当ページは村瀬鞄行のランドセルの共通の詳細説明となります。"村瀬鞄行のランドセルの一覧を見る"
要所手縫いの手づくりランドセル
ランドセルづくりは、様々な工程を一つひとつ手作業で行っています。細かなパーツ自体も日本国内で製造する、「一からの日本製」にこだわりました。その中でも、技術の求められる手縫いによってつくられるのは、工程からの丈夫さ。特に力のかかるベルトの付け根に、太く丈夫な糸を使って手縫いを行っています。職人の手によって革と糸が締め上げられ、とても丈夫に仕立てられます。ランドセルをつくるメーカーは数多くありますが、職人の技術を継承し、より良く改良していくのは、村瀨鞄行ならではのこだわりと言えます。
*匠シリーズはベルトの付け根に加えて、背当てのへりにまで手縫いを行っています。この箇所は時間を1/20に短縮できるミシンであったり、縫いやすい細い糸を使うことが一般的ですが、あえて時間と手間をかけて、さらなる丈夫さを求め仕立てています。
手縫いの前にも大切なひと手間「皮漉き」
革のランドセルづくりでは、皮漉き(かわすき)が欠かせない工程となります。革は厚いほど丈夫になりますが、適正でない厚みは不要な重さや、加工できない固さの原因となります。やわらかさや表面の状態が一枚一枚異なる革の状態を手で感じとり、適正な厚みへと微調整する職人の技と経験が活きる工程です。1つのパーツとはいえ、角度を付けたり溝を付けたり、時には3箇所に漉き工程を行いランドセルの部品として仕立てられます。
職人から職人へ受け継がれる「きざみ」
地面や壁とぶつかりやすく、丈夫さを求められる底面の角は「きざみ」という技法で角に合わせて生地を寄せることで、丈夫に仕立てられます。反対側の背中に当たる部分は「きざみ」がなく、生地がピンと張った美しい状態に。片側により多くのひだが集中するため、高い技術が求められます。
革素材について
加工の手間や入手の困難さから、大量生産には向かない革素材。とれたばかりの原皮から、繊維のほぐしや毛抜き、なめしといくつもの工程を経て、ようやくランドセルの役目を果たすことのできる革になります。そこから厚みや硬さが異なる革の個性を見極め、ランドセルのどの部分に使うかを決めていく「型入れ」や、「革漉き」「手縫い」などを行い、ランドセルが形になっていきます。パーツの段階で必要以上に薄く加工することは行わず、革本来のしっかりした張りを活かしてランドセルにしました。どの素材も面倒な革クリームを使う必要はなく、お手入れも簡単。また、食用の牛や馬から原皮を取り、環境にも配慮しています。
*本体素材が牛革として表記されているランドセルでも、ヘリ巻きなど細かい部分には、曲げに適したしなやかさを持つ人工皮革を使っています。素材の特性を見極め、適材適所で使っていくことが、よりよいランドセルづくりに欠かせません。
*型入れの際に大きな傷やシワは避けておりますが、表面に現れない血筋・古傷やムラが、製造後・使用中にシワとして浮き出てくる場合や、手縫いやミシン行程による窪みが付いている場合がございます。これらは一つひとつ個性をもった、天然の素材を使っている証拠です。機能上、丈夫さとして問題のないものにつきましては、製品の仕様とさせていただいておりますので、そのままお使いくださいますようお願いいたします。ご不明点がございましたら、販売店までお問い合わせください。
牛革ストロング♯09、♯00
表面に防水ウレタン加工を施し、傷はもちろん雨にも強くなりました。牛革本来の特徴でもある引き裂きや型くずれに対しても強く、6年間安心してお使いいただけます。前ポケットなど人工皮革を使うことが一般的な箇所にも、牛革を使うことで丈夫さにこだわりました。♯09と♯00で、表面のシボ感(シワ模様)が異なります。牛1頭からランドセル約5本をつくることができます。
*写真は#09です。
コードバン(馬革)
なめした後さらに、皮の表裏の間にある「コードバン層」を磨き出すことから「革の宝石」とよばれる高級素材。銀面がないため軽く、丈夫さはそのままという優れた素材。牛革よりもさらに張りがあり、6年経っても型くずれを起こしにくいのが特徴。表面は、汚れが目立ちにくいつや消しで仕立てました。臀部(おしり)にコードバン層を持つ限られた品種1頭あたりから、ランドセルのかぶせ約2枚しかつくることのできない、希少な素材です。素材の特性上、ランドセルの本体にはむかないため、かぶせのみに使用しています。
人工皮革 レザーフォート、♯19
天然皮革の構造・質感を人工的に表現し、軽さと6年間の耐久性を追求したランドセル用人工皮革。表面は水を通しにくく、刺繍などの細工も可能なしなやかさを持っています。合皮と混同されがちですが、製造方法や構造、耐用年数など、すべてが異なる日本製素材です。村瀬鞄行では、人工皮革の中でも「クラリーノ」と「コードレ」を厳選して使用しています。また、レザーフォートは人工皮革の中でもより牛革に質感を近づけた素材として採用した、村瀬鞄行独自の素材です。
*クラリーノは(株)クラレの登録商標です。コードレは帝人(株)の登録商標です。
*写真は#19です。
撮影のために、多く水に濡らしております。
実際に雨が降った際には、付属の雨カバーや傘、カッパなどをご使用いただくことで、よりきれいな状態で6年間ランドセルをご使用いただけます。
この動画のように中まで水が入り込んだ場合には、中身を取り出して陰干ししてください。天日干しやストーブ、ドライヤーを使った乾燥、防水スプレーなどをご使用いただきますと、生地が変色する場合がございます。
6年間を考えた、耐久性にこだわり。
無駄なものと思われがちなランドセル背面の「へり」が出ていることは、学習院型ランドセルの条件のひとつ。この外周部分は凸部になるため、側面〜底面の大部分が擦れや衝撃などから守られる効果があります。
また、この部分は芯材と生地が何重にも重なり、分厚くなる箇所でもあります。固く複雑に組み上げられたパーツを縫って、より丈夫な仕立てを実現しするためには、高度な技術を要します。
本体が擦れにくい、下まで包み込む「かぶせ」
本体が擦れにくくなるよう、かぶせと呼ばれるフタが、本体をすっぽり包み込むように設計された構造。中の本体が覆われることで、擦れから守られます。学習院型ランドセルの条件のひとつ。
*かぶせが下まであり、本体が箱型、素材に天然皮革や人工皮革を使用した物を正式にランドセルと言う。安全性や6年使うという観点から導きだされた、伝統と実績のある形。
より進化した「ハート生地」
肩ベルトの付け根は、生地を貼り込み丈夫に仕上げました。昔ながらのランドセルよりも面積を広げ、持ち手の付け根を含めて壊れにくくなっています。
技を継承する「中マチヘリ玉」
取出し口のステッチが本体側に入る「ヘリ玉」仕立て。手間がかかりますが、美しい技の継承としてあえて中マチの工程に残しました。
ランドセルならではの補強芯材
丈夫さを持ちながら、上からの力を逃がす柔軟性も持っている、ランドセル独自の構造です。特に分厚い背面の芯材を中心に、前後、左右から底面を囲うように芯材を使用。樹脂繊維の積層構造により、丈夫なまま軽く仕立てられます。側面、大マチの取り出し口には補強板・金属芯を追加して二重構造化。さらに各収納の仕切りや、錠前金具がそれぞれを支え合うことで、丈夫なランドセルが完成します。芯材のパーツを増やした分、手間と時間がかかりますが、その分しっかりした仕立てになります。
*形状が製品によって若干異なります。
剣先丸
きざみと同じように生地を寄せ、先端が丸くなるよう仕立てました。先端が尖ったものよりも手間はかかりますが、擦れる箇所が分散され、耐久性が向上します。
大マチ・かぶせヘリ巻
収納の取出し口とかぶせの外周を縫い込む際に、生地や革の切れ目が外側に向かってあらわれない仕立てにこだわりました。面積のおおきな部品が守られ、もしもの破れの際も交換箇所が少なく済みやすいメリットがあります。
*破れの状況や修理のご要望により、交換箇所は異なります。
尾錠受け・指革縫い
下ベルトのバックルをおおう生地と、その下の細かいベルト通しは人工皮革に接着処理をした上で、縫製を行う事でさらに丈夫に仕立てました。
*匠プレミアム TP113の指革は厚めの牛革を使い、接着・縫製なしで丈夫さを持たせました。
総内張り、底板付
教科書を入れる部分の内側に生地を張ることで、より長持ち。底の部分には底板入り。