人の背中の形に合った背板の支えが心地よい、小ぶりなバーチ材のチェア66。北欧を代表する建築家兼デザイナーのアルヴァ・アアルトによってデザインされ、1935年の発表から今日までたくさんの場所で愛用されてきました。シンプルながらもどこか愛嬌のある有機的なフォルムは、お部屋のどの空間にも馴染み雰囲気を高めてくれます。また、このチェアはフィンランドのヘルシンキを舞台にした映画「かもめ食堂」の中でもたくさん登場し、フィンランドでは当たり前のように使用されています。アルテックの数あるチェアシリーズの中でも、代表的なチェアの一つです。
【1935年デザイン】
※裏面などの見えにくい部分には節や傷のような箇所がある場合がございます。
ダイニングやカフェで見かける、伝統的な木製チェアの原点ともいえるチェア66。ニューヨーク近代美術館(MoMA)にも常設展示されており、artek(アルテック)の名作「スツール60」に続くロングセラーのチェアなのです。デザインを手掛けたのは北欧を代表する建築家兼デザイナーのアルヴァ・アアルト。1935年にアアルトが設計を担当したフィンランドのヴィープリ(ヴィボルグ)市立図書館の閲覧席で使用するために作られたそうです。
そして実はこのチェア、フィンランドのヘルシンキを舞台にした映画「かもめ食堂」の食堂内でたくさん登場しています。どうやら映画を制作するにあたり、北欧の有名なプロダクトを使用するという条件があったのだとか。そんな中で選ばれるということは、それほど実際にフィンランドの人々から親しまれているんだと感じることができ、うれしい気持ちになりますね。
小ぶりなサイズのチェアですが、絶妙にフィットする背もたれのおかげで座り心地は快適です。自然との親和性を重んじながらもモダンで機能的なアアルトの意匠を感じるチェアは、様々な場所やシーンで活躍してくれます。
ダイニングテーブルと一緒にダイニングチェアとして。座面が丸いので、アルテックの丸いテーブルと合わせて統一感を出すのもかわいいです。(テーブル90Aとの組合せ。)
デスクワークや作業用のチェアとしてもうってつけ。軽量で持ち運びしやすく、長時間座っていても背もたれの適度なたわみ加減が心地がよいです。(テーブル80Aとの組合せ。)
デザインが美しいので置いておくだけでも素敵です。お部屋の角の腰かけスペースとして、本を読んだりお茶を飲みながら休憩をしたり。自分だけの憩いの場所になります。
コンパクトサイズなので、キッチンの片隅や一人暮らしのワンルーム、ユーティリティなど、限られたスペースでも使いやすいのがうれしいです。(テーブル90Bとの組合せ。)
チェアを選ぶ際、ダイニングテーブルとのサイズ関係にも注意をしましょう。テーブルのサイズと仕様によっては、テーブルの脚間に収めたいチェアが入らない場合もあります。ですので、テーブルの脚間とチェア幅を測ってきちんと収まるか確認してください。
また、テーブルの高さとシートハイの差尺は27〜30cmを目安にしていただくと快適にお使いいただけるかと思います。
人の背中の形に合ったゆるやかなカーブの背板と、背中に向けてやや傾斜している座面。座ると自然に背に寄りかかる体勢になり、背もたれが体をやさしく受け止めてくれます。適度にしなる背もたれで、座り心地も快適です。幅は39cmと少々小ぶりなサイズのため、大柄な男性にはやや小さいと感じてしまうかもしれませんが、その分軽くて背中も大きく空いているので、持ち運びがしやすいというメリットがあります。
背は積層合板、座はフラッシュ構造で作られています。コンパクトかつ軽量で、芯材までバーチ材を使用しています。ビスで組み上げるシンプルな構造で、梱包をミニマムサイズにし輸送にかかるCO2排出量削減に貢献しています。実用性はさることながら、無駄を削ぎ落としたシンプルさと、アルテックを象徴する有機的なフォルムとLレッグがとても魅力的。まさに使いやすさと美しさが同居している素晴らしいチェアなのです。座面裏にはアルテックの正規品である証のラベルも付いています。
チェア66の座面にはバーチのほかに「リノリウム」と「ラミネート」の仕上げがあります。一見似ているこの2つの仕上げ。しかし原材料が異なるので、質感も全くの別物なのです。まず「リノリウム」とは、亜麻や木粉などの天然材料を用いた自然素材のこと。燃やしても水と二酸化炭素しか排出されないことから、人体や環境に優しい素材として約160年前にヨーロッパで発明されました。触ってみるザラっとしておりマットな印象です。
続いて「ラミネート」。これはHPL(ハイプレッシャーラミネート)のことで、正確には「メラミン樹脂、フェノール樹脂を特殊な紙に含浸させ、それを何枚も重ね合わせて高温高圧で積層形成したプラスチックの板」のこと。熱に強く、表面が硬いので傷が付きにくく、汚れも付きにくいのが特徴です。
座面は無垢の集成材をロの字型に枠組みし、上下を合板で挟んだ「フラッシュ構造」。表と裏に同等の素材の板を使用することで反りにくい工夫がされています。
ラミネートとリノリウムの木口には、素材の断面が剥き出しにならないよう無垢の単板が巻かれています。座面の素材が異なるだけでも印象が変わってきますので、ぜひお部屋の雰囲気にあわせてお選びください。
センプレではバーチ素材の木目をチェア全体に活かしたものから、座天面のみにアクセントカラーの入ったホワイトラミネートとブラックリノリウム、チェア全体に塗装を施したブラックラッカーとホワイトラッカー、座面にアルテックのお好きな生地を張ることができる布張り革張りと、合計7種類のチェアを取り揃えております。バーチ、ホワイトラミネート、ブラックラミネート、ホワイトラッカー、ブラックラッカーは国内在庫品となりますので、2〜3週間でお手元にお届けすることが可能です。また、布張り、革張りの納期は5か月以上かかりますが、1脚からお作りすることができます。ご希望のお客様はお問い合わせフォームまでご連絡ください。
アルテックのアアルトデザインの多くの製品は、お客様自身で組立てていただく仕様となっています。ビスなどのパーツも全て同梱されておりますので、組立て説明書をよくご覧いただいて手順通り組立ててください。ドライバー1本で簡単に組立てることが可能ですが、ご自身での組み立てが難しい場合は完成品もご用意しております。その場合別途費用がかかりますので、詳しくは各商品欄をご覧ください。
チェア66は板座のため、長時間着席していると座面の硬さが気になる場合があります。そんな方には、ウルトラスエード生地と、フェルト生地で作られたシートクッションとの併用がオススメです。高密度ウレタンの中材を使用し、置くだけでより快適な座り心地が実現。どちらもセンプレオリジナルで、厳選したファブリックから丁寧にお作りしています。
北欧のファニチャーブランド・アルテック。フィンランドの建築家、アルヴァ・アアルトが手掛けたデザインはシックでモダン。そのどの時代にも通じる廃れることのない完成された造形美で、北欧を代表するブランドとして愛され続けています。
Artek(アルテック)は1935年にフィンランドで、アルヴァ・アアルト、アイノ・アアルト、マイレ・グリクセン、ニルス=グスタフ・ハールの4人の若者により「家具を販売するだけではなく、展示会や啓蒙活動によってモダニズム文化を促進すること」を目的に、ヘルシンキで設立されました。今日、アルテックのコレクションは、フィンランドの巨匠たち、そしてグローバルに活躍する建築家やデザイナーによる家具や照明器具、ホームアクセサリーが揃っています。それらは一様に、機能性に基づき、詩的なまでに明快なデザインです。創業者の精神を受け継ぎ、アルテックは今日でもデザイン、アート、建築の交点に立ち、未来への道を切り開き続けています。
日本国内ではセンプレが20年前からいち早く、Artek(アルテック)社と販売契約を結んでいます。
コンセプトは、Artek=Art(芸術)とTechnology(技術)の融合。
「Art」と「Technology」の融合により、モダン家具を追求するという先進的な試みを行ってきました。木材を近代的な素材として確立し、確かなフォルムと安定した品質で、大量に供給できるようにしたArtek(アルテック)の技術は、現在も変わらずに引き継がれています。ひとつひとつが正確で芸術的な技術功績は高く評価され、創業から80年以上経った今でも世界中で多くの愛用者を獲得しています。素材を活かした温かく柔らかなフォルム。北欧フィンランドから届くArtek(アルテック)の家具は、人と木の温もりを感じる、オーガニックデザインです。
脚部はL-Leg(エルレッグ)と呼ばれる、曲木の製法で作られています。こういった形状の製品の多くは成形合板がほとんどですが、Artek社は約3年の年月をかけ、硬く分厚い木材を曲げる唯一無二の技法を生み出しました。
その方法とは、まず、まっすぐなバーチ無垢材の先端から曲げる部分までに、5mmほどの間隔で切り込みを入れます。次に、櫛のようになった材の隙間に、薄い板と接着剤を入れて型に嵌めます。その後加圧加工をし、曲げていきます。そして最後に、やすりをかけて仕上げます。
これはフィンランド伝統の「挽き曲げ」技法を応用したもの。強度があり、狂いが少なく、テーブルの脚など大型材にも適用できるのです。
フィンランドで産出される木材は松やモミ、白樺がほとんどで、当時一般に家具材として使われるような堅牢な木はありませんでした。そのためアアルトは、積層合板の成形と曲げ技法を開発。自国産の木材を使いながらもクオリティの高い、堅牢な家具を作り上げました。シンプルで環境に優しいプロダクトは、機能的かつサスティナブルなデザインとして親しまれています。
自然素材を使ったアルテックの製品は、時を重ねることで美しさを増していきます。素材自体のもつ個性や、経年による色の変化、使い込むことによって積み重なるそれぞれの歴史や思い出とともに更なる価値が高まるのです。機能性、耐久性、デザイン、すべてが持続可能であるがゆえ、アルテック製品は、時代を超え、愛され続ける存在です。
1935年の創業以来、フィンランド国内および世界中の国へと広がっていったアルテックの家具たちは今や約数百万以上。そしてアルテックは2006年に、フリーマーケットや古い工場、学校、造船所などから使い古されている家具を探し出して買い取る「2nd
Cycle(セカンド サイクル)」という活動を始めました。上の2つの写真は、ヘルシンキの2nd
Cycleストアです。年月を重ねることは古くなり色あせることではなく、新たな魅力と価値が加わること。時代を経ても変わることのない品質と魅力を実証するとともに、本当に良いものを選び、いつまでも使い続けていくことの大切さを伝えています。
また、ヴィンテージ家具を見る時にはぜひ「ネジ」にも注目してみましょう。近年では約90%以上の家具にプラスネジが使用されていますが、2ndサイクルの家具はマイナスネジのものも多く存在します。これはなぜかと言うと、1950〜1960年代にプラスネジが本格的に導入され、それ以前のものはすべてマイナスネジを用いて製作されていたからです。1930年代にアメリカでプラスネジの開発が進められていたそうですが、アルテックでは1960年代後半までマイナスネジを使用し、1970年代にかけて徐々にプラスネジに移行していったそう。つまりマイナスネジは、古い時代から愛され続けた家具の証となります。小さなポイントですが、こうして細部にも注目してみると、より歴史を感じることができて面白いものですね。※アルテックの2nd Cycle製品は、現在センプレではお取り扱いはありません。
Alvar Aalto (アルヴァ・アアルト)
1898〜1976年。
1898年フィンランド中西部のクオルタネにて生誕。
20世紀を代表するフィンランドの建築家で自然素材を近代建築へ巧妙に取り入れ、温もりのある作品で知られるモダニズム建築の巨匠です。
人の生活を中心に考えられた建築・家具・照明器具・ガラス器など自然なフォルムでどんな空間でも調和するデザインで幅広く活躍しました。
フィンランドの主要な木材で弾力が強く無垢のままでは成形しにくい白樺材を活用しようと、成形合板や引き曲げの技術を開発し、新しい技術革命を生み出しました。
フィンランドをこよなく愛し、素材を活かした温かなオーガニックデザインで近代的感覚を取り入れた作品を数多く残し、世界のミュージアムにおいて永久貯蔵品と認定されている作品も多数。