TUSCANY イタリアワインとグルメ食材の店
Interview

突撃インタビュー

2019/10/24

アッコルネーロ社 クリスチャン マダレナ氏

バローロ、バルバレスコより古いピエモンテの歴史的銘醸地「モンフェラート」発祥のブドウ品種「グリニョリーノ」の代表的存在!樹齢70年超の古木よる既成概念を覆す品格と深み「アッコルネーロ」

アッコルネーロ社 クリスチャン マダレナ氏
バローロ、バルバレスコよりもワイン造りの歴史が古く、ピエモンテ州のワインを語る上で欠かせないエリアがアスティ県北部アレッサンドリアに広がるDOC「モンフェッラート」です。古くは10世紀初頭、十字軍の英雄の一人、モンフェラート侯が統治、王侯貴族に愛されたモンフェッラート発祥のブドウ品種「グリニョリーノ」は現フランシスコ ローマ法王も愛飲する等現代においてもピエモンテの象徴的ワインとして位置付けられています。家族4代に渡って有機農法を貫く「アッコルネーロ」はまさにグリニョリーノの顔と言うべき存在で、樹齢70年超の古木で造る単一畑グリニョリーノ100%「ヴィーニェ ヴェッキエ」はバローロ、バルバレスコに全く引けを取らない深遠で美しい世界観がありモンフェッラートが偉大なワイン産地である事を世界中に知らしめています。輸出部長のクリスチャン マダレナ氏に既成概念を覆す品格と緻密さを持つグリニョリーノの素晴らしさについてお話を聞きました。

中世貴族階級が統治、バローロ、バルバレスコよりも古い歴史的ワイン産地「モンフェラート」

モンフェッラート大ピエモンテ土着品種グリニョリーノ発祥の地「モンフェラート」
アッコルネーロは4世代に亘ってワイン造りを行っているグリニョリーノの伝統的生産者でピエモンテ東部モンフェッラート地区、DOCグリニョリーノ デル モンフェッラート カザレーゼでワイン造りをしています。モンフェッラートはアスティ県とアレッサンドリア県に跨る広域DOCで、丘陵地帯の広がる一大ワイン産地です。ピエモンテ土着品種であるグリニョリーノ発祥の地とされています。

バローロ、バルバレスコよりも歴史が古く中世貴族階級に愛されたワイン
ピエモンテのワインと言えば、先ずバローロ、バルバレスコが思い出されるでしょうね。バローロ、バルバレスコが本格的に注目を集めるのは第二次大戦後の事ですが私達のモンフェッラートエリアは9~12世紀の中世ヨーロッパ時代に貴族階級による統治が行われ、第3回十字軍遠征の通り道となった歴史的に重要なエリアでもあります。

アントニオガッローニ『アントニオ ガッローニ』が絶賛!「宝石のような輝きを放つ」グリニョリーノ
モンフェッラートはバローロ、バルバレスコよりも非常に古い歴史を持つ産地であり、かつグリニョリーノはピエモンテを代表する歴史的土着品種なのです。中世のピエモンテの貴族階級は当然ながらグリニョリーノを愛飲しその記録が残っています。グリニョリーノは中世史と共に歩んできた歴史的ワインであり、現代においてもフランシスコ ローマ法王が愛飲するピエモンテを代表する象徴的ワインとしても知られています。2014年にはワイン評論誌『アントニオ ガッローニ』で私達のスタンダードグリニョリーノ「ブリッコ デル ボスコ」に素晴らしい評価を頂きました。

間違いなく宝石のような輝きを放つワイン
『アントニオガッローニ』(2014年12月)
~『高級ワインラベル信者』の飲み手からは冷笑されるかもしれないが、アッコルネーロのグリニョリーノ ブリッコ デル ボスコ以上のワインに今年は出会ったことが無い。間違いなく宝石のような輝きを放つワインだ。この淡い色調、軽やかなボディを備えたこのワインの美しさは、その素晴らしい香りと新鮮味によるものだ。安価ながら模範的な風味の調和を奏でている。驚くべき芳醇な味わいのリゾットと素晴らしい調和をみせた~

樹齢70年の古木のみが産み出す艶やかさとエレガンス!偉大なグリニョリーノ「ヴィーニェヴェッキエ」

トノー樽
エリオアルターレ、ガヤと並ぶ偉大な評価のキング オブ グリニョリーノ「ヴィーニェ ヴェッキエ」
トップキュヴェのヴィーニェ ヴェッキエは『ビベンダ』最高賞5グラッポリの常連でエリオアルターレやガヤと並ぶ偉大な評価を獲得し続けている「キング オブ グリニョリーノ」です。

ヴィーニェヴェッキエラベル平均樹齢70年超!モンフェッラートで一番古いグリニョリーノを栽培している「アッコルネーロ」
モンフェッラートで一番古いグリニョリーノを栽培しているのは私達アッコルネーロで、平均樹齢70年超、中には80年もの古木も含まれています。1ヘクタールあたり3000キロの厳しい収量制限と40日にも亘る醸し工程、長期熟成を経て初めてリリースされます。ボトリングされない年はスタンダードキュヴェ「ブリッコ デル ボスコ」に使われます。2013年は2000本、2014年は1300本しか造っておらず、その品質の高さは折り紙付きと言えます。

畑大丘陵地帯の斜面に広がる僅か1ヘクタールの畑
ヴィーニェヴェッキエの畑は標高の高い丘陵地帯の斜面にあるモンフェッラートの中でも非常に樹齢の古いグリニョリーノが植えられた砂質土壌主体の単一畑で面積は僅か1ヘクタールです。高樹齢の為、根は2~3メートルも深く伸びていますので、砂質の下部にある粘土質土壌からも栄養分を得る事が出来ます。

収穫後は500リットルのトノー樽で30カ月熟成させます。ブドウの出来によっても異なりますが新樽を使う比率は約50%程です。モンフェッラートでは熟成にトノー樽(500リットル)を伝統的に使っています。特にランゲ(バローロ、バルバレスコ)地区でみられる大樽(1000~3000リットル)はせいぜい50~100年程の歴史ですね。それ以前はピエモンテ全体でもトノー樽が主流だったんです。

20年熟成可能なポテンシャル、トリュフ料理と最高のマリアージュ
ヴィーニェ ヴェッキエは20年熟成可能で、複雑性のある凄みをみせますが、バローロ、バルバレスコと明らかに異なるのは熟成させた時もグリニョリーノ特有の酸味が残る味わいとなります。かつ、しっかりとした厚みがありバローロ、バルバレスコに比べタンニンが攻撃的ではないので、トリュフを使った料理とは最高のマリアージュを楽しむことが出来るワインだと思います。バターとトリュフで味付けしたシンプルなパスタや、鴨肉のソースを使ったショートパスタにトリュフ添えたもの等は若いヴィンテージのヴィーニェ ヴェッキエとも好相性です。

代々守り続けた古木がもたらす他には見当たらない素晴らしい深み

グリニョリーノ戦後の荒廃から歴史的ブドウ「グリニョリーノ」を守る地道な努力
私達のブドウの殆どが樹齢30年以上の古木になります。スタンダードキュヴェ「ブリッコ デル ボスコ」のおいても他の生産者では見られないような30年を超えるグリニョリーノの古木を使っています。

戦後の動乱による貧困問題からこの地の農民たちは家や畑を手放しこの地を去ってしまう等、周辺の畑は荒廃し危機的問題に直面していました。その当時、数多くの見捨てられたグリニョリーノのブドウを私達家族は自分達の畑に移植し大切にそのDNAを守ってきました。戦後の早い段階から、ピエモンテの歴史的ブドウであるグリニョリーノを守る地道な努力を続けてきたおかげで、今も古木を中心としたワイン造りを続けているのです。

Q.スタンダードのワインで樹齢30年以上は凄いですね。バローロだとトップキュヴェやリゼルヴァに値するブドウですね。

インタビュー縦そうですね。モンフェッラートで一番古いグリニョリーノを栽培しているのは私達アッコルネーロですね。他には見当たらない素晴らしい深みのあるワインを産み出す事に大きく寄与しています。しかし、グリニョリーノに関してはまだその特徴がまだまだ発見しきれていない部分があり、私達は常にグリニョリーノの新たな可能性に挑戦し続けてきました。現在もそのチャレンジを続けて、更にグリニョリーノの特徴を引き出そうと試しています。

モンフェッラートで高品質なグリニョリーノ100%でボトリングする生産者はアッコルネーロを含め5~6社程しかありません。また偉大なバローロの生産者であるカヴァロット、マルケージ ディ バローロを始めとしたバローロの6生産者がグリニョリーノに着目し栽培、単一品種でボトリングしている程です。グリニョリーノのポテンシャルはバローロの生産者にもしっかりと評価されていると思います。

1897年創業。4世代に渡る有機農法で栽培される偉大なグリニョリーノ

ワイナリー1897年創業。4世代に渡る家族経営のカンティーナ
北にポー川を臨み、アルプスからの新鮮な風、なだらかな起伏、その素晴らしい環境により何世紀もブドウ栽培とワイン造りの歴史が積み重ねられてきたモンフェッラートで初代バルトロメオ アッコルネーロが1897年に貴族のネグリ家からブドウ園「カ チーマ」を購入したことでブドウ栽培の歴史が始まりました。

その後1960年代にバルトロメオの息子ジューリオらが自社ボトリングを始め、現在は4代目当主エルマーノと2人の娘、フランチェスカとジュリアがワイナリーを運営している家族経営のカンティーナです。

エルマーノアッコルネーロ氏「素晴らしいネッビオーロで高品質なバローロ、バルバレスコを造るように、私達は偉大なグリニョリーノで高品質なワイン造る」
25ヘクタールの畑を所有していてグリニョリーノ、バルベーラ、フレイザを中心に植えています。ネッビオーロは少量造っています。ピエモンテでも数える程の生産者しか造っていないDOCマルヴァージア デル カゾルツォ(甘口赤ワイン)も造っています。畑の広さだけ考えると約10万本の生産規模ですが、私達が実際にボトリングしているのは多い年でも約3万5000本です。半分にも満たない生産量ですが、それは品質の高いブドウのみを厳しくセレクトしているからです。残りの大半はバルク(樽)売りしています。ランゲの生産者が素晴らしいネッビオーロで高品質なバローロ、バルバレスコを造るように、私達は偉大なグリニョリーノで高品質なワイン造りを行っています。

栽培、醸造においても化学的物質、除草剤も使用しない
畑はカンティーナを360度取り囲むように広がっています。カンティーナが直ぐ近くにある事で収穫後、時間をかける事無く、醸造工程に移す事が出来ています。収穫は全て手作業です。ビオディナミ認証は受けていませんが代々有機農法によるブドウ栽培を引き継いでいます。栽培、醸造においても化学的物質、除草剤も使いません。ボルドー液を最低限使うのみです。瓶詰め時にほんの少量のSO2を使う程度に留めています。

『アントニオガッローニ』絶賛グリニョリーノ!既成概念を覆す端正な品格!

高品質なグリニョリーノを単一品種でボトリングする生産者はアッコルネーロを含め5~6社程しかありません。また偉大なバローロの生産者カヴァロット、マルケージディバローロを始めとした6つのバローロ生産者はグリニョリーノを栽培、単一品種でボトリングしている程です。
ブリッコ デル ボスコ グリニョリーノ デル モンフェラート カザレーゼ2017

試飲
コメント

チェリーやサクランボを思わせるような美しい色調、ラズベリーや赤スグリといった果実香に黒胡椒のようなスパイス香と黒トリュフのニュアンスがほんのりと寄り添います。思わず頬も上がる伸びやかな酸と穏やかなタンニンの緻密なバランスがあり、グリニョリーノの既成概念を覆す端正な品格、粗さを微塵も感じさせないタンニン質の素晴らしさがあります。

ビベンダ最高賞常連!樹齢70年超の古木のみが表現できる艶やかさとエレガンス!20年熟成可能な「キング オブ グリニョリーノ」

モンフェッラートで一番古いグリニョリーノを栽培しているのは私達アッコルネーロです。標高の高い丘陵地帯の斜面にあるモンフェッラートの中でも非常に古い砂質土壌主体の単一畑です。面積は僅か1ヘクタールで平均樹齢は70年超え、中には80年を超えるブドウ樹もあります。
ヴィーニェ ヴェッキエ グリニョリーノ デル モンフェラート カザレーゼ2014

試飲
コメント

完熟したラズベリーや黒スグリといった華やかな果実香にバラの花束に奥深い甘美なスパイスのニュアンスが美しい層を成しています。豊かで丸い果実感、非常にきめの細かい滑らかなタンニン質、しっかりした酸味を持ち、力強くも凛とした美しさの相反する要素が見事に溶け合っています。驚く程バランスがとれていますが、時折魅せる内に秘めた力強さがこのワインの素晴らしいポテンシャルを物語っています。偉大なバローロ、バルバレスコと同等クラスの素晴らしい表現力、エレガンスを持つ惚れ惚れするような上品さと深みを纏った完成度の高さをヒシヒシと感じます。是非トリュフ料理と合わせてみたい特別なワインです。

樹齢30年以上古木の深み、しなやかで伸びやかなフレイザの魅力を映し出す品種個性を知るにうってつけのワイン

フレイザは伝統的ピエモンテのブドウ品種でネッビオーロに比べ、比較的暖かい場所を好む品種です。伝統的製法として樽熟成行う生産者もいますが、私達はフレイザのフレッシュさを活かしていきたいと思っているのでステンレスタンクで熟成をしています。
ラ ベルナルディーナ モンフェッラート フレイザ2015

試飲
コメント

イチゴやラズベリーの軽快な果実香にシナモンやナツメグの仄かなスパイスのニュアンスが綺麗に重なります。フレッシュなスタイルですが、古木由来のブドウの深みとハリのある酸味が感じられ、しっかりとした骨格と、人懐っこい深みを形成しています。樹齢30年以上のフレイザをスタンダードクラスで使えるのはアッコルネーロならではの強みであり、品種個性を知るにうってつけのワインです。

インタビューを終えて

ピエモンテのワインとなると、ランゲ地区のバローロ、バルバレスコが真っ先に思い浮かびますが、モンフェッラート地区発祥の土着品種グリニョリーノは中世王侯貴族に愛され、現代においても第226代フランシスコ ローマ法王が愛飲する等、ピエモンテを象徴する歴史的価値ある素晴らしいワインだと改めて再認識しました。

『アントニオガッローニ』もアッコルネーロの「ブリッコ デル ボスコ」を宝石のような輝きを放つワインと絶賛していますが、今回の試飲でそれも頷ける素晴らしい味わい。思わず頬も上がる伸びやかな酸、粗さを微塵も感じさせないタンニン質の上品な美しさはグリニョリーノの既成概念を覆す端正な品格があり、しみじみと胸を打つ清楚な味わいが印象的でした。

ガヤ、エリオアルターレと共に『ビベンダ』最高賞の常連、樹齢70年超のトップキュヴェ「ヴィーニェヴェッキエ」は偉大なバローロ、バルバレスコに全く引けを取らない深遠で美しい世界観。(バローロ、バルバレスコに比べ)タンニンが攻撃的ではないので、トリュフを使った料理とは最高のマリアージュを楽しむことが出来るワイン」と話してくれたマダレナ氏。素材を生かす繊細で上品なマリアージュが楽しめそうです。

「バローロやバルバレスコは勿論リスペクトしていますが、私達は歴史あるモンフェッラートでワインを造っています」と土地にかける思いも話してくれました。ピエモンテワインを語る上で欠かせないワインだと思います。歴史あるグリニョリーノの魅力に是非触れてみて頂ければと思います。
アッコルネーロ社 クリスチャン マダレナ氏と

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