ポリデキストロースは主成分である糖(グルコース)をもとにして作られた「食物繊維」であり、その低カロリーな特性から、多くの食品や飲料に使用されています。
その他、賦形剤としても使われ、食べ物の食感を改善する効果や、甘さを引き立てる効果もあります。また、満腹感が得られる事から、ダイエットにも向いています。
ポリデキストロースの効果
ポリデキストロースは人工的に作られた無味・無臭で、難消化性(消化されにくい)
性質を持った水溶性食物繊維です。一般的な食物繊維と同様に、胃や小腸では分解されず、そのまま大腸まで届きます。
腸管でのポリデキストロースの効果は、私たちの腸内環境を健全にする手助けをしてくれます。その作用として、
有害な悪玉菌を減らし、有益な善玉菌を増やす効果があり、腸内フローラが改善し、良好に保たれます。その結果、腸内環境が改善し、整腸作用や便秘の改善に繋がります。
また、ポリデキストロースは、食事から摂取した糖分やコレステロールの吸収を小腸内で妨げる効果があるため、糖尿病や高脂血症といった疾病の予防にも期待が持てます。
この働きは、ポリデキストロースに、胆汁酸を吸着する性質がある為です。胆汁酸とは、小腸内で脂肪を始めとした栄養素の吸収を助ける為に肝臓にて作られる化合物ですが、食事中に分泌されても、小腸内でポリデキストロースに吸着されてしまうと、その役目を果たせず、便と一緒に体外に排出されてしまいます。
胆汁酸は、体内のコレステロールを元にして作られるため、胆汁酸が排出されてしまうと、血液中のコレステロール値の減少に繋がります。
ポリデキストロースの副作用
ポリデキストロースは、安全な食物繊維ですが、他の難消化性の食物繊維と同様に、大量に摂取するとお腹に不快感が生じる事があります。
具体的には、お腹がゆるくなり、下痢になったり、ガスがたまったりします。
また、コレステロールや糖分の吸収を抑制する働きがあるため
栄養補給が必要な方や、薬を処方されている方は、その吸収の妨げになる可能性がありますので注意が必要です。
特定の疾患のある方がポリデキストロースのサプリメントをダイエット目的で摂取する際は、医師への相談も必要です。
ポリデキストロースと腸内環境は密接な関係があります
大腸内でのポリデキストロースの発酵
上記論文によると、ポリデキストロースは、腸管では消化されずに、大腸の腸内細菌によって発酵されると示されています。この複雑な構造を持つ食物繊維は、発酵に時間がかかり、その代謝副産物として短鎖脂肪酸やガスが適度な量で生成されます。
そして、この作用によって、消化器官の機能が改善されるといった有益な情報が記載れています。
出典:Rö囈iö喩., & Ouwehand, A. C. (2014). The fermentation of polydextrose in the large intestine and its beneficial effects. Benef Microbes, 5(3), 305-313. doi: 10.3920/BM2013.0065 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24736314/ 大腸内でのポリデキストロースの発酵とその有益な効果
ポリデキストロースの肥満予防効果
この情報では、高脂肪食を摂取した肥満マウスへの、ポリデキストロースの肥満予防効果及び肥満治療効果の研究結果が示されています。
この研究結果では、ポリデキストロースの摂取が、肥満マウスの体重、空腹時の血糖値、脂肪蓄積、コレステロールの減少、そして脂肪組織の炎症を抑制する効果が確認されました。
そして、これらの効果はポリデキストロースの作用により改善された「腸内環境」がもたらしたものであると推測されており、ポリデキストロースが新たな肥満治療法としての可能性に注目されています。
出典 Hu, Q., Niu, Y., Yang, Y., Mao, Q., Lu, Y., Ran, H., Zhang, H., Li, X., Gu, H., & Su, Q. (2021). Polydextrose Alleviates Adipose Tissue Inflammation and Modulates the Gut Microbiota in High-FatDiet-FedMiceFrontPharmacol,12,795483.doi:10.3389/fphar.2021.795483 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35185543/ ポリデキストロースは脂肪組織の炎症を軽減し、高脂肪食マウスの腸内環境を改善する
出典、及び参考文献
●ポリデキストロースの生理的機能とその健康への影響について
Carmo, M. M. R. do, Walker, J. C. L., Novello, D., Caselato, V. M., Sgarbieri, V. C., Ouwehand, A. C., Andreollo, N. A., Hiane, P. A., & Dos Santos, E. F. (2016). Polydextrose: Physiological Function, and Effects on Health. Nutrients, 8(9), 553. doi: 10.3390/nu8090553 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27618093/
●ポリデキストロースは慢性腎臓病患者の腸の健康を改善する可能性について
Mafra, D., Baptista, B. A., Sahiun, E., Abuznada, S., Leal, V. O., & Borges, N. A. (2022). May polydextrose potentially improve gut health in patients with chronic kidney disease? Clinical Nutrition ESPEN, 51, 7-16. doi: 10.1016/j.clnesp.2022.08.025 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36184250/
●エネルギー摂取に対するポリデキストロースの影響
Ibarra, A., Astbury, N. M., Olli, K., Alhoniemi, E., & Tiihonen, K. (2015). Effects of polydextrose on different levels of energy intake: A systematic review and meta-analysis. Appetite, 87, 30-37. doi: 10.1016/j.appet.2014.12.099 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25510531/
著者:大名町スキンクリニック 院長 橋本 慎太郎
金沢大学医学部卒、美容皮膚科クリニックを運営
https://m-beauty.jp/about/dr.html
エビデンスやメーカー様の資料などさまざまな文献を基に、みなさまの生活をより豊かにするための情報を発信しております。
本成分は、疾病の診断、治療、予防を目的としたものではありません。疾病に罹患している場合はかかりつけ医師に、医薬品を服用している場合は医師、薬剤師に相談してください。食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスをお勧めします。