突撃インタビュー
2005年3月17日 情熱のカリスマイタリアンシェフ今井 寿氏
食を通じて人の絆を大事にしたい!
情熱のカリスマイタリアンシェフ今井 寿氏インタビュー

今回トスカニーのお客様のために 詰め物パスタのソースを教えて下さるということで、 新宿にあるイタリアレストラン‘オステリア イルピッチョーネ’の今井 寿シェフがお忙しい中、お時間を下さいました。
トスカニーで人気の詰め物パスタ、ラビオリやニョッキ。
おいしく頂くためにやはりソース作りもかなり大事。 主婦でもおいしく簡単に作るソースやコツをどうしても知りたくて、自分でも試行錯誤したのち、今井シェフに相談してみました。
2つ返事で、「家庭でのイタリア料理になにかお役にたてるなら、考えて見ますよ」というわけで、この日はとても楽しみにして、新宿のイルピッチョーネを訪ねてきました。 新宿は、新宿文化センターの近くの植栽が美しいお店。
白い調理服と帽子をかぶったシェフ。ご挨拶もそうそうに、厨房に通してくださいました。
1品目は、トルテッローニを使った料理「トルテッローニとソラ豆のスープ仕立て」(ラヴィオリでも可)

「何にも準備してなかったよ〜」
とおっしゃる今井シェフですが、その場で色々考えアレンジされて、あっという間に材料をそろえてしまいました!
今井シェフ:「イタリアにね、スープスパゲッティなんていうものはないけど、ブロードインはあるんだよ。この、トルッテローニの結び目ここを見ていると煮えたか煮えないかわかるんだ。
それと、是非家庭で作るときにこれだけは、実践して欲しいのが、必ず、沸騰しているお湯に入れること。
そして、ゆでるお湯には1%の塩を入れる。この1%というのは、計ってでもそうして欲しい。そのときの塩は、必ず、科学的に生成された食塩じゃなくて、天然塩。これも、伝えてね。

最近、切れて人を気づけたりする子供たちがいるけど、そういう切れるなんていうのは、自然のミネラルの摂取が不足しているからなんていう説もあるほどだからね。特に家庭のお母さんたちには、そういうこと気をつけて調理して欲しいな。
塩化ナトリウムを入れても何にもいいことないからね。必ず、天然塩。(モチアを指差して)これに限るからね。 そして、塩分とりすぎなんていって減塩とかいって味をきちんとつけないのもナンセンス。
必要な塩分はとらないと、人間が体で欲するものなんだから。1%の塩も必ず実践して欲しいな。」

─やつぎ早に語る今井シェフ。
でも、どんどんお料理は進んでいきます。あっという間に、調理完了。

今井シェフ:「これは、胃の悪い人や体の調子の悪い人にとてもいいからね。」

─最後は、トルッテローニの結び目をすべて上向きにそろえて、完成でした。
2品目は‘ニョッキのトマトのクリームソース’(今回、ニョッキとニョッキディヴェルデを混ぜて使用された)料理を作りながら、また、色々と解説して下さいました。
今井シェフ:「ニョッキも沸騰中に入れて、沸騰中にいれるんだよ。」

ニョッキをなべの中で上下させるようにゆでながら今井シェフ。 そして、生クリームを火にかけ、そこに、真っ赤なトマトソースパッサータルスティカを入れられて少し煮詰められる。

今井シェフ:
「パスタはいためるじゃなくて、絡めるです。水分は飛ばして、ソース状にしてね。 4分ゆでたニョッキをその後、フライパンで1分絡める。
ニョッキも、絡めて加熱される時間を計算して、すこし速めにお湯から上げる。 そうしないとアルデンテじゃなくなるからね。
イタリアはカトリックの国でしょ。だから、もともとニョッキは、金曜の断食の日に腹持ちする重いものを食べて1日を我慢してすごすのに作られたんだ。」

トスカニー:「うわ。きれいな、赤みがでて、おいしそうですね。」

今井シェフ:「そう、でも、一番大事なのは、愛情!どんな料理でもコレがなかったら、だめ。 僕は、この愛情がなかったら、栄養価も本来の栄養価がでないと思うよ。だから、家でつくるときも、必ずこの愛情をプラスしてね。」
─3品目は、‘パンツァロッティのゴルゴンゾーラソース バルサミコ風味’

今井シェフ:「ゴルゴンゾーラはね。ドルチェでもピカンテでもいいからね。 あと、松の実じゃなくても、くるみでもピーナッツでもいい。とにかくナッツが合う。あとは絡めるように作るだけ」

─といとも簡単に3品の出来上がり、この間20分と経っていませんでした。本当にすごいスピードです。
しかも、お料理は、レストランで出てもおかしくないほどの仕上がり(もちろん、シェフは、この冷凍パスタをお店では使用していません。今回、トスカニーのために、手本に作ってくださいました)。

トスカニー: 「こんなものが、家でしかも、わずか20分で出てきたら、だんな様たちは、さぞかし驚いちゃうでしょうね」

今井シェフ:「良かったら、もう1品」

‘鴨のローストのレモン風味バルサミコソース'

今井シェフ:「レモンジャムは最後に入れてね。レモンの風味も生きるし、最初から入れるとカラメル化しやすいからね。」
仕上げに鴨のローストにロザーティのオリーブオイルをひとたらし。

今井シェフ:「牛や、豚、鴨なんかにあうよ」
─バルサミコソースのまた、新しいソースを知って、とてもうれしくなりました。(とってもさわやかな味わいでお肉によくあっていました)

調理を終えて、スパークリングを傾けながら、今度は、お店の料理を頂いてきました。

今井シェフ 「つい先日、エミーリャローマーニャとアオスタに行ってきましたよ。しかし本当に、イタリアの野菜はおいしい。」

トスカニー:「うちでも、先日イタリアのブロッコリや、チコリなど、生野菜を扱ったんですが、お客様にイタリア野菜は濃いと大好評でした」

今井シェフ:「そうなんだ。きゅうりがまっすぐ、きゃべつもみんな同じ大きさ。魚は、小骨があったらだめ、皮があったらやだ。なんていいだす日本の食。どうかしてしまっているよね。本来野菜は不ぞろいなものだし、魚に皮があるのは当たりまえ、料理人が、形の不具合があると、無駄が出たり料理しにくいからといっておかしなことを生産者に要求したりしている。形や飾りなど表面的なことばかりに料理がとらわれていて、日本の食をだめにしたのは、僕たち料理人の責任だ。」

─食材を販売している私としても、耳が痛く、販売業者にもその責任があると感じながら伺いました。
トスカニー:「トスカニーでも、フレッシュのポルチーニ茸を扱っていて最初は大変でした。
虫がいるということに対するお客様のクレーム。でも、虫がいることは自然なんですよ。ということをお伝えして、2年目3年目はクレームゼロで販売することができました。」

今井シェフ:「そんなこと、イタリアのメルカートで言ったら、『虫が食っているからうまいんだ』って言われるよ」

トスカニー:「そう、それから、ブラッドオレンジの色、ここ1年気候の関係で色が少し薄い。お客様に、自然の中から生まれる農産物なので、年によって気候によって変わりますということをお伝えしていますが、なかなか大変です。」
パオロさん:「そうね。日本だとすぐに、じゃぁ、着色料入れるかっていうことになるんだよね。でも、それはおかしいよね。 料理人はお客様の健康も考えなくちゃいけない。 できるだけ、減農薬、無農薬なもの、質のいい食。利益ではなくて、安全なものをお出ししないと。 そして、一方では、お客様からカロリーの表示をして欲しいなんていうリクエストも頂戴するけど。 僕は、食事は、憩いの場。楽しんで食べるところだと思うから、あえてカロリー表示はしたくないかな。 そんなこと気にしていたらおいしいものもおいしくなくなってしまう。 そう、そして食は憩いの場だから、『黙って食べろ』なんていう、お店もどうかと思う。 食を通じて、和ができる。そういう絆がきちんとできていると、家庭でもそうだよね。そういう子供たちは人を傷つけたりしないよ。 料理は楽しく、おいしく食べなければ栄養価値は上がらないし、和もうまれてこない。 イタリアを見ればわかる。家族の絆は強いし。村中の人が集まってバールでエスプレッソを飲んだりして和がうまれている。だから僕は、リストランテじゃなくて、オステリアだと思っている。
そう、そして、イタリアの食の背景などもお客様にお伝えできると楽しいよね。
米はイタリアにシチリアから広がったといわれているけれども、実際シチリアに水田跡はない。アラブとの交易によってもたらされたのかとか。 蜂蜜でパンに味付けをした、硬いパン パンフォルテは、農民が農作業をしながら栄養補給できるように作られたとか。 なぜ、ローマで内臓量がいろいろあるかっていうと、昔ローマの貴族が高価な肉を食べてしまった後の、内臓部分をおいしく食べようとした庶民が作り出したとか。 食の背景を知ることは、食べる楽しみを増してくれるよね。」

トスカニー:「今井シェフは、最初フレンチからはじめられて、ドイツ料理から、イタリアンへと進まれた。最近では、あのフレンチの鉄人の坂井シェフに認められて、赤坂のリストランテドンタリアンでシェフもされていらっしゃったとか。フレンチのスピリッツもよくご存知なんですね? 」

今井シェフ:「僕はやっぱり、イタリアンなんだな。フランス料理は、食材を多様にアレンジする、いわば非常にワールドワイドな料理なんだ。でも、イタリアンの本質は、郷土料理。それに徹していきたいんだ。」
 
─梅の実のピクルスに始まり、サルシッチャの生パスタ。スカモルッツァとたんぽぽの葉のサラダ。ズッパディペッシェ(これが絶品。細長いまて貝入りが新鮮)。 牛肉のレモン風味ソース。(添え物のイタリア野菜のフリットもおいしく)
最後に、パンナコッタの原型だというクレマコッタ。(クレームドブリュレとパンナコッタの間?みたいな感じで)エスプレッソにサンブーカをいれるピッシャーサでしめました。
ワインは、スパークリング、白 ロエロアルネイズ、赤バルパンテーナ。合計3本。 すっかり、大満足で帰ってきました。

インタビューを終えて
今回は、お忙しい中、今井シェフの貴重なお時間を頂戴して、本当に有意義な取材となりました。 お話を伺っている途中から、今井シェフのお料理を食べたくてしょうがなくなり。食べてみてまさに、表面的ではない、イタリアンスピリッツにあふれるお料理の数々、非常に中身の濃いものでした。
イタリア的な料理を手ごろに出してくれるお店、気持ちのこもった料理に大満足でした。 和気藹々、イタリアンスピリッツあふれる食事をしたいとき、今井シェフのお店を訪ねられては?と思います。中身のある、満足の行くお料理の数々。そして、シェフの情熱に触れて、幸せな食事をできること間違いなしです。
また、家に戻り、次の日、シェフのおっしゃっていた、1%の塩を入れたお湯でパスタを作ってみました。計って1%の塩(もちろん、シェフオススメのモチア)を入れたのは初めて。
いつになく、きちんとした味をだせ、シンプルな、トマトソースのパスタでしたが、プラス愛情も?普段以上に込めたせいか、大好評でした。

取材協力:オステリア イル・ピッチョーネ
東京都新宿区新宿6−26−2 コーラルビルB1F
TEL 03-3204-6488
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