英国が誇る伝統的な皮革素材といえば「ブライドルレザー」だ。堅牢にして耐久性が高く、気品と風格にあふれているこの革は、手作業でロウを塗りこむという、独特な工程を経て仕立てられる。なぜ、英国でそのような革が生まれたのだろうか。その由来と魅力を追った。
「ブライドルレザー」は英国において1000年以上の歴史を持つ伝統的な革素材で、産業の発展や戦争などで馬具の需要が高まった中世に、王侯貴族の馬具用に開発されたと考えられている。
名前にある「ブライドル(bridle)」という言葉は、手綱やくつわなど「馬の顔に装着する馬具」の総称。これは馬を直接制御する部分なのでおそろしく負荷がかかり、しかももし切れると制御困難に陥って生命の危機を迎えるという重要な部分。そのためここの素材には、非常に高い強靭性と、操作性を高める適度なしなやかさが同時に要求される。
その最適な素材として何百年も使い続けられているのが、このブライドルレザーなのである。
堅牢性を向上させながら、ある程度のしなやかさももたせる。そのために行われた加工が、ロウ引きだ。
ベースとなるタンニン鞣し革は、長い時間をかけてじっくりと鞣されているため、それだけでもかなり頑丈。これにロウを繰り返し擦り込むことで、さらに革の線維が引き締められ、固く頑強な革が出来上がる。一方、ロウが染み込むことで線維の間の滑らかさも若干増し、使うほどに馴染むという性質も増すのだ。
王侯貴族にとって馬具は実用品であると同時に、富や権威の象徴でもある。そのため、英国の革職人は何ヶ月もかけて皮を鞣し、格調高く、気品溢れる革に仕上げた。
そうして生まれたブライドルレザーは、今もなお英国で、伝統製法に基づいてつくられている。
「ブライドル」シリーズで採用する「ブリティッシュ・ブライドルレザー」は、今なお伝統的な革の製法を守る英国のタンナーが手掛けるもの。原皮から4ヶ月という、長い時間をかけて丁寧に仕上げられている。馬具革ならではの堅牢性はもちろん、英国貴族の佇まいを感じさせる重厚感と高い品格は、土屋鞄が採用している多くの革の中でも屈指だ。
落ち着きを感じさせる、高貴な印象の黒
BLACK/ブラック
英国紳士の誇りを感じさせる、気品に満ちた佇まいの黒。落ち着きを感じさせる静かなニュアンスが、手に取るたびに心地良く身を引き締めてくれるだろう。
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DARK BROWN/こげ茶
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DARK GREEN/ダークグリーン