[特集]定番アイテム
当会の発足以来40年余り、数多の作務衣を世の中に送り出してきましたが、その中でも、やはり定番と呼ばれるものには長く愛されるだけのワケがあります。意匠、素材、産地……その理由は様々ですが、このコーナーでは、皆様のご支持を集める当会定番のアイテムを集めました。作務衣選びにお悩みの際は、ぜひお役立てください。
わが国最古の染色技術、藍染
藍染めとは、蓼科の植物である藍を染料とする、わが国最古の染色技術であり、奈良正倉院の宝物にも、藍染めが残っています。日本で千年以上の歴史を持ち、かの「源氏物語絵巻」にも登場しています。平安時代にはほぼ完成の域に達し、鎌倉時代に全国に普及。江戸時代には日本独自の藍染の文化を開花させました。
藍は、ヨーロッパでは「ジャパンブルー」、アメリカでは安藤広重の「東海道五十三次」に描かれた鮮やかな空や水の藍色から「ヒロシゲブルー」と名づけられ、現在では日本の代表的な色として世界に認められるまでになっています。
昔の人は、藍染めを野良着として重宝していました。 藍の染料が糸の表面につくことで強度が増し、丈夫で摩擦に強い着物になったのです。
日本の歴史を調べると、あらゆるところに藍に関する記述が見られます。 古来より日本人の生活に欠かせぬものとして、その傍らにあったのが藍なのです。
科学染料に押され衰退を辿っていた天然染料ですが、もう一度その良さが見直されようとしています。わが国最古の、そして歴史を経て今も使われ続けている藍。伝統の藍染めを、皆様の目でお確かめください。
カタカナの作務衣があるわけ
当会の作務衣には、いわゆる横文字といわれるカタカナ表記を持つものも多くあります。デニム、ウール、コーデュロイ、何やら洋装ファッション誌の趣き。
ところが、これらのすべてがヒットの連発なのです。
当会としては、無理やりにこの横文字素材を集めたわけではありません。数多くの生地の中から、季節にふさわしい、作務衣にふさわしいと判断したものが、たまたま横文字素材だったのです。
それはまさに、現在の洋装ファッションの流行とピタリと一致しています。
このことは、今や作務衣は定着どころか、洋服やカジュアルウェアなどと同じポジションのように、広くその良さが受け入れられているという以外に考えられないのです。
古き佳き部分は残しながら、時代と共に作務衣も生活環境の変化などに合わせて変わらなければならないという当会の「作務衣進化論」。常に新しいスタイルの確立を求めて40年弱、デニムを筆頭に、当初は異彩であったカジュアル作務衣が定着したようで、スタッフも感慨しきりです。