スタッフ・宮永の独り語り
DIの基礎知識

ベーシストの皆さま、はじめまして!渋谷パワーレックのスタッフ・宮永です。

リットーミュージック社「ベースマガジン」2005年8月号 ライブで、レコーディングで、ベーシストがお世話になる機材”DI”・・・なかなか得体の知れない機材の代表選手ではないでしょうか?
これからDIを選ぶと言う方に是非知って頂きたいポイントを幾つかご紹介致します!
※本ページはリットーミュージック社「ベースマガジン」2005年8月号の特集記事を大いに参考にさせていただきました!


DI、ダイレクトボックスなどと呼ばれていますが、正式名称はDirect Injection Box(ダイレクト・インジェクション・ボックス)と言います。
ベースの信号をミキサー卓に最適な状態へと変換し、長~くケーブルを伸ばしてもノイズが乗りにくい強い信号にしてくれます。



まず一つ目の役割は、「アンバランス型の伝送ラインをバランス型の伝送ラインに変換する事」です。
アンバランス型とは、皆さまが普段使っている普通のシールド(ギターケーブル)の方式で、
アンバランス型アンバランス型
バランス型バランス型
内部は
音の信号アース の2本のラインで電気信号を送っています。
バランス型とは、マイクケーブルなどで使われる方式で、
内部は
音の信号(ホット)アース に加え、ホットの信号の極性を反転させた
ラインの ●音の信号(コールド) の計3本のラインで電気信号を送っています。


例えばライブ会場で、ステージからPAミキサーまでの長い距離をケーブルで接続するので、この間に電磁波などによるノイズが混入してしまいます。
アンバランス型では、この混入したノイズが全てPAミキサー、メインスピーカー(※お客さんが実際に耳にする音を出すスピーカーです)へと送られてしまいます。

このノイズ対策として、出力元のベースに出来るだけ近い段階(=ステージ上)でバランス型に変換を行います。

バランス型では、位相反転のコールドの信号がPAミキサーに入力された後に再度反転されて元の極性に戻され、ホットの信号とミックスされます。 この時、ホットとコールドに同量存在するノイズ成分(同相ノイズ分)は、最後のコールド反転によりミックス時には互いに逆極性のノイズ信号同士で打ち消し合う事になります。
つまり、ベース本来の信号はそのまま残り、途中でケーブルで拾ったノイズはゼロに近くなる、というわけです。 (但し、打ち消されるのは同相ノイズ分のみとなりますので、ノイズが完全にゼロになるわけではありません)

続いて二つ目の役割は、「ハイ・インピーダンスの出力をロー・インピーダンスの出力に変換する事」です。
パッシブのベースを愛用のアナタ!ここが重要です!
パッシブタイプのエレキベースの出力インピーダンスはかなり大きいので、接続する先の機器(PAミキサー)の入力インピーダンスを更に大きな値にしなければなりません。
例として、パッシブベース→ミキサーのマイクインプットに接続してマイクプリ部でゲインを持ち上げても、ベースらしくないペラッペラな音になってしまいます!

そこで間にDIを使う事により、DI自体の内部回路の働きで出力インピーダンスを小さく出来る為、接続先(PAミキサー)の入力インピーダンスもそれに応じた小さい値で済み、結果的にケーブルからの侵入ノイズ量を相対的に小さく出来ます。

ちなみにこのインピーダンス変換は、トゥルー・バイパスでないエフェクター類(電子スイッチを用いたタイプ)でも同じ効果が得られます。
<インピーダンスとは?>
インピーダンスとは”交流抵抗”と呼ばれる事が多いのですが、基本的には電気回路上の2点間に存在する抵抗、コンデンサー、コイルなどの電子素子が、電気信号に対して抵抗として働く作用を総合し、全体をまとめて一つの抵抗の様に置き換えて表した物です。
電気楽器、エフェクター、アンプにおいては、その機器の入力部分とアースの2点間のインピーダンスを”入力インピーダンス”、 出力部分とアースの2点間のインピーダンスを”出力インピーダンス”と定義します。
二つの機器を接続する際に、ノイズの少ない充分な大きさで信号を伝送する為には、
”送り側の機器の出力インピーダンスの大きさ<受け側の機器の入力インピーダンスの大きさ”
つまり、
”ロー出し、ハイ受け” が基本となります。



変わります!!
「Radial JDI」などのトランスを使ったパッシブタイプのDIでは、多かれ少なかれ高域の音が減るなどの音質変化が発生します。

Radial JDIRadial JDI
Radial JDI内部トランス部Radial JDI内部トランス部

パッシブタイプはトランスが命!
「JDI」でも使われている「Jensenトランス」は非常に定評がありますね。

より一般的なアクティブタイプのDIでも、電気回路に使われている電気部品の特性、そしてそれが構成する回路の方式に従い音質が変わります。

抵抗、コンデンサー、各種ICなどの半導体は、それぞれが固有の周波数特性などを持つ為、それらの組み合わせ次第でいくらでも音が変わる事になります。
更に「プリアンプ/DI」タイプの機器は、ゲイン(前段のボリューム)やイコライザーを実装し、より積極的な音作りで利便性や個性を打ち出す物もあります。

真空管を実装したDIもありますね!

ALBITの「A1FD Pro」、「ATDI Pro」はアルビット中沢氏のこだわりにより、オリジナルのチューブチェッカーでエージングを行った真空管を実装して出荷されています。

ALBIT A1FD ProALBIT A1FD Pro
ALBIT ATDI ProALBIT ATDI Pro
チューブチェッカーチューブチェッカー



<ライブでは・・・>

エフェクターを使うベーシストの場合、一般的に

LIVEのセッティング

上記のようなセッティングになります。 (もちろんエフェクター無しでベースからDIへ直結もアリです!)
つまり、ベースアンプのイコライザーで積極的に音作りをしても、お客さんへ届くメインの音には関係ない・・・という事になります。

ドンシャリセッティングドンシャリセッティング


例えば、上記の接続でベースアンプをドンシャリにしても、PAさんがPAミキサーでフラットにしていたら、
ドンシャリサウンドを聴いているのはステージ上の自分と、ベースアンプの音が聴こえる距離の最前列のお客さんくらいで、
大半のお客さんはドンシャリでないフラットな音を聴く事になります。




・・・結論:DIのアウトまでがベーシストの責任です!


<レコーディングでは・・・>

ベースアンプの歪みを活かすという場合以外は、一般的に
RECORDINGのセッティング
上記のようなセッティングとなり、ベースアンプ自体を使わないケースが多くなっています。
ベースアンプを混ぜる場合も、レコーディング時は上記の接続でライン録音のみを行い、後日リアンプ作業でベストテイクを何曲かまとめて
レコーダーをプレイバック→リアンプ→ベースアンプ→マイクで収音→マイクプリ→レコーダー機器

リアンプ
と 、ベーシストは演奏しないでベースアンプ音を作り上げるケースが増えています。

Reamp JCRoReamp JCRo
※リアンプについて詳しくは別の機会に・・・
今スグ知りたい方はパワーレックまでお問合せ下さいませ!


話が脱線しましたが、スタジオ備え付けのDIに頼らずに”マイDI”を持ち込めば、自分のイメージする音をそのままエンジニアさんに届けやすくなり、レコーディングの最中も”自分らしい音”を聴きながら演奏出来る為、ベストテイクを出しやすくなる筈です。

・・・結論:DIのアウトまでがベーシストの責任です!
渋谷にお立ち寄りの際には、是非このコーナーへお立ち寄り下さいね!
ベースという楽器は弾き手によって千差万別。
本当に演奏者の個性(弾き方)で驚くほど音が変わると思います。
「このベースには、このDIが良く合う」
「このジャンルには、このDIが良く合う」
というオススメは私たちスタッフが経験上からご案内できますが、最終的にはベーシスト一人一人に弾いて、比べて「コレだ!」という一台見つけて頂きたいというのが、このDIお試しコーナーの大切なコンセプトです。

渋谷にお立ち寄りの際には、
是非このコーナーへお立ち寄り下さいね!

お問い合わせは

パワーレック5F

tel.03-5456-8809

e-mail:reckb_rakuten@ikebe.co.jp

店舗詳細情報>>