ContentsTOP土屋鞄をつくる、たくさんの「ひと」 資材担当・野口資雄

色味、艶、柔軟さや堅牢さ。様々な種類の革の中から厳選され、土屋鞄の製品は作られる。
どの商品にどの革を使うかを選び、仕入れを取り仕切るのが、資材担当の野口。
社内にいつも笑いを提供する明るい人柄だ。
その快活さとは裏腹に、革を検品する真剣な姿には妥協のないプロの表情が垣間見える。
実家が箔押し(※)業を営んでいたので、革に触れるということが幼い頃からありました。職人さんと接する機会も多く、革に関係する仕事に就いたのも自然な流れだったように思います。そんな中、新しい「革との関わり方」を考えていたタイミングで、縁あって土屋鞄に入社をしました。

※熱と圧によって、金・銀・色箔の文字や絵柄を入れる加工
仕事をする上で気をつけていることは、それぞれが何を求めているかを正しく理解し伝えること、ですね。革の発注担当は私ですが、どんな革を発注するのかを決めるのはひとりではありません。商品企画担当者や、デザイナーなどと相談をして決めていきます。色ひとつとっても感じ方は人それぞれ。例えば、黒と言っても、赤黒い色味、青黒い色味とでは革の雰囲気はかなり変わってきますからね。革のサンプルを見てもらって、艶や色、質感が近いものを探すなど、引き出しは多く持っている必要があります。以前自分の理解したイメージで発注先に仕上げてもらった革が、発注側全体の意見に合わなかったことがあったんです。それ以降この点については強く意識するようになりました。出来上がった革がイメージ通り仕上がって来たときは、この仕事の醍醐味を感じる瞬間ですね。
良いと思った革で仕立てた製品をご愛用いただいているという声を聞くのは、やっぱり嬉しいですね。仕上がった製品を見ることができ、お客さまの反応を知ることができる。土屋鞄に入社する前にはなかったそんな経験の中で、革という素材が活きるということとは何かを教わりました。それが、新しい「革との関わり方」であり、革への理解が深まった新しい強みだと思っています。