渡辺竹清作 線磨き四ツ目文庫(網代)

渡辺竹清作 線磨き四ツ目文庫(網代)

渡辺竹清作 線磨き四ツ目文庫(網代)

網代編みの巨匠・渡辺竹清先生が最後まで手元に置いておきたかったと話す線磨き四ツ目文庫。特徴は何と言っても渡辺家一門の独特の技「線磨き」、竹繊維にそって表面に浮かびあがる真っ直ぐな線が命です。

渡辺竹清作 線磨き四ツ目文庫(網代)

嬉しい記憶

上蓋のふっくらとした曲線が厳かながらも優しい雰囲気の線磨き四ツ目文庫。ずっと昔から何度も何度も目にしてきた作品ですが、思えば渡辺先生の工房の他でこの技で編まれた作品に出合ったことは皆無です。本当に特別な思い出や嬉しい記憶をいつまでも残しておくための宝箱なのです。

網代編みの巨匠 渡辺竹清

昭和 7年 竹芸師・清の次男として生まれる
昭和41年 「竹清」を襲名
昭和53年 日本伝統工芸展入選
昭和54年 有名宝石店T社専属デザイナー エレザ・ペレッティ女史と出会う
昭和58年 日本工芸会正会認定 伝統工芸士に認定

渡辺竹清

竹に新たな命を与える

まさに、網代編みの巨匠という名にふさわしい渡辺竹清氏。網代編み(あじろあみ)では右に出る者はいないと言われる最高峰の技術で、100年経った煤竹を編み上げる究極の技。伝統的な技が、竹に次の100年を生きる新たな命を吹き込んでいきます。

真竹

真竹

素材の真竹は、大分県日田とならぶ良質な竹の産地である国東半島つけねにある宇佐の竹林に自ら入り厳選して伐採する。尺に近い極太の真竹は杉の林の中に生えることによって節間が尺4~5寸と長く、日に当たっていないため材質が柔らかい。通常の竹細工には3年竹を使うが、この線磨きに限っては1年半から2年生の少し若い竹が必要。寒い地方の竹質は硬く温暖な九州の竹でないと技法は使えない。とことん竹からこだわり抜いて製作されるため渡辺先生の長いキャリアの中でもわずか数個しか創られていない。

線磨き

線磨き

竹工芸の大家が遠くからわざわざ足を運んで見にくるという竹磨きの技。染め上げた後、石粉をつけて磨いてから拭き漆、そしてイボタ埃を施し陰影をつけています。

網代編み

網代編み

渡辺先生が渾身の技で製作されたと話す竹肌にクッキリと浮かびあがる真っ直ぐな線。しかし、見惚れている場合にではありません。上蓋を開けるとどうでしょう、先生の真骨頂である見事な網代模様で内側は豪華絢爛に飾られています。

籐巻き

籐巻き

口部分の籐巻きの丁寧さに技術の高さを伺い知ることができます。

線磨き四ツ目文庫,銘 渡辺竹清作 線磨き四ツ目文庫(網代)

最後の作品

渡辺竹清先生が創作された作品は祖父の代より三代に渡りお付き合いいただき、おそらく何処の美術館より持っていてお客様にご紹介した数も飛びぬけているかと思います。しかし、工房を離れる作品をこれほど先生が残念がったことは初めてでした。それだけ思い入れが強い二度と作ることのできない作品だと感じました。

桐箱入り

桐箱入り

渡辺竹清先生の裏書きの入った桐箱です。

渡辺竹清作 線磨き四ツ目文庫(網代)

渡辺家一門

外側の意匠に圧倒されていたのに、文庫の中身が更にこの編み込み言葉を失います。渡辺先生が、最後までずっと手元に置いておきたかったという思い入れが伝わります。

サイズ サイズ

サイズ

天然素材を手作りしておりますので、形や色目、大きさが写真と若干違う場合があります。