突撃インタビュー
2017/11/02
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チャッチ ピッコロミニ ダラゴナ社 ニコレッタ ナフィさん
エレガントブルネッロ最高峰!『ジェームズサックリング』100点満点で大注目!「チャッチピッコロミニダラゴナ」
ピッコロミニ家とチャッチ家の婚姻により新たに産まれた「チャッチ ピッコロミニ」
モンタルチーノ中心地から南へ10キロ程進んだカステルヌオーヴォ デッラ バーテ
チャッチ ピッコロミニ ダラゴナにはとても長い歴史があります。15世紀、後のピオエネア ピッコロミニ ローマ法王2世が近く住んでいた歴史があります。この地はモンタルチーノ中心地から南へ10キロ程進んだカステルヌオーヴォ デッラ バーテで、ピオエネア ローマ法王2世は法王になった後、ローマに移り住みました。ピオエネア ローマ法王2世が住まわれていた住居は後に修道院として利用されてきました。
ピッコロミニ家とチャッチ家の婚姻により新たに産まれた「チャッチ ピッコロミニ」
1920年、アルベルト ピッコロミニがこのエリアの土地を相続し、ブドウとオリーブを栽培し、ワインとオリーブオイルを造り始めます。1925年、アルベルトが当時のローマ法王の姪っ子にあたるエッダ チャッチと恋に落ちたのですが、チャッチ家があまり小さな農家だった為に、ピッコロミニ家から大反発を受ける事になりました。アルベルトは家族の反対を押し切り、エッダ チャッチと結婚し、所有している荘園を二人の名前を取り「チャッチ ピッコロミニ」と名付けました。その名前に最後にアルベルトが訪れた大好きなスペインの街「アラゴナ」加えました。あくまでチャッチ家とピッコロミニ家とは違うという事を示す為に造りだした名前なのです。
自転車レース「ジロデイタリア」チャンピオン、パオロ ビアンキーニがワイナリーを引き継ぐ
結婚してワインを造っていく事を決めていたのですが、5年後にアルベルトが亡くなってしまい、妻のエッダが一人残されてしまいました。当時50歳のエッダには自分一人でワインを造る知識やテクニックが無い為に、畑とワイン造りの全てを、長らく農民として仕事をしていたジュゼッペ ビアンキーニ氏に相続する事にしました。300ヘクタールの荘園とモンタルチーノ中心部と所有するエリアに建てられた65もの邸宅をもビアンキーニ氏に譲る事にしました。
ここで興味深い話があるのですが、ジュゼッペがエッダから全てを相続し終えたのが1985年の2月8日、エッダが亡くなったのも1985年2月8日、後にジュゼッペが亡くなったのも2004年の2月8日だったのです。偶然なのかもしれませんがとても強い結びつきでジュゼッペとチャッチピッコロミニは繋がれていたという事が言えます。2月8日は私たちにとって、とても大切な日となっています。
自転車レースジロ デ イタリアのチャンピオン、パオロ ビアンキーニがワイナリーを引き継ぐ
2004年、当主ジュゼッペの死後、チャッチ ピッコロミニ ダラゴナはジュゼッペの息子であるパオロ ビアンキーニが引き継ぐ事になりました。彼らビアンキーニ家もとても歴史のある家系なのですが、今もチャッチピッコロミニダラゴナの名前を変えずに、伝統と歴史を守りワイン造りを受け継いでいます。
パオロ ビアンキーニは元々プロの自転車選手で、ワイナリーを引き継ぐ為にそのキャリアを2004年にやめてしまったのです。過去にはジロ デ イタリアにも出場した程の名選手で、80年代にはチャンピオンにまで上り詰めた素晴らしい選手です。自転車の世界で名を馳せたパオロにとって、キャリアをリタイアし、ワイナリーを選ぶことはきっと難しい選択だったことと思います。
ジロ デ イタリア限定ラベルもリリース
今でもパオロはワイン造りと同様に自転車への情熱もあり、毎年自転車に関わるイベントを行ったり、Tシャツを造ったりとか、限定でボトルのエチケットを自転車に関わるデザインを造ったりしています。ワイナリー内の建物には一棟丸ごと自転車が飾られた納屋があり、ジロ デ イタリアを走った自転車が飾られています。
2010年にリリースしたブルネッロはジロ デ イタリアで優勝したチームのピンク色のシャツになぞらい、ラベルデザインは勿論、外箱までピンク色のブルネッロ2005年を限定リリースするほどです。ワイナリーにとってみたら、かなり挑戦的な選択でしたね(笑)。
チャッチ ピッコロミニ ダラゴナが当初からやっている事を引き継ぐ事が大切
パオロの考え方は「何か新しい事をするというよりは、チャッチ ピッコロミニ ダラゴナが当初からやっている事を引き継ぐ事が大切で、それを目標としている」という事です。
大ベテランエノロゴ「パオロ バガジーニ」
父のジュゼッペが亡くなりパオロがワイナリーを引き継ぐのですが、自転車にのめり込んでいたパオロはワイン造りをしたことがありませんでした。当初は畑仕事から本当にワイン造りのスタートから貪欲に学びました。パオロの妹ルチアはワイナリーでオフィスワークをしていて、兄弟でワイナリーを支えています。パオロの3人の息子もカンティーナの仕事を手伝い始めています。エノロゴはパオロ バガジーニ氏で父ジュゼッペがワイン造りを始めた時からチャッチピッコロミニダラゴナで働いてくれています。もう80歳をこえる大ベテランですよ。
良年しか造らない単一畑キュヴェ「ピアンロッソ」
良年しか造らない単一畑キュヴェ「ピアンロッソ」
最初にカンティーナとして使っていた建物には地下15メートルには熟成庫があります。そこでは良年のみしか造らないピアンロッソリゼルヴァのみを熟成しています。(ブルネッロ)リゼルヴァは5年以上の樽熟成が規定されていますが、このカンティーナで素晴らしい熟成を行う事が出来ます。ピアンロッソは単一畑で、私たちが所有する畑の中で一番古いものとなります。ピアンロッソは素晴らしい年のみボトリングします。それ以外の年はノーマルのブルネッロ用のブドウに使われます。
「赤い土の土壌」ピアンロッソ
ピアンロッソの名の通り、畑は「赤い土の土壌」となっています。オルチャ川に面した一番近い場所にある畑です。過去にボトリングしたのは2001、2004、2006、2007、2010、2012年をボトリングしています。次は2015年を予定しています。2016年も良い年だったのですが、2015年が良すぎたのであえてボトリングしませんでした。
サンジョヴェーゼの生育に非常に適した環境
その他のワインは2004年に新たに建てたカンティーナで熟成を行っています。こちらのカンティーナでは伝統的なスロヴェニア産の大樽も、バリック樽もあります。サンジョヴェーゼに対してはバリックは使わず、大樽のみを使います。私たち所有している畑は計50ヘクタールになります。粘土に石、砂がミックスされた土壌です。ワイナリーのあるモンタルチーノの南東部はおよそ標高150メートルです。モンタルチーノ中心部になると標高600メートルにもなる場所もあります。南東部の境界線部にはオルチャ川が流れています。オルチャ川の良い影響を受けて私たちのワインは造られています。
畑の近くに川が流れているので湿度、昼夜の寒暖差も十分にあります。サンジョヴェーゼの生育に非常に適した環境であり、メルローやカベルネソーヴィニョンといった国際品種にも適した場所であると言えます。チャッチ ピッコロミニ ダラゴナは約280あるブルネッロ生産者の中で35番目の大きさで、面積では中堅ワイナリーと言ったところでしょうか。
同じモンタルチーノといっても場所によって気候は異なる
同じモンタルチーノといっても場所によって気候は異なります。私が住んでいるのはモンタルチーノ北部で標高600メートルの場所にあります。朝起きたらジャケットを着て南東部にあるカンティーナに向かうのですが、南東部のカンティーナに着いた時には既に5度も温度差があるので、上着は脱いでしまう程です。
歴史的生産者が多くブドウが自然と良い状態へ向かっていくという素晴らしいテロワール
Q. 南東部カステルヌオーヴォ デッラ バーテは後のローマ法王が住まわれていたエリアということですがモンタルチーノの中でも古いエリアですか?
歴史的生産者が多くブドウが自然と良い状態へ向かっていくという素晴らしいテロワール
このエリアはブルネッロの歴史的生産者が多いエリアです。北部行くと比較的新しい生産者が多いです。南東部はサンジョヴェーゼを植えるのに適した環境があるので、皆さんこのエリアの畑を買いたがっているのですが、もうほとんど新しい畑が無いので、新規生産者はモンタルチーノ北部の方に畑を求めに行きます。
サンジョヴェーゼ栽培に適しているということは、畑への処置やケアが少なくて済むという事も言えます。サンジョヴェーゼは畑の標高が高すぎると、(ブドウに)キチンと手をかけてあげないと育ちにくいという事も起きます。そうした事もあり、南東部に畑を求める生産者が多いのではないでしょうか。ブドウ栽培自体、手のかかるものですが、私達の畑のある場所では、ブドウが自然と良い状態へ向かっていくという素晴らしいテロワールに恵まれています。
Q.カンティーナも畑も、全てカステル ヌオーヴォ デッラ バーテにあるのですか?
昔から続くこのテリトリーの味わいをワインに反映
はい、すべてカステル ヌオーヴォ デッラ バーテに集約されています。所有する畑、カンティーナが近くに全て集約されているブルネッロの生産者はあまりいません。
以前に北部のモンタルチーノに畑を買う話が出たのですが、私達は好みませんでした。何故なら、昔から続くこのテリトリーの味わいをワインに反映する事が大切であると考えていたので、同じブルネッロエリアと言っても異なるエリアでブドウ栽培をしようとは考えていなかったからです。出来上がるワインの香り、骨格、味わいというものを全て同じく造っていきたいと思っています。
カンティーナから降りていくと直ぐピアンロッソの畑があり、その周辺がチャッチ ピッコロミニ ダラゴナの畑となっています。ブドウ畑の近くにはオリーブ畑もあり、ワイン同様、大切なものとしてオリーブオイルも造っています。
カンティーナで一粒一粒、手作業でブドウを選別する
ワイナリーで生産される全てのワインを合計すると約20万本程です。その全てのワインの根底にあるのが、「全て手作業にこだわる」ということです。収穫は勿論の事、ブドウの選別を一粒一粒、手でセレクションする事が非常に大切だと思っています。収穫時期は1カ月間に渡って40名のスタッフと働くわけですが、私達のカンティーナでは昔からずっと、男性が手作業で収穫したブドウを、女性がカンティーナの中で一粒一粒手作業で選別するスタイルでやっています。家族でもそうですが、細やかな作業は女性の方がきっと真面目でしょうから。向いていると思います(笑)。
例年の約40%減ながら素晴らしい成果を収めた2012年
ブルネッロのなれるようなパーフェクトなブドウをロッソ、IGTに廻して造った2010年
収獲の時に粒の状態を確認します。3つ籠をもって、ブルネッロ、ロッソ、IGTに分けていきます。カンティーナでも厳選してブドウをセレクションしていきます。もし素晴らしいヴィンテージで、良質なブドウばかり採れた時ですが、ブルネッロには収量制限の取り決めがあるので、自然とロッソ、IGTにも良質のブドウが廻っていく事になります。2010年は正にそのような素晴らしい作柄の年でした。ブルネッロのなれるようなパーフェクトなブドウをロッソ、IGTに廻して造った年でした。今試飲している2015ヴィンテージのIGTがすごく美味しいので、これから先リリースされる2015ヴィンテージのブルネッロ、現在発売されているロッソ2015も非常に期待が持てると言えるでしょう。
Q.暑かった2012年の収量は例年に比べどれくらいですか?
例年の約40%減だけれども素晴らしい成果を収めました
例年の約40%落ちてしまいました。ただ皆様は素晴らしい成果を収めたヴィンテージと知ってるので、需要に対して供給量がもの凄く少ないという事です。イタリア国内でいつも私たちのワインを2万本買って下さる酒屋さんに2012ヴィンテージは6000本しか納品できませんでした。リクエストがあるという事はすごく嬉しいことなのですが・・・来年2018年には2013年のブルネッロ、2012年のリゼルヴァ(4000本のみ生産)をリリースする予定です。今から楽しみしていて下さいね。
ブルネッロと同じ畑のブドウを使用した目を見張る優雅さ!優しく包み込むようなエレガンスに満ちた極上IGTロッソ
ブルネッロを彷彿させる優雅な骨格と調和の取れたスタイル成功を収めた2015年極上ロッソ
(ブルネッロと言われても遜色ない豊かな香りと味わいがありました)
試飲
コメント
チェリーや、スグリ、スミレの花のブルネッロを彷彿させる香りがあります。飲むと、非常にエレガントで滑らかな飲み口があり、調和の取れた美しさを感じます。チャッチ ピッコロミニ ダラゴナらしい、果実の豊かさと酸味の美しさがしっかりと感じられます。スマートなボディながらも味わいも豊かで、ブルネッロと言っても遜色の無い味わいが広がります。
傑出したバランスと美しさを誇るチャッチピッコロミニのブルネッロ
試飲
コメント
濃密で複雑。凝縮された味わいの中にある心地よい旨味と酸味。コストパフォーマンスに優れた最高峰の個性派ブルネッロ ディ モンタルチーノです。3年間スラヴォニア産の大樽で熟成。濃密な味わいの中に旨味と酸味がしっかりと感じられ、程よくとけこんだタンニンとともに、最高のバランスを造っています。
偉大な余韻、洗練されたボディ、フィネス、美しさを全て備えた良年のみ生産希少ブルネッロ
試飲
コメント
複雑で凝縮された味わいの芯にある美しいミネラルと酸。香りからも複雑性がしっかりと感じられ、堂々たる風格。既にバランスが良く、現時点でも楽しめますが、出来ればあと5年は寝かせたいワイン。強さとエレガンスの調和。相反する要素が見事に溶け合う素晴らしいヴィンテージです。
エレガンスブルネッロ「チャッチピッコロミニ」のテロワールから産まれた優美なカベルネとメルローのブレンド「アテオ」
試飲
コメント
豊かなルビーレッドの色調です。赤や黒のベリーにハーブやミネラルが綺麗に溶け込んだ洗練された清らかさがあります。ボルゲリで造られるような濃密なボディの赤ではなく、エレガンスとミネラル、軽やかさが主張する、モンタルチーノのテロワールがしっかりと感じられる味わいが魅力的です。チャッチピッコロミニらしい綺麗な酸があるので、様々な料理と合わせやすいです。
熟成しても楽しめるエレガントシラー
試飲
コメント
濃密さと滑らかな舌触り。分厚い果実感がありますが、酸とミネラルがボディを支えているので、野暮ったさがなく、丸みがあり、エレガント。確りしたお肉料理と合わせたい。熟成したものはビターチョコレートやカカオを使った焼き菓子とも楽しみたい。
インタビューを終えて
ロッソ2015の味わいはまるでブルネッロ。完成度が高くエレガンスに満ちています。今飲むなら、ブルネッロ2012よりもロッソ2015に軍配が上がりそうです。ブルネッロは流石の風格。秘めたる複雑な要素があり、開いた時の素晴らしさは現時点からでも想像できる程で、ゆっくりと寝かせて特別な時に飲みたいですね。
最後にブルネッロ協会の規定について聞いたら、ブドウ栽培、ワイン醸造は勿論、ボトルの持ち方、決まった位置でキャップシールを切る事、ワインの注ぎ方までブルネッロ協会が定めた模範的サービス方法が細かく記されているそう。「その規定を全て数えたら恐らく1000は超えますよ」というから驚きです。「公式なブルネッロの試飲会では必ず行っていますが、ワイナリーに訪れた方にサービスする時等、そこまでやらない生産者の方が多いですね」と教えてくれました。ワインに関わる全ての行為にブルネッロの歴史とブランドの強さを感じさせるエピソードでした。
果実の豊かさと上品な酸味が癖になりそうなエレガンスと旨みに満ちたチャッチ ピッコロミニダラゴナ。多くの方に是非おススメしたいワインです。
試飲
コメント
チェリーやサクランボ、プルーンが混じる心地よく熟した果実香にハーブやミネラルの涼し気なニュアンスがキレイに重なります。厚みがありながらもしなやかで滑らかな舌触りでタンニンも非常に細やか。果実味、酸味、渋味のバランスが非常に良く、開けたてから楽しめます。上質なバランスを壊さないように静かにグラスに注ぐと、3000円級のロッソにも負けないデリケートなタッチの優美さ、滑らかさが楽しめます。黙って飲んだら1000円台とは思えない味わいの豊かさがあります。ワイナリーも「お家で飲むワインで迷ったらこれです!」と勧める程で一番デリケートかつ親しみやすいワインです。