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更新日:2022.6.30

着物の染め方ついて~手書き染め~

今回は、着物の柄付け「染め方」についてご紹介いたします。
普段着物に馴染みがない人は、「着物の柄は、あらかじめプリントされた生地を着物の形にしているだけではないの?」と考える方がほとんどかと思います。

確かに、浴衣など、全体的に同じ柄となっているものは、あらかじめ柄のついた布から着物の形にしているものはあります。
しかし、当店で扱っているほとんどの着物は、伝統的な染め技法で染められています。


着物の染め方には、大きく分けて
手書き染め(手書き友禅)
型染め(型友禅)
インクジェット染め(デジタル捺染)
の3つの染め方があります。


その中でも、手書きで染められた着物は、手間がかかり非常に高価な物といえます。
今回は、創業1968年手書き友禅の染め工場「岡山工芸」さんで染めの工程を勉強させていただきましたので、ご紹介させていただきます。


手書き友禅の衣装を紹介した特設ページはこちら

絹の着物

1.手書き友禅とは?

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その名の通り、図案を描き直接筆で染め書いていく技法です。
元禄時代、京都知恩院門前に扇絵と書く絵師、宮崎友禅斎と言う方 が発明したとされ、その名をとって「友禅染め」と呼ばれています。


模様が図案的で、花鳥風月がデザイン的に構成されています。
図案・染め・水流し・金梁など、さまざまな工程で専門の技師が分業で行っています。
一枚の友禅染めができあがるまで、さまざまな工程、たくさんの人が かかわっている芸術品なのです。
手書き友禅ができるまでの工程を一からご紹介させていただきます。

2.企画・図案の作成

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どんな柄にするか、年代や季節に合わせて考えていきます。
家を建てる時に例えると、図案は建築の設計図に当たります。 実際に染め上げられる文様の基礎となる工程です。

3.青花下絵

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「青花」という物を原料に、生地に直接図案を書いてきます。

4.糊置

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糊置の目的は次の工程の、染料が柄の外へ滲み出さない為の防染です。
細い糊筒に先金をつけ糸目糊を入れて指先で押し出しながら、草稿の線をなぞっていきます。

5.伏せ糊

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地色を染めるとき、地色が色挿しした模様に入らないように彩色した部分を糊(でんぷん糊)で伏せて防染をします。

6.地染め(引き染め)

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地色を刷毛で引き染めする工程。
乾かしながら手作業で染めていくので、ムラが生じやすく、手早く均一に染める技量が必要です。
地染めの後、蒸しにかけて地色を定着させます。

7.蒸し水元

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色挿しの段階では染料は生地に置かれている状態なので、「蒸し」の工程を経ることにより染料が生地に定着し、発色も完全なものとなります。
蒸し箱に20~30反の生地をつるし、摂氏94度から99度で20~30分蒸します。

8.彩色(挿し友禅)

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色挿しとも言い、友禅工程の中でも最も華やかな工程です。
糊置で囲んだ文様の内側に染料を挿すものです。

9.彩色(挿し友禅)

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かつては京都の風物詩とされた「加茂川の友禅流し」と呼ばれた工程です。
*現在は、環境保護の観点からこちらの工程は専用工場で行っております。
糸目糊、伏せ糊、未染着の染料、薬剤当を水で完全に洗い落す工程です。

自然の川での水流しが禁止された現在では、おおきな水槽を屋内に作り、水を流して水元をしています。
湯のしは、生地に蒸気をあてて、生地の風合いを柔軟にし、しわをのばしたり、生地を整える工程です。

10.印金・刺繍

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京友禅を彩る最終工程です。
染め上がった生地に、金銀などの箔や粉を接着加工したり、糸目の部分を上から金線で描いたりします。
刺繍は、印金同様に京繍、刺繍を施したりして一層重量感と豪華さを持たせる、これも最後の工程です。

11.まとめ

同じものを増産する場合は、企画図案の工程が無いため少し早く終える事ができますが、普通に全行程を行う場合はおよそ一年ほどの時間がかかるそうです。

私たちが見学のため訪れた際には10数名の女性スタッフが作業をしていました。
作業中であまりお話することがきませんでしたが、若いスタッフさんが多く、みなさん柄を書くのが好きで着物をとても好きだとおっしゃっていました。
着物好きで若い女性の友禅職人が、本当に心を込めて着物を染めているんだなと感動しました。

「一筆一筆、お祝いの願いを込めて染める」

kimonoshopでは、そんな思いが込めれている手書き友禅の着物をとりあつかっております。
ぜひ下記よりご覧ください。

商品到着からご返却までの流れ
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