家具の豆知識

家具のメンテナンス

湿気は禁物

木材は湿気を含むと膨張します。
精巧な造りの家具は、梅雨時などには引出しがかたくなり、内部に湿気が入るのを防ぎます。
しかし、あまりにも湿度が高い部屋では、引出しが開かなくなったり、家具の裏側にカビが生えたりします。
特に、コンクリート造りのマンションなど、最近の住宅は気密性が高いので湿気が溜まりやすい構造になっています。こうした場所では、壁から家具を少し離して設置し、通気性を良くして下さい。
また、晴れた日には窓を開け、時には家具の内部も開けて乾いた空気に触れさせましょう。

必ず水平に設置!

扉に段差がつけば、まず水平を調べて下さい。
扉の閉まりが悪くなったり、引出しがかたくなる原因の大半は、家具の〝ねじれ〟によるものです。
開閉状態が悪いまま長い間使うと、蝶番や取っ手が壊れます。
ほとんどの床は、微妙な傾きや高低があるものです。
もし僅かでも傾いていたら、家具の下に「かいもの」(ベニヤ板など)を敷いて水平になるよう調整して下さい。

家具の上にモノを置く時は…

家具の上に重いものを置かないで下さい。
濡れたままの物や直接熱い物ものせないで下さい。家具は水、熱を嫌います。できるだけ避けましょう。
ゆがみやひび割れの原因にもなります。また、変色をおこすこともあります。
ストーブやクーラーの近くも厳禁です。

テーブルの置き方 (ダイニングテーブル、センターテーブルなど)

■ テーブルの上に直接陶磁器を置かないこと!
陶磁器の底面はヤスリと同じなので、テーブル面に傷をつけたりツヤをなくして美しさを損ねる原因になります。
テーブルクロスやランチョンマットを上手に使いましょう。

■ テーブルクロスはビニール類を避けましょう!
塗装面に直接ビニール類が長時間触れていると、その中に含まれている可塑剤(かぞざい)が塗膜を溶かすことがあります。

■ 熱いものや濡れたままのものを直接置かないで!
突き板張りやムク材使用の天板に直接熱いものや濡れたままの ものをのせないで下さい。
メラミン化粧板以外のテーブルに 直接熱いものを置くと白い跡ができ、ほとんどなおりません。
家具の上に重いものを長時間置かないようにして下さい。ゆがみやそりの元になります。

直射日光を避けて下さい

家具は、強い光に長期間さらされると変色したり、ヒビ割れが生じることがあります。
直射日光があたる場所には家具を置かないで下さい。
無理な場合は、カーテンなどで日光をさえぎりましょう。
また、熱も大敵ですので、ストーブなどで高熱をあてないように注意して下さい。

汚れの手入れ方法

■ 塗装のもの
柔らかい布で乾拭きして下さい。汚れがひどい場合は、うすめた中性洗剤を浸した布で汚れを落とし、その後、乾いた布で拭いて下さい。
ワックスや化学雑巾は使用しないで下さい。塗料が化学反応を起こし、くすみや変色するおそれがあります。

■ 白木のもの ( 桐タンスなど )
柔らかい乾いた布で、軽くホコリや汚れをぬぐうように拭いて下さい。
※水分や油分は禁物です。表面に跡形が残ります。

表面に傷が付いた時

引っかき傷程度の小さなものなら、同色のクレヨンかマジックを塗ると目立たなくなります。
また、クレヨン状の傷隠し専用材も市販されています。
色数が豊富なうえ、使い方も簡単なので大変便利です。

引出しがかたくなった時

湿度が高くて木が膨張した場合と、“ねじれ”による場合があります。
まず、水平に設置してあるか確認して下さい。
僅かでも傾いていたら水平になるよう調整して下さい。
それでもかたい場合は、引出しを抜いて風通しのよい場所で1~2日陰干し、すれ合う部分に固形石鹸か石ロウを塗って下さい。ロウソクのロウでも構いません。
また、サンドペーパーで磨いてみるのも一つの方法です。

カビが生えた時

最近の住宅は、昔の家屋と比べ床下が低く、またアルミサッシの普及などにより部屋が密閉状態に近いことから、湿気が溜まってタンスの裏側などにカビが生えるケースが多くなっています。
また、新築された家の壁にはかなりの水分が含まれており、ある程度乾くまで4~5年は要すると言われています。
特に、コンクリート壁は温度差が生じると結露するので、湿度が低い冬場でもカビが生えることがあります。
こうした部屋では、必ず壁から15~20cm程度離して家具を設置して下さい。
もし、カビが生えた場合は、家庭用カビ取り剤(次亜塩素酸ナトリウム)を水で薄めたものを布に浸して拭き取って下さい。
なお、カビ取り剤の濃度はカビの色により、白っぽいものは濃度を薄く、緑や黒っぽいものは濃度を濃くしてお使い下さい。

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構造と加工

無垢材 ( ムク材 )

「天然木」そのものをいい、天然乾燥、人口乾燥をしています。
「一枚板」のほかにムク材を接着した「集成材」とよばれるものもあります。
天然の質感を活かした高級材。
同じ商品でも木目やフシの位置が違います。

集成材板

細い棒状のムク材を接着剤でつなぎ合わせ板状にしたものをいいます。
天然の質感は一枚板のムク材と変わりません。

フラッシュ構造

棒状の枠材で枠組みしたものを芯材にして、表面素材で挟み込んだものです。
中空で軽いため、扉や収納家 具のパネル、家具の表面に使用されます。

天然木化粧合板(ツキ板)

家具用木材のムク材の中の優れたものを薄いシート状に切り、合板の表面に張り付けたものです。
美しい木目が表現され、天然の素材感や質感が得られます。
北欧家具にもよく使われています。

スターウッド中質繊維板(MDF)

木質繊維を成形したもので廃材などのリサイクル資材を使用。
その密度や繊維の荒さにより呼び方が変わります。
表面がなめらかで硬いので、表面下地材に多く使用されますが、ネジなど何度も締めすぎるとまわりの材質がゆるみ崩れることがあるので注意する必要があります。

ポリエステル樹脂化粧合板

合板そのものに木目などを印刷したチタン紙、または色原紙を貼り、その上にポリエステル樹脂を塗装したものです。表面が硬く丈夫で耐衝撃性に優れ、傷がつきにくく、耐熱性、耐水性があります。

パーティクルボード

木材の小片(ウッドチップ)を乾燥して熱を加え、熱圧で成形した板状のもの。
木材の持つ割れ、節、方向性が無く、寸法も安定しています。
フラッシュ構造の芯材として多く使われます。

ハニカムコア構造

クラフト紙やアルミニウムの薄板などを蜂の巣状にしたサンドイッチパネルを芯材として、両面に合板を貼ったものです。軽量で強度があるため、収納家具の面材や扉材によく使われます。

メラミン樹脂化粧合板

表面の化粧板にメラミン樹脂を浸透させ高圧で芯材と圧着し硬化させた化粧板です。
硬質で耐熱性、耐摩耗性に優れた材質です。
家電収納食器棚用カウンターやシステムキッチンカウンターなどに使用されています。

プリント紙化粧合板

合板に木目などを印刷したシート(紙)や色原紙を貼り、その上に主にアミノアルキド樹脂系の仕上げ塗装を施したものです。同一の色柄や木目での生産が可能。
大量生産によるコストダウンも可能な材質です。
粘着力が強いものを貼り付けると表面が剥がれることがあるので注意します。

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木材の種類

アルダー

別名ハンノキと呼ばれる広葉樹。
木材が柔らかいために容易に加工ができ、家具、ドア、楽器などに用いられます。

ウォールナット

日本で言う胡桃(くるみ)の木。
美しい木肌と狂いの少ない材質で、欧米では古くから 家具材や装飾用材として使用されます。

ハードメープル

カエデ科の落葉広葉樹。辺材は淡い灰白色、心材は灰色を帯びた黄褐色。
重硬で肌目は緻密。加工はやや難しいがつや出し加工で美しく仕上がります。接着性も良いです。

オーク

堅い木材で、木目がはっきりし、特に柾目面にはそれが美しい模様として現れます。
家具やフローリング材、樽の材料として使用されます。

キリ

軽量で湿気を通さず、狂いや割れが少ない木材です。
南部桐、会津桐が有名で、高級家具である婚礼用箪笥などに使用されます。

ケヤキ

日本で重要な広葉樹のひとつ。
磨くと光沢が出て、木目がきれいなのが特徴。狂いも少なく和家具などに使用されます。

ラバーウッド

東南アジアで多く産する木材で、成長が早いので量産しやすい木材です。
柔らかく軽いために加工しやすいのが特徴です。

タモ

美しい杢(年輪や節などの模様)が見られ、弾力性に富む木材であることから、家具だけでなく野球のバット等にも使われています。

ナラ

硬くて比重も重い木材で、狂いも少なく柾目の模様が美しいのが特徴です。
家具や建築材料に多く使用されます。床材としてフローリングにも多く使用されています。

ニレ

独特の光沢と香りがあり、耐久性に優れています。

ヒノキ

割れにくく、粘りがあるのが特徴で、家具、建築材料によく使用されます。

ビーチ(ブナ)

木肌が細かく弾性に優れ、硬く均質な木材です。
加工し易いために、曲木に最適。楽器の鍵盤、スキー板等にも使用されています。

マツ(パイン)

耐久性と適度な強さ、硬さを持った木材です。
使い込むほどアメ色に変わっていくことと、素朴なナチュラル感が好まれ、家具によく使われています。

ラタン(籐)

ツル状の植物で大変しなやかで繊維の強度が強いのが特徴です。
家具や日用品などによく使われ、手作りの風合いが好まれています。

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塗装の種類

ポリエステル樹脂塗装

厚塗りができ、光沢の美しい塗装です。
付着性や衝撃性には弱いですが、耐薬品性に優れています。
ピアノの塗装などにも使われています。

アミノアルキド塗装

合成樹脂塗装の中でも、ラッカー塗装と同様、乾燥が早いのが特徴です。
光沢が美しく硬度にも優れ、熱にも強いのが特徴です。

ラッカー塗装

木の表面に薄い膜を作り、艶を出しています。
ポリウレタン塗装に比べると膜が薄い分強度は劣りますが、木の質感と使いやすさの両方のメリットがあります。
但し、熱には弱く、熱いものを置いたりすると白い跡が残るので注意が必要です。

ポリウレタン塗装/ウレタン塗装

木の表面に薄くて硬い樹脂の膜を作る仕上げです。
熱や水に強く、キズや汚れが付きにくく、表面がつるつるしていて木の凹凸などはあまり感じられません。

UV塗装

UVコーティングは、紫外線硬化樹脂を使った硬い塗装で耐摩耗性、耐薬品性、耐熱性、密着性に優れています。臭いも少なく、環境にも優しい塗装です。
テーブル、デスク、食器棚扉などに使用されます。

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