日本酒の4つのタイプ
日本酒の味そして香りの特性から、大きく4つのタイプに分類することが出来ます。その4つのタイプを把握することで、日本酒を楽しむ幅を広げることが出来ます。例えば、タイプごとに相性のよい料理も違います、また、飲用するとき冷やで呑んだり、燗して呑むことで、その日本酒の味を引き立たせることも出来ます。それではここで、その4つのタイプの特徴をお話いたします。

日本酒キーワード


日本酒タイプ別チャート:日本酒造組合中央会が公表しています、日本酒のタイプ別チャートです。日本酒を「香りの高いタイプ」「軽快でなめらかなタイプ」「コクのあるタイプ」「熟成タイプ」という大きく4種類に分け、それぞれの特徴を表しています。お好み探しの一つの目安としてみてはいかがでしょうか。


香りの高いタイプ このタイプと料理の相性 このお酒と飲用温度

吟醸、大吟醸酒が代表的です。生酒や本醸造酒にもこのタイプに該当する酒もあります。

特徴
華やかな香りと爽やかな味わいのタイプです。 香気成分を多く含み、熟成成分やアミノ酸が他のタイプのものに比べ少ないです。

香り
華やかで透明感のある果実や花の香りが高く、爽やかさを感じさせる香草や柑橘類の香りも高くなっています。その反面、樹木やスパイスを思わせる香り、原料由来の穀物のフレーバーや熟成香は極めて微量なっております。

味わい
甘さととろ味は中程度で、爽快な味わいをもたらす酸とのバランスが取れています。一方で、苦味や旨味が少なく明るい爽やかな味わいとなっています。口中での華やかな香りは高いですが、後の余韻は短いです。


軽快でなめらかなタイプ このタイプと料理の相性 このお酒と飲用温度

生酒(生貯蔵酒)が代表的です。本醸造酒、純米酒にもこのタイプに該当する酒もあります。

特徴
清楚な香りと軽快な味わいのタイプです。色調は淡く、上立ち香は控えられていますが、新鮮で軽快な含み香となめらかでみずみずしい味を持っています。香気成分は中程度ですが、リンゴ酸などの有機酸を多く含み、アミノ酸、熟成成分は微少です。

香り
全体が穏やかで控えめで、わずかな果実香と新鮮な爽やかさを感じさせてくれます。その反面、山菜などの苦味を思わせる香り、ふくよかさを感じさせる香りは少なくなっています。

味わい
清涼感を持った味わいで、軽くさらりとしています。ほのかな甘味と、フレッシュ感のある酸味、心地よい苦味が微量にあって、酒の爽やかさをさらに引き立てています。穀類を思わせる味わいや熟成感はほとんど見ることは出来ません。


コクのあるタイプ このタイプと料理の相性 このお酒と飲用温度

純米酒が代表的です。本醸造酒にもこのタイプに該当する酒もあります。山廃や生もとの酒はこのタイプです。

特徴
ふくよかな香りとコクのある味わいのタイプです。色調はやや濃く、上立ち香りはと、やや重厚なほど良い苦味と旨味を持っています。

香り
フルーツや花、ハーブを思わせる香りは非常に少なく、樹木や石の香りがあり、ふくよかさを感じさせるまろやかで複雑な旨味を感じさせる香りが強く、濃厚でいて柔らかな香りの特性を示しています。

味わい
甘味、酸味は心地よい苦味とふくらみのある旨味と共に調和しとろりとして充実したふくよかな味わいとなっています。味わいの残存時間が長く、力強さを感じます。


熟成タイプ このタイプと料理の相性 このお酒と飲用温度

古酒が代表的です。一部純米酒にもこのタイプに該当する酒があります。

特徴
一口に熟成タイプといっても、軽快な酒質のものから重厚なものまでさまざまであり、それぞれに温度設定が異なります。重厚な旨味成分を持つものほど高めの温度設定を考えればいいでしょう。

また、非常に個性的なこのタイプは大きく嗜好が分かれる傾向があります。好まれる方なら、旨味が十分に映えるような高めの温度設定にし、あまり好まれない方には、やや低めの温度に設定して、強い香りと旨味を抑えてやると、より飲用しやすくなります。

 燗にして酒質が映えるタイプも見られますが、温度が高すぎると、香味のボリューム感が強調されすぎる場合がありますので、通常の燗酒よりは低めの温度設定を心がけましょう。

適した飲用温度帯:15〜25℃または35℃前後