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“座りすぎ時代”の新しい机と椅子のあり方1

特別対談
“座りすぎ時代”を乗り越えるための
 新しい机と椅子のあり方を考える

椅子には場所に応じたさまざまな用途があります。リラックスしたいときにゆったり座る椅子、集中して仕事に取り組める椅子──。しかし、ここ30年近く続くワークスタイルの変遷によって人は《座りすぎの時代》を過ごし、それにともなう身体の不活性化がさまざまな疾患の原因にもなりうると言われています。

こうした背景をふまえて、福祉人間工学の専門家である九州大学大学院の村木里志教授と、身体を活性化させる観点から40年以上バランスチェアの開発を続けているハンス・クリスチャン・メンショール氏の対談を、東京・広尾のノルウェー大使館オーロラホールにて行いました。

これからの時代における新しい机と椅子のあり方について考えていくものです。

「座りすぎの時代」をいかに乗り越えるべきか

──長時間のオフィスワークが当たり前になっている現代社会。特に先進国の抱える社会問題として、座りすぎからくる肥満や運動不足などが顕在化しています。

村木:そもそも人は、太古の昔から生活をするために必ず身体を動かしていました。食料を手に入れるために森を歩き、集めたものを食べて暮らしていた時代から、生きる=身体を動かすことだったのです。しかしいまでは仕事も暮らしも座って生活する時間が1日の中に長く組み込まれるようになり、身体を動かす機会が減っています。

メンショール:PCの普及によってモニターの前に座る時間が飛躍的に増え、座ること、動くこと、横になって寝ていることのバランスが大きく変わってきています。私たち自身に何ができるのかを考えなくてはならない局面だと考えています。

──少なくなった運動量をどうやって補うのかを考えたとき、バランスチェアのような椅子を日々の生活に組み込むことに価値がありそうです。それではここであらためて、メンショール氏が提唱しているバランス理論をご説明いただいてもよろしいですか?

メンショール:〈バランスシナジー〉に腰かけると、ピンと背筋を伸ばした垂直線から2,3度ずれる振り子運動が生まれます。椅子が後ろに傾くと身体は前へ、前傾姿勢になると軸は後ろにずれ、腰、肩、背中を使って身体は垂直を保とうとします。まさにバランスを取ろうとするわけです。こうした動きを無意識のうちに行い、体幹を鍛え、腰痛予防など健康にまで効果があるところにバランスチェアの価値があります。

背もたれがないのにも理由があります。背もたれに体重をあずけてしまうと、《傾いて、戻って》という自然な動きが失われます。 バランス理論における「身体の不活性化状態」になるわけです。

──無意識のうちに前後・左右にバランスを取ることで、身体というのは活性化をはかれるわけですね。

村木:人間は「静と動」をバランスよく繰り返すことで生活しています。寝ているのか、起きているのか。休んでいるのか、運動をしているのかということです。バランスチェアに座ると、その「静と動」を小さく繰り返すことができます。座りすぎの方にとっては、こういった椅子を使うことが一つの対策になるのかもしれません。

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