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ミツバチのお話

ミツバチの1年

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12月、1月、2月

篠山の冬はとても寒く、-10℃に届く日もあります。

冬の間、ミツバチたちは巣の中で団子状に身を寄せ合って過ごします。くっついて動き合うと、ミツバチ団子の中の温度が上がり、少しでも寒さを凌げることができるのです。

巣箱の周りには、発泡スチロールやワラを巻いて、できる限りの保温をしてあげます。

冬の間は蜜が足りなくなるので、給餌をしなければなりません。また、巣箱に異常がないかの確認も必要です。ただ、 寒い日や天候の悪い日に巣箱の蓋を開けるとミツバチが凍えてしまうので、穏やかな日を狙って世話をします。


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3月

2月の終わりくらいから、少し暖かい日には、巣門(ミツバチの出入りする門)から少数のミツバチが飛び出すようになります。

篠山の梅が開花するころになると、花の蜜を集め始めます。

しかし、まだこの時期は結構寒いので、蜜の量もあまり増えません。

女王蜂が新たに産み付けた卵が孵化して、若いミツバチが増えてきます。若いミツバチは、巣のすぐ近くでホバリングをして、すぐに帰ってきます。外に飛ぶ練習をしているのです。


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4月

いよいよ桜の開花です。菜花やれんげなど、春の花が一斉に咲き始めます。

巣の勢いも活発になり、巣箱にどんどんと蜜がたまっていきます。巣箱を2段に上げていき、巣はとても大きくなっていきます。

ささやまビーファームの近辺では、桜の花が多く、とても透き通った、香りのよい「桜のハチミツ」がたまります。4月の終わりから5月の初めにかけて、うまく行った年にはほんの少しだけ「桜のハチミツ」を搾ります。

ただし、この時期のハチミツは、今後の巣の群勢に大きく影響するので、ほとんど採取はしません。あくまでも、おこぼれにいただく程度です。

桜のハチミツは、それはそれは透明で、桜の花の香りがギュっと凝縮したような、とても奥深い香りがします。
この時期にしかない、また滅多に市場に出回らないハチミツですので、もし入手できた方がいれば、それはとてもラッキーと言えるでしょう。


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5月

ミツバチがもっとも、群勢を広げる時期です。

ビーファーム近辺では、椎の木の花がたくさん咲き、山一面が濃い黄色になります。ミツバチは、椎の木の花めがけて一直線です。

たらふく蜜を貯めたミツバチが巣に戻ってくると、足にはたくさんの花粉がついています。この花粉もミツバチのたんぱく源です。 椎の花のハチミツは、結構濃厚な甘味があります。

また、畑ではヘアリーベッチの花を栽培しており、そのハチミツも収穫できます。ヘアリーベッチのハチミツは、これまた透明で、まったくクセのないハチミツです。


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6月

引き続き、たくさんの蜜が採れる時期です。篠山の山は、春とは装いが変わり、山の花が咲き乱れます。

ソヨゴやリョウブを始めとして、たくさんの蜜がたまっていきます。このころのハチミツは、どんどんと色が茶色く、味覚も濃く甘くなっていきます。

そして6月の後半に差し掛かるころ、篠山は丹波栗の花が満開になります。 ミツバチは栗の花が大好きで、ビーファームのミツバチも近所の栗畑に群がります。

丹波栗のハチミツは、もっとも濃厚で、色も濃く、とても甘いハチミツです。そして、どことなく焼き栗のような香りもします。
鉄分などのミネラルがたくさん含まれることもわかってきたので、とても人気が高くなってきました。


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7月、8月

ビーファームでは、7月初旬くらいに最後の採蜜をします。つまり、採蜜の期間は年間わずか2か月半くらいです。

夏はミツバチにとってはとても暑く、その暑さをしのぐために、巣箱にすだれをかけたり、水をまいたりなど、様々な策をします。

また、ダニや農薬の被害が出始めるのもこの時期からです。篠山は丹波の黒豆の産地で、ちょうどこの時期に農薬がまかれます。

こういった、ミツバチの天敵から守るため、夏を乗り切るために全力を尽くします。


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9月、10月

9月になると、ミツバチの大敵である、スズメバチの襲撃がたくさん起こる時期です。

特に、オオスズメバチの攻撃を受けると、わずか一日で蜂の巣は全滅してしまいます。オオスズメバチは、硬い木でできた巣門をかじって破り、巣の中に進入し、根こそぎミツバチをかっさらっていくのです。

スズメバチへの対処に追われます。


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11月

この時期に産卵をしたり、生まれたミツバチはとても大事で、冬を乗り切るためのミツバチとなります。

寒くなると女王蜂は産卵をしなくなるため、この時期に生まれたミツバチだけで冬を乗り切らなければならないのです。


12月

そして、また越冬のための準備に入ります。


単花蜜が採れる仕組み

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なぜ単花ハチミツが採れるのか

ささやまビーファームで飼育しているミツバチは西洋ミツバチです。西洋ミツバチは、日本ミツバチとは違い、一つの花のハチミツを溜める性質があります。

たくさんの種類の花が同時にたくさん咲いたり、逆に咲く花が少しの時期は、百花蜜といって、様々な花の蜜が合わさったハチミツになります。

ただ、桜、菜花、れんげ、ニセアカシア、クローバー、栗、ソヨゴ、ゴマ、蕎麦、みかんなどなど、蜜をたくさん出す花が咲き乱れる時には、その蜜ばかりを集めるようになります。

その時期に合わせて、巣箱を移動させたり、畑に花を植えておくと、その花の単花ハチミツが採れます。

偵察をするミツバチが、蜜を噴いている花を見つけて巣箱に戻ると、巣箱のまえで「8の字」に飛びます。

これは「花の蜜を見つけた」という合図です。

8の字を描いている方向に蜜があり、 8の字の大きさや描く速さなどで、巣箱からの距離を伝えます。

それを見たミツバチが蜜を見にいき、戻ってきたら「花の蜜あったでー」と、また8の字ダンスを踊ります。

8の字ダンスを踊るミツバチがどんどん増え、最終的にはその巣箱のミツバチがみんな、その花の蜜を採るようになります。

これがどんどん同じ蜜が集まる仕組みです。

そうやってあらかたのミツバチが同じ蜜を集めている時、時折、違う蜜を採ってくるミツバチもいます。その場合、門番ミツバチに厳しく審査され、 美味しい蜜でないと、巣箱の中に入れてもらえないのです。

どの蜜を集めるのかは、おおよその法則があります。
・たくさん蜜をふいている蜜源植物か
・糖度の高い蜜源植物か
・巣箱から近い距離の蜜源植物か

これらの要素が複合的に合わさって、どの蜜が溜まるかが決まります。
もちろん、時折違う蜜も入りますので、100%純粋な単花蜜はありえませんが、こうやって単花蜜が集まるのです。


花の蜜の糖度を上げる

ミツバチは花の蜜をどうやって糖度を上げるのか

野山に咲く花の蜜の糖度は、とても低いのです。糖度で20度程度の花もたくさんあります。この蜜を、ミツバチはチューっと吸って、自分の巣箱にまで運んでいきます。
巣箱の中で羽根で仰いで、水分を飛ばして糖度を上げていきます。

この蜜が80度を超えるとハチミツの完成です。ミツバチは、完成したハチミツの入っている巣穴にフタをします。

養蜂家はこのフタの状況をみて「お、そろそろたくさんハチミツが完成してきているな」と判断し、採蜜をします。ささやまビーファームのハチミツは、自社ルールで糖度80度を上回るものだけを商品として出荷しております。

もちろん、糖度の低い状態で採蜜をして、人の力で乾燥機などにかけて糖度を上げるようなことはしておりません。まさに搾っただけの、100%天然、非加熱の生ハチミツでございます。

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ハチミツは腐らない

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糖度の高いハチミツは、腐ることはありません。

まだ、科学的にはハッキリとしたことは分かっていないのですが、ハチミツの持つ粘度と高い糖度で、菌が繁殖できない状態が続くのではないか、との説が有力です。

ただ、腐ることはなくても、どうしても風味は落ちてしまいます。あの、生ハチミツにしか味わえない、花の濃縮した香りとハチミツ独特の香りが合わさったかぐわしさを味わっていただくためには、できるだけ早くお召し上がりいただくことをおすすめします。
基準として、一応ささやまビーファームのハチミツは「採蜜から2年を目安」として賞味期限を設定しております。

ちなみに、糖度が75%以下のような糖度が低いハチミツですと、発酵してしまいます。


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ミツバチの天敵

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ミツバチにはたくさんの天敵がいます。天敵に襲われると、ミツバチの数が減ったり、巣箱ごと全滅したり、最悪の場合には養蜂群ごと全滅することもあります。

巣を全滅させるほどの天敵には、オオスズメバチ、ダニ、カビ、農薬、猿、クマ、人によるイタズラなどがあります。

ほかにも、気候や天候の変化が激しいと、ミツバチがそれに適合できないこともあります。

ちなみに、ささやまビーファームはこのすべてを経験しました。
対処法は色々ありますが、基本的にはしっかりと見回ることです。少しの異変にも気づいて、次善策を取っていきます。
自然相手ですから、出来るだけ異変が起きないように、またもし発生した場合は、しっかりと対処できるようにしています。


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天敵 スズメバチ

オオスズメバチの襲撃との闘い
8月末から10月に入るまでが、ミツバチの巣にスズメバチが襲来する時期です。スズメバチも冬を乗り切らないといけませんからね。

スズメバチにも何種類かあって、小型スズメバチさんやキイロスズメバチさんは、ミツバチを一匹ずつ捕まえては、ご機嫌さんで自分の巣まで持ち帰ってパクパク食べるだけなのですが、オオスズメバチはそうはいきません。

巣門といって、ミツバチの巣からミツバチが出入りする巣の入口の部分のことなのですが、これはかなり狭く、ミツバチは通れるのですが、スズメバチは通れません。

ただ、オオスズメバチはこの巣門(木でできています)を、自分のキバで噛み砕いてしまいます。巣門を大きく砕いたあと、そのオオスズメバチは自分の巣に帰り、 「あのミツバチの巣、みんなで襲撃にいこうぜ!」と、仲間のオオスズメバチを呼ぶのです。

その結果、ミツバチの巣は全滅してしまいます。
ミツバチどころか、中の幼虫やら卵やら、すべてお持ち帰りとなって、オオスズメバチの豪華宴会の材料になってしまうのです。

ですから、旦那vsオオスズメバチの戦いが来年のミツバチの隆盛を左右することになります。
しかしいまだに有効な手立てはなく、旦那はトンボを捕まえる網を片手に戦っています。その網でスズメバチを捕まえてはやっつける。こんな原始的な方法で毎日戦っています。

もちろん、ねずみとりシートを巣箱の上に置いたりなど、さまざまな方法を使ってはいますが、やはり最終的にはトンボの網です。
スズメバチさんも自然の体系の中にいるので、全滅してしまえば生態系がくるってしまってまた違う害が発生すると思うので、こうやって地道にやっつけていくことが最善なのかな、と思っています。

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天敵 ダニ

ダニには無農薬で対抗します
ミツバチの大敵には大きく4つありまして、スズメバチ、ダニ、作物に使う農薬、野生動物です。

野生動物のお話はまた次回以降にするとして、今回はダニのお話。
ミツバチに寄生するダニが、ミツバチを全滅させてしまいます。

ダニは卵を、ミツバチがサナギになるときに産み付けて、ミツバチの成長といっしょにダニも成長していきます。その過程でミツバチの栄養をたっぷりと吸い尽くすので、よわっちいミツバチばかりになってしまい、最終的にはそのミツバチの巣は全滅してしまいます。

だから、もっともいい方法は、ダニを寄せ付けなければいいのですけども、ミツバチはあちこち飛び回ります。お花のところでは、他の昆虫と背中をすりあわせることもあるでしょうし、中には他のミツバチとも触れ合うこともあります。
その時にダニがくっついてくるので、「ミツバチからダニをゼロにすること」は不可能です。

だから、少しでもダニを少なくする。

そのために、多くの養蜂家はアピパールとかアピスタンといった農薬を使います。

これで巣箱のダニは一網打尽になるのですけども、時々、その農薬を「屁とも思わないダニ」が誕生します。一度誕生すると、そのダニの天下になるので、その農薬がまったく効かなくなるのです。

すると、さらに強い農薬、さらに強い農薬、といたちごっこになってしまい、かなり強い農薬を使わざるを得なくなります。

もちろん農薬業者は「秋に農薬を使うのだから、春以降の採蜜時にはこの農薬はハチミツには入りませんよ」とはいいます。

ただ、たとえ農薬がハチミツに入らなかったとしても、どんどんと強いダニが誕生してしまうので、最終的にはミツバチが全滅してしまいかねません。

そこで、ビーファームでは「農薬を使わない養蜂」をしています。
農薬の代わりに「シュウ酸」を使います。

シュウ酸とは、どんな野菜にも微量は含まれていて、特に小松菜やほうれん草に多く含まれている食品の一種です。
このシュウ酸にダニは弱くて、ミツバチはシュウ酸は何とも思わないのです。だから、夏から秋、秋から冬と、幾度かに分けて、シュウ酸を吹き付けるのです。ただ、冒頭でも述べたように、ダニはミツバチがサナギになろうとする幼虫に卵を産み付けるので、サナギの間はシュウ酸が防御されます。だから幾度かに分けて吹き付けるのです。

この作業が大変で、「あーーー、もっと楽な方法を考えればよかったーーー」と、夫は時折弱音を吐いているのですけども、まあこれが一番自然に優しく、そしてダニも物理的にやっつけるので、抗体ができないですし、長い目でみれば一番いい方法じゃないかな、と思っています。