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美容健康コラム サラシアによる糖質と脂質の吸収抑制効果と副作用 サラシアによる糖質と脂質の吸収抑制効果と副作用 サラシアによる糖質と脂質の吸収抑制効果と副作用

サラシアの抗肥満効果と副作用

サラシアは、インドやスリランカの森林に自生する植物です。その根や葉から抽出される成分には、抗肥満効果、抗糖尿病効果が期待されており、多くの機関がこの植物について研究しています。
サラシアには抗肥満効果や糖尿病の予防や改善効果があります
サラシアの効果と副作用
サラシアの根、茎、葉には、サラシノール、コタラノール、ポンコリノール、サラプリノールといった有益な成分が含まれています。

これらの成分には、血糖値や脂質代謝を調整し体重の増加を制御する作用や、心臓や肝臓の保護作用、抗酸化作用、抗炎症作用がある言われています。

※サラシアには「オブロンガ」「サラシア チネンシス」「サラシア プリニイ」など、いくつかの種類が存在しますが、その中で特に「サラシア レティキュラータ」という種類のサラシアの根は、血糖値を抑える効果が高いとされています。

サラシア抽出物の代表的な作用として「脂質低下作用」「血糖値低下作用」があります。そしてこれらの作用機序には、複数のメカニズムが存在しています。

例えば、サラシア抽出物には特定の酵素の働きを阻害(調節)する事が確認されています。


α-グルコシダーゼの阻害活性
α-グルコシダーゼは、腸管にて分泌され、糖類を吸収可能な最小単位にまで分解する酵素です。分泌が妨げられると、小腸内における糖類の分解・吸収が阻害され、血糖値上昇の抑制につながります。

また、小腸で吸収されないまま大腸に届いた糖類は、善玉菌の餌になるため、腸内フローラの改善効果も期待できます。

血圧の上昇にはカテコールアミンという神経伝達物質が関与しています


アルドースレダクターゼの阻害
アルドースレダクターゼは、アルドースを糖アルコールに変換する炭水化物代謝の酵素です。過剰に生成されると糖尿病の合併症に関係する問題が生じ、高血糖状態においては、酵素の働きを抑制する必要があります。


膵(すい)リパーゼの阻害
膵リパーゼは脂質を分解する酵素です。分泌が妨げられると、腸管における脂質の吸収が阻害され、血中脂質増加の抑制につながります。


グルコーストランスポーター4の活性化
グルコーストランスポーター4はインスリンに反応し、血液中のブドウ糖を細胞内に送り届けるため、血糖値を下げる効果があります。この酵素はサラシアを摂取する事により活性化します。

サラシアの副作用
サラシア抽出物は、その種類や抽出方法によっては、それぞれ異なる作用が確認される事もあります。しかし、副作用については基本的にリスクは低いとされており、古くから2型糖尿病の患者の血糖値および血中脂質を調整するために使用されてきました。

また、サラシアの安全性について良い評価をしている情報※1もあり、こちらの研究内容からも問題ないものと認識出来ます。 もちろん、サラシア成分の過剰摂取はよくありません。サラシアを取りすぎると下痢や腹部の違和感が生じる可能性も考えられます。

いずれにしても適量であれば、基本的な副作用もなく、長期的な服用においても安全な成分である事が示されています。※1


サラシアはいつ摂取すると良い?
サプリメントの場合、飲み方を指定する事は出来ません。飲み方が指定出来るのは医薬品のみです。 ただし、サラシアのシステマティックレビューや作用機序を考察するにあたり、食前もしくは食事と一緒に摂取することが効果的だと考えられます。



出典 Stohs, S. J., & Ray, S. (2015). Anti-diabetic and Anti-hyperlipidemic Effects and Safety of Salacia reticulata and Related Species. Phytotherapy Research, 29(7), 986-995. doi: 10.1002/ptr.5382 PMID: 26031882 PMCID: PMC5033029
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5033029/

出典 Kajiwara, N., Onodera, K., Tsuji, T., & Yonei, Y. (2017). Safety evaluation of excess or long-term intake of food containing a Salacia extract. Glycative Stress Research, 4(4), 279-291. Tokyo, Japan: Society for Glycative Stress Research. https://www.toukastress.jp/webj/article/2017/GS17-32J.pdf
サラシアエキス入り食品の過剰摂取または長期摂取の安全性評価 ※1
サラシアを使った抗糖尿病の
研究成果(ラット実験)
下記学術論文では、2型糖尿病のラットに対する「サラシア チネンシス」を使った血糖値の改善効果と、その作用機序が検証されています。

42匹のラットは下記6つのグループに分けられます。

・コントロールグループ
・サラシアのみを投与したグループ (100 mg/kg)
・高脂肪食を与えたグループ
・高脂肪食とサラシアを与えたグループ
・高脂肪食と糖尿病誘発薬を与えたグループ
・高脂肪食と糖尿病誘発薬とサラシアを与えたグループ
この結果、サラシアが投与されたラットグループにおいて、血糖値や遊離脂肪酸などの低下がみられ、血液中の抗酸化能力が向上している事が確認されました。

この作用は、糖代謝に関与するタンパク質「GLUT2」や、脂質の代謝に働きかける「PPAR-α」の発現を増加させる事で機能している言えます。

この実験から、サラシア抽出物が2型糖尿病ラットにおける効果的な治療薬になりえる可能性が確認出来ました。

出典 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33020991/Erten, F., Orhan, C., Tuzcu, M., Er, B., Defo Deeh, P. B., Sahin, N., Ö囹ercan, I. H., Juturu, V., & Sahin, K. (2020). Salacia chinensis exerts its antidiabetic effect by modulating glucose-regulated proteins and transcription factors in high-fat diet fed-streptozotocin-induced type 2 diabetic rats. Journal of Food Biochemistry, 44(12), e13513. doi:10.1111/jfbc.13513
2型糖尿病ラットにおけるサラシア(チネンシス)を使った抗糖尿病効果の検証


サラシア抽出物による
肥満防止効果に関する研究
出典 Yoshikawa, M., Shimoda, H., Nishida, N., Takada, M., & Matsuda, H. (2002). Salacia reticulata and its polyphenolic constituents with lipase inhibitory and lipolytic activities have mild antiobesity effects in rats. The Journal of Nutrition, 132(7), 1819-1824.doi:10.1093/jn/132.7.1819
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12097653/
肥満を予防出来る可能性のある結果が示されました
この学術論文で行われた評価方法としては「肥満ラットモデルを使った試験」と「試験管内(in vitro)試験」の2つがあります。このどちらにおいても、サラシアの熱水抽出物を摂取する事により、肥満を予防出来る可能性があるという結果が示されました。
※特に雌のラットを使った実験で見つかりました。


肥満ラットモデルによる試験
27日間にわたりサラシア熱水抽出物を投与した結果、雌の肥満ラットにおいて「体重」と「脂肪蓄積量」の増加を抑制する事が出来たとされています。

ただし、高脂肪食を摂取した雄のラットについては、同様な効果が見られなかった為、サラシアの肥満防止効果は、性別や食事の内容によって変わる可能性が示されました。

試験管内(in vitro)試験
試験管試験
この試験によって、サラシア熱水抽出物が豚由来の「膵リパーゼ」、ラット脂肪組織由来の「リポタンパク質リパーゼ」、「グリセロリン酸デヒドロゲナーゼ」の働きを阻害する事が確認できました。

膵リパーゼの働きを阻害するという事は、食事中の脂肪が腸管で分解されず、そのまま体外に排出される為、体内に吸収される脂肪の量が減る事になります。

また、「リポタンパク質リパーゼ」と「グリセロリン酸デヒドロゲナーゼ」は血液中の脂肪を分解し、脂肪細胞に蓄積させる役割があります。その為、これらの酵素の働きを阻害することで、脂肪の蓄積が抑えられます。

また、サラシアに含まれる他の成分においては、体内に蓄積された脂肪を分解する酵素の働きを促進する事が確認されています。その結果、体脂肪がエネルギーとして消費されやすくなり、体重の減少につながります。

これらの研究結果はラットを対象とした試験である為、人に対しての「同様な効果」が保証されるものではありませんが、サラシア抽出物の抗肥満効果については、十分に期待出来るものと考えられます。
サラシノールによる美白効果
サラシアに含まれる成分「サラシノール」には、美白効果が確認されています。

これは「プロセシングα-グルコシダーゼ I/II」という酵素の働きを阻害する事で作用します。 プロセシングα-グルコシダーゼ I/IIの働きが阻害されると、シミを生み出す元の細胞「チロシナーゼ」が成長する事ができず、結果的にチロシナーゼの量が減少する事に繋がります。

チロシナーゼには、シミの元になるメラニンを生成する働きがある為、チロシナーゼの減少は「メラニン色素」の減少につながります。つまり、シミの発生が抑えられるという訳です。

サラシノールによる美白効果
※シミや肝斑は、チロシナーゼが生み出す成分「メラニン」が肌に沈着する事によって生じます。多くのシミ予防成分は、チロシナーゼの働きを阻害する事で実現していますが、サラシノールにおいても、その強い抑制効果が確認されたのです。

サラシノールは、副作用や細胞への毒性が低い事から、肌への美白効果が得られる新たな成分として期待が持てます。

出典 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31883005/ Homma, T., Kageyama, S., Nishikawa, A., & Nagata, K. (2020). Anti-melanogenic activity of salacinol by inhibition of tyrosinase oligosaccharide processing. The Journal of Biochemistry, 167(5), 503-511. doi:10.1093/jb/mvz115
サラシア成分サラシノールによる抗メラニン形成の活性化

以上、サラシアについての効果効能を学術文献を元に説明させて頂きました。ご参考にして頂ければ幸いです。
 
大名町スキンクリニック 院長 橋本 慎太郎
著者:大名町スキンクリニック 院長 橋本 慎太郎
金沢大学医学部卒、美容皮膚科クリニックを運営
https://m-beauty.jp/about/dr.html

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