TUSCANY イタリアワインとグルメ食材の店
Interview

突撃インタビュー

2014/9/9

フォロナリ社 アンブロージョ&ジョヴァンニ氏

ジョヴァンニ氏と記念撮影
トスカーナで6つのエステートを経営するアンブロージョ&ジョヴァンニ フォロナリ(以下フォロナリ)。ノッツォーレやカブレオ、カンポアルマーレなど、フォロナリ所有の有名ワイナリーそれぞれのワインの素晴らしさはわかっていましたが、今回フォロナリ社全体の話を聞くことができるということで、とても有意義で貴重な時間を過ごすことができました。

トスカーナの三大銘醸地「キャンティクラシコ」「モンタルチーノ」「ボルゲリ」で所有畑にこだわったワイン造りを続ける名門

フォロナリ社は、トスカーナのキャンティクラシコ、ボルゲリ、モンタルチーノ、そしてモンテプルチアーノ、マレンマの5つの地区で6つのワイナリーを経営する会社です。一見、大規模なワイナリーに見えるかもしれませんが実は生産量もそれほど多くない、家族経営のワイナリーです。全て所有畑のブドウだけで造ることにこだわっています。

フォロナリ家はワイン造りに2世紀以上の歴史があります。キャンティ ドゥカーレで有名な「ルフィーノ社」もかつては所有していましたが、相続等の関係で現在は私たちの手から離れました。そして2000年にアンブロージョ&ジョヴァンニ フォロナリ社としてスタートしました。ちなみにアンブロージョがオーナーでジョヴァンニがオーナーの息子の名前です。

ガヤやアンティノリ、マァジなど名門ワイナリー19社で組織される「グランディマルキ」の一員でもあります。私たちは、ただワインだけを造っているわけではありません。新興国のようにワインだけを造ってそれを売る、と言うことではなく、私たちのトスカーナの豊かな文化と長い歴史とともにワインとして造り上げています。 ワイナリー地図

最初にアメリカに輸出された歴史的キャンティ「ノッツォーレ」

ノッツォーレ畑1971年にテヌータ ディ ノッツォーレを購入しました。グレーヴェ イン キャンティにあるノッツォーレは、ブローリオとともにキャンティクラシコを代表する造り手として古くから知られていました。1950年代にアメリカに初めて輸出されたキャンティでもあります。若干のデザイン変更ありますが、現在のラベルデザインはほぼ当時のものになります。

畑は標高約300mのところに位置している自然に囲まれた土地です。有機認定等は取得していませんが、もうずっと以前から自然そのもの、と言う場所です。

モダンスタイルのキャンティクラシコを造るために始まった「カブレオ」

カブレオ畑テヌーテ デル カブレオはもともとルフィーノのリゼルヴァを造るために1961年に購入した農園です。ノッツォーレ同様、グレーヴェ イン キャンティにあります。ノッツォーレとは5kmしか離れていませんが、土壌が全然違います。標高は350~500mで高くなればなるほどガレストロ土壌になります。ノッツォーレがクラシカルなスタイル、カブレオはモダン、と言う位置づけになります。

カブレオで造るワインは自由に造ることができるようにすべてIGTの格付けです。

サッシカイアとオルネッライアに挟まれた絶好の土地、「カンポ アル マーレ」

カンポ アル マーレ畑カンポアルマーレは1997年に購入したボルゲリのワイナリーです。畑の場所はサッシカイアとオルネッライアの畑に挟まれたところにあって、3つの区画に分かれています。メルロー、カベルネソーヴィニョン、カベルネフラン、プティヴェルドを栽培しています。

海にとても近く、日中も夜も暖かいのでサンジョヴェーゼには向きません。キャンティクラシコとは全く特徴の異なる土地です。とにかく暑いのでブドウは熟成度と酸とのバランスが最も重要なポイントになります。

ブルネッロエリアの南西、気温が高く、よりまろやかなブルネッロが造られる「ラ フーガ」

ラ フーガ畑モンタルチーノでフォロナリが所有するワイナリー「テヌータ ラ フーガ」です。ブルネッロエリアの南西に位置し、標高は400m。ブルネッロエリアの中でも気温は高く、背後が山で、海に近いわけではないですが1年中風の吹く場所です。

個人的にはモンタルチーノは造られるワインの平均レベルがイタリアでもっとも高いと感じています。それぐらいモンタルチーノはポテンシャルの高い素晴らしいエリアだと思います。モンタルチーノがキャンティクラシコ地区と違うのは、人の行き来が昔も今もし辛いことです。鉄道、高速道路など、交通機関から遠く離れているので孤立しています。それだけ独立したワイン産地だと思います。

ノッツォーレ

白の銘醸地アルトアディジェでも大人気のシャルドネ

トスカーナは一部を除いて白ワインの産地ではありませんが、30年ほど前にノッツォーレの畑の中でサンジョヴェーゼに向かない寒くて粘土質の場所にシャルドネを植えてみたところ、とてもいい結果が得られました。当初、トスカーナで白ワイン、と言うことで戸惑いもありましたが、今では白の産地で有名なアルトアディジェでもすごく売れているほどです。
レ ブルニケ

試飲
コメント

シャルドネらしい果実味と甘みやコクがしっかりと出ている。

ノッツォーレ

これぞ伝統的キャンティクラシコ!

ノッツォーレのキャンティ クラシコは50年前から変わらない伝統的な造り方です。100hlの大樽で12ヶ月間熟成させて造ります。エレガントで女性的な、とてもクラシカルな味わいです。
ノッツォーレ キャンティ クラシコ

試飲
コメント

サンジョヴェーゼの酸と小さな果実味とのバランスが美しい、きれいな味わい。まさにキャンティクラシコ!と言う味わい。

ノッツォーレ

古い樹齢の単一畑で造るリゼルヴァ

土壌はキャンティクラシコと似ていますが、このリゼルヴァは古い樹齢の単一畑のブドウで造ります。長期熟成に向くブドウができるので約50%を新樽の小樽で熟成させます。実はキャンティクラシコの規定が変わり、2011ヴィンテージからこれまでのリゼルヴァの上のカテゴリーとして「グランセレツィオーネ」ができました。ラフォッラも2011からグランセレツィオーネになる予定です。グランセレツィオーネは、自社畑のブドウで造ることが必要で、最終的には審査官のテイスティングで合否が決まります。申請した100社のうち、合格したのは37のワイナリーだけでした。
ラ フォッラ キャンティ クラシコ リゼルヴァ

試飲
コメント

成熟した果実味、存在感のあるタンニンはとても甘やかで心地いい。濃密で華やかなスタイル。

ノッツォーレ

キャンティクラシコ地区で造られていることを実感するカベルネ

1987年初リリースのカベルネソーヴィニョン100%ワインです。ノッツォーレの中でも最良の位置にある単一畑で造られます。もともとはサンジョヴェーゼに最高の畑と言われていましたが、80年代にカベルネを植え始め、ワインを造ったところすぐに高い評価を受けました。100%フレンチオークの小樽で熟成させていて味わい的にはモダンですが、いい意味でカベルネがすべてエレガントに表現された味わいです。ブラインドだとカベルネと分からなかったり、サンジョヴェーゼと言う人もいる。それぐらいここのテロワールが表現されているワインです。
イル パレート

試飲
コメント

力強くまろやかなタンニンがとてもエレガント。カベルネと言われなければ確かにわからないかも。

カブレオ

樽発酵、樽熟成のシャルドネ。しっかりとしたミネラルと樽感の調和が見事

標高の一番高い450mの畑で造るシャルドネ100%の白で1983年が初リリースです。発酵も熟成もフレンチオークで行います。白ワインの上品さや繊細さと、赤ワインの力強さを兼ね備えたワインです。
カブレオ ラ ピエトラ

試飲
コメント

はっきりとした甘く優美な香り、味わいにも樽感が表れているがスパイシーさやミネラル感がしっかりあって、素晴らしいバランスで調和している。

カブレオ

キャンティクラシコ地区のスーパートスカンの先駆け!サンジョヴェーゼとカベルネソーヴィニョンのブレンド

フォロナリとして最初に手掛けたカベルネのワインで1982年ヴィンテージが初リリースです。サンジョヴェーゼとカベルネのブレンドワインとして偉大な評価を受けた、キャンティクラシコ地区でのスーパートスカンの先駆け的なワインです。サンジョヴェーゼのエレガントさや旨みと、カベルネの丸みと凝縮感がお互いを引きたてています。
カブレオ イル ボルゴ

試飲
コメント

説明の通り、エレガントで力強くタンニンしっかり。とてもバランスがとれた美味しさ。

カンポ アル マーレ

コストパフォーマンスに優れたボルゲリロッソ

メルロー、カベルネソーヴィニョン、カベルネフラン、プティヴェルドの4品種で造るボルゲリロッソです。ステンレスタンクで発酵後、2年目のバリックで1年間熟成させます。
カンポ アル マーレ ボルゲリ ロッソ

試飲
コメント

エレガントな熟成感と心地よいボリューム。甘さや樽感も控えめで全体のバランスがきれいで飲み心地が良く、美味しい。

カンポ アル マーレ

ボルゲリの中でも最良の畑のブドウを厳選して造るトップキュヴェ

所有する畑の中で最も良い条件のブドウを厳選して造るトップキュヴェです。ステンレスタンクで発酵後、フレンチオークのトノー(新樽50%)で約18ヶ月間熟成、さらに12ヶ月間のボトル熟成させています。
バイア アル ヴェント ボルゲリ スペリオーレ

試飲
コメント

熟した果実、地中海独特の草木のニュアンス。なめらかなタンニンと酸がはっきり感じられる、厚みのある味わい。色々な要素が次々に表れる、不思議な感覚の美味しさ。

ラ フーガ

厳格さの中に受け入れてくれる優しさを感じるブルネッロ

2008はとてもクラシカルなヴィンテージでとてもいい年です。約3年間大樽で熟成させ、最低1年間ボトル熟成させます。
ブルネッロ ディ モンタルチーノ

試飲
コメント

アタックは少し固いがタンニンはこなれてなめらか。徐々にやわらかさが感じられ、エレガントな味わいが広がる。ブルネッロらしい厳格さと上品さが共存。

インタビューを終えて

フォロナリの4つのワイナリーに共通しているのが正確な仕事に裏付けされた洗練された美味しさをどのワインからも感じられること。テロワールの特徴をしっかりと表現しながら造りだされる味ワインのレベルの高さ。改めてフォロナリの素晴らしさに感動しました。

それにしてもノッツォーレのキャンティクラシコはとても懐かしい味。まさに、これぞキャンティクラシコ!です。
集合写真

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