突撃インタビュー
2016/10/20
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ファルネーゼ社 ヴァレンティーノ ショッティ氏
栽培農家との斬新な契約、24時間カンティーナを管理できる醸造家チーム、不良を起こさないコルクの選定等。イタリア最優秀ワイナリー「ファルネーゼ」のこだわり
「カサーレヴェッキオ」「エディツィオーネ」、さらに「ピポリ」「イルパッソ」など、ファルネーゼのワインは常に私たちを楽しませてくれています。『ルカマローニ』では何度も年間最優秀ワイナリーに選ばれ、低価格帯のものから上級ラインまで、幅広いワインを造り、世界中の多くのワイン愛好家たちを魅了しています。
ファルネーゼのワインは何も考えずとも素直に美味しいという印象ですが、そのレベルを維持するためのこだわりと工夫が徹底しています。今回は、栽培農家との斬新な契約方法によって良質なブドウを得ることができていることや、経験豊富は醸造家の育成と行き届いた管理を徹底するためのチーム編成、さらにボトルやラベルデザインへのこだわりと、不良を起こさないコルクの採用などのお話を、ファルネーゼのワインとお料理を楽しみながら聞かせていただきました。(西日暮里のBOOOOOSE(ボーズ)様にて)
ファルネーゼのワインは何も考えずとも素直に美味しいという印象ですが、そのレベルを維持するためのこだわりと工夫が徹底しています。今回は、栽培農家との斬新な契約方法によって良質なブドウを得ることができていることや、経験豊富は醸造家の育成と行き届いた管理を徹底するためのチーム編成、さらにボトルやラベルデザインへのこだわりと、不良を起こさないコルクの採用などのお話を、ファルネーゼのワインとお料理を楽しみながら聞かせていただきました。(西日暮里のBOOOOOSE(ボーズ)様にて)
高品質なブドウを確保するための栽培農家たちとの斬新な契約方法
ファルネーゼは数多くの栽培農家と契約してブドウを購入しています。一般的な生産者協同組合であれば収穫したブドウの重量単位で金額が支払われていますが、ファルネーゼはそのような概念で契約をしていません。各栽培農家が所有している畑の特徴(標高や向きや土壌のタイプなど)に応じてその所有面積に対して金額を決めています。
つまり、納めたブドウの重量で支払うのではなく、最初から支払う金額が決まっているのです。私たちは量を増やすことを考えるのではなく、品質を高めることを考えてブドウを育ててもらいたいのです。この農家のようにね(と言って写真を見せてくれました。)このシステムはファルネーゼの設立当初から行ってきました。他に誰もそんなことをする協同組合はなかったので「うまく行くわけがない」と言われました。でも、私たちは品質の妥協をしたくなかったのでこれを貫き通したのです。
つまり、納めたブドウの重量で支払うのではなく、最初から支払う金額が決まっているのです。私たちは量を増やすことを考えるのではなく、品質を高めることを考えてブドウを育ててもらいたいのです。この農家のようにね(と言って写真を見せてくれました。)このシステムはファルネーゼの設立当初から行ってきました。他に誰もそんなことをする協同組合はなかったので「うまく行くわけがない」と言われました。でも、私たちは品質の妥協をしたくなかったのでこれを貫き通したのです。
世界で活躍するエノロゴに1ヶ月に1回来てもらうよりも、優秀な醸造家グループが24時間見守ることできめ細かな対応ができる
ファルネーゼは醸造家チームを造っています。そのチームをまとめる監督的立場がフィリッポ バッカラーロとアルベルトアントニーニです。アルベルトはデカンター氏が選ぶ世界のエノロゴトップ5に3年連続で選ばれている優秀な人物です。その彼のもとで働いているエノロゴたちが十数名務めています。彼らは大学の醸造学科を優秀な成績で卒業し、ファルネーゼに入社します。そして1年間に2回、北半球と南半球で収穫を経験させます。ファルネーゼはアブルッツォ、カンパーニャ、プーリア、バジリカータ、シチリアの5つの州にワイナリーがありますので、1年ごとに違う州の収穫を経験できます。イタリアで収穫が終わると次はチリ、アルゼンチン、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカに派遣して5年間異なる国の収穫を経験させます。こうすることで5年間で10回の異なる収穫を経験することができ、通常のエノロゴよりも2倍のスピードで成長していくのです。
偉大なエノロゴにコンサルタントを任せることを否定するわけではありませんが、例えばイタリアでもっとも有名なリッカルドコタレッラは世界各地の数多くのワイナリーのコンサルタントをしています。仮に、1日1回意見を仰げたとしても電話でほんの少し話すことができる程度でしょう。何しろ忙しい人ですから。それよりも優秀なエノロゴたちを24時間体制で見守らせ、どんな状況になったとしても対応ができる体制を整えていくことのほうが私たちには大切に思います。これも品質を高めることの私たちのこだわりです。
実はその昔、忘れることのできないミスがあったのです。その年はソーヴィニョンブランが素晴らしい出来で良いブドウが収穫できました。モストをタンクに移し、さあこれからという時に誰かがタンクを閉じるのを忘れて帰ってしまったのです。翌日にはもうすべてが台無しになっていました。ほんの少しのミスが1年間の努力を無駄にしてしまったのです。こんな取り返しのつかないことにならないよう、すべての過程で目を見張らせていることが大切なのです。
ボトルにもラベルデザインにも手を抜かない。そしてブショネを起こさない高品質なコルクの採用
ワインを入れるボトルと、そのワインを表現するラベルデザインにもこだわっています。ここ2,3年、ボトルやラベルデザインを変えていっています。ボトルの高さが低くなり、少し幅を広げたデザインも取り入れています。レストランには好評なのですが、スーパーマーケットなどでは横にたくさん並べられないと文句を言われたりもするのですが(苦笑)。みなさんはいかがでしょうか?
ノヴェッロワインも2015年から変更しています。新酒ということをアピールできるインパクトのあるラベルだと思います。このデザインに変更するに当たっては国外のインポーターさんに意見を聞いたりもしました。稲葉の社長は変更案をお見せしたところ始めは「前のほうがいいなあ」とおっしゃっていたのですが、今は気に入っていただけています。
そしてコルクの材質にもこだわっています。コルクで一番厄介なのがブショネです。ファルネーゼが採用しているのはDIAMコルクです。これはブショネが一切起こりません。あと、キャップシール。エディツィオーネに使っているものはキャップシールにつなぎ目がなく、より密閉度を高めることができる材質のものを使用しています。
ノヴェッロワインも2015年から変更しています。新酒ということをアピールできるインパクトのあるラベルだと思います。このデザインに変更するに当たっては国外のインポーターさんに意見を聞いたりもしました。稲葉の社長は変更案をお見せしたところ始めは「前のほうがいいなあ」とおっしゃっていたのですが、今は気に入っていただけています。
そしてコルクの材質にもこだわっています。コルクで一番厄介なのがブショネです。ファルネーゼが採用しているのはDIAMコルクです。これはブショネが一切起こりません。あと、キャップシール。エディツィオーネに使っているものはキャップシールにつなぎ目がなく、より密閉度を高めることができる材質のものを使用しています。
アブルッツォの醸造所はDOCGコッリーネテラマーネの認定エリア内にあるロゼート デッリ アブルッツィで行う
ファルネーゼのアブルッツォ州のワインについてはテラーモ県にあるロゼート デッリ アブルッツィ(Roseto degli Abruzzi)村にあるRODEA醸造所で醸造を行っています。ここはもともと農協の施設でしたが、今はファルネーゼ社が所有しています。ロゼート デッリ アブルッツィ村はDOCGコッリーネテラマーネのエリア内にあります。
ファルネーゼの本社があるのはオルトナですが、ここには醸造所はなく、ボトリングおよび出荷を行っています。DOCGワイン以外はすべてオルトナでボトリングを行いますが、コッリーネテラマーネはDOCG認定エリア内で行うことが義務付けられていますのでエリア内でボトリングを行います。RODEA醸造所にはボトリング設備がないので移動ボトリング車を使っています。
ファルネーゼの本社があるのはオルトナですが、ここには醸造所はなく、ボトリングおよび出荷を行っています。DOCGワイン以外はすべてオルトナでボトリングを行いますが、コッリーネテラマーネはDOCG認定エリア内で行うことが義務付けられていますのでエリア内でボトリングを行います。RODEA醸造所にはボトリング設備がないので移動ボトリング車を使っています。
ファルネーゼ(アブルッツォ)
スワロフスキークリスタルをあしらった豪華なボトル!ココッチョーラという土着品種で造るスパークリング
ファンティーニ スプマンテ グラン キュヴェNV
ココッチョーラはアブルッツォの希少品種です。果皮が緑色で厚いのが特徴です。しっかりとした酸があるのでスパークリングに向くということで造り始めました。シャルマ方式ですがゆっくりと発酵させるのできめ細かな泡が特徴です。ココッチョーラでスティルワインも造っていたのですが、収穫できるブドウの量が少ないので今はこのスパークリングワイン専用です。
ボトルデザインにもラベルデザインにもこだわりました。ラベルは紙ではなく、アルミを使っています。冷やした状態でテーブルに出して水滴が付いたとしてもラベルは美しいままです。
ボトルデザインにもラベルデザインにもこだわりました。ラベルは紙ではなく、アルミを使っています。冷やした状態でテーブルに出して水滴が付いたとしてもラベルは美しいままです。
ヴィニエティ デル ヴルトゥーレ(バジリカータ)
バジリカータの標高900メートルの畑で造るグレコを使用。厚みのある果実味の2015年ヴィンテージ
ピポリ ビアンコ グレーコ フィアーノ2015
ピポリの白ワインです。バジリカータのポテンツァという場所で畑は標高900メートルにあります。火山性土壌由来のミネラル感が特徴ですが、この2015年は非常に素晴らしいブドウができ、より厚みのある果実味が出ています。
バジリカータの畑は標高の高いところにほとんどあります。特に高い場所にある畑で育つアリアニコはロゼスプマンテになっています。
※ピポリ ビアンコ グレーコ フィアーノは、ピポリ ビアンコに名称変更しました。
バジリカータの畑は標高の高いところにほとんどあります。特に高い場所にある畑で育つアリアニコはロゼスプマンテになっています。
※ピポリ ビアンコ グレーコ フィアーノは、ピポリ ビアンコに名称変更しました。
試飲
コメント
最上のヴィンテージということで実に果実味が豊か。香りも強く華やかで、ボディを感じます。濃密な果実と美しいミネラルが調和した素晴らしい飲み心地。
ファルネーゼ(アブルッツォ)
5年の熟成を経てより円熟味が感じられるカサーレヴェッキオの2011年ヴィンテージ
カサーレ ヴェッキオ モンテプルチアーノ ダブルッツォ2011
カサーレヴェッキオのバックヴィンテージ2011です。このワインに関しては私があれこれ言うことはいたしません。ワインが語ってくれますからね。
試飲
コメント
現行ヴィンテージがはつらつとした果実感が楽しめるのに対し、5年経ったカサーレヴェッキオは実にやわらかく、こなれていてゆっくりと楽しみたい味わい。濃密でコクのある香り、甘くこなれたタンニンは実になめらか。成熟した落ち着いた果実感。驚くほどに円熟味の感じられるハーモニーのある味わい。
※注:リンク先は現行ヴィンテージになります
ファルネーゼ(アブルッツォ)
設立者カミッロ氏の好きなブレンド!サンジョヴェーゼ&カベルネソーヴィニョン
ドン カミッロ2013
ファルネーゼを設立したカミッロ氏がサンジョヴェーゼとカベルネ ソーヴィニョンのブレンドが大好きだったので造ったワインで、名前も「ドンカミッロ」です。熟成感を感じていただける状態でリリースしています。
試飲
コメント
非常にバランスのとれた上品で力強い味わい。いい意味で果実の甘みが抑えられていて食事を引き立ててくれます。
ヴィニエティ デル ヴルトゥーレ(バジリカータ)
堂々とした風格を備えた、ピポリの上級アリアニコ デル ヴルトゥレ。農薬を使わない畑の象徴「クモ」がシンボルのラベル
アリアニコ デル ヴルトゥレ ピアーノ デル チェッロ
※ディナーのメインディッシュのステーキに合わせてセレクト
24ヶ月間バリック熟成で造るアリアニコデルヴルトゥレです。この畑では農薬を一切使っていないので、ブドウ畑のいたるところにクモの巣がはってあるんです。それを見ていてこのラベルデザインを思いつきました。
24ヶ月間バリック熟成で造るアリアニコデルヴルトゥレです。この畑では農薬を一切使っていないので、ブドウ畑のいたるところにクモの巣がはってあるんです。それを見ていてこのラベルデザインを思いつきました。
試飲
コメント
凝縮した果実やスパイスなど濃密感あふれる複雑な香り。堂々とした骨格で厚みも感じられます。タンニンが控えめで、まろやかな果実味が際立ち、やわらか心地よさに包まれます。
インタビューを終えて
ファルネーゼのワインが日本に入ってきてかなり経ちますが、今でもなおダントツの人気を誇っているわけを、お話を聞いて、ワインをいただいて改めて実感しました。「30年前トップだったワイナリーが今もトップで居続けているのは本当に少ないです。ワイナリーの数も増え、切磋琢磨して進歩を続けていかないと残っていけません。昔がマラソン競争だとしたら、今は全速力の100メートル競走をずっと続けている、そんな感じです。」と社長のヴァレンティーノさんの言葉が印象に残りました。
ファルネーゼと言えば「カサーレヴェッキオ」ですが、熟成させるとここまで美味しくなるの?!と新たな驚きも。ファンならずともぜひ飲み比べていただければと思います。(リリースは12月頃の予定です)
#挿入画像5右#
ファルネーゼと言えば「カサーレヴェッキオ」ですが、熟成させるとここまで美味しくなるの?!と新たな驚きも。ファンならずともぜひ飲み比べていただければと思います。(リリースは12月頃の予定です)
#挿入画像5右#
試飲
コメント
とてもきめ細かい繊細な泡の鎖が長く続き、カジュアルなスパークリングワインとは違うという印象です。華やかな香りとともに飲むと爽やかな果実味が口の中を広がります。きれいな酸が印象的。