スーツは単なる仕事のユニフォームではなく、ビジネスマンの大切なツールです。
最低限の着こなし術はマスターしておいて相手に与える印象をあげることが、何よりも大切です。

ネクタイを結んだとき、シワなく結んでしまうとVゾーンがフラットに見えて胸元が立体感に欠けます。
結び目(ノット)下部分にえくぼ(ディンプル)が出て、全体にふんわりと浮き上がるぐらいが胸元に立体感がありスマートです。
結びが緩くてシャツの襟ボタンが覗くのはいただけませんが、ノットの後ろから小剣がズレているのも美しいネクタイと言われます。

ジャケットの下ボタンは掛けないのが基本です。
そのうえで@段返りの3ボタン、A3ボタン、B2ボタンの3タイプについて解説しましょう。
@の段返りとは、一番上のボタンの下からラペル(下襟)が折り返っているもので、これは上ボタンを掛けずに、真ん中のボタンをひとつ掛けします。
Aの3ボタンは上ボタンの上からラペルが折り返っていますので、上中2つ掛け。
Bは上ボタンをひとつだけ掛けます。ちなみに6ボタンのダブルの場合も、下ボタンは掛けないのが鉄則です。
既成品のシャツの場合、袖が長いものが多く、とくに腕の短い日本人は注意が必要です。
シャツ袖はカフスの先端が親指の第一関節(手首のぐりぐりの部分)にかかるぐらいにして、ジャケットの袖丈は手を下に下ろしたときにシャツ袖が1〜2cm覗くぐらいに設定します。
たぶんみなさんが思ってるよりもずっと短いと思います。
シャツ袖が長い場合は、アームバンドなどを活用しましょう。
ついつい腰のポケットを使いがちですが、形がぽっこり浮き出し、上着のシルエットが崩れてしまいます。どうしても使ってしまうという人は、スーツ購入時についているポケットのしつけ糸をはずさずにおけば手を入れることさえできないのでスーツを美しく保つことができます。
まっすぐなパンツのセンターラインは、身だしなみに気を配れる人だという印象を相手に与えられるだけでなく、足をすっきり長く見せてくれる効果もあります。
パンツのセンターラインはしっかりつけるように心がけましょう。
センターラインが消えそうなときは「パンツのアイロンがけ」アイロンでプレスをするか、クリーニング店にプレスをお願いしましょう。
靴下の色や柄は基本的にはスーツに合わせます。
ネイビースーツやグレイスーツのときは、それぞれネイビー、グレイの靴下を履くと、脚が長く見えるという視覚効果が期待できます。
ただしダークスーツに黒靴のときは黒靴下を履くのが無難です。
透け透けのメッシュのソックスや、スネ毛が見えるような短い靴下も、周囲の嫌悪感が高まるので避けてください」