突撃インタビュー
2017/05/17
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ブローリア社 フィリッポ ブローリア氏
G20サミット2013でサービス!早飲みの概念を覆し世界のVIPに愛される長期熟成ガヴィ「ブローリア」
1972年創業。3代続く家族経営によるワイン造り
1972年にガヴィ村の「ラ メイラーナ」を購入
1972年に当時テキスタイル会社を運営していた祖父ブルーノ ブローリアがガヴィ村にあるエディリオ ラッジョ伯爵が所有するエステート「ラ メイラーナ」を購入した事から始まります。
家族経営によるブレないワイン造り
現在は3代目である従弟のブルーノ、兄、私の家族経営でカンティーナを運営しています。父ピエロは双子です。私の父は祖父の意志を引き継ぎ、ワイン造りに専念しています。叔父は引き続きテキスタイルの会社を経営していますがワイナリーのすぐ近くに住んでいます。カンティーナとの交流も多くワイナリーの事も深く理解しています。従弟であるブルーノはヨーロッパ全般を担当し、兄はアメリカ、私は主にアジア、東欧エリアを担当しています。イタリア国内は3人で分担しています。
国際的に認知されるイタリアを代表する白ワイン「ガヴィ」
ガヴィはイタリアワインの中で良い白ワインの位置づけとしての歴史を重ねて来ました。ピエモンテの白ワインとしては1番の評価を得ており、国際的にも、「イタリアを代表する白」として良く認知されています。
赤ワイン産地にリグーリアの貴族が持ち込んだ食文化により見直された「白ワイン」の存在
ピエモンテは赤ワインの産地として有名ですが、この地に白ブドウ再認識されるきっかけはリグーリア州との深い繋がりがあります。海に面したリグーリア州は港町ジェノヴァを中心に一大海洋王国を築いた歴史がありました。当時のジェノヴァの貴族や富豪が、バカンスを過ごす為、別荘地を求めてピエモンテの土地を購入していました。
注目された白ブドウ「コルテーゼ種」
ピエモンテで食す料理と共に、彼らが通常リグーリアで食べていたシーフードや地中海料理の食文化もこの地に持ち込みました。その食事に合う白ワインを造るという事で、元々この地に植えられていたコルテーゼ種に着目したされています。今でも1600年代のジェノヴァの貴族たちが築いたヴィッラや建物が今でも点在していて、彼らが新たに白ブドウを植えた当時の歴史をしのばせています。
DOCGガヴィに認められた11ある村の中でも「最高」とされるガヴィ村で最大規模の畑を所有
ガヴィがDOCに認められた時1974年、時を同じくしてブローリアの初ヴィンテージとなりました。ガヴィの品種であるコルテーゼ種をメインに栽培、醸造をしています。ガヴィとは同じピエモンテにある「バローロ」、「バルバレスコ」と同じく、良いワインが産まれる村の名前がワイン名となっています。コルテーゼ種で造られるワインの中でガヴィ村から一番良いワインが産まれたので、ガヴィという名前が付けられた歴史があります。DOCGガヴィに認められた11ある村の中でも「最高」とされるガヴィ村にカンティーナと畑があります。ガヴィ村は約50軒の生産者がいますが、ブローリアは最大規模の65ヘクタールの畑を所有し、生産量は年間65万本を造ります。
972年の公文書に残るガヴィ最古のエステート「ラ メイラーナ」
「ラ メイラーナ」はブローリア社のフラッグシップワインになります。「ラ メイラーナ」はブローリアが所有する歴史あるエステートから付けられています。ジェノヴァに残る972年6月3日付けで作成された借地権のやり取りの公文書の中に「このメイラーナという地のジェノヴァ教会所有のブドウ畑とクリ林が司教により課税された」と記述が残っており、ブローリアのエステートはガヴィの歴史の発祥の地であるということがわかります。
1000年以上の歴史を持つガヴィで最古のエステートとして名声を得ています。ですので、ブローリアにとって一番大切なエステートであると共に、ガヴィにおける歴史的財産でもあります。ガヴィ協会でも972年をガヴィの記念碑的な年として「972年に誕生したガヴィ」として世界中に配信しています。
『ワインスペクテーター』でピエモンテの宝石として表紙を飾る
樹齢35年でステンレスタンクのみの醗酵、熟成させることでコルテーゼの品種の持つミネラル感が良く引き出されています。ブローリア社の30年来のエノロゴであるドナート ラナーティ氏が招聘される前は樽も使っていましたが、彼がエノロゴ就任した1983年以降はステンレスンタンクのみで醸造をしています。2年ほど前に「ラ メイラーナ」が『ワインスペクテーター』誌の「ピエモンテの宝石」としてバローロ2本と共に唯一白で表紙を飾りました。2016年の『ラ メイラーナ』は『ワインスペクテーター』で90点を獲得しています。ワイン評論家ブルースサンダーソン氏はイタリアTOP3白ワインに「ラ メイラーナ」を挙げています。クラシックなスタイルで塩味が感じられる味わいでフルーティなアロマが特徴です。和食にも非常に良く合います。
1989年に新たに植樹した限定キュヴェ「ヴィッラブローリア」
「ヴィッラ ブローリア」は私が産まれた年1989年に新たに植樹したコルテーゼ種で造られた単一畑の限定キュヴェです。「2歳違いの兄が産まれた時はこんなイベントはなかったみたいですね(笑)」。畑はラメイラーナから南に2キロ程離れた南東向きの素晴らしいテロワールにあります。醸造方法は「ラ メイラーナ」と全く同じですが、「ヴィッラ ブローリア」はより粘土質が強い土壌であり、味わいにもより強いコクが表れます。2015ヴィンテージが『デカンター』誌のイタリアTOP3白ワインに選出されています。
収量は一般的なガヴィの半分以下!希少な長期熟成型トップキュヴェ「ブルーノ ブローリア」
南向きの通常のDOCGガヴィでは1ヘクタール当たり9.5トンの収量ですが、「ブルーノ ブローリア」では、半分以下の1ヘクタール当たり4トンにまで落としています。他のブローリアのワイン比べあえて1年遅らせてリリースしています。酸とミネラルが際立った特徴があり、残糖度もリットル当たり1グラムととても少ない辛口です。またブルーノブローリアの持つ酸が高いことから長期熟成に向いた造りになっています。白ワインで長期熟成に耐えるものを探そうとすると(特にイタリア)、なかなか見つけづらいものです。私たちのワインは確りと長期熟成が可能なワインとして誇りを持っています。
私達は30年近く長期熟成型のガヴィを造ってきました。一般的なガヴィのイメージだとフレッシュで早飲みスタイルの物が多いですが、このように長期熟成させて市場にリリースするガヴィはこのエリア全体でも2、3社程しかありません。
G20サミット2013でサービスされた2009年も!最高峰ガヴィ「ブルーノ ブローリア」2007~2014比較テイスティング
いよいよ最高峰「ブルーノ ブローリア」のオールドヴィンテージ2014、2011、2010、2009、2007の順に比較試飲していきたいと思います」(オールドヴィンテージのテイスティングは、まずフィリッポさんにそれぞれのワインの状態をしてもらい、飲む順番を決めてもらいました)
ヴィンテージの個性が見事に感じられる貴重なオールドヴィンテージガヴィ
(比較して味わいの違いに驚かされ、その旨さと存在感ある深みに圧倒されました!)
2014年:ブドウの持つ骨格と酸が綺麗に出た長期熟成可能なヴィンテージ
天候に恵まれなかったヴィンテージですが、エノロゴのドナーティ氏とスタッフにより、ブドウの持つ骨格と酸が綺麗に出ています。長期熟成も可能な酸が確りと感じられます。
2011年:果実の深い味わいが確りと感じられるドライで力強いスタイル
ガヴィの特徴が良く出たヴィンテージでミネラル、火打石の特徴が感じられます。まだまだ若々しく、果実の深い味わいが確りと感じられる、ドライで力強いスタイルです。
2010年:滑らかで持続性のある素晴らしい味わい
7年前のヴィンテージですが、確りとしたボディ、バランスが良くエレガントで力強い味わいです。果実のアロマにスグリやサンブーカ等が重なる複雑性もあります。滑らかで持続性のある素晴らしい味わいです。
2009年:2013年G20サミットでも使用されたストラクチャーの確りとしたガヴィ
2009年は近年で一番のヴィンテージです。2013年ロシアのサンクトペテルブルグで行われたG20サミットでサービスされました。イタリアの白としては初めての快挙で、オバマ大統領、メルケル首相、安倍首相などに振舞われました。
実は選出された情報は前もって知らされていなくてG20サミット後、伊エンリコ レッタ首相のツイッターで「私はイタリア人で良かった。ガヴィが選ばれた」と発信した事で、何も知らされていなかったガヴィ村の生産者は2週間位大騒ぎになりましたね。「どのガヴィが選ばれたんだろう?」って(笑)。ロシアのエージェントを通じて調べたところ、使用されたワインが2009年のブルーノ ブローリアと分かりました。ストラクチャーの確りとした味わいで熟した旨みとミネラルの心地よさが交錯する素晴らしいスケール感があります。
2007年:10年以上経ちながらも古めかしさを感じさせないミネラルと酸に富むガヴィ
10年経っていますが、古めかしさを感じさせない素晴らしい味わいとなっています。2009年と同様に傑出した出来映えです。これだけ古いヴィンテージでありながら、ミネラルと酸に富むガヴィの特徴がぼやける事無く確りと感じられます。オールドヴィンテージのワインは特に保存状態がカギとなります。ワインは「いきもの」なので温度を急に上げたりすると、酸化を進めてしまうので、特に管理には気を配っています。昨日は浅草の焼き鳥屋でガヴィを合わせてみましたが、特に塩やチーズを使ったものと相性が良かったです。
ガヴィの名門ブローリアがコルテーゼ100%で造る細やかな泡立ちのスプマンテ
1000年の歴史を誇るガヴィ最古の畑「ラ メイラーナ」キレと深みを備えた伝統的味わい
試飲
コメント
緑がかったイエローの色調です。リンゴや白桃のフレッシュでフルーティーな果実香に清らかなミネラルが寄り添います。飲むと酸の爽やかなタッチがありながらも、果実の深み、中盤から余韻にかけてアーモンドを思わせる風味が広がります。終始一貫締まったミネラルがボディを支えていて、キレと深みを備えた味わいの豊かさがあります。クラシックなスタイルのガヴィが持つ綺麗なミネラルと酸味の特徴が味わえます。
厚みのある果実の旨みとミネラルが絶妙に重なる自社畑の限定キュヴェ「ヴィッラ ブローリア」
試飲
コメント
(試飲ヴィンテージは2015年)白い花のフローラルなニュアンスにリンゴ、西洋梨の果実香に蜜のニュアンスが綺麗に重なります。果実の豊かさにイキイキとした酸とミネラル、アーモンドのニュアンスが絶妙に重なります。中盤から厚みのある果実の旨みが確りと感じられるヴィッラ ブローリアの味わい豊かなテロワールが楽しめる一本です。同じ品種で同じ醸造方法の「ラ メイラーナ」と飲み比べるとそのテロワール違いに驚かされます。魚を使った料理や、ローストや軽く焼いた魚料理等と相性が良いです。
凛々しい酸とミネラルの美しさと目を見張る果実の深み!名門ブローリア最高峰ガヴィ2014年
試飲
コメント
2014年は繊細な花と果実のブーケが溶け合う上質な香りに、透明感あるミネラルのニュアンスが重なり、実に美しい調和を成しています。凛々しい酸とミネラルに支えられた無駄のない美しいボディ、混じりっ気のない純度の高い果実の深み、堂々とした存在感を放っていますが、ブドウのフレッシュなアロマがあり、開けたてから実に魅力的な姿を魅せてくれます。時間が経つにつれ、ミネラルと果実の深みはより表現力を増していき、品種こそ違えども、抜栓2日後には、まるで一流のブルゴーニュのような高貴さが漂い始めます。一般的ガヴィの果実レベルを圧倒的に超える深い味わいで、イタリア白における最高峰レベルの優美さを備えてきます。是非5~10年熟成させてみて下さい。
時間の経過とともにめくるめく変化を楽しめる最高峰長期熟成ガヴィ!端正で深くキレのある味わいの2011年
試飲
コメント
2011年はフローラルな白い花とカリンや西洋梨を思わせる熟した果実のブーケに、石灰、ミネラルの厚み、ほんのりと白コショウを思わせるスパイシーさも感じられます。非常に締まったボディに、厚みのある果実味、溢れんばかりのミネラル、しなるように伸びる酸の旨みがギュギュっと詰まったスタイルで一本筋の通った硬質な味わいに驚かされます。抜栓3日後、改めて試飲しましたが、石灰やスパイシーなニュアンスで隠れていた果実の厚み、ボディの強さが感じられるようになりました。まるでブルゴーニュ、シャサーニュ モンラッシェを彷彿させる端正で深いキレとコクを持つインパクトがありました。時間の経過とともにめくるめく変化を楽しめる2011年です
並外れた熟成能力を持つ「ブルーノ ブローリア」2010年!
試飲
コメント
2010年はフローラルな白い花と西洋梨を思わせる果実のブーケに、石灰、サンブーカ、ミネラルの厚み、スパイシーさも感じられます。スケール感のある豊かな果実味を豊かなミネラルと酸がギュッと引き締め、余韻に塩味を感じる凝縮した味わいのスタイルです。7年経った現時点でも、まだ発展する伸びしろを感じさせる状態で、2010年が並外れた熟成能力を備えている事に気づかされます。1週間後に改めて試飲しました。ようやく、石灰やミネラルのニュアンスがほどけて、純度の高い果実味が感じられるようになりました。これには正直驚かされました。ボディを支える酸はまだまだ元気そのもの。「ブルーノ ブローリア」はやはり別格のガヴィであると、再認識させられました。是非熟成させてその真価を試してみたくなる1本です。
G20サミット2013でサービス!冴え渡る美しい飲み心地と上質の深みと凝縮感の2009年
試飲
コメント
2009年は熟したカリンや洋梨の心地良いフルーツ香に凛々しいミネラルと白いバラの上品さ、奥底に感じる上質のハニーシロップの甘美なニュアンスが綺麗に重なります。美しく熟した液体はスマートありながら凝縮した旨味が感じられます。エレガントな酸とミネラルが織り成す美しいシェイプがこのワインをワンランクもツーランクも上質の飲み心地へと導いてくれます。長期熟成により、ようやくその実力を見せ始めた感があります。余韻も繊細でいて深く、アルコールの嫌味は皆無でしなやかに長く余韻が口中に残ります。これほど熟成能力があり、レベルの高い繊細なガヴィは他にあまり経験がありません。カニやホタテといった上質の甘みとミネラルを持つ魚介類と抜群の相性派手さではなく、あくまで質の高い旨味、熟成によるふくよかさと心地良い酸が交錯する深い味わいは、和食や割烹料理にとても向いているワインと言えます。
今まさに飲み頃2007年!ガヴィの常識を覆す素晴らしい熟成の風味
試飲
コメント
2007年はやや濃い目の麦わら色です。カリンや西洋梨を思わせる熟した果実のブーケに、石灰、ミネラルの厚み、ほんのりと白コショウを思わせるスパイシーさも感じられます。締まったボディに、厚みのある果実味、屋台骨を成す太いミネラル、しなるように伸びる酸の旨みが詰まったスタイルです。フレッシュで早飲みのイメージが強いガヴィですが、ブルーノ ブローリアの2007年はまるで、熟成で花開いたブルゴーニュのような清らかな深みとキレを持つインパクトがありました。時間の経過とともにめくるめく変化を楽しめるブルーノ ブローリアの2007年は10年の時を経て今まさに飲み頃を迎えています。
インタビューを終えて
これらの古いヴィンテージの白ワインをこれから求めるとなると、かなり大変ですが、ブローリア社はヴィンテージワインを複数揃えていて、買う方としたらとても良心的なワイナリーとも思いました。
特筆すべきは惚れ惚れしそうな程のコンディションの良さ。ガヴィと言えば、ついついフレッシュ&フルーティーなイメージで一括りにしてしまいがちですが、「ブルーノ ブローリア」のガヴィは別格。輝かしいオーラを放つまさに教科書的存在の長期熟成ワインです。
フィリッポ氏は「カンティーナには現在1987年~ストックがあります。先日飲んだ1987年がとても良かった」と嬉しそうに話してくれました。これ程熟成に期待できる出来る白ワインはそうは存在しないと思います。ワイン好きなら是非一度試して頂きたい生産者です!ブローリアのワインを飲むと「イタリア白ワインの最高峰にいる生産者」の風格がきっと感じられると思います。
試飲
コメント
DOCGガヴィの格付けを持つスプマンテです。明度の高い緑がかったイエローの色調です。グリーンアップルや白桃、ミネラルの涼しげな香りが印象的です。飲むと、キメの細やかな上品な泡立ちとフレッシュな果実味、ガヴィ特有の心地よい酸味が綺麗に溶け合い、バランスの取れた透明感ある味わいです。食前酒、前菜、魚料理、白身肉料理と好相性です。サービス温度は8度で良く冷やしてお楽しみ下さい。