【2004/01/13に配信した当店のメルマガ
「ぴよぴよ新聞 号外」の本文を転載致します。】

「 鶏卵と鳥インフルエンザについて 【卵の庄】 (・Θ・)ぴよ新聞号外 01/13/04号」

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
たまご処 卵の庄 ぴよぴよ新聞 【号外】 2004.01.13

【卵の庄】管理獣医師からのご案内

https://www.rakuten.co.jp/rannoshou/
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃卵の庄の卵を産む母鶏は、今日もみんな元気でした┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

いつもお世話になっております。
筑前飯塚宿 たまご処 卵の庄 店長の畠中 五恵子です。

昨日は本当に沢山のご感想メールを有難うございました。
スタッフ一同、本当に勇気付けられました。

それなのにまたしても昨日にひき続き、あまり楽しくない内容の号外を
配信しなければならず、大変恐縮です。

本日はいつもの【店長】畠中としてというよりも、本来の肩書きである
【獣医師】畠中 五恵子として、今回の鳥インフルエンザの発生について、
既に報じられている内容に、獣医師として独自に入手した情報もあわせ
て、当店の自己防衛のためではなく、一般的な卵の安心のためのご説明
とご案内をさせていただきたいと思います。

興味のない方もいらっしゃるかとは存じますが、今回の件は獣医師とし
て責任をもってご案内すべき問題と考えますので、ご理解宜しくお願い
します。

もう既にご存知かと思いますが、昨日山口県東部の養鶏場で、日本では
79年ぶりに鳥インフルエンザウイルスによる感染症の発生が報告され
ました。

それに伴い、発生農場の鶏は全羽処分、鶏卵は自主回収、そして半径
30キロ以内の未発生農場の鶏卵もすべて移動停止という、非常に厳重
な対策が直ちに取られました。

この範囲内には30件もの養鶏場が含まれるということで、行政として
は大変思い切った決定です。大学院を終了後、獣医師として県の家畜保
健所に勤務した経験のある私でさえ、かなりびっくりしました。

それ程重い決定をしたのも、今回発生した鳥インフルエンザという疾病
が大変強力な病原性を鶏にもたらすからに他なりません。

ただし、この病原性は鶏卵や鶏肉からヒトにもたらされるものでないこ
とも既に報じられているとおりです。

つまりこの病気は、養鶏場にとっては大変恐ろしい伝染病で、感染時の
実際的影響は計り知れず、関係者が大騒ぎするのは当然のことなのです
が、逆に一般消費者にとっては、たとえわざわざ発生農場の卵を食べた
としても何らかの影響があるとは考えにくい、大変疎遠な問題でもあり
ます。勿論、発生農場のものでもない卵は、言うまでもありません。

しかも、今回報じられた経過からすると、年末年始を挟んだにもかかわ
らず行政の対応はまれに見る速さで、これまでに大きな被害を出した諸
外国の対応の悪さについての対策が生きたものではないかと思います。

我々としては、今回の判断が大変迅速で厳重だったことが功を奏し、こ
のまま最小の被害で終わってくれることを祈るばかりですが、本日に入
り、今回の被害が実際の感染による被害だけではなく、既に風評被害に
なりつつあることもひしひしと感じています。

移動制限範囲内の農場の卵だけでなく、卵一般の消費にも影響は必至で
すし、今回感染した鶏が福岡県内(といっても、ほとんど大分県との県境)
で育てられたという報道があっただけで、県内と言っても車で二時間近
くかかるうちにも問い合わせが入ったりしています。

が、本日家畜保健所の獣医師から入った情報によると、今回鶏インフル
エンザに罹っていた鶏は日齢の古いもので、若いものからはウイルスが
確認されなかったらしく、このことから、福岡県内の該当農場は汚染さ
れていないことが推測できます。

何しろ今回のウイルスは、鶏への伝染力は強力で、しかも潜伏期間もか
なり短めのようなので、そのヒナが福岡からウイルスを持ち込んだとす
れば、何らかの影響が既に出ているはずですから。

という訳で、現在のところ、卵の庄の周辺では鳥インフルエンザの発生
について過度な心配はしておりません。

勿論対策については、近年アジア各地で猛威を奮っていると報じられて
いたので、管理獣医師と致しましても、既に以前より可能な限りの対策
は講じて参りました。

とはいえ、今回の病気は、鶏にとっては非常に伝播力の強い大変怖い病
気ですので、私と同じく獣医師でもあり、農場の管理責任者でもある私
の夫と共に、これまで以上に対策と監視に努めたいと思っております。

何よりも、

うちの農場内の母鶏たちが毎日元気であることが、何よりの安全の証明
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
であるのですから。

また、今後何が起ころうと、何よりもまず、

お客様の安全を第一に考える!
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

ことも、昨日に引き続き宣言させていただきます。

また、既にいくつかの質問をぴよぴよ新聞をお読みの方から頂きました
ので、昨日に引き続き代表的なものを、Q&A方式で取り上げさせてい
ただきます

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●卵からはうつらないと聞いても心配なので、卵は食べない方がいいの
ではないですか?

勿論おひとりおひとりの考え方だとは存じますが、もともと卵は風邪薬
の原料にもなるほど高い抗病性をもち、健全な体力作りのためにも不可
欠な食品なので、それを食べないことで受けるデメリットもかなり大き
いです。

そのデメリットを考えてもなお、過去卵からの感染報告のない病気の方
が怖いということであれば、食べないという選択肢もあるかもしれませ
んが、常識的には到底得策とは思えません。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●卵から人にはうつらないけど、鶏から人へはうつると聞きました。卵
の庄の皆さんは大丈夫ですか?

鶏から人へはうつる、というのはもはや常識となってしまっていますが、
これも全世界でこれまで数例の死亡例があるだけで、伝播力から言って
も、実質的な危険性から言っても、通常のヒトのインフルエンザの方が
はるかに怖いことは言うまでもありません。
だからもし今、鶏舎とラッシュ時の電車のどっちを選ぶか、と聞かれた
ら、私も他のスタッフも絶対に鶏舎を選びます。(^^;)
ご心配いただき大変ありがたく思いますが、そういうわけですのでどう
ぞご安心ください。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●移動停止範囲内の養鶏場の卵はどうなるのでしょう?

今回この範囲内の農場の卵は、一切出荷することが出来なくなりました。
発生農場だけでなく半径30キロ以内にある農場すべてです。
これは想像出来ないほどの大打撃です。

卵自体は各農場が破棄することになるでしょうが、ただでさえぎりぎり
の経営状態が当たり前のこの業界。しばらく続くことになるこの規制の
ために廃業に追い込まれるところも出てくるかもしれません。
そして勿論、受けた被害の補償はほとんど望めないと思います。
そう言う意味で、今回の本当の被害者はこういう農場とも言えます。
同業者としてとても他人事とは思えず、本当に身につまされます。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

以上です。

まだまだ混乱中で、刻一刻と変わる状況に一喜一憂の状態ですが、出来
れば明日にも通常の元気の良いぴよぴよ新聞をお届けしたいと思ってい
ますので、今しばらくお待ちください。

さすがに連日のハードな内容に、書いている私自身が1番嫌になってい
る畠中@たまご処 卵の庄がお届けしました。

ではっ。

戻る