エラグ酸が中年期(45〜55歳)の太り気味の男性の認知機能に、どれほど影響を与えるのかを探るための研究が行われました。
具体的には、45歳から55歳の男性150名を対象に「標準体重」と「太り気味」の2つのグループに分けて実験しています。12週間にわたり、一方のグループには毎日エラグ酸50mgを、もう一方のグループにはプラセボ(効果のない偽薬)を摂取してもらいます。実験期間中、参加者の血液中の脂質、脳の健康を示す指標であるBDNF(脳由来神経栄養因子)、及びストレスを測定する指標である唾液中のコルチゾールレベルを計測することで次のような結果が示されています。
●血中の総コレステロールが4.7%、中性脂肪が7.3%、悪玉コレステロールは6.5%減少。
●善玉コレステロールは5%増加。
●過体重のグループにおいて、血漿中のBDNF(脳由来神経栄養因子)が21.2%増加。
●正常体重のグループには、BDNFの影響はなし。
●太り気味の方の唾液中のストレスホルモンの上昇が22.7%抑制。
さらに、認知機能テストを行った結果、エラグ酸を摂取した太り気味の人々はプラセボグループと比較して認知機能が向上した結果が得られました。
以上の事から、
エラグ酸が脂質代謝の正常化、BDNFレベルの増加、そしてストレスホルモンの低下といった作用を通じて、特に太り気味の中年男性の認知機能を改善する可能性があると示されました。
参考文献 Liu, Y., Yu, S., Wang, F., Yu, H., Li, X., Dong, W., Lin, R., & Liu, Q. (2018). Chronic administration of ellagic acid improved the cognition in middle-aged overweight men. Applied Physiology, Nutrition, and Metabolism, 43(3), 266-273.