ゼロドロップ
フットシェイプデザイン
トランジション
テクニック
アルトラの構造
新しいレースシステム
足低筋膜炎について
ゼロドロップ
 単純にシューズのヒール部分とつま先部分の地面からの距離が同じであるという事です。ほとんどの靴はこの「地面からの距離」がヒール2:つま先1の比率を採用しています。一般的にヒール部分とつま先部分の比率が1:1のシューズがゼロドロップ・シューズと呼ばれています。ビデオ解析等でも ALTRAのゼロドロップシューズは「ヒールストライク」を減少し、着地面積を広げるため、自然で正しい姿勢とアラインメントを保ち、関節、腱にかける衝撃を劇的に減らす効果がある事が証明されています。
 これからの靴の役割は「衝撃吸収」や「固定」等ではなく、自然な走りを実現させるためのツールになります。

ゼロドロップの利点として、正しい姿勢の獲得があげられます。

ハイヒール(踵がつま先より上がっている状態)の場合、右図のBのように、前方に傾くような形になり、それを戻す為に膝関節と股関節が屈曲します。その影響で骨盤は前に傾くようになり、腰椎はカーブを強めなければならないため、右図のCのような姿勢になってします。これは代償と言われる基本的な人間の構造的な順応です。
自然なアラインメントを失った状態では、運動で生じる様々なストレスを吸収する事が出来なくなるため、筋、腱、関節にかける負担は増大してしまいます。

近年よく聞かれる「ベアフット(裸足)・ランニング」の最大の特徴は、この不自然な姿勢の状態をただし、人間のもっともバランスの取れた自然な状態を作り出すという、とてもシンプルな事です。
アルトラは「ゼロ・ドロップ」システムを採用し、「ベアフット・ランニング」の感覚を実現したのです。
フットシェイプデザイン
 ALTRA 独自の男女別々の「ラスト」デザインは、運動学の専門家が自然の走りを実現するために、様々な最新の研究結果を採用し、考案されました。そのインスピレーションはまさに人間の「足」そのものから得ました。足指部分が自然に広がり、リラックスする事で、最高のバランスと安定感を得る事が出来、着地時のショックを和らげる能力も高まります。 
強い足部、下腿、大腿部はランニング障害のリスクを減らす最大の武器です。
生涯スポーツとして広まるマラソンやジョギングの最大の敵はランニング障害です。楽しい「ランニング」をいつまでも続けるために、是非「自然な走り方」を試してみてください。

左側の写真(下の写真を参照)では足の指がそれぞれ離れ、表面積が広がり、安定性を増しています。さらに母指、母指球、踵(踵骨)が一直線に並んでおり、スムーズな流れで重心の移動が出来る作りが保たれています。常につま先の狭い靴を履いている状態では、母指は外側(外反)を向き、子指は内側を向いていて表面積が少なく、安定感を著しく損なっているのです。


過度の保護は、筋力の低下や変形を引き起こす原因になり、本来備えていた機能に変化をきたします。以下は1905年の調査で明らかになった「靴を履かないで生活をした足部」と「靴を履いて生活をした足部」の違いです。



自然足の構造

ここでは「ベアフット」と言う言葉を、自然な状態の足部として定義しています。直訳での「ベアフット」は「自然足」という意味でとらえてください。「自然足」とは本来人間が2足歩行を獲得する過程で手に入れた、「直立」「歩行」「走行」する上で最も効率的な足部の構造を意味します。

自然足の構造として最も需要なのが、3つのアーチ。
内側縦アーチ= 足底内側の一番大きな縦アーチ
外側縦アーチ= 足底外部のアーチ
横アーチ= 前足部アーチ
上記3つのアーチ構造で大切な足部の機能である(1)吸収と(2)反発(3)安定性の運動を行う事で、「直立」「歩行」「走行」を効率的に行う事が出来るのです。


この機能を最大限に活用する為にアルトラはつま先部分に余裕を持たせ、前足部が地面に接地した時に横アーチが衝撃を吸収しながら沈み、指先が広がるようにデザインされています。
トランジション
現在売られているほとんどの靴は踵とつま先のソールの厚さが2:1の比率(踵がつま先部分に比べて倍の厚さがある)で作られています。
アルトラのゼロドロップシューズは、その比率が1:1で踵と、つま先部分が同じ高さになるようにデザインされています。これは、本来素足で走ったり、歩いたりするときと同じ角度で足低部分が地面に接地する事ができ、最も自然な歩き方であると考えられています。

長年、踵にクッションが高い靴を履き続けていた影響で、その状態に慣れてしまったアキレス腱や、ふくらはぎの筋肉をもう一度鍛え直しましょう!

その人の運動履歴や、筋肉の状態、走り方の特徴にもよりますが、沢山の方達が最初に経験するのが、ふくらはぎの痛みです。正しいトランジションの方法を学び、確実に安全に、自然で効率が良く、安全な走り方を身につけましょう。
今までの踵部分にクッション性のあるシューズを履いていた人が、アルトラのようなゼロドロップシューズや、ミニマリストシューズに移行する場合、じっくりの「自然の走り、歩き」に慣らして行かないと行けません。それを「トランジション」と呼び、自然で、安全な走り方を身につける上で最も重要な事です。

まず、アルトラのシューズにかえた直後は約10分の1の距離に変更して、ゆっくりと、安全にトランジションしましょう。

例えば、毎日8キロ走る人の場合:
1 800メートルくらいの軽いジョギングで最初の日は終わらせる。
2 次の日に足底、足首、膝、腿、腰の調子を確かめる
3 各部位の状態をじっくりと確認し、筋肉痛や違和感が無い事を確認しましょう。
4 もし、すこしでも違和感を感じたりしたら、距離を減らしてください。
5 問題が無ければ次の日に800メートルずつ距離を増やして行く。

これを10日間ほど続ければ問題なく、ゼロドロップのシューズで長距離を走れるようになります。

一番重要な事は、自分の体の状態をしっかり把握する事です。
無理のないトランジションを心がけてください。
テクニック
我々の勧める「Learn To Run」は、自然に「走る」「歩く」という本来人間が当たり前のように出来ているはずの事を、安全に当たり前に出来るようにお手伝いをすると言う、とてもシンプルな目的を持っています。
驚く事に、様々なスポーツの中で最もシンプルなスポーツであるマラソンが、一番スポーツ障害の確率が多いと言う報告が出ています。さらに、ランナーの37%〜50%が何らかのランニング障害に悩まされており、それが原因でスポーツから遠ざかる事になってしまっています。

ランニング障害の主な原因はその「ランニング・フォーム」があげられます。一部の関節、筋肉に集中してストレスのかかるランニング・フォームで過度のトレーニングをすると、その小さなストレスが蓄積され、「炎症」や「痛み」という「オーバーユーズ」状態となって現れて来ます。それを「ランニング障害」といいます。
ランニング障害を減らし、生涯スポーツとして「マラソン」、「ハイキング」、「ウォーキング」を楽しむ為に、是非「ランニング・テクニック」を学んでください。
ランニングテクニック
正しいランニングフォームとして、様々な情報は書店や、インターネット上で見つける事が出来ますが、ここではとてもシンプルで実践しやすい方法で説明させて頂きます。

1:姿勢
  始動
  ●膝と足関節(足首)は少し曲げた状態
●少しだけ前方に重心を傾ける
●まっすぐ前を向く
●そこからゆっくりと前方に倒れるように前に進む
  アラインメント
  ●膝、つま先が前を向いている事を確認
●腕が直線的に前後にふれている
●頭部の上下動が最小限に抑えられている

2:足部の接地
  接地位置
  ●体が自然に倒れるのを防ぐ様に片足を前に出す
●足部は重心の真下に柔らかく接地する
●接地したときも膝は少し屈曲している
  前足部・中足部ストライク
  ●踵からではなく、前足部か、足裏全体で接地する
●足底部、足関節、膝関節全体で衝撃を吸収する
●踵までしっかりと地面を掴み、その反動でトゥー・オフ

3:ピッチとストライド
  リズムと歩幅
  ●早いピッチを心がける (180―190ステップ/ 分)
●膝を高くあげ、歩幅を短く保つ
●跳ねる動作を減らし、頭部の上下動を抑える

解説:
「体がまっすぐ伸び上がったままの状態」や、「前傾しすぎて腰が折れた状態」では効率の良いランニングは出来ません。「伸びきったままの上体」では、足部を体の前に出して踵で着地し、地面を引っ掛けるようにして前方への推進力を付けなければならないからです。踵で着地する場合、「膝は伸びた状態」になるため、前方への推進力とは反対のベクトルで「地面からの反発力」がかかり、大きなパワーロスに繋がり、また「ヒールストライク」を続ける事で関節、筋肉に過度のストレスがかかり、「ランニング障害」の原因になってしまいます。

その「ヒールストライク」を原因とした「ランニング障害」を予防する為に、「ベアフット・ランニング」という考え方が最近では言われるようになりました。これは、ハーバード大学の研究者、リーバーマン教授が発表した研究で、「人間は素足で走る時、ヒールストライクを避け、より自然でストレスの無い走り方をする。」という証明がなされた事が大きく影響しました。

しかしながら、「ベアフット・ランニング」を実践する事でまた新しい「ランニング障害」を引き起こす事も問題になって来ました。これは、まわりの環境や、本人の筋力、骨格アラインメント、ランニング・フォームが「自然な走り方」に対応出来なくなってしまっていたからです。
 
「環境」: 草原や土の大地、砂浜がアスファルトやコンクリートになってしまい、素足で走れるような環境を探す事はほとんど出来なくなってしまいました。
「筋力」: ヒールストライクをしても踵のクッションで衝撃を吸収するような走りをする場合、衝撃を和らげる為に必要なふくらはぎの筋力や、腿の筋力が弱ってしまいます。
「骨格」: 足底部の形は先端の細くなった靴を履く事で窄まり、安定感が無くなり、また衝撃吸収したり、反動運動をする機能を持つ「アーチ」が無くなってしまい、骨格機能としての衝撃吸収能力が失われてしまいました。
「ランニング・フォーム」: アウトソールの踵部分がつま先部分に比べて2倍高くなり、全体のクッション性が豊富な靴を履く事で、強いヒールストライクを伴う「広いストライド」が可能になりました。それにより多くの解剖学的機能が失われてしまいました。さらに「ヒールストライク」を原因とする「プロネーション」や衝撃が与える影響で起こる「筋」「関節」の炎症が増えるようになりました 。
アルトラの構造
 
 
NRS - Natural Ride System:
独自のデザインと、素材によって、靴の中で足部が自然と最適な動きをするように作られた構造。ゼロドロップのコンセプトに忠実なデザインの「フットシェイプ・ラスト」は最適な前足部の横アーチを形成出来る用に作られています。アウトソールとミッドソールはその自然な足部の形状、動きを阻害しないように、柔らかく、地面と同じくフラットな物を採用しています。このシステムを「ナチュラル・ライド・システム」と呼びます。
 
 
 
A - Bound:
A-バウンドとはリサイクル可能な環境に優しい高反発性のコンパウンドです。このコンパウンドは足低部分に張り付き、地面の感覚をダイレクトに伝えつつ、なおかつ固い地面でも安全に反発してくれます。このコンパウンドは一般的なシューズのフォームとは異なり、圧縮率が10%程度(一般的な物は70%〜90%)ですので、履き込んでも潰れてしまう事はありません。
 
 
 
アシンメトリック・レース・システム:
アルトラ独自のアシンメトリック・レースシステムはインステップ部の自然に曲がるポイントに合わせてあり、よりプレッシャーのかからない自然で心地よい履き心地を実現しています。
 
 
 
ヒール・クロー:
アルトラのシューズは一般のシューズのような固いヒールカップが無く、柔らかく包むように踵部分フィットします。不必要な物をいっさいそぎ落としたデザインで最高のフィット感を実現しています。
 
 
 
A・ラップ:
アルファベットのAの形をしたミッドフットデザインを採用する事で、安定感がありなおかつフィット感を保ちつつ、足指、横アーチ部分はゆったりと自由な動きを妨げません。
トレール・ラダー:急な下り坂でのグリップを高め、マディーな状況での跳ね上がりを抑えます。
SeeNo Seaom:アルトラのミニマリストシューズに採用されている「スティッチ」方法で、足先まで違和感の無いスムーズな履き心地を実現します。
 
 
 
ストーン・ガード:
ミッドソールとアウトソールの間にストーンガード用TPUプレートを入れ、ソール全体の厚さを抑え、柔らかい感覚も保ちながら、最大限のプロテクションを得る事が出来ます。
 
 
 
オプショナル・インソール:
ほとんどのアルトラのシューズはオプションのエクストラ・インソールが付属されます。トレーニング用(Strengthen)のインソールはフラットでアーチサポートの一切無いインソールで、足低強化にご使用ください。サポートインソールは多少のアーチサポートと、ヒールラップがあるので、ベアフット導入初期のランナー向けです。
 
 
 
フットインスパイアード・アウトソール:
ベア・ソール:
 アルトラの3.4mmベア・ソールは足低の感覚を最大限に高め、独自のレーザーカットされた溝は様々な路面状況でも使用出来ます。
フット・ポッド・アウトソール:
 アルトラ独自のフットポッドは、足指一本一本の位置を正しいアラインメントに沿うようにデザインされているので、足部の細かい関節の柔軟性とレスポンスを高め、どのような状況化でも高いトラクションを保ちます。
トレールクロー・アウトソール:
 アウトソールの前方に配置された「爪」でテイクオフ、グリッピングの場面でしっかりと地面をキャッチします。ダウンヒル&アップヒルの両方に配置したクローとアルトラの吸着性ラバーのコンビネーションは完璧にどんなコンディションでも対応出来るシューズを作り出しています。
 
新しいレースシステム
レーシング・テクニック
前足部の広めの人や、少し違ったフィット感を探している方におすすめな、新しい方法のレースシステムを紹介します。以前ランニングショップでお勧めしていた時は、80%のお客様に気に入ってもらえて、その結び方で実際に利用して頂いておりました。

このシステムでは、前足部のゆとりを十分に保つ事が出来て、さらに靴ひもの締め付けによる不快感を無くしてくれます。中足部の折れ曲がる部分では通気性も良くしてくれる点も好まれるポイントです。

方法は簡単です。写真のように2つ目のループはクロスさせずにストレートに上側のループを通します。その後は下から通常のようにクロスさせて結びます。その後、最後の部分も最初と同じくクロスさせずに次のループへストレートに結び、そこに出来た穴に逆側からクロスさせた紐を通して「フック」の様なシステムを作ります。
 
前足部の自由度の高い結び方で、ナチュラルな走り心地をお楽しみください。
1: アーチの内側の紐は指が一本入るくらいの緩さを確保してください。
2: 踵部分はしっかりと固定され、前足部はゆったりしているのが最も好ましい
3: 最初は前足部が緩すぎると感じますが、それで丁度良いです。足指が少しずつ広がることで、フィット感も良くなります。
4: はじめは片足だけこの結び方で試してください。数キロ走った時点でその自由度を感じる事が出来ます。足部の自由な感覚は足全体に広がり、リラックスしたランニングを実現してくれます。
足低筋膜炎について
足底筋膜炎の主な原因はランニング、ジャンピング運動のオーバーロード(過負荷)と言われています。特にトレーニングの強度を急激に変えた時に起こりやすいと言われています。
繰り返し行われるランニングやジャンプの動作の結果、足底部の筋膜が繰り返し激しい牽引刺激を受け、微小断裂や炎症を起こし痛みを発生させます。
-plantar-fasciitis.orgより引用-
以上の通り、足底筋膜炎はランニング障害の代表的な物の一つでもあります。
毎年沢山のランナーがマラソンに挑戦し、最大で60%もの人達がランニング障害を経験し、その中の大多数の人が一年以内にマラソンを諦めてしまう状況がありました。そのような状況の中、2009年5月にアメリカで「Born To Run」(日本では2010年NHK出版から日本語訳発売)という本が発売され、様々なランナー、アスリートに多大な影響を与えました。

その影響もあり、急激に「ベアフット・ランニング」の文化が広がり、走り方の根本が変化して来ました。今まで当たり前の様に教えられて来た事が当たり前ではなくなり、走り方(ランニング・フォーム)にも様々な選択肢が生まれ、シューズのデザインも急速にマーケットのニーズに応えるように変化して来ています。

ベアフットランニングを導入しようとする沢山のランナーは何らかの問題を抱え、その問題の解決方法として試している方が多いと思います。
しかしながら、最近の理学療法士のフォーラム等で叫ばれている事は、その逆で、近年の「とあるブーム」の影響で足底筋膜炎の症状が劇的に増加したと言う現場の声も聞こえるようにもなりました。

この大きな変化の中でのキーワードとして「フォアフット・ミッドフット着地」や「ヒールストライク」など、ランニング障害の原因の一つとなるピンポイントな着地方法について様々な場面で語られています。
ハーバード大学教授のリーバーマン博士の研究で証明されて以来、
以上のような伝わり方をしている場合もあり、その影響でまた新たなランニング障害を引き起こしている事実もあるようです。
アメリカ、カリフォルニア州のディアス・ヒューマン・パフォーマンス・センターでは以下のような解釈をして、その予防に取り組んでいます。
 
  ーーー以上の関連性を考えて「足底筋膜炎」の増加の理由を考えると、「オーバーストライド」の状態で足部を身体より前方で接地させる事で、足底筋、腓腹筋、ハムストリングが伸張性筋収縮(エキセントリック)を行いながら衝撃吸収を繰り返し、その刺激によって細かい筋繊維にダメージが広がることが理解出来ます。

その対策として最も有効なのがランニングフォームの改善です:

アルトラの提唱する「Learn To Run」フログラムは大変有効で分かりやすい説明だと思います。


しかしながらフォームの改善には時間がかかり、なかなかすぐには改善されないのが事実です。凝り固まって可動域も落ちてしまっている足底筋膜をゆっくりとリリースして行きましょう。
そういった足底筋膜のケアに役に立つのがFOOT RUBZなどのような用品です。
このような用品を使うことによって、効果的に足裏をリラックスでき、あなたのランニングが明日もきっと楽しくなるでしょう。