TUSCANY イタリアワインとグルメ食材の店
Interview

突撃インタビュー

2021/6/25

カルロ イズナルディ氏 Mr. Carlo Isnardi、マッダレーナ クラヴェンナさん Ms. Maddalena Clavenna

一流料理人を虜にする希少オリーブオイル!海と山に挟まれたリグーリアの高い標高の斜面地で条件がそろって初めて造られる「ビアンカルド」の造り手アルドイノ突撃インタビュー

カルロ イズナルディ氏
一流シェフが重宝する幻のオリーブオイル「ビアンカルド」を生産するアルドイノ。アルドイノは、高品質なオリーブオイルとオリーブ製品のメーカーとして古くからリグーリアの人々に知られてきました。現在でも小規模ながらその名前は世界に知れ渡っています。そんなアルドイノのオーナー、カルロ イズナルディ氏に2005年6月以来、2度目となるインタビューの機会をいただき、2016年より5年ぶりのリリースとなった「ビアンカルド」について、オンラインでお話を伺いました。

リグーリア独特の地形を生かし、かつ条件が整って初めて造られる唯一無二の希少オイル「ビアンカルド」

アルドイノが高品質を担保できる優良年のみ生産する幻のオリーブオイル「ビアンカルド」
アルドイノのオリーブビアンカルドに使用されるタジャスカ種は、リグーリアで栽培されるオリーブの99%を占めると言われるほど地元に根付いた土着品種です。リグーリア特有の海と山に囲まれ、標高600~700メートルの高い丘で栽培されています。一般のオリーブが11月頃に収穫されるのに対し、2月~3月頃まで熟成期間を要します。冬の間もずっと木の上で成熟したタジャスカは、濃い黒色になり、とても柔らかく指で押すだけでオイルが抽出できるほどになります。

2月~3月頃までゆっくり熟すことで生まれるデリケートで上質な味わい
アルドイノ収穫オーナーのカルロ氏は、一般のオリーブよりも収穫が3~4か月も遅れる理由をこう語ります。
「ビアンカルドの最大の特徴でもある、“フルーティーで繊細な香り。甘みがありなめらかで上質なデリケートな味わい”を生み出すためには、じっくりと熟していく必要があるんです。これだけ熟すのが遅いタジャスカは他にはなく、これがビアンカルドの特徴でもある柔らかい味わいを生んでいます」

2016年以来、5年ぶりのリリースとなったビアンカルドは、毎年11月中旬に生産の見通しを立てますが、「今年も生産は難しそうだ」と断念することも多いようです。なぜなら、上記のように熟成期間が長いことから、気候変動に左右される時期が他のオリーブより長く、オリーブの実に悪影響を及ぼす可能性が高いためです。たとえば、収穫前に一度強風が吹いて実が落ちてしまえば、当然ビアンカルドは作れません。

良い気候条件が重なり、デリケートで上質な味わいを引き出せるタジャスカができた年のみ生産されるため、次はいつ造られるのかわかりません。2016年以来、5年ぶりのリリースとなり幻のオリーブオイルと評されるのも頷けます。ビアンカルドとフルクトゥス

星付きレストランや一流シェフから愛用されるそのワケ
~食材と調和して素材の良さを際立たせる繊細でまろやかな味わい~

幻のオリーブオイルこと、ビアンカルドはイタリアをはじめ、フランス、ドイツ、オランダ、スイス、アメリカなど世界各国に輸出されています。一流シェフからも評価が高いことで知られ、以下のような星付きレストランや高級ホテルからも重宝されています。

●5つ星ホテルのレストラン
「La Voile d’Or St Jean Cap Ferrat」(フランス/ニース)

●4つ星ホテルのレストラン
「La Vague」(フランス/ヴァンス)

●シャトー マルキ ド テルムのレストランのシェフ
「Au Marquis de Terme」
Grégory Coutanceau氏(フランス/マルゴー)

●リグーリアの魚料理をベースにしたレストラン
「Il Fico Trentacareghe」(イタリア/レーリチ)

●老舗エピスリー
「Maison Arosteguy」(フランス/ビアリッツ)

世界的なシェフやホテルから重宝されるというビアンカルドの味わいやペアリングについてお聞きしました。
ビアンカルドQ. ビアンカルドの味わいの特徴を教えてください
「リグーリアのオイルは甘みやフルーティーさを感じる味わいが特徴です。プーリアを代表するような苦みを感じるオイルや、濃い緑色で力強い香りを持つオイルとは対極にあります。ビアンカルドは、少しだけ“白い”んです。本当に白いわけではないですが、他のオイルと比べるとジャッロキアロ(明るい黄色)になります」

Q. 多くの一流シェフから愛用されていると聞きました。本当ですか?
「それは結果的にわかったことなのですが、たしかに私たちのオイルは、星付きレストランや一流のシェフからの注文があります。ビアンカルドが持つ“繊細さ”と“まろやかさ”が、デリケートな料理と非常に調和し、食材が持つ本来の味を引き立てる。それが一流料理人から重宝される理由なのでしょう」

Q. ビアンカルドと相性の良い料理を教えてください
「魚料理全般ですね。焼き魚、蒸し魚、何でも合います。イタリアでは生のズッキーニを薄切りにして食べるのですが、それにかけても非常に美味しいです。温野菜もいいですね」

Q. 日本食はどうでしょうか
「繊細な日本食にはぴったりだと思います。刺身というよりはカルパッチョがいいですね。薄切りにした食材にコショウやミントを添えると、それぞれの味わいがより引き立ちます」

弊社トスカニーで試食。フルーティで繊細な香り、デリケートでまろやかな味わいに驚愕!
実際に試食してみると、とにかく繊細な味わい深さに驚きます。舌触りの良い感覚が口の中にゆっくり広がっていき、とてもまろやかで甘みがあります。フルーティで柔らかい味わいの後には仄かなハーブも感じました。合わせる食材として「生のホタテがよさそう!」、「茹でた根菜やブロッコリーもいい!」、「ジェノヴェーゼペーストに使いたい」と盛り上がりました。

ホタテが持つ繊細かつ濃厚な旨味と甘味が、ビアンカルドの繊細な味わい深さと甘みが調和すると思います。ほんの少しのワサビを添えることで、ビアンカルドが持つ仄かなハーブ感と足並みを揃えることもできます。茹でた根菜(ニンジンやカブなど)やブロッコリーは、ホタテ同様に食材が持つ甘みと、ビアンカルドが持つ甘みの相乗効果で味が際立ちます。また、それに少量の塩を加えることで、さらに甘みが引き立てられ、味わいがぐんと深まること間違いなしです。

イズナルディとアルドイノが歩んできた歴史

本社イズナルディイズナルディ家の創業は1908年に始まります。当時第一次世界大戦の影響で、貧困がはびこり十分な栄養を摂ることができない人が大勢いました。イズナルディは、健康維持を促進するために、リグーリアやピエモンテの家々を回り、毎日使うオリーブオイルにビタミン類などの薬を混ぜて販売していました。その後、1940年代になり、会社をオイル製造会社と薬品製造会社に分けます。そして、1990年には薬品の会社をフランス企業に売却し、以降オリーブオイルメーカーに専心しました。

一方で、アルドイノは1870年リグーリア州インペリアに創業。高品質なオリーブオイルとオリーブ製品を造るメーカーとして古くから人々に知られています。1970年頃に今の高品質オイルが確立され、高級レストランにオイルの販売をスタートさせます。しかし、当時のオーナーが高齢のために病を患い、存続が危ぶまれていました。そこで、親しくしていた、また、同じように熱心にオリーブオイルを作ってきたイズナルディ家に事業の継承を託します。これが1992年のことです。以降、イズナルディ社のアルドイノブランドとして、数々の高品質なオリーブオイルを輩出しています。

インタビューを終えて

5年ぶりのリリースとなったビアンカルド。いつもはイタリアをはじめ、各国のレストランから注文が殺到するはずが、新型コロナウイルスの影響で休業を余儀なくされていたため、飲食店からの注文が、従来よりかなり少なかったそうです。そのため、今年は日本に多くのビアンカルドが上陸するという大変幸運なことが起こっています。しかし、言い換えれば、来年以降ビアンカルドが日本に多く入ってくる保証はない、ということです。お話しいただいたように、気候次第で生産される保証もありません。今年の入荷は幻です。そんな1年に一度あるかないかの幻のオリーブオイル、ビアンカルドをぜひお楽しみください。
カルロ イズナルディ氏と

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