TUSCANY イタリアワインとグルメ食材の店
Interview

突撃インタビュー

2015/4/9

アンドレア オベルト社 ファビオ オベルト氏 Mr.Fabio Oberto

モダンバローロの旗手アンドレア オベルトのこれからを担う2代目ファビオ氏へインタビュー

ファビオ氏と
バローロの産地ラモッラ村に1978年に創業したアンドレア オベルトは、ピエモンテでいち早くバリックを導入した造り手です。その流れでバローロボーイズの中心的存在となり、モダンバローロの造り手として知られてきました。ピエモンテの土着品種、ドルチェット、バルベーラ、ネッビオーロにこだわり、ラモッラ村とバローロ村に所有する畑で赤ワインだけを造っています。父アンドレア氏とともにワイン造りを担い始めている息子のファビオ氏からアンドレアオベルトのこれからのワインについてお話を聞きました。

祖父が購入した3haの畑から始まったアンドレア オベルト

アンドレア オベルトの歴史は1959年に私の祖父がラ モッラ村に3haの小さな農園を購入したことから始まりました。当時はブドウ畑だけでなく、牛などの家畜もかっていました。1978年に祖父が亡くなり父が後を継いだのですが、その時は副業的な感じでした。しばらくしてワイン造りに本腰を入れるようになり、畑も増やしていって今は16haの畑からワインを造っています。

畑はラモッラ村とバローロ村にあります。それ以外ロエロのエリアでバルベーラも造っています。栽培しているのはドルチェット、バルベーラ、ネッビオーロというピエモンテの土着品種で、赤ワインだけしか造っていません。3枚の畑の写真

ピエモンテでいち早くバリックを導入。バルベーラ、そしてバローロへ

バリック父アンドレアは、ピエモンテで最初にバリックを使い始めたひとりです。1951年に植樹した古い畑「ジャーダ」に育つバルベーラに初めてバリックを使ったのが1988年です。昔からバルベーラはピエモンテの人々にとって低価でポピュラーなブドウで、一番人気があるのですが、「安いなりのワイン」というイメージでした。20~25年ぐらい前になって、高品質のバルベーラを造ろうという新しい考え方を持つ造り手が出てきたのです。父もそのひとりでした。バルベーラ特有の酸味をバリックで熟成させることで抑えるとともにタンニンをプラスする。そうすることでよりエレガントで長期熟成も可能なバルベーラができあがったのです。

バローロにもバリックを導入しました。大樽でゆっくり熟成させて造るのがバローロの伝統的な醸造方法ですが、父はフレンチオークバリックを取り入れ、早く飲み頃になるモダンで濃厚なバローロを造りました。

バリックから伝統的大樽へ

アンドレア氏とファビオ氏私がワイナリーの仕事を始めるようになったのが1998年、18歳の時です。今は、醸造所での仕事を主に任されています。バリックに対する考え方は父と私は違っていて、私はバローロはバリックで熟成するのではなく、大樽熟成がベストだと考えてい ます。2000年にバローロ ブルナーテで初めて大樽を使いました。2006年に16HLの大樽を購入し、毎年少しずつ増やしていってます。もっとも、今もバリックが350個ほどあるのに対して、大樽は9個しかありませんが。

大樽熟成の方がエレガントな味わいとなります。昔は力強くモダンな味わいが好まれていましたが、今は違います。父にはなかなか受け入れてもらえませんが、出来上がったバローロを見て、少しずつ納得してもらっています。

ドルチェットのストレートな果実味が落ち着いた味わいの中に感じられる

「ドルチェット」と言う名前から甘いワインを想像する人も多いのですが(イタリア語でドルチェ=甘い)、辛口の赤ワインです。一般的に早くから楽しめるワインに造られ、だいたい5~6年ぐらいのうちに飲んでしまうワインです。

2012年はとてもいい年でした。今、イタリアでは2014年ヴィンテージが飲まれていますが、ここで2012年を飲むと逆に新鮮ですね。いい感じに熟成が進み、若いドルチェットにはあまり感じられない、落ち着いた味わいになっています。
ドルチェット ダルバ2012

試飲
コメント

フルーティーで、ストレートな果実味が印象的。酸もしっかりあるが熟成感もあってバランスが取れている。

バルベーラらしい果実味と酸が樽熟成によるボディと調和

これはベーシックなバルベーラです。比較的若い樹齢の畑のバルベーラをブレンドして造っています。一部バリック(旧樽)で熟成させています。
バルベーラ ダルバ2011

試飲
コメント

バルベーラらしい酸がしっかりと感じられ、熟成感とボディのあるバランスのとれた美味しさ。

1951年に植樹された古樹バルベーラ。バリックをいち早く用いた歴史的ワイン

このバルベーラが先ほどお話しした、バリックを最初に使ったワインです。1951年に植樹した古樹バルベーラで、1988年にバリックで熟成してクリュバルベーラとしてリリースしました。すべて新樽を使っています。
バルベーラ ダルバ ジャーダ2011

試飲
コメント

新樽らしい甘いアタックとこなれたタンニン。濃密感があり、味わいが豊かで広がりがある。

樹齢が若くバローロにはまだ早いネッビオーロで造るベイビーバローロ

畑はラモッラ村の、バローロ認定区域にありますが、樹齢が若くてバローロにはまだ早いネッビオーロで造っています。これで樹齢8~10年ぐらいです。バローロには最低10~15年の樹齢にならないと使えません。熟成は大部分ステンレスで10%だけオーク樽を使っています。
ランゲネッビオーロ2013

試飲
コメント

イキイキとした心地よい果実味。タンニンは驚くほどスムーズでなめらかで飲みやすい。

バリックと大樽の両方を取り入れ、モダンな口当たりとエレガントな余韻を表現

2009年は暑い夏でしたがとてもいい年です。ワインジャーナリストの人たちは2010年が最高の年で2009年はそこまで評価は高くないですが、このバローロは今飲み頃で、とてもいい状態です。逆に、2008や2010は飲み頃になるのに少し時間がかかってますね。熟成はバリックと大樽、両方使っています。
バローロ2009

試飲
コメント

アタックは濃密で甘みを感じるモダンな印象。飲み進めると旨みを感じ、フィニッシュはとてもエレンガント。

焦げたニュアンスが印象的なボリューム感のあるクリュバローロ

バローロ村の単一畑アルバレッラのネッビオーロで造るクリュバローロです。この畑はカンヌビの畑の隣に位置していて、土壌構成も似ていて、粘度と石灰分が半々です。熟成は24ヶ月間大樽(新樽)で行います。

今日はありませんが、ロッケの畑があるラ モッラ村は砂質がメインです。そのため、バローロ村のものがフルボディで早く飲み頃になるバローロになるのに対し、ラモッラ村はエレガントで長熟タイプのバローロになります。
バローロ ヴィニェート アルバレッラ2009

試飲
コメント

焦げた樽の風味が印象的。とても力強くてリッチな味わい。黒糖のような後味。そのボリュームに圧倒されながらもバランスが良く、心地よく飲める。

インタビューを終えて

バローロボーイズの旗手として知られるアンドレア オベルトですが、今回試飲してみるとモダンな印象はやや抑えめで、とても落ち着きのあるエレガントな味わいのバローロだと感じました。偉大な父が築いてきたワイナリーを受け継ぐプレッシャーを感じながらも、自分の考えをワインに表現しようとするファビオさんの思いを感じました。

「多くの人が熟成して飲み頃になる前のバローロを飲んでいるのがとても残念。本来のバローロの美味しさを味わってもらうにはもう少し時間をおいてもらいたいですね」とファビオさん。今飲むなら2004か2005がおすすめとのこと。今飲んでも充分に美味しいのですが、熟成を重ねたバローロの美味しさは格別。この2009もあと数年寝かせてぜひ味わってみたいものです。
集合写真

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