【名入れギフト専門店ルニカ】
利酒師・尾田直哉がゆく「やちや酒造」探訪記
やちや酒造入り口 佇まいに風情があり老舗の貫録が伺えます

やちや酒造入り口看板
春と呼ぶにはまだ早い2月下旬、金沢市大樋町(おおひまち)にある「やちや酒造」様を訪問させていただきました。

加賀藩祖、前田利家が金沢城に入城した際、酒造りの供としてこの地に酒蔵を建てたのが、やちや酒造の祖「神谷内屋 仁右衛門」。
後に前田家より「谷内屋(やちや)」の称号を受け、現在の「やちや酒造」へと続き、以後400年もの間金沢の酒文化を担う事になったのです。
この「やちや酒造」様のある大樋町は北国街道に面しており、城下の北の出入口にあたる「大樋松門(おおひまつもん)」があります。
江戸時代の参勤交代の際には、大名行列の一行がここら一体で旅装束に整えたり解いたりしていたとの事。
言わば「スタート&ゴール」の地点とでも言えるかもしれません。

当時、この街道はさぞかし賑わっていたでしょうが、今では主要国道が近くにあるため、とてもすぐ側に市街地があるとは思えない落ち着いた雰囲気を醸し出しています。
やちや酒造様の酒蔵も当時を想い起こさせる風情の建物です。(店舗・酒蔵は文化庁登録有形文化財である)


やちや酒造店舗スペース
加賀鶴 前田利家公 特別純米酒
表戸から入ると、店舗スペース。
観光客にも対応した4号瓶を中心とした品揃えです。
伝統の商品の中にも現代的な商品もあり、日本酒の底辺拡大への想いが感じられる品揃えです。
また、沢山の種類の試飲コーナーもあり、お店をご訪問される際はお車以外でのご訪問をお勧め致します。


歴史の色が見える店内
趣のある梁
店舗スペースから視線を左にずらすと、歴史を感じさせる雛飾りが。(訪問はお雛祭りの少し前)。
この雛飾りは前田家の姫が姫路城の酒井家へ嫁いだ際に持ち込まれたと言われる紫辰殿ひな人形とのことで、数年前に酒井家から譲り受けたとの事。
お雛様や御内裏まさのお顔が隠されているのが格式の高さをを感じさせます。
歴史を感じさせる雛飾り
そのお雛様の横にはこれまた歴史を感じさせる江戸時代中期の自在鉤(じざいかぎ)が2つある珍しい囲炉裏が。

何でも、一つは煮炊き用。もうひとつは燗用とか。
さすが酒蔵。

130年前のアメリカ製の掛け時計。
今も尚、正確に時を刻んでいることに驚きを感じます。
自在鉤がある囲炉裏・アメリカ製の掛け時計 次に、お座敷を拝見しました。

朱塗りの壁は、高い格式のしるしとのこと。
加賀13代藩主の前田斉泰公の額や円山応挙の掛け軸など、”お宝”が普通に飾られていて、ただただ感嘆するばかり。
お座敷から眺める中庭も、心穏やかな気分にさせてくれます。
朱塗りのお座敷・十三代当主前田斉泰の書


酒が造られる命の蔵
蔵の見学


もろみの発酵 華やかな吟醸の香り
「もろみ」が発酵しています。
耳を澄ませば「ポコポコ」と聞こえてきます。
まさに「お酒は生き物」
華やかでフルーティーな吟醸香が漂います。

あらばしりの原酒を試飲。
かすかに舌に感じる刺激と程よい酸味が、お酒の旨みと交わって絶妙でした。
もっと飲みたいっ!(笑)

  試験用の樽です。
伝統を守るだけでなく、常に新しいものにもチャレンジされる姿勢
が四〇〇年続く所以かと。


一樽一樽心のこもった酒造り
「やちや酒造」神谷社長と弊社社長、尾田知之と記念写真 神谷社長ありがとうございました 「やちや酒造」神谷社長と弊社社長、尾田知之との
”記念写真”この日は神谷社長直々に、蔵のご案内・ご説明を頂きました。
長時間ありがとうございました。

巨大な工場から生産されるお酒ではなく、まさに一樽一樽心のこもった酒造りを拝見させていただき、私たちはこのようなお酒こそ消費者の皆様にその良さを伝えなくてはいけないという使命すら感じました。
また、蔵全体から醸しだされる優しくも温かい雰囲気は、神谷社長の真摯かつ気さくなお人柄の賜物であると感じた今回の”蔵訪問”でした。