TUSCANY イタリアワインとグルメ食材の店
Interview

突撃インタビュー

2017/05/10

ドゥーカ ディ サラパルータ社 ベネディッタ ポレッティさん、エリカ ベッリさん

「シチリアワインの先駆者的存在」ドゥーカディサラパルータ社

ドゥーカ ディ サラパルータ社ベネディッタ ポレッティ氏と
1824年創業時から看板銘柄として現在も世界中でこよなく愛される高品質デイリーワイン「コルヴォ」を産み出したドゥーカ ディ サラパルータ社はシチリアの顔と言っても過言ではない歴史と知名度を誇る老舗ワイナリーです。しかしその歴史は常に挑戦の連続でした。シチリアで初めて自社でボトリングによるワインの販売、フランス、ボルドーで学んだ概念や技術を持ち戻り更なる品質向上に取り組み、1984年当時ブレンド用のブドウとして多用されていたネロ ダーヴォラ種100%を使ってシチリアで初めてボトリングしたワイン「ドゥーカエンリコ」をリリースし、瞬く間に国際的な評価を得ました。2002年からは歴史ある土地に自社畑を取得、土地のテロワールと土着品種にこだわった新しいコンセプトのワイン造りも取り組んでいます。2001年には北イタリア、アマレットメーカーのイルヴァ サロンノ グループの一員となり、2003年に同グループのシチリアのマルサラ酒メーカー、フローリオ社と統合しシチリアにおける巨大なワイングループを形成しています。新しい歴史を歩み始めたドゥーカディサラパルータ社のコミュニケーション マネージャーのベネディッタ ポレッティさん、ブランドビルダー エキスポート マネージャーのエリカ ベッリさんにお話を聞きました。

1824年創業 「シチリアワインの先駆者的存在のワイナリー」

シチリア地図1824年創業 「シチリアワインの先駆者的存在のワイナリー」
私たちはシチリアを「小さな大陸」と呼んでいます。東から西に行くにつれ、気候や土地のキャラクターも変わります。その違いが出来上がるワインにも表れてきます。シチリアはそれだけ気候風土に富んだ素晴らしいワイン産地と言えます。

シチリアにおいて初めて自社でボトリング
ドゥーカディサラパルータ社は1824年創業で、もうすぐ200周年を迎えます。シチリア西部パレルモ県カステルダッチャにワイナリーを構えています。ジュゼッペ アリアータ(サラパルータ侯爵)によって誕生したワイナリーで、シチリアにおいて初めて自社でボトリングした歴史を持つ最古参のワインメーカーです。3代目エンリコ公の時代には、フランス・ボルドーで学んだ概念や技術をシチリアに持ち帰る等、創業時から常に将来を見越して改良、努力を続けてきたシチリアワインの先駆者的存在のワイナリーです。

シチリア神話から名づけられた「コルヴォ シリーズ」

コルヴォロッソシチリアにおける巨大ワイングループを形成
1985年には全生産量の約40%がアメリカ、ドイツ、イギリス等に輸出され、1990年以降更なる飛躍を遂げていきます。2001年にはアマレット等のリキュールメーカーを擁する「イルヴァサロンノグループ」の一員となり、2003年には同グループ傘下にあったシチリア・マルサラ酒メーカー「フローリオ」を統合し、シチリアにおける巨大ワイングループを形成し、シチリアの経済基盤の構築に貢献しています。

シチリア神話から名づけられた「コルヴォ シリーズ」
ワイナリーの代表的なワイン、コルヴォロッソはラベルにも記載されている通り、1824年創業時から販売されているベストセラーワインです。コルヴォという名前には、その昔、ブドウ畑にやってきた一羽のカラスが毎日うるさく鳴いて人々が困っていた時、動物と話が出来る修道僧が静かにしてくれるよう頼んだところ、コルヴォ(カラス)の名前を忘れず大切にするなら二度と邪魔しないと約束してくれたというシチリアの神話から名づけられています。

シチリアで初めてネロ ダーヴォラ100%ボトリングされたトップキュヴェ「ドゥーカ エンリコ」

ドゥーカエンリコシチリアで初めてネロ ダーヴォラ100%ボトリングされたトップキュヴェ「ドゥーカ エンリコ」
コルヴォと共にワイナリーの顔となっているのが1984年リリースの「ドゥーカ エンリコ」です。当時まだ国際的知名度がなかったネロ ダーヴォラ種。私たちは、このブドウが将来的にシチリアにおけるブドウ栽培の中心的存在となる事を確信していました。当時ネロ ダーヴォラ100%によるシチリアで初めてボトリングしたワインです。クオリティが高く国際的な評価も高いです。2010年が『ワインエンスージアスト』で94点を獲得しています。

シチリアの概念を覆す様々な挑戦を常に続ける
1987年には長期熟成も可能な白「ビアンカ ディ ヴァルグァルネーラ」をリリースさせます。今でこそシチリアにおいても高品質ワインが増えていますが、今から30年程前でのリリースは「新たなシチリアワインのチャレンジ」として先駆け的存在と言えます。ドゥーカ ディ サラパルータ社は200年における歴史の中でシチリアの概念を覆す様々な挑戦を常に続けています。

世界中で好評を博すカジュアルライン「グリチネ」

ドゥーカ ディ サラパルータ社ベネディッタ ポレッティさん1996年にカジュアルライン「グリチネ」シリーズをスタート
高品質志向ばかりではなく、1996年には新たにカジュアルライン「グリチネ」シリーズをスタートしました。「Easy To Drink」がテーマで産まれました。シチリアワインの特徴であるフレッシュでアロマティックな美味しさが感じられる親しみやすいワインです。普段あまりワインを飲まれない方も楽しんで頂ける飲み心地良いスタイルで、世界中で好評を博しています。

シチリアの歴史的な畑を購入し土壌にあった個性豊かなワイン造り

自社畑地図

ワイン造りにおける歴史的な畑を購入
ドゥーカ ディ サラパルータ社はシチリア各地に広がる畑で採れたブドウを使用していますが、中でも2002年以降に厳選して購入した自社畑はいずれもシチリアのワイン造りの歴史において特に有名な土地です。カンティーナを構えるカステルダッチャの西部に広がる「リシニョーロ」、南部の「スオール マルケーサ」、東部エトナ山北部地区パッソピッシャーロに広がる「ヴァヤシンディ」です。これらの畑にはそれぞれの土壌にあったブドウでワイン造りを行っています。

土壌に合った最良のブドウで造る
8ヘクタールを所有する西部「リシニョーロ」では砂地が多く、マルサラにも近い立地から、マルサラに適した白ブドウ、グリッロ種100%で白ワイン「カドス」を2001年から造り始めました。104ヘクタールを所有する南部「スオール マルケーサ」では日照りに強く遅熟のブドウであるネロ ダーヴォラ種100%で赤ワイン「パッソ デッレ ムーレ」を2002年からリリース、8.7ヘクタールを所有する東部エトナ山北部「ヴァヤシンディ」ではエトナ山の斜面に広がる火山性土壌で育つネレッロ マスカレーゼ種100%で赤ワイン「ラヴィコ」を2003年からリリースしました。

いずれのブドウもシチリアの土着品種であり、歴史的な畑から産まれる個性豊かなワインとなっています。

リシニョーロ畑、カンティーナで最新鋭設備を導入
各地の畑には最新鋭設備を導入しています。レーザーによるブドウの糖度計測装置(ムルティレックス)を使い、理想的な状態での収穫を可能にしています。収穫後、4度に保たれたトラックに積み込まれ、フレッシュな状態をキープしたまま、パレルモ郊外にあるカステルダッチャのアスプラ醸造所に運ばれます。製造のどの段階においても特徴的な香りや味わい等の重要な要素を損なうことなくブドウを最良の方法で醸造できるよう、カンティーナ内も最新設備を導入しています。

シチリア土着品種とこだわりの製法による本格派スプマンテ

ブリュットのファーストヴィンテージは1971年で当時としては珍しい存在だったシチリアのスプマンテです。フレッシュさ、爽やかさが主体でイキイキとした風味が感じられます。野菜や魚介類を使ったフリットに合わせて楽しむと良いでしょう。
スプマンテ ブリュットNV

試飲
コメント

イキイキとした酸があり、きりっとエレガントな個性をもった見事な出来映え。フレッシュなフルーツとかすかなパンの香り。それらがとっても複雑でありながら、見事なバランスを保っています。6~8℃に程よく冷やして飲むのがベスト。食前酒から前菜、魚介類とよく合います。

ブドウを丸ごと閉じ込めたようなみずみずしいフレッシュ感

グリチネ ビアンコはフェミニンで女性的なワインな特徴を持つワインです。フレッシュさとアロマチックな味わいがあり、すっきりとしていながら心地よい果実味をもっています。グリチネは友人と楽しむワインとして、まさに最適な1本です。
コルヴォ グリチネ ビアンコ2014

試飲
コメント

みずみずしく溌剌としたフルーツのアロマが魅力的で、飲み心地の良いジューシーな果実感のすっきりとした味わいです。良く冷やして飲むと、ブドウを丸ごと閉じ込めたかのような、そのフレッシュさと心地よい風味がより一層楽しめます。是非お試し下さい。

高い品質管理による安定した美味しさと優れたコストパフォーマンスを誇る最強のシチリアデイリー白

コルヴォビアンコは家庭料理と合わせる理想的なワインだと思います。シチリアではスープや豆類、野菜、前菜、魚介料理全般と合わせて楽しみます。8~10度で良く冷やして楽しんで下さい。
コルヴォ ビアンコ2016

試飲
コメント

シチリアの土着品種、インツォリアとグレカニコのブレンド。ブドウ本来のフレッシュな果実味を生かすため、やわらかくプレスした果汁から造られます。フルーティーで爽やかなすっきりとした飲み心地。地中海をイメージさせるニュアンスいっぱいでシチリアワインを飲む醍醐味を味わえます。

白い花の香りと豊かなボディ!土着品種グリッロで造るエレガントな白

カドスは旨みが確りとした味わいで果実の厚みと綺麗な酸、上品な余韻が特徴です。特に甲殻類や白身肉料理にとても相性が良いです。
カドス グリッロ2015

試飲
コメント

花のように軽やかで、涼しげなミネラルにかすかにバニラを感じる複雑なニュアンスが感じられます。味わいは瑞々しく豊かで、ベルベットのようになめらか。しっかりした骨格を持ちつつも、洗練されていて長い余韻が感じれます。

樽発酵、樽熟成のクリーミーで飲み応えある力強い味わい

1987年が初ヴィンテージです。年産12000本と生産量も少なく、熟成が可能な骨格の確りとした白ワインです。杏やバターを感じさせるリッチな風味、果実感、酸も豊かで樽のニュアンスがバランス良く調和し、優雅さと円やかさ、長い余韻が特徴です。
ビアンカ ディ ヴァルグァルネーラ2011

試飲
コメント

完熟した果実のアロマとバニラやバターのニュアンス。程よい酸があり味わいのバランスがしっかりしているので飲み心地が良く、不思議に飲み飽きない美味しさ。力強く飲みごたえのある白が欲しい時にオススメです。

テーブルを華やかに彩る美しいバラ色

1968年にリリースし、現在も大人気のロゼワインです。確りとしたボディですが、イキイキとしたフレッシュな味わいがあります。確りとした前菜、魚、白身肉料理とも相性が良いです。先日和食でタケノコの天ぷら合わせましたが、とても相性が良かったです。
コルヴォ ロゼ2015

試飲
コメント

1000円台で定評のあるシチリアロゼワイン、「コルヴォ ロゼ」。幅広く料理と合わせやすい使い勝手の良いワインです。確りとした味わいがありながらイキイキとしたミネラルと酸を持つ実にクリアーな味わいです。

ついついグラスが進むフルーティーでやわらかな飲み心地

1994年にリリースしたグリチネ ビアンコに続き、2009年に満を持してリリースしたのがグリチネロッソになります。シチリアの土着品種であるフラッパートとネロダーヴォラをブレンドしたバランスの良さがあります。厚い時期には軽く冷やして飲んでも美味しいです。
コルヴォ グリチネ ロッソ2014

試飲
コメント

若飲みに適しているフラッパート種にネロダーヴォラをブレンドして近代的でフレッシュな味わいに仕上げています。紫がかった輝きのあるルビー色。凝縮感があり、心地のよいフルーツ、マラスカチェリーやバラの香り。バランスがよく、イキイキとしたフルーティーな味わいがあります。

シチリアワインの代名詞「コルヴォ」高い品質管理による安定した美味しさと優れたコストパフォーマンスを誇る最強のシチリアデイリー赤

コルヴォ ロッソは1824年がファーストヴィンテージのワイナリー創業時から続く看板ワインです。シチリア中東部のアグリジェント県、カルタニッセッタ県のブドウが使われます。ネロダーヴォラにネレッロマスカレーゼがブレンドされています。
コルヴォ ロッソ2014

試飲
コメント

ネロダーヴォラを主体にネレッロマスカレーゼをブレンド。果実味いっぱいの心地よい凝縮感、スパイシーなニュアンスが全体を引き締め、複雑味を感じます。甘さを感じる濃密さもあってすき焼きや肉じゃがなどとも相性がよく、毎日の食卓にも気軽に合わせられる、最強のデイリーシチリア赤ワインです。

豊かな果実味、上品なタンニン、透明感ある余韻モダンで上品なネロダーヴォラ

パッソ デッレ ムーレは年間15万本の生産量で赤い赤い果実の溌剌とした香りにしっかりと芯のある豊かな味わいがあり、ネロダーヴォラの特徴を良く表現しています。
パッソ デッレ ムーレ2014

試飲
コメント

濃厚で深いルビー色。マラスカチェリーやラズベリー、スパイス、バニラなどの香りがあいまった、かぐわしい香り。ベルベットのようなまろやかな口当たりで、豊かに広がる味わいには上品なタンニンが感じられる。しっかりとした骨格と心地よいアフターが秀逸です。

初のネロダーヴォラ100%赤!シチリアワインの偉大さを世界に知らしめたドゥーカ ディ サラパルータのフラッグシップ

初リリースは1984年、シチリアで初めてネロダーヴォラ100%で造ったワインです。それまでは他の地域のワインに濃厚な色味をプラスするためのブレンド専用品種だったネロダーヴォラをドゥーカ ディ サラパルータのエノロゴが単一品種でのワイン造りを決意、長期熟成にふさわしい力強いワインを造りあげました。
ドゥーカ エンリコ2010

試飲
コメント

熟した果実やスパイス、トーストしたような香ばしいアロマ。濃密感に満ちた力強い味わい、凝縮感はありますが口当たりはまろやかでバランスが取れています。しっかりとしたタンニンがエレガントにとけこんでいて、心地よい樽香とともに長い余韻へと続きます。

インタビューを終えて

今回いらしたベネデッタさんは元々、北イタリアロンバルディアのアマレットメーカー、イルヴァグループの出身とのこと。2007年からワイナリーで働いているそうです。

「同じイタリアでも北(ロンバルディア)と南(シチリア)で環境が違いますが印象はどうですか?」と聞いたところ、

「ロンバルディアとシチリアはどちらも美しい州。自然に恵まれて仕事が出来る事を誇りに思います」と答えてくれました。
(ベネデッタさんはワイナリーに入る前、イタリアの国立公園や自然保護区で研究活動をしていたそうです。)

ドゥーカ ディ サラパルータ社のラインナップを試飲した後、

「私たちのワイナリーはコルヴォロッソからドゥーカエンリコまで様々なバリエーションのワインがありますが、それぞれ一本一本に対してコンセプトが明確に定まっています。友人と楽しむ軽やかなワインから国際的な評価の高いワインまで。シチリアの太陽がワインをエレガントで心地よいものにしてくれます。自然が豊かなシチリアだからこそ、これだけのラインナップが出来るのです」

「昨日は日本のお寿司を私たちのワインを合わせました。私たちが過ごすシチリアと同じく、日本も魚がとても美味しいですね。私たちが造るワインと和食はとても良いコンビネーションでしたよ。」

自然をこよなく愛するベネデッタさんらしいシチリアの魅力と、和食とのワインの相性をとびっきりの笑顔で話してくれました。
ドゥーカ ディ サラパルータ社ベネディッタ ポレッティ氏とトスカニースタッフ

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