TUSCANY イタリアワインとグルメ食材の店
Interview

突撃インタビュー

2018/02/07

イナマ社 アレッシオ イナマ氏

国際品種、新樽使用で「ソアーヴェエリアの概念を変えた」リーダー的存在!単独所有DOCでイタリア最高峰のカルメネーレ栽培に情熱を燃やす「イナマ」

イナマ社 アレッシオ イナマ氏と
1991年にソーヴィニョンとシャルドネの国際品種で初リリース、「ソアーヴェエリアの概念を変えた生産者」として世界中のワインジャーナリストから高い注目を集めた「イナマ」社。翌1992年から独自の高い拘りをもって造るソアーヴェはその完成度の高さとコストパフォーマンスにより世界中で愛されています。新樽醗酵をソアーヴェエリアで初めて行う等、伝統と革新が息づくエリアのリーダー的生産者です。北イタリアで唯一の火山性土壌で造るイナマのワインはテロワールを反映したミネラリーなスタイルに加えて、イナマにしかないバランスだったり、純度の高さ、深みが感じられます。1997年からは赤ワイン造りも始め、2009年からイナマ社だけが造る単独DOC「コッリ ベリチ カルメネーレ リゼルヴァ」から造られる最上キュヴェ「オラトリオ」は濃密かつ圧倒的なバランスの良さでリリースの度に完売する人気商品。今回来日したイナマ社のアレッシオ イナマ氏に抜群の安定感を誇るソアーヴェと、拘りのソーヴィニョン、シャルドネ、傑出したバランスの良さを誇る赤を試飲しながら、お話を聞きました。

「アンセルミ」で35年働いた後、1970年代にソアーヴェクラシコ中心部の畑「フォスカリーノ」に畑を購入

ワイナリー

祖父ジュゼッペがトレンティーノから移り住みワイン造りを始める
イナマは家族経営のワイナリーです。私も小さな頃からブドウ栽培、ワイン造りに携わっています。今こうしてワインビジネスに参加し、今回私達イナマについてお話できることを嬉しく思っています。

「アンセルミ」で35年働いた後、1970年代にソアーヴェクラシコ中心部の畑「フォスカリーノ」に畑を購入
私の祖父のジュゼッペ イナマが第二次世界大戦後、トレンティーノからヴェローナに移り住み、ソアーヴェクラシコエリアの「アンセルミ」でワイン造りを始め、35年間働きました。アンセルミを務めた後、1970年代にソアーヴェクラシコ中心部に位置する「フォスカリーノ」に畑を購入し、祖父は休むことなく毎日畑を耕していきました。祖父の努力が今に繋がっています。「小さな犠牲であれば、結果も小さなものだが、大きな犠牲が大きな結果を産む」事をジュゼッペは私達に身をもって示してくれたと思っています。
歴史

父ステファノの代で初めて自分たちでボトリング
祖父のジュゼッペは当初、ブドウを栽培してバルクでワインを売っていました。父のステファノに代が変わり、1991年から自分たちの造ったワインを自社で瓶詰を始めます。これがイナマとしてのスタートになります。

世界中のジャーナリストが大注目!初リリースはソアーヴェではなく「ソーヴィニョン」
自社ボトリングを始めた90年代は実際ソアーヴェを販売するのが難しい時代となっていました。70年代のソアーヴェの世界的な一大ブームも終わっていた事も要因です。ソアーヴェを売るのが難しいとされていた1991年にイナマはワインをボトリングし販売を始める訳ですが、その時初めて販売したのはソアーヴェクラシコではなく、ソーヴィニョンでした。何故ソーヴィニョンを?と良く聞かれるんですが、もともと祖父のジュゼッペがトレンティーノ出身で地元で植えられていたブドウを持ち込んだことに因ります。特にシャルドネとソーヴィニョンは良い結果となりました。ゲヴェルツトラミネールはこの地ではブドウにとっては暑すぎて上手く育ちませんでした。

ソアーヴェクラシコエリアのイナマから「ソーヴィニョン」がリリースされた事はニュースとなり、世界中のワインジャーナリストからも大変注目を集めました。1991年にステンレスタンク熟成のヴルカイア、樽熟成のヴルカイア フュメで2種類のソーヴィニョンを初リリース、翌1992年に初めてソアーヴェクラシコをリリースしました。

古代ローマ人によって2000年前に持ち込まれたガルガネーガ種は「火山性土壌でこそ最適に栽培出来る」

「他社がやっていないユニークな事をやろう」
息子の私が言うのも変ですが、父のステファノはとても「変わった人」で、他社がやっていないユニークな事をやろうという想いを持っていました。父が目指したのは「テロワールと同時に自分の個性を表現する唯一無二のワイン」であり、その思いから25年を経て、今は息子である私達3兄弟がワイン造りに参加しています。長男のマッテオがワイナリーの経営全般を、次男の私が販売を担当、三男のルカが栽培、醸造を担当しています。結束力の強いチームが出来ています。25年経ってイナマのワインはイタリアは勿論、世界中に広がっています。更なる品質の向上を目指していきたいと思っています。

地図

北イタリアでは唯一の火山性土壌
それでは地図を見ていきましょう。北イタリア、ヴェネト州の中でも重要なブドウ栽培地「ソアーヴェクラシコ」があります。このエリアは古代ローマ時代からブドウ栽培が行われていて、北イタリアでは唯一の火山性土壌が広がっています。

必要とされたワインは様々な食事に合う「ミネラル」
古代ローマの人々は地中海から得られる豊富な食材を用い食事をしていました。様々な食材が得られる地中海。その幅広い食事と楽しむワインが求められました。その要素をみたす必要とされたワインは様々な食事に合う「ミネラル」の要素があるものでした。

ソアーヴェ協会や協同組合らが栽培エリアを広げようという動きに
70年代に国際的にソアーヴェの需要が物凄く高くなり、いわゆる「ソアーヴェ」の大ブームが起きました。このブームによりソアーヴェ協会や協同組合らが栽培エリアを広げようという動きになり、元々あるクラシコエリアの7倍も広いDOCソアーヴェを新たに造りました。

土壌古代ローマ人によって2000年前に持ち込まれたガルガネーガ種は火山性土壌でこそ最適に栽培出来る品種
DOCソアーヴェクラシコとDOCソアーヴェの大きな違いというは、火山灰土壌のクラシコであるのに対し、ソアーヴェは火山灰土壌ではないという事です。古代ローマ人によって2000年前に持ち込まれたブドウ、グレカニコ(名前が変わりガルガーネガとなる)種は火山灰土壌でこそ最適に栽培出来る品種であり、それ以外の土壌で栽培されたものは全く違う個性となります。ガルガーネガと同じクローンを持つグレカニコが栽培されているカンパーニャ州では火山灰土壌で栽培されています。つまりこのブドウが火山灰土壌との相性が良いことを示しています。カンパーニャとヴェネトでは緯度、標高、天候も異なる違いはありますので、違った味わいとなっていきます。

ボトルネックこのマークはなんですか?

「VIGNAIOLI INDIPENDENTI」という団体のロゴです。フランスにも同じロゴの団体があります。この団体ではブドウを栽培し、ボトリングまで全て自社で行う事が条件で、協同組合や大手とは全く異なるコンセプトの品質を重視したワイナリーのみが加盟しています。イナマ、ピエロパンはソアーヴェ協会に入らず、「VIGNAIOLI INDIPENDENTI」加盟しています。

トレンドとしてのオーガニックワインではなく、「品質が高く美味しい、かつオーガニックワイン」だから飲んで頂きたい

「ワインは畑で造られ、カンティーナではない」
「ワインは畑で造られ、カンティーナではない」という言葉があるようにイナマは「栽培」に力を入れています。品質の高い美味しいワインを造るひとつの重要な要素は「最高のブドウ」を栽培する事にあります。その為に畑での仕事を最大限にする事、逆にセラーでは、出来る限り手を加えない。手をかけるのは最低限の事だけで、ブドウがもつ「良さ」というものを引き出す事が重要です。

「品質が高く美味しい、かつオーガニックワイン」
ブドウはビオロジック栽培を行っています、土壌の研究も綿密に行っています。剪定は全てハサミを用いて一本一本手作業で行います。オーガニック等ラベルには一切記載していません。トレンドとしてのオーガニックワインではなく、「品質が高く美味しい、かつオーガニックワイン」だから飲んで頂きたいと考えています。

収穫のタイミングも非常に重要で、かなり完熟をさせます。豊かなアロマを抽出する為にスキンコンタクトを約10時間(ヴィンテージによって異なる)行います。アロマを得るためにはやはり「健全なブドウでなければならない」という事なんです。

ヴルカイアラベルラベルがどれも印象的ですね。

例えばヴルカイア フュメは、ヴィチェンツァにある古い劇場を表わしています。ラベルに古き良きイタリアを表現しています。ぱっと見てイナマのワインと分かるデザイン性、共通したフォントを使っています。

それともうひとつ、よく見て下さい。INAMAのIと数字のI、VULCAIAのIが全て同じフォントなんです。あとこのボトルのアルコール度数のコンマも逆向きです。イタリアらしいですよね。イナマはラベル造りにおいても細部まで拘りを持っています。

これも中身の品質がしっかりとあってこそ成り立つ事なので。「オイシッシモ」(日本語のイタリア語の造語)でなければなりませんね(笑)

素晴らしい赤ワインが産まれる「コッリ ベリチ」

カルメネーレ

「アマローネ」嫌いの父ステファノが着目した素晴らしい赤ワインが産まれる「コッリ ベリチ」
ソアーヴェクラシコエリアで白ワインを造る生産者が赤ワインを造るとすれば、ヴァルポリチェッラエリアが大半だと思うのですが、父は「アマローネ」が嫌いで「自分が飲まないワインは絶対造らない」というポリシーがありました。そこで「コッリ ベリチ」という素晴らしいポテンシャルをもっているエリアに着目します。

伝統的に栽培されている黒ブドウ「カルメネーレ」
ソアーヴェクラシコエリアからたった15キロしか離れていないエリアですが、天候も土壌も全く違うエリアになります。コッリ ベリチでは降水量も半分になります。このエリアで伝統的に栽培されている黒ブドウはカルメネーレ種です。しっかりとした個性を持っていて黒コショウのニュアンスを強く感じるスパイシーさがあります。あとカベルネソーヴィニヨンと少しのメルローを栽培しています。

試飲150年以上「カベルネフラン」と思われていたブドウ
カルメネーレは非常に面白い歴史を持ったブドウで、フランス、ボルドーから持ち込まれた品種なのですが150年以上カベルネフラン種と思われていました。カベルネフランではなく、北イタリアで約8000ヘクタールカベルネフランとして植えられていた訳ですが、全部がカルメネーレと判明したのは1994年の事でした。その後の研究で、カルメネーレは栽培において「暑さ」を必要とするブドウで、降水量が少なく暑さのある「コッリ ベリチ」がカルメネーレの栽培に最も適しているとわかりました。

コッリベリチは、カベルネソーヴィニヨン、メルローといったボルドー品種に適した土地ですが、私たちはここでカルメネーレに出会ったことで、イナマの赤の方向性がはっきりしたのです。畑は元々修道院だった土地で、すり鉢状の谷になっています。ここは昼は日照がよく、夜は周囲の森から涼しくてミネラル豊富の空気が流れ込んでくる、素晴らしい場所です。広さは12ヘクタールで、カルメネーレ単一畑としてはイタリアで最大です。

コッリ ベリチのカルメネーレは200年以上前にフランスからの移民が移植したものですが、フィロキセラの後、ボルドーのカルメネーレは絶滅しました。暑くて乾燥しているコッリ ベリチはカルメネーレに適してはいるのですが完熟させるのが難しいんです。そこでイナマではブドウが受ける日照量をできるだけ均一になるようにブドウの枝を曲げて同じ高さに揃えています。

イナマのみが名乗る単独DOC「コッリ ベリチ カルメネーレ リゼルヴァ」

オラトリオイナマのみが名乗る単独DOC「コッリ ベリチ カルメネーレ リゼルヴァ」
2009年に新たなDOC「コッリ ベリチ カルメネーレ リゼルヴァ」が産まれました。2009ヴィンテージがこのDOCにおける初ヴィンテージです。イナマのみが単独でDOCを名乗るカルメネーレ100%の「オラトリオ」をリリースしています。

年産僅か5000本!良いヴィンテージのみ造られる
このキュヴェはオラトリオ ディ サンロレンツォという教会の周りに広がる最良のカルメネーレの畑から厳選したブドウのみで使い良いヴィンテージにだけ造られる最低24カ月間熟成のリゼルヴァです。年産僅か5000本です。「オラトリオ」にはカルメネーレの個性が全て表現されています。黒コショウを思わせるスパイシーさ、円やかなタンニンがあります。2012年は暑かった年なのでリッチな味わいとなっています。

「ラ モンドット」を手掛けた名醸造家ステファン ドゥルノンクール氏の協力を得て更なる品質向上を目指す
私達はカルメネーレの栽培に力を注いでいて、サンテミリオンで「ラ モンドット」を手掛けた名醸造家ステファンドゥルノンクール氏と2007年からコラボレーションを行っています。ドゥルノンクール氏の協力を得て、オラトリオのクオリティを更に上げていきたいと思っています。他にない違った個性を持つワインで、バローロやブルネッロのようにネームバリューはありませんが、一度飲んで頂けると「クオリティの高さ」を感じて頂けると思います。

ふくよかな果実味とミネラルのバランスに優れた「非の打ちどころのないソアーヴェ」

法律上ではガルガーネガに30%トレッビアーノディソアーヴェ種もブレンドして良い事になっています。トレッビアーノディソアーヴェをブレンドすると非常にアロマティックな仕上がりになりますが、私達のヴィンソアーヴェはガルガーネガ100%で豊かなミネラルのストレートさがあります。これがイナマのスタイルです。私達は3種の異なったソアーヴェを造っていますが、ヴィンソアーヴェは「日常的に楽しむワインの位置づけ」です。特徴はシンプルで様々な料理と合わせやすく、飲み疲れしない。ミネラル感とフローラルな白い花のニュアンスが綺麗に出ていて心地よさもありながら複雑味が感じられます。93歳の私の祖母はこのヴィンソアーヴェを40年間1日1~2杯ずっと飲んでいるんですよ。先日10年熟成したヴィンソアーヴェを飲みましたが、凄く綺麗な熟成をしていて、熟成のポテンシャルも備えています。
ヴィン ソアーヴェ ソアーヴェ クラシコ2016

試飲
コメント

完璧な、非の打ちどころのないソアーヴェ。一口ごとに、ソアーヴェそのものの特徴と上品さがあふれだす。奥深いミネラル感、エレガントな花や、成熟した果実、そして果肉感。ダイナミックで深みのあるコクのある味わいが酸味と素晴らしいコントラストを描いている。非常に鋭く、のびやかで躍動感にあふれています。エレガントで繊細なカモミール、アイリスの白い花の香り。味わいはミネラルに富み、心地よいバランスの良さがあります。熟成してくると非常に複雑味が増してきます。

名門イナマが造る樽熟成の最上クリュ「フォスカリーノ」

フォスカリーノは、ソアーヴェクラシコのエリアの中で歴史的に最上級とされる丘陵地。約65ヘクタールをイナマとアンセルミ、ジーニの3社が所有。そのうちイナマは最も標高が高い最良部分の傾斜地に28ヘクタールを所有しています。ここに畑を持っていることがイナマの最大の強みです。フォスカリーノがソアーヴェ最上級と言われることを裏付けることの一つが2000年前からここでブドウが造られていた事実。ギリシャから南イタリアに伝わったワイン造りが北イタリアへと向かった古代ローマ時代、当時の品種に適した火山性土壌の土地はここソアヴェのフォスカリーノだけでした。30%新樽を使い醗酵、熟成をしています。畑は火山岩土壌で南、南東、南西を向いています。父のステファノがソアーヴェクラシコで初めて新樽を使いました。オレンジ色になるで完熟したブドウとバランスを取りながら、新樽の風味をどれくらい聞かせるかは年毎に調整しています。ですので、そこまで新樽の強い香りではありません。
ヴィニェッティ ディ フォスカリーノ ソアーヴェ クラシコ2015

試飲
コメント

セレクションした、オレンジになるまで完熟したぶどうのみを使っています。色は濃い黄色。豊潤な、カモミール、ニワトコ、アイリスといった花の蜜の香り。味わいはふくよかでまろやか、余韻には甘いアーモンドの香りを感じます。サービス温度は10~12度。仔牛のツナソース(ヴィテッロ トンナート)、白身魚のリゾット、お寿司。ヴェネトの伝統料理のバッカラとポレンタ、魚のスープ、モンテヴェロネーゼチーズと相性が良いです。

「フォスカリーノ」の特定区画「ロト」のブドウで造る、斬新で力強いスタイルのクリュ ソアーヴェ

単一畑「ロト」の名前の由来ともなった、最も濃い味わいのガルガーネガを造るといわれている台木‘Rupestris du Lot’を用い植えられたガルガーネガを100%使用。樹齢は10年と若いですが、木樽の風味に負けない”若さゆえの強さ”を持っています。アリエ産のフレンチオーク小樽にて発酵、そのまま6ヶ月間樽熟成。樽の風味を付けすぎないため新樽の比率は30%と抑えられています。
ヴィニェート デュ ロト ソアーヴェ クラシコ2015

試飲
コメント

色は濃い黄色。香りは力強く、豊かでクリーミー。ヴァニラの香りの他に、ブドウのポテンシャルが強く発揮されたカモミールやアイリスなどの花の香りが広がり、力強く凝縮された果実味と奥にしっかりと感じられるミネラル感あふれる味わいと続きます。クリーミーでありながら洗練された複雑味のある余韻。単一畑「ロト」のテロワールが最大限に発揮された極上の白ワインです。甲殻類やホタテ等の貝類、スパイスを効かせたエスニック料理や天ぷらに良く合います。ヴェネトの料理だとスカンピのリングイネパスタ、ボッタルガスパゲティ、サフランのリゾットと相性が良いです。茄子を使ったパルメザンチーズのオーブン焼き等とも相性が良いです。

アロマティックでフレッシュな余韻。ソアーヴェのテロワールで造るミネラリーなシャルドネ

シャルドネ、ソーヴィニョンといった国際品種をこの個性の強い火山性土壌で栽培する事はとても面白くて、品種が持っている元々の個性(香り、味わい)を土壌が持つ個性が上回るからです。イナマでは「ブドウと火山性土壌はセット」であり、切り離せないものだと考えています。ベーシックラインのシャルドネで、ステンレスタンクで醗酵、熟成しています。果実味だとか甘やかなニュアンスがあり、特に若い女性に人気があるキュヴェです。
シャルドネ デル ヴェネト2015

試飲
コメント

輝きのある明るい黄色。非常にアロマティックで力強くしっかりとしたリンゴや洋ナシの香り。口に含むと構成がしっかりとあり、リンゴ、洋梨、ミネラルの風味が感じられ、フレッシュで長い余韻があります。メカジキのカルパッチョ、水牛のモッツァレラ、ヴェネトの料理ではホタテとマテ貝のグリルとの相性が良いです。

「フォスカリーノ」地区の偉大なポテンシャルを国際品種ソーヴィニヨンで証明したキュヴェ「ヴルカイア」

ヴルカイアは「火山」を意味しています。火山性土壌で育ったという意味があります。とてもユニークで他ソーヴィニョンのキャラクターにはない「個性」があります。1991年にイナマはワインをボトリングし販売を始める訳ですが、その時初めて販売したのはソアーヴェクラシコではなく、ソーヴィニョンでした。ソアーヴェクラシコエリアのイナマから「ソーヴィニョン」がリリースされた事はニュースとなり、世界中のワインジャーナリストからも大変注目を集めました。1991年にステンレスタンク熟成のヴルカイア、樽熟成のヴルカイアフュメで2種類のソーヴィニョンを初リリース、翌1992年に初めてソアーヴェクラシコをリリースしました。
ヴルカイア ソーヴィニョン デル ヴェネト2016

試飲
コメント

一般的なソーヴィニョンにイメージされる「青さ」ななく、完熟果実と甘い花の香り。トロピカルフルーツやリンゴの香りにミネラルの風味が重なります。完熟したソーヴィニョンから造るため、果実味が非常に豊かでミネラルを強く感じます。シトラスの風味を伴う複雑な余韻は非常に心地良く長いです。牡蠣やアサリ、巻貝、アスパラガスのオムレツとの相性が良いです。ヴェネトの料理だとアスパラガスと卵、オーブン焼きのウサギの肉レモン添え等。マグロのように味のハッキリしたものや味の濃いドレッシングのサラダにとてもよく合います。

イナマを世界的に押し上げた樽熟ソーヴィニョン

父ステファノの個性が表現されています。6ヶ月間フレンチオークバリック(かなり強く焼いたヘビートースト樽)で熟成することでフュメ(スモークした)の香りを表現しています。このワインがイタリアで人気のある理由の一つに、牡蠣や魚卵、地元ヴェネトで食べられる内臓料理(仔牛のレバーの煮込み)等「味の強い料理」との相性が良い事です。通常の赤ワインと合わせるような料理でも楽しむ事が出来ます。まさに父のフィロソフィーが詰まったワインです。「新しくユニークあるけれども品質が高い」。イタリアのみならず世界中でも人気のキュヴェで予約制での販売となっています。毎年売り切れる状況となっています。ヴルカイアフュメは日本の一流の和食と是非楽しんでもらいたいと思っています。
ヴルカイア フュメ ソーヴィニョン デル ヴェネト2015

試飲
コメント

濃い麦わら色。香りはローストしたコーヒー豆やオーク樽の香り、トロピカルフルーツの力強いインパクトがあります。完熟、凝縮した果実、グレープフルーツ、パイナップル、パッションフルーツの鮮烈で豊かな味わいがあり、目の覚めるようなボディの強さ、樽由来のミルキーさ、美しいミネラル、伸びやかな酸味が見事な調和を成しています。スモークしたサーモンやニシンなどの魚、キャビア、カラスミ、天ぷら、白子と良く合います。ヴェネトでは内臓料理、ローストしたレバー、バッカラと。

上級リゼルヴァのブドウも入った2014年!

ピウとは「足す」という意味です。カルメネーレ70%に30%のメルローのブレンドで、カルメネーレのスパイシーさにメルローの円やかさが足されています。2014年は雨が多い難しい年でした。上級のリゼルヴァを造らずに一番良いブドウでカルメネーレピウとしてリリースしました。難しい年でしたが、厳選してボトリングしたので、品質の良いものとなっています。カルメネーレピウは可愛らしいラベルに仕上がっていて、父の遊び心から産まれたデザインとなっています。
カルメネーレ ピゥ ヴェネト ロッソ2014

試飲
コメント

やや紫がかったルビーの色調。ブラックチェリー、スモモ、豆、カカオ、スミレの香りが溶け合っています。フレッシュな酸と優美なタンニン、エレガントなスタイルにカルメネーレ由来のスパイシーさが上品に寄り添う。実に見事なバランスを備えたワイン。グリルした豚肉、ポレンタ、キノコ料理と。ヴェネトではサラミ、鴨のビーゴリと最高の相性です。また豆のパスタとも良く合います。

イナマ社が1997年に一番最初に造った赤

イナマ社が1997年に一番最初に造った赤ワインです。カベルネソーヴィニヨン70%、30%がカルメネーレです。カベルネソーヴィニヨンのしっかりとしたストラクチャーにカルメネーレのスパイシーさが加わります。こちらも人気のワインでリリースの度に完売となります。固定のファンもいてずっと愛されているワインです。ブラディジスモは地科学的な名前で「地殻変動」という意味です。畑の真ん中にはラベルにも描かれているカンティーナがあります。1階はテイスティングルームで地下はワインセラーとなっています。畑は20ヘクタールでコッリベリチの南部に位置しています。
ブラディッシズモ ヴェネト ロッソ2015

試飲
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深いルビー色。赤や黒の、ドライチェリー、バニラなどの濃縮した香りにメントールを思わせる洗練された美しさが感じられます。過多な酸やタンニンはなく、やわらかく、滑らかな口当たり。長く優雅に続く余韻が楽しめます。ボルドー、ポイヤックの優美なスタイルを彷彿させます。少し濃いソースの牛肉、仔羊、ジビエ料理に相性が良いです。ヴェネトの料理ではソラーナ牛のリブアイグリル、ソーセージとアジアーゴチーズのビーゴリと。しゃぶしゃぶ等にも良く合います。

群を抜く余韻の長さ!イナマが所有する単独DOCカルメネーレの100%リゼルヴァ「オラトリオ」

オラトリオ ディ サンロレンツォという教会の周りに広がる最良のカルメネーレの畑から厳選したブドウのみで使い良いヴィンテージにだけ造られる最低24カ月間熟成のリゼルヴァです。年産僅か5000本です。カルメネーレの個性が全て表現されています。黒コショウを思わせるスパイシーさ、円やかなタンニンがあります。2012年は暑かった年なのでリッチな味わいとなっています。このカルメネーレの栽培に力を注いでいて、ボルドー、サンテミリオンで「ラ モンドット」を手掛けた名醸造家ステファンドゥルノンクール氏を2007年からコラボレーションを行っています。オラトリオのクオリティを更に上げていきたいと思っています。他にない違った個性を持つワインで、バローロやブルネッロのようにネームバリューはありませんが、一度飲んで頂けるとクオリティの高さを感じて頂けると思います。
オラトリオ ディ サン ロレンツォ コッリ ベーリチ カルメネーレ リゼルヴァ2012

試飲
コメント

イナマが単独所有するモノポールDOC。カルメネーレ100%で造られます。先も見通せない程非常に濃く深いルビー色。凝縮したブラックチェリー、小さなベリーの風味に甘草、スパイス風味が見事な層を成しています。特筆すべき品種由来の黒コショウを思わせるスパイシーさとカカオやベリーの香りは実に偉大なレベルにあります。完熟したタンニンが非常にソフトで円やかな力強さはありますが、攻撃的ではなく、美しいバランスを保っています。群を抜く余韻の長さがあり、ボルドーグランヴァンを引けを取らないレベルにあります。カルメネーレの偉大さを知るに最適な一本。抜栓後3~4日は楽しめます。グリルした豚肉、ヴェネトではボリートミスト、オッソブーコと豆と。

インタビューを終えて

イナマと言えば「白」のイメージがありましたが、赤ワインの素晴らしさを再認識しました。層を成す深い果実感とスパイスの風味が上品に溶け合うカルメネーレの溢れ出るような優雅な魅力に驚きました。

カルメネーレと聞くと、濃密で重々しいスタイルをイメージしがちですが、ピウロッソの軽やかさと滑らかさは和食にも相性が良さそうです。ブラディジスモはいわゆるボルドータイプ。骨格の確りとしたボディにメドック地区ポイヤックを思わせるメントールのニュアンスが感じられる深く洗練された味わい。イナマしか名乗れない単独DOCワイン「オラトリオ」は緻密さにパワー、エレガンスが備わり、心地よいスパイスの風味が長く続く別格の完成度。生産本数がかなり少ないだけに今のうちにチェックすべき逸品です。

ソアーヴェクラシコを世界に通用するレベルに再生させ、エリアのリーダー的存在として活躍してきたイナマは白ワインと共に既にイタリアにおけるカルメネーレ栽培の第一人者として世界中のプロフェッショナル達から注目を集めています。

『ヴェロネッリ』の創始者であるルイジ ヴェロネッリ氏はコッリベリチ、およびヴィッラデルフェッロというワイナリーを挙げ、「トスカーナのボルゲリと共に最もボルドー品種の栽培に適した場所」と言及している程。(現在ヴィッラデルフェッロはイナマが所有しています)

このあと日本を離れるアレッシオ氏はオルネッライアやサッシカイア、マシャレッリ等の販売に力を入れているニューヨークのマーケティング会社に最新のワイン販売マーケティング手法を勉強しに行くそうです。ワイナリーの人間がマーケティング会社に行くのはこれまであまり聞いたことがありません。アレッシオ(29歳)氏の新しい感覚がきっとイナマにとってプラスになる事でしょう。父ステファノがソアーヴェで挑んできた革新的なDNAは確実に子供達に引き継がれています。兄弟3人で更なる高みを目指すイナマ。白も赤も今後のリリースがとても楽しみです。
イナマ社 アレッシオ イナマ氏とトスカニースタッフ

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