HERGOPOCH(エルゴポック)インタビュー

HERGOPOCH(エルゴポック)インタビュー

「鞄の道具としての価値」を追求し、必然的に行き着いた“オールメイドインジャパン”。 株式会社キヨモト 代表取締役社長 清本様にお話しをうかがいました。

株式会社キヨモト代表取締役社長 清本様(写真手前)、
インタビュアー:店長 金山(写真奥/テキスト赤色部分)

HERGOPOCHが誕生した経緯

―今日は宜しくお願いいたします。
早速ではございますが、HERGOPOCHが誕生した経緯をお聞かせ願えますか。

株式会社キヨモトは、半世紀以上―60年近くカバンのOEM/ODMに携わっており、様々なクライアント様のものづくりのサポート、下支えをさせていただいてきた企業です。

当時様々なクライアント様のものづくりをさせていただく中で、いわゆる産業の空洞化、日本のものづくりが衰退していっている様を見てきました。

クライアント様から安く作ってほしいというリクエストですとか、様々なお声をいただいていく中で、日本のものづくりを絶やさないにはどうすればいいかというところと、少しでも日本の産業を盛り上げるために、どうすればいいか。

維持と発展を考えたときに、自分たちでブランドを持っている、ものづくりをしていることが必要だと考えました。

自分たちの今までのものづくりのノウハウを活かして、純粋に日本のものづくりが良いものなんだ、ということを自分たちのペースで発信していく。そのためには、やはり自分達でブランドを持っていることが必要だと考えました。そうして12年前の2005年に、エルゴポックを立ち上げました。

―どんな点にこだわられましたか。

いろんなアイデアを出し合い、どういうブランドにするかを考えたとき、自分たちのペースで作っていきたい、トレンドを追うことはあまりしたくない、という思いがありました。

男性は例えばいい靴を買ったら、何回も同じブランドのものを買い替えたりしますよね。靴にしても、ジャケットやコートにしても、こだわったものをずっと愛用していかれる方が多いと思います。

私たちも、そういうブランドを目指したいと考えました。しかもトレンドを追うことをしないとなったとき、レザーという良質で普遍的なものを扱ったブランドを立ち上げようと考えました。

―やはりエルゴポックは、レザーアイテムをメインに考えていらっしゃるのですか。

そうですね。メイン、基本的にはレザーという感じです。経年変化ですとか、長く使えて愛着が湧くところですとか。傷さえも自分が歩んできた軌跡になりますし、手入れをすれば馴染んでいく。そういった所にこだわっています。

ブランドコンセプト

―ブランドコンセプトをお聞かせ願えますか。

エルゴポックというのは、エルゴノミクス(人間工学)とエポック(新時代・新紀元)からなる造語です。

私たちがものづくりをしてきたことを活かして、鞄の「道具としての価値」を追求していきたいと考えています。過度なデザインを施さず、本質的な良さを追求して行きたいのです。

―本質的な良さですか。

エルゴポックの鞄の特徴として、デザインから入らないんです。機能性に特化したデザイン、機能性から来るデザインになっています。

もちろん天然の革の特性で、ここは(革のパーツを繋ぎ合わせて)切り替えを活かしたデザインにしないといけない、といった事などはありますが、パーツによって極端に革の表情が異なることがなく、道具として美しく、均質性を維持するような作りを心掛けています。

立ち上げ当初の状況について

―ブランド立ち上げ当初はどういった状況でしたか?

日本のものづくりの生産拠点が海外に移動しており、日本の産業は空洞化、衰退の一途を辿っていました。

そういった状況でしたから、自分たちが作りたいものも、やはり最初からは作れないんですね。職人さんも技術面などで、付いてこれない部分というのがありました。

また、当時はMade in Japanといっても昭和の香りといいますか、今ほど洗練されたイメージのものではありませんでした。いわゆる日本製に、今ほど価値があったわけではなかったんです。そのような背景から、メーカーの使命として日本製にこだわりました。

―職人さんの技術も当時と比べて、高くなっているのでしょうか。

職人さんのレベルは、当初より上がっていると感じます。また、意識的なものでいえば日本の人はもともと美意識が高かったですね。

「ショートカットをしないものづくり」をしていく中で、その日本人の美意識の部分は大切だと考えます。

―ショートカットをしないものづくり、ですか。

ええ。エルゴポックの鞄はパーツが多いんですね。見えないところ、パッと見て分かる見た目以上の価値を想像していく上では、日本人の美意識は大事なんです。

職人の意識の高さがないと、見えないところで手を抜かれてしまう。例えばステッチが曲がっていてもそのままやり過ごさない、「これでいいや」とならないことが重要なんです。

オールメイドインジャパンにこだわる理由

オールメイドインジャパンは、一番のこだわりです。ただ、メイドインジャパンにするためにそれを謳ってはいません。(海外の素材なども)日本で縫製すればメインドインジャパンになってしまいますからね。

そうではなく、生地、裏地、金具、タンナーさんも日本であることが大切です。地産地消を進め、私たちが産業の活性化の片棒を担ぎたいと考えているためでもあります。

定番の革は、鞣しから、すべてメイドインジャパンなんですよ。

それから、日本の職人さん及び素材屋さんや資材屋さんは、楽なほう楽なほうに行かない。協力してくれる職人さん企業さんが純粋にいいものを作ろうとしてくれるんです。ですので、必然的にメイドインジャパンになったんです。

各シリーズの革へのこだわり

―シリーズ毎の革へのこだわりをお聞かせ願えますか。

ワキシングレザーの06シリーズは、エルゴポックの顔であり、私たちを代表する素材です。

また、同じワキシングレザーでもずっと変わってないかというと、実は変わっています。タンニンなめしで染料で、という基本の製法などは勿論変わっていませんが、立ち上げ当初から革自体も進化しています。

タンナーさんとのやりとりでもっともっと革を良くしていこうと話して、改良を続けているためです。規模感が大きくなることで、もっと効率的により良いものを作ることも可能になります。

ただ、効率化のために風合いを損なうことはしたくないので、効率化をすべきでない部分は、効率化をしません。

―敢えて効率化をしないわけですね。

そうです。例えばムラ感を出す作業をスプレーで試したこともありますが、やはり違うんです。手作業で行った仕事と、同じ風合いは生まれないんです。

タンニンなめしで染料染めをするとなると、素材の良し悪しがダイレクトに出てきます。顔料、下地を消す製法だと気にしなくていい部分ですが、素材を活かす染料染めの場合は、原皮の時点でAランクのものしか使いません。

だから高くはなりますが、メーカーがやることで商社、代理店、中間の流通チャネルも少なくなり、価格も適正にできます。

現実的なプライスポイントで良いものを。これはなかなかメーカーでなければ真似のできない点、私たちがこだわり抜ける、私たちの強みだと思っています。

―なるほど。グレイズシリーズも、個人的に革らしさと耐久性があるのが好きです。

グレイズは唯一混合なめしの革なんです。コンビ鞣しは、少しのクロムとタンニンを使い、クロムの配分を極力さげて鞣すんです。どちらかを損なうんじゃなくて、良いところをダブルで表現しようというのがグレイズの良い所です。

また、仰られたように強度があります。同時に軽くて、柔らかくて、クロムの良さを引き立てながら、革らしさを保っているハイブリッドなレザーです。

グレイズ(光沢の意)はその名のとおり光沢を出すために、4~5回アイロンをかけています。逆に言うと、熱に4回かけても耐えられる強さがあるということです。

―色も鮮やかでキレイですし、透明感がありますよね。

そこはやっぱり染料の良さですね。顔料を使うと一気に下地が見えなくなって、違ってきます。なめしの段階では合成タンニンは使うけれど、染める段階では染料を使う。染める段階で顔料を使うとガチガチに膜ができてしまうので、使用していません。

―キングリーシリーズや、マージシリーズも革の良さが際立っていますよね。

キングリーは、シボ感が重要な表現になっています。キングリーの革も、進化しています。製法の中で半加工といって、シボを均等にするために少し型押しもしているんです。良いシボを広げているようなイメージです。

どのお客様にも均一にお届けする、シュリンク加工とは違う、バタ振りでは出ない部分にも、シボが出る工夫をしているイメージですね。

マージは、コンセプシャル。開発段階から、思いっきり男っぽい革を作ろうと考えていました。名前の由来は本体のヌメ革と付属のレザーを合体=マージしているところから来ています。また、オイルをすごくたくさん使っています。

―ちょっと触っただけでも手にしっとりとオイルが付いてきますもんね。あの感じがすごい好きです(笑)

(笑)。あの感じをすごく大事に、特徴にしているシリーズなんです。買ったばかりの革ジャンじゃないですけれど、そういった武骨な感じを出したかった。男らしい、本当にレザーアイテムが欲しいんだよ、というお客様に向けて作らせていただいています。

おすすめのシリーズや革について

―特におすすめのシリーズや革はありますか?

やっぱり06シリーズ、ワキシングレザーだと思います。あそこまで愚直にタンニンなめしで、染料仕上げで、原皮もAグレードで、しかも最後の工程も全部手作業で、となると真似できる所はなかなか無いと思います。

12年の積み重ねで出来ているので、一朝一夕では真似の出来ない、エルゴポックにとって非常に特別な素材です。

HERGOPOCHと人間工学

―人間工学について、実際の商品にはどのように使われているのでしょうか?

例えばショルダーバッグでしたら、右肩かけ、左肩かけというように、お客様によって全然違いますよね。エルゴポックのスタッフでも割れる部分です。

ですから、右利きの方にも、左利きの方にも対応できるよう、取り外しが可能なショルダーストラップになっています。

ポケットの配置なども、深いポケット、浅いポケットがあることで仕分けがしやすくなるようにしています。鞄を袋でなくて部屋として捉えているんですね。

―ファスナーの引き手金具の盛り上がり、こちらもそうですか?

そうですね、これが盛り上がっているのもそうです。手にフィットするでしょう?

―フィットしますね。

金具なども、やはり全部日本で作っている意味があります。日本製の金具は、不純物を入れない、純度が高い、壊れづらいといった特徴があります。

ところが、海外のものを安く仕入れると不純物が入っていて、割れたりとか劣化するのが早いです。

そうなると、お客様に不便をおかけしてしまうので、信頼のおける日本の金具屋さんのものを使うようにしています。(日本製のものだと)金型代も10倍くらいします。

―10倍ですか!

ええ。(海外なら)何千円でできるところを、日本では十何万もかかる。やっぱり10倍ではきかないですよね。引手1つとっても、オールメイドインジャパンにこだわったものづくりをしようと思うと、相当覚悟をしなければ出来ませんね。

HERGOPOCHのものづくりで、ご苦労された点

―そういったこだわりのものづくりをされていて、ご苦労された点はありますか。

常に直面しています。オールメイドインジャパンというのは、不利しかないんです。

ルート、職人さんとの話し合い、作り方の開発、ものづくりの落とし込み、常に工夫と進化が求められるようなものづくりではあるかもしれません。

ただ、やはり日本の職人さんは意識の差がない。「これでいいや」がないんです。日本のものづくりは作った人が間違えたと感じたら、そこで手を止めて手直しをしてくれます。

見えないところで本当に手間をかけている、普通だったらしない細かいこともしている、そこが日本のものづくりの真骨頂ですね。「見えないからいいや」じゃない、ものの本質ってそういうところにあると思います。

HERGOPOCHのものづくりで、印象的なエピソードがあればお願い致します。

優れたサンプル職人さんとの出会いがありました。

サンプル職人さんって、もともと独立して仕事をされている方が多く、皆さん素晴らしい実力を持ってらっしゃいます。

これは感性だと思うのですが、同じデザイン画があってもサンプル職人さんによって型紙一つとっても、作り方がまったく違います。

そして、その中でもすごい方っていらっしゃるんです。生産に乗せられることを考慮しつつ、こちらが1お伝えしたら、10のものを上げてきてくださる。そうしたものが上がってきたときの感動はすごいですね。

その職人さんと出会えた事は今でも印象的です。

鞄のデザインはどのように作られているのでしょうか?

エルゴポックはデザイナーズブランドではないので、デザイナーが1人いて、その人の世界観で作るというものではありません。

街を行くあの人の鞄がかっこ良くて使いやすそうだな、という声から始まったものもあれば、デザイナーや営業担当者がこういうのはどうだろうと提案してくれることもあります。

そこがエルゴポックの良さで、1つの考えやアイデアに固執していません。色んなところからアイデア、情報、考えが集まってきて、いろんな感性、色んな観点を自由に取り入れる風土があります。持ち寄ったものを話し合って、そこからデザイナーが落とし込んでいきます。

展示会では、半分以上が定番なのも特徴です。新作を回転させていく必要がないため、じっくりと作っていきます。

サンプルが出来上がる前にかなりの協議、改良を行いますので、やはり時間はかかりますが、その分展示会で見ていただいたアイテムは、ほとんど市場に出ます。

―それだけ展示会段階で、ブラッシュアップされ洗練されたものしかないのですね。

そうですね、お試しで展示会に出させていただくものは殆ど無いですね。これも、エルゴポックが様々な意見や考えを自由に取り入れる風土があるためだと思います。

ベストセラー商品(06-OS)が出来上がるまでの経緯

06-OSには、非常に長い時間をかけました。

きっかけは、NYの五番街を歩いていたとき、凄いかっこ良い黒人の方が縦型の鞄を手持ちでガシッと持っていて。レザーではなくファブリックだったと思うんですが、ああいう鞄がほしいなと思いました。

ですので、最初はボディバッグというより、手でさくっと持てるものが作りたかったんです。初めから2WAYバッグみたいなものではありませんでした。

サンプルも最初は全然イメージと違うものがあがってきて、大きさ、作り方、見た目も全然違っていました。途中でやめようかともなったけれど、何度も何度もブラッシュアップを行って最後の最後で満場一致でこれ!っていうものが作れました。

ちょうど展示会ぎりぎりにあがってきましたね。1年半かけて作り上げましたし、私たちに大きな成長を与えてくれたアイテムです。

エルゴポックでは、9ヶ月~1年弱くらいの時間をかけて1つのバッグが出来上がります。それを思うと06-OSは開発に長い時間をかけましたね。

清本様ご愛用のお品

―清本様の、ご愛用のエルゴポック製品を拝見できますか。

これですね。06-BF-Sです。5年強くらい使用しています。

―光沢もすごい出ていますよね。

光沢も、クタ感も出ていますね。これは、毎日使っていないというのもポイントです。毎日使っていたら鞄の消耗も早いので、お気に入りをいくつか持ち、その日の気分で持ちます。このバッグは、大事な商談などにもっていくと気分もあがりますね。

―私も愛用していまして(笑)

ありがとうございます(笑)良い色になってきていますね。

―そうなんです、なかなか見ない色で、目を惹くのか色々なところでお褒めの言葉をいただきます。

そうなんです、この色がいいですよね。やはり染料の色と透明感、ムラ感などがワキシングレザーの魅力です。

10周年を迎えて、今後の展望について

―今後の展望をお聞かせ願えますか。

おかげさまで10年間ブランドをやって来れました。このことの継続と、引き続き日本のものづくりの持続と活性化をしていく、これはひとつの目標です。

エルゴポックのブランドとしてみると、今まで続けてきたことを継続していくとともに、新たにステージを広げて、エルゴポックをより表現豊かなブランドにしていくために、もっともっとライフスタイルアイテムも豊富にしていきたいなと思います。

―ライフスタイルアイテムですか。

よりライフスタイルに寄り添うようなものを、例えばデジタル機器の進化もありますし、それをレザーで包んであげられるようなものですとか。企業様とコラボレーションしてものづくりをしていったり、そういったことは考えています。

でも、やっぱり日本が原点。常にメイドインジャパンっていうのは考えています。

日本の中にはまだまだ眠っていたり、逆に言うと活躍されていたり、志の高いものづくりをされている方々が多いです。そういった方々とコラボレーションしたり、一緒にものづくりが出来たらいいなって思っていますね。

―楽しみにしております。本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございました!

エルゴポック工房のご紹介

東京から車を走らせること2時間半。林業が栄える福島の自然豊かな町に、エルゴポックの工房はあります。

およそ28年前に職人さんのために作られたという、ゆったりとしたスペース。今回、穏やかな空気の流れるこの場所を取材させていただきました。

―すごく広くて、きれいな工房ですね。

ありがとうございます。鞄は大きいから、場所も大きくないといけないんですね。作っているときも、出来上がった後も広い場所が必要になります。

また、良いものを作ろうと思えば、気持ちよく仕事が出来る、良い場所が必要です。職人さん達に気持ちよく仕事に専念してほしいと思い、この工房を作りました。

―工房が出来た頃から、この規模感だったのでしょうか。

はい。始まりは、たまたまこの町出身の職人さんがいて、田舎に帰るので仕事を出してほしいという話がありました。

(その職人さんの)奥さんと息子さんは今もここで働いていますが、その2人以外は全員現地採用で。

ですから、本当に何も知らないところから、ハンドバッグを作り始めましたね。

―なるほど。

これは、裁断した後の革を念入りにチェックしているんです。大事な工程の1つです。

―こちらは、革を貼り合わせていらっしゃるのですか?

そうです。エルゴポックの鞄の特徴のひとつですが、ほとんど全ての革パーツが、強度を保つために2枚合わせなんです。革の銀層(表面)が一番強いので、銀層を両表にして2枚張り合わせます。

また、革を合わせる前に、パーツごとに部分的に厚みを変えた革を用います。コンマ何ミリでも先に漉いて薄くしておくことで、野暮ったくならないんです。ですから、場所によっては4層くらいになります。

革の使用量は2倍、通常の工程の3倍から4倍の手間をかけています。

見えないところに真面目に取り組んで作る。これは普通ではない工程、エルゴポックならではの作り方です。

こちらは(ボディバッグ06-OSの)背中を作っている所です。これ(写真左の芯材)が背中に入っていて、裏をしっかりさせる芯を合わせてるんです。

ポケットの厚みがあるのでノートで高さをつくって、きれいに貼れるようにしているんですよ。

―こちらは、コバ(革の断面)の処理をされているのでしょうか。

そうです。コバを塗った後は、乾くのに時間がかかるため、こうやって乾かしています。

彼女たち2人も、親子なんですよ。

―親子2代で!素敵ですね。

これは、前胴・背胴を縫製し、鞄をまとめていく工程です。

まとめが出来るようになるには、10年はかかります。鞄作りには、色んな急所があります。その場数を踏んでいる人が強いですね。

過去にこういった工程を担当していた、という経験値が大事です。まとめるのにも手順があり、そこを間違えると全然まとまらなくなります。

可能な範囲で資料は作っていきますけど、かといって、例えばプラモデルを作るように詳細な説明書までは作れません。

ですから、実際にまとめあげる手順は口頭での伝達になります。人によってまとめ方が違ったりもしますし、これも経験値が重要になってきますね。

―修理の工程なども、作った方でなければ難しいのでしょうか?

それは可能です、修理は部分的なものですので。ただ、ほとんど全て解体しないと出来ない修理もあります。06-OSの修理は、大体解体しないと出来ません。

―1度解体したら、針のあとがありますよね、そちらはどうされるのですか?

どうしてもずらせない場合は、目打ちで打って貼るんです。一目一目全部表と裏を合わせて抜いて。

―それは手縫いで行うのでしょうか?

それも、基本的にはミシンで可能です。

ただ、手紐・丸手(鞄の持ち手部分)の紐などは、もうミシンがかけられる革の部分は裁ち落としてしまっているので、その場合は手縫いになります。

また、ボリュームがある部分など、ミシンではどうしても縫えない部分はありますから、そこも手縫いになってきますね。

長いパーツの途中の部分を交換する所などは解体して新しい部分を付け替えて、前のパーツがそのままある時はそれは目打ちで追っかけて行きます。

それらを合わせて縫うときは、一目、二目ミシンをかけてみれば大体分かってきます。

―なるほど、まさに職人技ですね…!

エルゴポック工房 Photo Gallery

※画像をクリックすると拡大します。

職人様のお声

お名前:水野 様(お母様、ご子息)

職人歴:お母様:40年、ご子息:5年半

担当されている工程:全般

思い入れのあるHERGOPOCH製品やシリーズ:06シリーズ

ものづくりで大切にされていること: 不良品など出ないよう1つ1つ丁寧に気を配って作っています。

お客様へのメッセージ:大事に使っていただけたら嬉しいです。

お名前:鈴木様(お母様、ご息女)

職人歴:お母様:25年、ご息女:7年

担当されている工程:パーツ作製から組立全般

思い入れのある製品やシリーズ:06-BF-S

ものづくりで大切にされていること: 1つ1つの工程を丁寧に取り組む。

お客様へのメッセージ:大事に長く使っていただきたいと思います。

—職人の皆様、お忙しい中、貴重な時間とお話をありがとうございました!

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