TUSCANY イタリアワインとグルメ食材の店
Interview

突撃インタビュー

2019/04/15

イナマ社 アレッシオ イナマ氏

ガルガーネガとカルメネーレ種で世界に通用する実力者!更なる高みを目指す偉大なソアーヴェ「イナマ」

イナマ社 アレッシオ イナマ氏と
1990年代「ソアーヴェの概念を変えた生産者」として世界中のワインジャーナリストから高い注目を集めた「イナマ」は伝統的「ソアーヴェクラシコ」において、トレンドやその時の流行に左右されること無く日々革新を目指し、強い個性を持ち、テロワールを表現した独自のワイン造りを行っています。2013年から第3世代のマッテオ、アレッシオ、ルカの3兄弟が本格的にワイナリーに参画。これまでになかった新しいスタイルのソアーヴェ「カルボナーレ」、カルメネーレ100%の新キュヴェ「カルミニウム」をリリース、父ステファノの偉大な哲学を継承しながらも、更なる高みを目指す新世代のイナマに世界中から注目が集まっています。アレッシオ イナマ氏に話題の新ワイン「カルボナーレ」「カルミニウム」と2016&2017ヴィンテージについてお話を聞きました。

自社畑モンテフォスカリーノがブドウも半分以上!絶大な支持を得るスタンダード「ヴィンソアーヴェ」

畑大
自社畑モンテフォスカリーノがブドウも半分以上!絶大な支持を得るスタンダード「ヴィンソアーヴェ」
イナマはソアーヴェクラシコの中心部、「モンテフォスカリーノ」の丘、標高180~280メートルの一番良いとされる場所に28ヘクタールの畑を所有しています。

ヴィンソアーヴェの生産量が一番多く、約20万本です。60~65%が自社畑(モンテフォスカリーノのブドウ)で残りはイナマと同じ考え方を持つ農家に栽培法を綿密にレクチャーして収穫されたブドウを購入しています。つまりヴィンソアーヴェのブドウはモンテフォスカリーノはもとより、クラシコエリアの異なった斜面、日照条件を持つテロワールのブドウが使われています。

イナマ第4の新ソアーヴェ クラシコ「カルボナーレ」

カルボナーレイナマ第4の新ソアーヴェ クラシコ「カルボナーレ」
「カルボナーレ」はヴィンソアーヴェ、フォスカリーノ、ヴィニェート デュ ロトに続く、第4のソアーヴェ クラシコで2011年に新たに購入した1.8ヘクタールの広さの単一畑から造られるソアーヴェクラシコです。モンテフォスカリーノの北部にあり、標高200メートルで平均樹齢45年の素晴らしいブドウが残っている全て東向きの条件の良い畑です。購入から5年を費やして、イナマのレベルに合うように畑を仕立ててきました。

「酸が高く豊かなミネラル」フォスカリーノとはまた違った味わい
カルボナーレのブドウは2015年までヴィンソアーヴェに使われていましたが2016ヴィンテージからソアーヴェ クラシコ カルボナーレとして単一でボトリングしています。生産本数は1万2000本です。朝の穏やかな日照を浴びて、16時は日陰になります。谷のような形をしていて水分を多く含む土壌です。畑を購入した時、カルボナーレのブドウを食べたところ、フォスカリーノとは違った味わいの構成があり酸が高くピチピチとした豊かなミネラルを感じました。柑橘、マンダリンの香りがしっかりと感じられます。この素晴らしい特徴を活かしてカルボナーレ単一畑でボトリングする事にしました。

地図他のソアーヴェに比べて熟成期間を長い。いわば「ステンレスタンク熟成リゼルヴァ」
カルボナーレはイナマの他のソアーヴェに比べてよりフレッシュさがあり、オーストリアのグリューナーフェルトリナーのようなニュアンスが感じられます。カルボナーレは1年間ステンレスタンク熟成後、1年間の瓶内熟成を経てリリースされます。他のイナマのソアーヴェに比べて熟成期間を長くとっているので、いわば「ステンレスタンク熟成のリゼルヴァ」といったところでしょうか。

「3兄弟が造る新しいスタイルを表現したユニークなラベル」
フレッシュでありながら熟成によるクリーミーな厚みが出ていますね。エルダーフラワーやカモミールの香りも出ています。ラベルデザインにも凝りました。ラベルは3人のコルク職人が作業 をしている様子(18世紀にフラン のディドロたちによって 発行された百科全書より)が描かれています。このラベルをチョイスしたのは兄マッテオ、弟ルカと私の3兄弟なので、私達新しいイナマ3世代目が造る新しいスタイルのワインのイメージと重なりました。

”ソアーヴェである事よりも「イナマ」の個性がある事が大切”

インタビューQ.お父様はこの新しいイナマスタイルのワイン「カルボナーレ」についてどのような印象でしたか?

父は「ソアーヴェはこうでなくてはいけない」という概念はもっていません。ソアーヴェである事よりも「イナマ」の個性がある事が大切だと考えています。父はカルボナーレをとても気に入ってくれています。イナマには色々なスタイルのソアーヴェがあります。「ヴィンソアーヴェ」「モンテフォスカリーノ」「ロト」「カルボナーレ」と。ですからイタリアで購入されているお客様は「ソアーヴェのワイン」といいうよりは「イナマのワイン」という印象の方が、きっと強いと思いますね。

Q.2016年、2017年のヴィンテージの特徴について教えてください。

2016年は雨が適切に降り、温暖なヴィンテージでした。収量も十分にあり、過去10年で最も良いヴィンテージとなりました。味わいも非常にバランスが取れています。

一方、2017年は暑く乾燥したヴィンテージで、多くのソアーヴェの生産者にとって2017年は難しい年だったのではないかと思います。暑さに加えて9、10月に雹が降った事もあり、ソアーヴェ全体では収穫量は落ちました。幸いにもイナマでは雹のダメージが大きくありませんでした。しかし難しいヴィンテージである事には変わりありませんでした。

ヨーロッパで最大!カルメネーレだけで12ヘクタール栽培している単一畑

カルメネーレの畑
ヨーロッパで最大!カルメネーレだけで12ヘクタール栽培している単一畑
場所はコッリ ベリチにある12ヘクタールの単一畑です。イタリアでカルメネーレを栽培している生産者は2、3社ありますが、カルメネーレだけで12ヘクタール栽培している私達の畑はヨーロッパで最大規模となります。

カルミニウムカルメネーレ100%の新キュヴェ「カルミニウム」
カルミニウムは私達3兄弟が造った新しいキュヴェです。カルメネーレ100%で造っています。最上級キュヴェの「オラトリオ」、スタンダードラインの「ピゥ」との中間に位置するワインの要望がありリリースしたワインです。所有するカルメネーレのブドウが年数を経て十分に成熟してきている事、最上級キュヴェのオラトリオに関してどのようなブドウを収穫、選別すれば良いか、より明確になってきた良いタイミングであった事もカルミニウムを造った要因の一つです。

畑内の区画91、92でオラトリオ用のブドウを厳選し、93、94の区画のブドウからカルミニウムを造っています。つまりカルメネーレの「ベスト オブ ザ ベスト」は良年のみ造るオラトリオ、「ベスト」がカルミニウムという位置づけです。

カルメネーレカルメネーレの語源となった「カルミニウム」
カルミニウムとはラテン語で赤紫色を指しています。この言葉はカルメネーレの語源にもなっていますね。カルメネーレ自体はとても歴史のある品種です。畑が秋になるとカルメネーレのブドウは赤紫色に色づきます。カルミニウムにおいても1ヘクタール当たり40ヘクトリットルまで厳しく収量制限を行います。80%旧樽、20%新樽バリックで15ヶ月間熟成させます。カルメネーレの特徴であるスパイシー、甘やかさがありますが、タンニンは非常にスムーズで完成度の高い柔らかな味わいです。

「ラ モンドット」を手掛けた名醸造家ステファンドゥルノンクール氏がコンサルタント
赤ワインに関してはサンテミリオンで「ラ モンドット」を手掛けた名醸造家ステファンドゥルノンクール氏がコンサルタントになっています。2016年から醸造、2017年からは畑のコンサルトもしています。父はこれまで醸造コンサルトを雇った事はありませんでした。ただ、カルメネーレの畑をより良い状態へ、そして醸造でも細やかなチューニングが必要だという事は父も解っていました。私達は「ユニオン デ グランクリュ ド ボルドー」(ボルドー格付けシャトー)の試飲会に赴き、様々なワインを試飲しました。良いと思ったワインがどれもステファンドゥルノンクール氏が手掛けたものだったからです。彼はとても意欲的な人物で、積極的かつ意欲的に私達と意見交換をしてくれています。年々カルメネーレの品質が上がっていますね。

群を抜いてトップクラス!最上級カルメネーレリゼルヴァ「オラトリオ」

凝縮感があってリッチ、黒コショウを思わせるスパイシーさ。最上級リゼルヴァ「オラトリオ」
オラトリオオラトリオは厳選したブドウのみで使い良いヴィンテージにだけ造られる最低18カ月間熟成のリゼルヴァです。年産僅か5000本です。カルメネーレの個性が全て表現されています。凝縮感があってリッチ、黒コショウを思わせるスパイシーさ、コーヒーやカカオパウダーのニュアンスがあります。飲むとジューシーで円やかなタンニンがあります。余韻も非常に長いです。


『ビベンダ』最高賞!「他のカルメネーレとは群を抜いてトップクラスのカルメネーレ」
ビベンダ2012年は暑かった年なのでリッチな味わいとなっています。ワシントンポストのジャーナリストが世界中のカルメネーレをテイスティングしたレビューがありましたが、オラトリオは「他のカルメネーレとは群を抜いてトップクラスのカルメネーレ」だと評価を頂きました。『ビベンダ』2018で最高賞5グラッポリを獲得しています。私達の仕事は情熱とエネルギーが必要です。ステファンドゥルノンクールと造り上げた2017ヴィンテージは2021年頃にリリースする予定です。来月には『ワインスペクテーター』誌が私達のカルメネーレの畑を見に来ます。今後出来上がるワインの完成度も上がっていくと思いますので、楽しみにしていて下さい。

ソアーヴェを代表する造り手イナマのベーシックラインふくよかな果実味とミネラルのバランスに優れた「非の打ちどころのないソアーヴェ」

ヴィンソアーヴェの生産量が一番多く、約20万本です。60~65%が自社畑(モンテフォスカリーノのブドウ)で残りはイナマと同じ考え方を持つ農家に栽培法を綿密にレクチャーして収穫されたブドウを購入しています。つまりヴィンソアーヴェのブドウはモンテフォスカリーノはもとより、クラシコエリアの異なった斜面、日照条件を持つテロワールのブドウが使われています。
ヴィン ソアーヴェ ソアーヴェ クラシコ2017

試飲
コメント

完璧な、非の打ちどころのないソアーヴェ。一口ごとに、ソアーヴェそのものの特徴と上品さがあり、深みのあるコクのある味わいが酸味と素晴らしいコントラストが鮮やかで躍動感に溢れています。繊細な味わいの料理、白身魚、てんぷらなどとよく合います。

イナマ第4の新ソアーヴェ!エレガンスに満ちた上品な果実味と美しいミネラル!日照条件の良い素晴らしいクリュ「カルボナーレ」

モンテフォスカリーノの北部にあり、標高200メートルで平均樹齢45年の素晴らしいブドウが残っている全て東向きの条件の良い畑です。朝の穏やかな日照を浴びて、16時は日陰になります。カルボナーレのブドウを食べたところ、フォスカリーノとは違った味わいの構成があり酸が高くピチピチとした豊かなミネラルを感じました。この素晴らしい特徴を活かしてカルボナーレ単一畑でボトリングする事にしました。
ヴィニェーティ ディ カルボナーレ ソアヴェ クラシコ2016

試飲
コメント

柑橘の果実にピュアで清々しいミネラルが寄り添う上品なアロマ。果実味とミネラルが美しく調和しています。余韻にかけて感じる彫りの深いミネラルはシャブリを彷彿させる味わいの深さがあります。川魚料理、牡蠣、野菜料理から火を通した白身肉料理まで非常に幅広く楽しめます。

イナマ第3世代が造り上げたカルメネーレ100%の新キュヴェ「カルミニウム」

最上級キュヴェの「オラトリオ」、スタンダードラインの「ピゥ」との中間に位置するワインです。ヘクタール当たり40ヘクトリットルまで厳しく収量制限を行います。80%旧樽、20%新樽バリックで15ヶ月間熟成させます。イタリアでカルメネーレを栽培している生産者は2、3社ありますが、カルメネーレだけで12ヘクタール栽培している私達の畑はヨーロッパで最大規模となります。
カルミニウム コッリ ベリチ カルメネーレ2015

試飲
コメント

カルメネーレの特徴であるスパイシー、甘やかさにブラックベリーやプラムのニュアンスが前面に感じられる芳醇なアロマ。飲むと均整のとれた美しいボディバランス。果実の厚みを酸とミネラルが支え、バリックの上品な風味が見事に纏め上げています。タンニンは非常にスムーズで完成度の高い柔らかな味わいです。赤身のお肉のグリル、ローストポーク、生ハムやサラミと楽しみたいワインです。

濃密で群を抜く余韻の長さ!イナマが所有する単独DOCカルメネーレの100%リゼルヴァ!偉大なカルメネーレを知るに最適な1本

オラトリオは厳選したブドウのみで使い良いヴィンテージにだけ造られる最低18カ月間熟成のリゼルヴァです。年産僅か5000本です。カルメネーレの個性が全て表現されています。2012年は暑かった年なのでリッチな味わいとなっています。ワシントンポストのジャーナリストが世界中のカルメネーレをテイスティングしたレビューがありましたが、オラトリオは「他のカルメネーレとは群を抜いてトップクラスのカルメネーレ」だと評価を頂きました。
オラトリオ ディ サン ロレンツォ コッリ ベーリチ カルメネーレ リゼルヴァ2012

試飲
コメント

先も見通せない程非常に濃く深いルビー色。品種由来の黒コショウを思わせるスパイシーさとカカオやベリーの香りは実に偉大なレベルにあります。円やかでどっしりとした力強さはありますが、完熟したタンニンが非常にソフトで攻撃的ではなく、終始一貫美しいバランスを保っています。群を抜く余韻の長さがあり、ボルドーグランヴァンを引けを取らない芯の強さとボディバランスが感じられます。カルメネーレというブドウの偉大さを知るに最適な一本。抜栓後3~4日は楽しめます。グリルした豚肉、ヴェネトではボリートミスト、オッソブーコと豆と。シチューや牛ヒレのステーキとも好相性です。

インタビューを終えて

イナマ第3世代、3兄弟が新たに造り上げたワインを試飲して、その完成度の高さに本当に驚かされたインタビューとなりました。“ソアーヴェである事よりも「イナマ」の個性がある事が大切”と話してくれたアレッシオ氏の言葉に、「テロワールと同時に自分の個性を表現する唯一無二のワインを造る」という揺らぐ事の無いイナマの強い信念を感じました。

イナマ第4のソアーヴェ「カルボナーレ」は透明感に満ちたピュアで清々しいミネラルが寄り添う上品なアロマ。繊細な口当たりですが、要所を締める上品な果実味と美しい酸味が見事に調和。芯の強い「男性的」なフォスカリーノに比べ、非常に「女性的」でエレガントなスタイル。ファーストヴィンテージながら非の打ち所がない優美で繊細、彫りの深い味わいの調和がとても魅力的です。

「カルミニウム」は際立った滑らかさと充実した果実の厚み、スパイスの上品な風味に樽由来の甘やかさが綺麗に重なり力強さと飲み心地が共存する癖になる味わい。単一品種でありながらグラスの中で刻々とその表情を変えていく艶やかな魅力があり、是非試して頂きたいイナマ新世代が造り上げた素晴らしい赤ワインです。

「ベストオブベスト」の傑作カルメネーレリゼルヴァ「オラトリオ」はフランス、ポムロールやサンテミリオンの銘醸ワインを彷彿させる、濃密ながらも全ての要素が何の苦も無く溶け合うかのような圧倒的な包容力、スケール感があり、思わず息を飲む美味しさ。イナマと言えば「白」のイメージがありますが、赤ワインの素晴らしさも見逃せません。父ステファノがソアーヴェで挑んできた革新的なDNAは確実に子供達に引き継がれています。兄弟3人で更なる高みを目指すイナマ。今後が本当に楽しみな生産者です。
イナマ社 アレッシオ イナマ氏とトスカニースタッフ

20歳未満の方の飲酒は法律で禁止されています。
当サイトでは20歳未満の方への酒類の販売は行っておりません。