常にスムーズな飲み心地です。この土地「ラーモレ」の香りの特徴である、柑橘の皮がよく表れていてフレッシュな酸となめらかな果実感の絶妙なバランスがあります。軽快でバランスに優れたエレガントな味わいは、どんな料理にも寄り添うことができるキャンティクラシコです。
キャンティ クラシコ2017

試飲
コメント

力強いルビー色。スミレの花、緑っぽさ、チェリーなどの赤い果実の香り。香り同様の赤い果実とフレッシュな酸が際立ち、オレンジの皮のニュアンスを感じる風味。フィニッシュは、程よいタンニンとなめらかな口当たりが広がります。

秀逸な出来を誇る2016年ヴィンテージ!ガンベロロッソ最高賞受賞!
国際品種が引き出すピュアな果実味とエレガントでまろやかな飲み心地

サンジョヴェーゼ80%にカベルネソーヴィニヨン10%とメルロー10%をブレンドして造られるキャンティクラシコ。ラーモレで最も標高が高く、ワインにフィネスを与えるレ マッセ畑で栽培されるメルロー。西向きの砂質土壌、標高470~556メートル、ピュアな果実味と余韻を与えるイル プラート畑で栽培されるカベルネ ソーヴィニヨン。これら2種の国際品種を用いることによって、果実感を補てんし飲み心地の良さを表現しています。
キャンティ クラシコ エチケッタ ブル2016

試飲
コメント

輝きを持ったルビーレッド。赤い果実と黒いベリー系果実、花のニュアンスの繊細かつ複雑でエレガントな香り。口当たりはまろやかでするすると入っていく飲み心地。香りと味わいのバランスが非常によく、また、果実味と繊細なタンニンが一体となり、心地よい余韻を感じます。

ラーモレのエレガントな酸と大樽熟成の心地よい深みを感じるリゼルヴァ!
層状に重なるアロマと厚みのある果実!

標高の高さを生かして多様なキャンティクラシコを造る、ラーモレのキャンティ クラシコ リゼルヴァ。サンジョヴェーゼ主体にカナイオーロをブレンドする伝統スタイル。主にプラート畑と、最高峰単一畑「カンポルンゴ」から収穫されたブドウを使用しています。オークの大樽でじっくりと熟成させるというこの土地の伝統的な醸造法で造り込まれています。複雑で華やかなアロマ、味わいはリッチでサンジョヴェーゼのしっかりとしたタンニンを感じます。深みのある味わいはとてもまろやかでミネラル豊か。力強く上品なスタイルです。
キャンティ クラシコ リゼルヴァ2015

試飲
コメント

エチケッタブル以上に輝く濃厚なルビーレッド。フローラルかつフルーティで複雑な香り。バルサミコや黒と赤の果実香が際立ちます。口に含むとワインの持つ味わいが、舌上で横に広がっていくのを明確に感じます。タンニンに活気があり、熟成したサンジョヴェーゼ特有のバルサミコの風味。力強い骨格を持ち、余韻が長く続きます。

ラーモレの最高峰単一畑「カンポルンゴ」で造るグランセレツィオーネ!
舌全体を包み込む非常に豊かな味わい深さ

標高420~576メートルの畑から生まれるフレッシュで洗練されたエレガンスを誇る「ラーモレ ディ ラーモレ」の最高峰単一畑キュヴェ「カンポルンゴ」。95%のサンジョヴェーゼに5%のカベルネソーヴィニヨンをブレンドしています。使用されるサンジョヴェーゼの50%は、ラーモレ独自のクローンR10が占めています。濃密な果実感、高地ラーモレの特徴である上顎に向かって駆けのぼるような凛々しい酸の旨みが印象的です。

カンポルンゴの畑は標高420~576メートルの南南西向きの傾斜、片岩と砂質泥灰土壌のテロワール。粗さやブレもなく緻密で隙の無い目の詰まった果実味。中盤からきめ細やかなタンニンがあり、実になめらかで味わい深い余韻。秘めたるポテンシャルが強く感じられ、長期熟成により更なる向上が予想されます。
キャンティ クラシコ グラン セレツィオーネ ヴィニェート ディ カンポルンゴ2013

試飲
コメント

色濃いルビーレッド。抜栓後すぐは繊細な香りでしたが、約1分後にぶわっと力強い香りが現れました。完熟したフルーツ、クラッシュした花の香り、スパイスの香り。口に含むと非常に豊かな味わいを感じます。グリーンペッパーやバニラのスパイス、酸味、程よいタンニンなどが調和し、複雑な風味が舌全体を覆います。香りから味わいまで感じたワインの持つ複雑さや奥行きがフィニッシュまで長く続きます。

インタビューを終えて

今回、ラーモレ ディ ラーモレのワインを試飲してみて、どれも個性は違えど一貫して「心地よい飲み心地」が引き出されていると感じました。「白ラベルとブルは若い人にも飲みやすいように作っています」とエノロゴを務めるアンドレア ダルディン氏が話していたように、フレッシュで柔らかく、非常に口当たりの良いラインナップでした。また、それはダルディン氏の人柄を表しているようにも感じます。気さくでフレンドリー、付き合いの長い友人かのような振る舞いで、堅さのない人柄でした。

ラーモレ ディ ラーモレは、標高の高い冷涼な丘にカンティーナを構え、猛暑が続くと損なわれる果実味を国際品種で補てんするなど、近年問題視される温暖化にも動じない造り手として注目されています。今後、一層目が離せなくなる生産者「ラーモレ ディ ラーモレ」のフレッシュでエレガントなキャンティクラシコを、ぜひお楽しみください。
アンドレア ダルディン氏と

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