滋養強壮・疲労回復に
「エゾウコギ」の効果

「エゾウコギ」とは
エゾウコギは朝鮮人参（高麗人参）と同じウコギ科に属する薬用植物で､中国北東部や朝鮮半島､ロシアなどの寒冷地に自生し､日本では北海道東部にのみ自生していることから「蝦夷（エゾ）ウコギ」と呼ばれています｡

中国では刺五加（シゴカ）と呼ばれており､約2000年以上前から医薬品として用いられてきました｡

その薬効と用途は､滋養強壮､精力強化､鎮痛作用､疲労回復､リウマチ性関節炎の治療､高血圧､神経痛､足や膝の筋力低下､食欲増進などがあり､日本でも医薬品や健康食品として利用されています｡
エゾウコギとは

「エゾウコギ」の薬効

エゾウコギの薬効の研究は中国や旧ソ連（ロシア）で盛んに行われ、1960年代に旧ソ連のブレスマン博士により「エゾウコギに薬効がある」ことが発表されたのをきっかけに、世界で注目を集めました｡

1980年のモスクワオリンピックでは、エゾウコギを飲用した旧ソ連の選手たちが、素晴らしい成績を収めたことで話題になりました｡

日本でも、長野オリンピックでスキージャンプの選手が体調管理に利用したり、過酷な訓練を必要とする宇宙飛行士などに愛用されるようになりました｡

現在でも、多くのアスリートなどに愛用されていることが知られており、健康食品など、手軽にエゾウコギを摂取できるようになりました｡

「エゾウコギ」の効果・効能

抗疲労作用

■運動負荷時のマウス骨格筋酸化系酵素活性と
スーパーオキシドジムスターゼ活性を高める

エゾウコギエキスの摂取によって､持久的トレーニングを行った場合と同様に､マウスの骨格筋酸化系酵素活性を高め､生体の有気的代謝を改善することが報告されています｡

さらに､活性酸素を除去する力を持つ､抗酸化酵素の一つであるスーパーオキシドジムスターゼ活性（SOD活性）を高め､過酸化脂質（LPO）生成に対して抑制的に働くことがわかっています｡これらのことから､エゾウコギの摂取は､体力の保持増進作用に効果があると考えられています｡

■強制水泳負荷後のマウスの水泳耐久時間の延長

強制水泳負荷によるマウスの水泳耐久時間に対する試験では､エゾウコギ根抽出物の摂取によって､摂取していない対照群と比較して強制水泳負荷後の有意な水泳時間の延長が認められました｡

また､冷水に15分間浸漬したラットの体温低下状態からの回復時間を測定した試験もしており､その試験では､エゾウコギ根抽出物の摂取により､対照群と比較して､体温回復時間が有意に短縮されたことも報告されています｡この作用については抹消血液循環改善によるものと考えられています｡

■ストレス負荷ラットの抗疲労作用

疲労が体内に蓄積したり苦痛を取り除くときに､脳からβ-エンドルフィンが分泌されます｡β-エンドルフィンは「脳内麻酔」「脳内モルヒネ」とも呼ばれ､モルヒネの数倍の鎮痛効果があると言われています｡エゾウコギ根に含まれるエレウテロサイドEという成分には､このβ-エンドルフィンの血中濃度を上昇させる作用があり､運動前にエゾウコギを摂取することで､β-エンドルフィンが分泌されて疲労感の軽減や疲労回復力が高まるなどの効果があることがわかっています｡

エゾウコギの効果に関しては､代表的なのが抗疲労作用で数多くの論文が発表されています｡運動による疲労やストレスなどが早期に軽減されるため､持久力や集中力の持続が可能となり､記録の向上やトレーニングの効果の向上などが期待されます｡

抗アレルギー作用

エゾウコギ根抽出物による抗アレルギー作用を検討したラットの試験では､エゾウコギ根抽出物の投与によって､対照群と比較して有意な抑制を示しました｡

エゾウコギ根抽出物の高いスーパーオキシドジムスターゼ活性（SOD活性）が抗アレルギー作用の要因の一つとして考えられています｡

抗炎症作用

エゾウコギの主要活性成分であるリグナン系化合物､エレウテロサイドEの実験では抗炎症作用が確認されています｡

慢性関節リウマチなどの慢性炎症性疾患の病変部では､炎症性サイトカイン「マトリックスプロテアーゼ（MMPs）」や「シクロオキシゲナーゼ2（COX-2）」などの炎症性タンパクの過剰発現が認められています｡

エレウテロサイドEはその炎症性タンパク「MMPs」や「COX-2」などの遺伝子発現に対し､強い抑制作用を示すことが報告されています｡

抗不安作用

ラットは､なじみのない環境で不安を感じるため､餌を食べ始めるまでの時間が長くなることが知られています｡

エゾウコギエキスを用いた実験では､エゾウコギエキスの投与で食べ始めるまでの時間が有意に短縮しました｡

エゾウコギエキスの投与により､なじみのない環境への不安が緩和される可能性が示唆されました｡

また､高所ストレスに対する実験も行っており､高所ストレスのような強いストレスにも効果を示すことが報告されています｡

エゾウコギの副作用と安全性

エゾウコギにはさまざまな効果がありますが､摂取には注意が必要な人もいます｡例えば、発作状態､高血圧発症および心筋梗塞症の人は摂取してはいけないという報告があります｡

また､エゾウコギには胃癌細胞、乳癌細胞に対する抗癌作用の情報があります。しかし、エゾウコギには「エストロゲン様作用」がある為、乳癌､子宮癌､卵巣癌､子宮内膜症､子宮筋腫の患者への使用は避けた方が良いという報告もあります。

いずれにしても、過度な期待には注意し、健康食品で摂取する場合は､1日の摂取目安量や服用方法をしっかり守りましょう｡

参考文献
●山崎泰助,エゾウコギ成分イソフラキシジンの抗炎症作用の検討
●山崎泰助,エゾウコギ成分エレウテロサイドEの抗炎症作用と抑制メカニズム
●小正葉子,エゾウコギ根抽出物とエゴマ種子抽出物の抗アレルギー作用
●東泉裕子,エゾウコギ摂取が閉経後早期モデルマウスの肝臓薬物代謝酵素および骨密度に及ぼす影響
●溝口亨,実験動物におけるエゾウコギ根抽出物の機能性
●宮﨑翔平,不安高感受性ラットにおけるエゾウコギエキス及びその含有成分の抗不安作用に関する研究
　―行動及び自律神経活動に基づく薬理学的検討―
●梶勝次,エゾウコギの生育実態と薬理作用
●Shougaku-kan. Chuyaku Encyclopedia. 2nd ed. Tokyo:Shanghai Science Technology Publishing Company;1985.
●Ren CC. Zusetsu Kanpo-Iyaku Daijiten (1). Tokyo:Kodansha; 1982.
●https://www.yomeishu.co.jp/genkigenki/crudem/160929/index.html
●https://www.pharm.kumamoto-u.ac.jp/yakusodb/detail/005743.php
●https://www.apha.jp/medicine_room/entry-3756.html

著者：大名町スキンクリニック院長橋本慎太郎
金沢大学医学部卒､美容皮膚科クリニックを運営
https://m-beauty.jp/about/dr.html

エビデンスやメーカー様の資料などさまざまな文献を基に､みなさまの生活をより豊かにするための情報を発信しております｡

本成分は､疾病の診断､治療､予防を目的としたものではありません｡疾病に罹患している場合はかかりつけ医師に､医薬品を服用している場合は医師､薬剤師に相談してください｡食生活は､主食､主菜､副菜を基本に､食事のバランスをお勧めします｡

滋養強壮・疲労回復に「エゾウコギ」の効果

滋養強壮・疲労回復に
「エゾウコギ」の効果