ビタミンAが不足すると、視覚障害、免疫機能の低下、皮膚や粘膜の問題が引き起こされることがあります。具体的には、皮膚が乾燥し、角質層の厚化や毛孔性角化症などの症状を引き起こすことがあります。
この結果、皮膚のバリア機能が弱まり、ニキビや肌荒れといったトラブルが頻発することもあります。また、ビタミンA不足は毛髪の乾燥や爪のもろさにも影響を及ぼすことがあります。
ビタミンAには皮膚や口の中、のど、消化管などの粘膜を健やかに保つ働きがあり、体内に病原菌などが進入してくるのを防いでくれます。そのためビタミンAが不足すると、抵抗力が弱まり感染症などにかかりやすくなります。
さらに、発がん性のある物質も体内に侵入しやすくなり、子宮がんや肺がん、胃がんなど上皮細胞にできるがんになりやすくなるといわれています。
2021年にはレチノール摂取が潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)の発症リスクを低下させるという論文もあるほどです。
このように、ビタミンA不足は深刻な問題を引き起こす可能性がありますので、食品を通じて適切なビタミンAの摂取が重要なのです。
ビタミンAが豊富な食品として、レバーやウナギがあります。食事として摂取する事で小腸内では必要に応じて、レチノール、レチノイン酸といった形に変換されます。また、カロテノイド(プロビタミンA)を含有する食品としては、ニンジン、大葉などが有名ですが、こちらもレチナール、レチノール、レシニエステルなどと変化します。
このように、ビタミンAは生体内では、吸収してから貯蔵、利用されるまでさまざまな形に変わり生体内で有効に作用します。
ビタミンAの吸収率は90%程度ありますが、β-カロテンの吸収率は約10〜60%なので、油と一緒に摂取すると吸収率が高くなるといわれています。
ただし、妊娠中や妊娠を計画している方は、ビタミンAでのスキンケアやビタミンAが豊富なサプリメントの扱いには注意が必要です。
ビタミンAを過剰摂取すると赤ちゃんに奇形が生じるリスクを高める可能性があります。そのため、使用する際には産婦人科の医師に相談することをお勧めします。