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豆・豆料理探検家の「豆なレシピ」

豆・豆料理探検家の「豆なレシピ」 Vol.24(2013年12月掲載)

「あんたの豆には色気がない」それは、初めて自分で煮たお正月の黒豆を持ち帰った際に、母が私に言ったコトバ。「豆に色気? 何、ソレ?」、悔しかったですねぇ。自分に色気がないのは知ってたけど、豆にまで色気がないなんて・・・・。
苦節十数年、あれやこれやと材料を吟味し、煮方を変えて現在の黒豆煮の手法に至りました。今では母および親戚一同、年末に私が送る黒豆を待ってくれているみたいです。

“色気のある”お正月の黒豆

黒豆の煮豆の色気とは?私が思うに、豆の風味、食感がほのかに残り、それでいてふっくらとシワがなく、漆黒の輝きを放ちながら、とろりとした蜜のごとき煮汁のしみた黒豆でしょうか。ギフト用の瓶詰めの黒豆煮は、少しやわらかすぎる気がします。かたさを調節できるのも、自分で作るから。大切な方には、お歳の数(正確には数え年の数)だけ、お届けしましょう。

材料(3~4人分)
黒豆…200g(丹波黒を使いました)
砂糖…160g(きび砂糖を使いました)
醤油…小さじ1~1.5(お好みで)
塩…小さじ1/4程度(醤油により調整)
錆釘…4本(お茶パックなどに包む)
作り方
1

煮る前の晩から準備を始める。鍋に水1リットルを沸かし、沸騰したら砂糖、醤油、塩、錆釘を入れて火を止める。
2

黒豆をやさしく水洗いし、水気を切って1の鍋に入れる。鍋の蓋をして一晩~半日ほどそのままにしておく。
3

鍋を火にかけ、中火で煮始める。アクが浮いてきたら丁寧にすくい、沸騰してきたら火を弱めて、1/2カップほど差し湯(ぬるま湯でOK。温度を下げないよう、水でないほうが良い)をする。※アクは新豆ほど出にくいです。一年物~ヒネになるほど、アクが出ます。
4

落とし蓋をして、弱火でコトコト2時間ほど煮る。蓋をして煮ると吹きこぼれやすいので、蓋はしない。途中で煮汁が減ってきたら、その都度、湯を足す。※落とし蓋代わりに落とし蓋用シートを使うと豆の表面に密着し、豆表面にシワができにくいです。泡がプクプクして持ち上がるので、煮こぼれもしにくくなります。
5

2時間ほど煮たら味見をして、豆のかたさなどを確かめる。それ以降、好みのかたさまで弱火で注意深く煮る。好みのかたさになったら火を止め、蓋をして一晩寝かせる。※煮汁が減っていたら湯を足し、落とし蓋用シートはのせたまま、豆が空気にふれることがないようにする。
6

一晩おいた黒豆と煮汁を分け、豆の鍋に蓋をして空気とふれにくくしておく。
7

汁のみを火にかけて温める。もっと甘くしたい時は、ここで砂糖を加える。汁の水分が蒸発して、汁にトロミが出てきたら火からおろし、汁を自然に冷ます。
8

冷めた煮汁と豆を合わせ、そのまま1~2日ほどおいて豆に味を含ませてから以降が食べ頃。
ワンポイントアドバイス
慣れないうちは吹きこぼして焦がしがちです。タイマーをセットし、20分おきくらいに鍋の様子を見ると安心です。
お正月の黒豆用の豆は例年、丹波篠山の飛切を使っています。いろいろな豆を使ってみて、やはり、高価な豆はおいしいです。年に一度、背筋を正し、緊張感をもって煮させていただく、そんな意識で煮ると失敗しないようです。
新豆は煮る時間は2時間くらいで程よいかたさになりますが、旧穀はそれより時間をかけて煮てください。ヌーボーの若い味とヒネの練れた味、どちらの豆を選ぶかはお好みで。

レシピ担当/五木のどか

豆・豆料理探検家。福岡県生まれ、京都市在住。子どもの頃から豆好きで、豆の生産者や料理人、飲食店、販売店を訪ね歩き、話しを聞くことを楽しみとする。2008年から「豆なブログ」を執筆中。「一豆三味:ひとつの豆で三つの料理法を」と提唱し、豆料理の楽しさを伝えている。
レシピで使用した商品


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