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> 革の119番
> はじめての革メンテナンス02
革は「水」が苦手です。
濡れてしまうとシミになり堅くなり、型崩れの原因にもなり……。
お気に入りの革製品を使わなくなってしまう時というのは、機械のように「壊れたから」という理由ではなく、「綺麗ではなくなったから」という理由の方が、多いように思うのです。
日頃のちょっとしたケアでもっと永く使えたかもしれないと思うと、なんだかちょっと悔しいですよね。
もし濡れてしまったら、とにかくタオルなどですぐ拭くことをおすすめします。
濡れてもシミにならない場合もありますが、水分と一緒に必要な油分まで知らず知らずの内に失われている場合があり、劣化の原因となってしまうのです。
けれどもどんなに注意しても雨の多い日本では、突然降られてしまった、なんてことも多いもの。
そんな時のために、防水スプレーを上手に取り入れるのもひとつの手です。
防水スプレーをかけるタイミングは、目的に応じて違います。
数年先に革製品がどんな姿になっていて欲しいか、ちょっと想像してみてください。
まず、革の経年変化を楽したいという方。防水スプレーのコーティングによりどうしても経年変化はしずらくなります。そのため天気予報を聴いて「明日は午後から雨が降るかも」なんて時だけの使用をおすすめします。
そしてとにかく汚れを付けず綺麗に使いたいという方は、防水スプレーが汚れの防止になりますので、雨に関わらず定期的に使ってみてください。
防水スプレーの使い方は、まずは柔らかい布で全体の汚れをさっと落とします。
次はベランダなどの屋外に出て、鞄全体にまんべんなくスプレーを掛けます。均等に液が付着するように、鞄から30センチほど離して使うことが、上手に防水スプレーを掛けるコツ。濡れたように色が変わりますが、乾いたら元に戻るのでご安心を。
そのあと防水液を馴染ませるため、30分程時間をおき、それからもう一度柔らかい布で軽く拭いてください。
見えにくいところに1、2滴ほど水を付けてテストしてみて、水をはじくようなら大丈夫。1度スプレーをしたら1週間ほどは効果が持続します。(効果の持続期間は防水スプレーの種類によって異なります。土屋鞄で取り扱っているコロニル防水スプレーウォーターストップ以外をご使用の方はご確認をお願いいたします)もし濡れてしまった場合には防水スプレーをしていたとしても、時間をおかずすぐにタオルで拭いてください。
朝から雨降る日なんかは無理に持ち出さず、ぜひ革鞄を休ませる日にしてくださいね。
永く愛用するためには雨が降るか降らないかに関わらず、休息も、大切な時間なのです。
雨降りの休日なんかは雨の音を聞きながらオイルケア、なんてのも楽しいですよ。
防水スプレーをした革は繊維にコーティングがされているため、オイルが染み込みにくくなっています。防水の効果が切れてから(大体一週間以降が目安)行ってください。
オイルケアをするようになると、よくよく革の様子を見るようになります。昔つけた小さな傷も、時が経てば「味」に思えるから不思議なもの。
そう思うと、なんだか革との関係は夫婦のような気もしてきます。
日々の中で、ほんの数分、革にも時間を掛けてあげてください。
小さなサボテンでも育て始めたのだと、それくらいの気軽さで。
永く使えば使うほど革は貴方の毎日に染まってゆき、そして大事に使うほど、美しく磨かれてゆきます。
それでは上手な付き合い方で、革との楽しい時間をお過ごしください。