TUSCANY イタリアワインとグルメ食材の店
Interview

突撃インタビュー

2011/11/24

アンセルミ社 ロベルトアンセルミ氏

ソアヴェを愛するが故、革命児と言われるロベルトアンセルミ氏 訪日インタビュー

ロベルトアンセルミ氏と記念写真
ソアヴェの名前を捨て、自らのスタイルを貫くロベルトアンセルミ氏がこのたび来日!幸運にも単独でインタビューをさせていただくことができました。さらに、アンセルミはイタリアソムリエ協会の「2011年度イタリア・ヴェネト州最優秀ワイナリー」を受賞!これまでの数々の栄誉に加えて、また新しい評価が加わったことになります!

親日家のアンセルミ氏、トスカニーのイタリアワインの品ぞろえにびっくり

アンセルミ氏については、これまで、ワイン雑誌などでは何度も見てきたことがありますが、改めて言うまでもなくイタリアを代表する偉大な造り手の一人であり、しかもソアヴェの反逆児的な、ちょっと怖そうなイメージがあったのですが、直接お会いするととても気さくで冗談も言うやさしい紳士。細身で背がとても高くって、「頭の固い頑固なオヤジ(?)」という勝手なイメージはいい意味で見事に裏切られました。25年前に初来日されて以来、日本へはもう10回以上来られているそうで、礼儀正しいし、サービスはいいし、態度は気持ちいいと、こんな国は他にはありません、と、日本をとても気に入っていらっしゃる様子です。

インタビューの前に、インターネットでのワイン販売について、軽く説明させていただきました。日本全国に配送していること、数日以内には配達できていることなどをお話しすると「イタリアではありえない」と、感心されたご様子。トスカニーで取り扱っているワインが約2000種類以上あることについてもびっくりされていました。

品質は法律で造るものではない、造り手の気持ち、マインドが造るんです

トスカニー:今年の収穫はもう終わられたんですよね?

アンセルミ氏:はい、8月17日から始まって、10月22日に終わりました。収穫時期としては特に早かったわけではありません。今年は糖度や酸の具合も非常に満足のいく結果となっています。2010年も良かったですが、2011年はそれよりもさらに良くなっています。

トスカニー:それでは、まず簡単にアンセルミというワイナリーについてお話しいただけますか?

アンセルミ社のブドウ畑アンセルミ氏:私の息子たちの代で4世代目になります。70haの畑をソアヴェ地区に所有しています。畑は、標高200~350mの丘陵地にあって、グイヨ式かコルドーネスペロナート方式で栽培しています。平野部のソアヴェの造り手たちが採用しているペルゴラ方式はやりません。私の畑は1haあたり5000~8000株のブドウ樹を植えていますが、1本当たり10kgのワインとなります。つまり、1haあたり100ヘクトリットルです。ペルゴラ方式だと1haあたりにそんなに多くのブドウ樹を植えずに多くの房を収穫することができます。

アンセルミ氏:イタリアのワイン法の規定では1haあたりの収量を規定していますが、1本当たりの収量に規定はありません。つまり、1本のブドウ樹からどれだけの房を残そうが関係ないのです。私の畑では1本当たりせいぜい5房ですが、ペルゴラ方式は倍以上収穫することができるのです。この2者の品質の差は明らかですよね。でも、ソアヴェDOCはペルゴラ方式を許しています。こうしてソアヴェ全体の品質が下がってしまったんです。私がソアヴェDOCを名乗ることをやめたのもそれが理由です。品質は法律で造るものではない、造り手の気持ち、マインドが造るんです。

ソアヴェを名乗ることをやめて新たな味わいを追求

トスカニー:ソアヴェを名乗ることをやめてから、なにか変りましたか?

アンセルミ氏:土着品種をより最重要視しています。ソアヴェDOCの規定ではガルガネガ以外にシャルドネ、ピノビアンコ、トレッビアーノディソアヴェを使うことができ、ガルガネガは畑の70%以上を占めなければならない、とされています。でも、ワインの中の70%以上、ではないのです。私はガルガネガを70%以上使うようにしています。それとは別に、ガルガネガ以外の品種も使って、新しい味を造ることにも取り組んでいます。シャルドネやソーヴィニョン、リースリングなどを入れることでガルガネガに複雑味を加えることができています。

ロベルトアンセルミ氏トスカニー:ソアヴェDOCに残って、ソアヴェを改革しようとは思われなかったのでしょうか

アンセルミ氏:収量の規定についてはもちろん言い続けました。でも、想像以上にソアヴェ協会は自分たちの利益を守ることに固執しているのです。今、ソアヴェの中では利益を守ろうとする人たちと、ソアヴェの品質向上に取り組んでいる人たちとで意見が割れているのも事実です。私は協会が悪いとは言いませんが、こんなに広大なエリアで造られるワインをひとつの規定でくくってしまうことが問題だと思います。ペルゴラ方式で造っているものを、PIANURA DI SOAVE(平野部のソアヴェ)と、今のソアヴェとは別のDOCにしてしまったりすればいいんです。でも、こういうことをずっと言い続けましたが協会は結局変わりません。

ソアヴェを捨てたアンセルミは実は一番ソアヴェを大切にしている造り手

イタリアの白ワインの中でもっとも有名になったソアヴェ。そのために品質がおろそかになってしまったことで自らソアヴェを捨ててしまうアンセルミ氏は、実は一番ソアヴェを大切にしてきた人なんだと感じました。ソアヴェを名乗ることをやめてから困ったことはなかったか聞いてみると「なにもないですよ」と明快な返事。自分のワインの品質を信じ、さらにそれを高める努力を続けているからこそ言い切れることなのだと思います。たったひとりでソアヴェと決別する道を選んだアンセルミ氏のなみなみならぬ熱い気持ちを聞いて、ますますアンセルミのワインが飲みたくなってきました!

将来的には全世界的に一切の添加物を使わなくなるだろう

同日続いて行われた、レストラン(ソムリエ)、及び酒販店向けにセミナーではヴィノデラパーチェの内藤ソムリエからワインの印象についての質問がありました。

内藤ソムリエ:年々、ワインがきれいになってきているように思うのですが、その秘密はなんでしょうか。

アンセルミ氏:畑のケアと手摘みの収穫。そして収穫した房を最大の配慮を持って醸造所に運ぶこと。さらに房を搾るときも空気に触れさせないように徹底的に管理します。化学薬品はもちろん使いませんし、SO2もボトリングの際にほんの少し加えるだけでほとんど使っていません。搾った後に果皮と一緒に寝かせるシュールリーを行っていますが、これも実は酸化防止の役目を果たしているんです。

内藤ソムリエ:自然派ワインについてはどうお考えでしょうか

アンセルミ氏:将来的には全世界的に一切の添加物を使わなくなると思います。私は先ほども言いましたが化学薬品は使っていません。

内藤ソムリエ:2つの畑「フォスカリーノ」と「カピテルクローチェ」の違いを教えて下さい。

醸造所の樽アンセルミ氏:フォスカリーノはもともと火山だったところの畑で、ガルガネガのピュアなイメージを生かしてステンレスタンクのみで醸造します。カピテルクローチェはもともとが海でした。石灰質で、アンモナイトや魚の化石が混ざっている土壌です。ミネラルが豊富でボリューム感を生かし、フレンチオークで発酵、熟成させています。

インタビューを終えて

今回、アンセルミ氏のお話をお聞きしながらベーシックラインのサンヴィンチェンツォ、フォスカリーノ、カピテルクローチェを試飲。ピュアで透明感と清潔感にあふれたボトルデザインそのままにワインもとてもクリーンな印象を受けました。フレッシュで芳醇な果実味のサンヴィンチェンツォは、酸化が最大の敵ということで、2012年春以降はスクリューキャップにてリリース予定。完全に空気を遮断することで、サンヴィンチェンツォのフレッシュさを完璧に維持できるということで、とても満足そうでした。

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