アロエは中国では古くから、解熱、殺虫、殺菌、下剤に有効とされてきました。
また、湿疹、口内炎、やけど、切り傷の治癒にも使用されています。
日本では、アロエは主に樹脂が使用されています。江戸時代から薬用として親しまれており、「医者いらず」と呼ばれるほど様々な不調に活用されてきました。明治時代には下剤効果を目的
として取り入れられていました。
アロエの種類
アロエは熱帯地域を中心に分布しており、約500もの種類があります。小さい種類では10cm未満のものから、大きいものでは20mにも及ぶ種類があります。有名なアロエとして「アロエベラ」「キダチアロエ」や「ケープアロエ」などがあります。
なかでも「やけど」や「切り傷」、「胃腸の民間薬」として用いられている「キダチアロエ」のエキスは、抗炎症や上気道感染によって起こる「喘息」に有効であると証明されています。※キダチアロエは観賞用としても日本で多く使用されています。
「キダチアロエ」や「ケープアロエ」などの葉汁は医薬品原料であるため、食品として使用することはできません。
もっとも一般的で広く使われているのが、アロエベラでアフリカ南部諸島や北アフリカ地中海沿岸が原産地です。“苦くて光沢のある物質”という意味の“alloeh”(アラビア語)と“真実”を意味する“vera”がその語源であるといわれています。
アロエからとれるエキスは2つに分けられます。
(1)葉肉から得られるゲル状の透明な液体
(2)アロエを切ると断面からにじみ出るネバネバとした黄色い液体
「アロエベラ」は約98.5%が水分で構成されておりゲルの量が多い種類であり、葉肉のジュリー部(無色のネバネバしたゲル状の成分)は「やけど」や「切り傷」への治癒が優れているといわれています。
アロエベラの主要化合物であるアロエシン(創傷治癒促進)、アロイン(皮膚の保護)、エモジン(抗炎症、抗ウィルス、抗ガン等)は、主に抗酸化、抗炎症機能で皮膚を保護していることが明らかになっています。
アロエベラはキダチアロエとは違い、医薬的な成分を除去すれば食用として認められています。そのため、一般的に流通しているアロエはアロエベラであることが多いです。
アロエベラに含まれる
アロエステロールと糖尿病
糖尿病の疾患者に処方される薬とアロエベラの葉肉ジュースを併用すると、糖尿病薬を単独で服用した時と比べて、空腹時の血糖値やHbA1C(糖化ヘモグロビン)の数値が改善されることが報告されています。
アロエベラの葉肉は98.5%以上が水分ですが、アロエベラに含まれる有効成分『アロエステロール』によって血糖値の上昇が予防されていることが分かっています。
さらに、血糖値を正常な状態に保つために必要なインスリンの分泌機能を改善する作用も確認されています。
アロエに含まれる『アルボランA』と『アルボランB』という多糖類がインスリンの分泌を促進して血糖値を下げてくれるためです。また、多糖体によって腸から吸収される糖類が妨げられることも要因だとされています。
アロエベラで
公表されている効果効能
■血圧を整える
アロエのゲル状の部分には糖タンパク質や多糖類が豊富に含まれている。この成分は末梢血管を広げて血流を促し、血圧を安定させる作用がある。
■胃腸・消化器系問題の緩和
消化不良、便秘、下痢、大腸炎、胸焼け、過敏性腸症候群等への作用。
■痛みどめ
歯茎の出血や歯痛、偏頭痛、関節炎や関節痛、乳房痛、生理痛等への作用。
■心的治療
うつ、ストレス緩和、怒りや安全性のコントロールへの作用。
■皮膚についての作用
火傷、切り傷、虫刺され、湿疹、ニキビ他皮膚の炎症、色素沈着(肝斑やそばかす等)の改善。アロエの含有物であるアロエシンとアルブチンはその相加効果により、チロシナーゼ(メラニンを作り出す細胞)の活性を阻害する。
■抗糖尿病作用
アロエベラによる2型糖尿病患者への効果として、2型糖尿病患者の血糖値を下げ、インスリン値を上げることによる糖尿病の重症度低下への作用、安全な抗高血糖、抗高コレステロール剤としての作用。
糖尿病予備軍や、初期の糖尿病患者(未治療)への効果による体重、体脂肪、インスリン抵抗性の減少。
■抗高脂血症作用
脂肪連鎖発生の予防、総コレステロール、低密度リポタンパク質濃度の低下。
■抗菌作用
●Penicillium(ペニシリン)、Botrytis(ボトリチス)、Alternaria(アルテルナリア)の胞子の生存率を最大20%低下、Fusarium(フザリウム)、Rhizoctonia(リゾクトニア)、Colleotrichum(コレトトリカム)菌糸の成長を最大38%抑制。
●アロエベラは、F. oxysporum(土壌伝染性病原菌の代表格)に最も有効。
●アロエベラのゲルに含まれる、水と炭水化物は結核菌や緑膿菌に対して非常に強い抗菌力がある。
●アロエベラは南アフリカにおいて、性感染症や淋病、梅毒といった感染症治療に使用されている。
■アンチエイジング効果
アロエベラ にはエラスチン繊維やコラーゲンの生成を誘発することで肌への弾力性を増し、シワの改善が期待できるとの報告がある
(正確なメカニズムはいまだ報告なし)。
■肝庇護作用
アロエステロール(アロエに含まれる植物ステロール)による腹腔内脂肪減少、高脂血症の改善、白髪の減少、抜け毛・ハゲ・フケの改善の報告もあります。
アロエベラのエキスは後天性免疫不全症候群(AIDS)の治療薬としても使用できるという多くの報告があります。
数多くあるアロエの作用を利用して、インドやネパールでは実際にリウマチや黄疸、痔や偏頭痛、胃腸炎、消化不良、子宮内膜症や子宮筋腫性感染症といった広い範囲の治療にアロエが利用されています。
参考文献 Sá ℃竏ez, M., Gonzá ′纎-Burgos, E., Iglesias, I., & Gó冪剄纎-Serranillos, M. P. (2020). Pharmacological update properties of Aloe vera and its major active constituents. Molecules, 25(6), 1324. doi: 10.3390/molecules25061324 https://www.mdpi.com/1420-3049/25/6/1324(アロエベラとその主要な活性成分の薬理学的更新の特性)
アロエによる皮膚炎への効果
臨床試験によりアロエベラゲルの外用によって、手湿疹や女性のデリケートゾーンの痒みへの効果が確認されています。アロエは紫外線を浴びた後に生じる赤い湿疹やニキビについても有効です。
ある実験では「キダチアロエ」の抽出物を含有したクリームを2週間塗布し続けたところ、肌荒れの主な症状である乾燥や皮むけの症状が改善することが確認されました。この結果はキダチアロエのエキスによって肌が保湿されたことに加え、皮膚の機能が活性化されたことが要因であったと考えられています。
キダチアロエに含まれる植物フェノール成分である『アロエニン』には抗炎症作用があります。約500種類のアロエのうち、10%の種類にしか『アロエニン』は含まれていません。
アロエの抗炎症作用は口内炎薬としても活用されているほか、切除手術後に塗布することで痛みの改善や切除した箇所の早期修復にも効果をもたらしています。
アロエによる美肌効果
アロエは保湿や肌荒れを防ぐ目的で化粧水や乳液、クリームなどのスキンケア用品に広く使われています。
肌の真皮層にはコラーゲンやヒアルロン酸が存在しており、肌の水分維持や弾力を保つためにとても重要な働きをしています。
しかし、コラーゲンやヒアルロン酸を産生している線維芽細胞は加齢とともに減少したり機能が低下したりするため、それが「しわ」や「たるみ」の原因となります。
アロエベラに含まれる成分「アロエステロール」を摂取すると、真皮層のコラーゲンやヒアルロン酸の合成と産生が促進され、皮膚の弾力性が改善します。これはアロエステロールによる「線維芽細胞」の活性化と「コラーゲンの分解抑制作用」が関係しているものと思われます。
アロエは天然のヒアルロン酸と呼ばれるくらい保湿効果があります。経口摂取することで肌の水分量が増加し、正常なバリア機能を維持してくれます。アロエステロールによって肌の保湿力が高まるのです。
アロエには肌の余分な皮脂の分泌を抑制し正常化する働きがあります。また、肌の再生を促し、ターンオーバーの活性化や肌の修復を助けてくれます。また、抗炎症作用、抗菌作用もあるので肌の赤みを抑えたり、ニキビケアにもおすすめです。
さらに、アロエには収れん作用もあり、毛穴を引き締めて毛穴の開きを改善する作用がある為、万能なスキンケア成分といえます。
アロエの美白効果
シミは肌の黒色メラニンが過剰に産生され、部分的に茶色く蓄積している状態です。シミがあると老けてみえたり、肌がくすんでみえたりします。
メラニンは、チロシンというアミノ酸に『チロシナーゼ』という酵素が作用してつくられます。キダチアロエ葉エキスはチロシナーゼの作用を阻害し、シミの生成を抑えることが明らかになっています。
さらにアロエのゲルに含まれている『アロエシン』もメラニン形成を阻害します。アロエシンは水溶性であるため、皮膚に浸透しづらい成分です。そのため、肌に浸透しやすい成分に包んでカプセル化することで、肌の内部に届けることができます。
▼その他アロエに含まれる栄養成分の美容効果
・アロエサポナリン
紫外線ダメージから防御する機能があるほか、細胞を酸化させダメージを与えてしまう一重項酸素を除去する機能があります。
・アロエステロール
紫外線を浴びた後の肌の水分量低下や弾力性低下を抑制してくれます。
・アセマンナン
食物繊維の一種。抗酸化作用のある「グルタチオン」を増加させDNAを保護し、肌細胞の若々しさを守ってくれます。
・アロエシン
アロエのゲル部分に存在し、皮膚刺激の少ない成分です。皮膚に塗布することで、紫外線によって生じる、かゆみやヒリヒリとした痛み・赤み・湿疹の予防効果が認められています。
アロエによる
傷や凍傷、やけどへの効果
アロエエキスには細菌の繁殖を抑える効果があります。また、強力な抗炎症作用により「痛み」や「やけど」の症状を改善してくれます。
アロエベラゲルにはサリチル酸やマグネシウムイオン、脂肪酸が含まれており、これらの成分が「やけど」の治癒に役立っているのではないかと考えられています。アロエの有効成分が「やけど」の傷口から菌が侵入するのを防ぎ、保護します。さらに皮膚組織の損傷を修復する働きもあり「あかぎれ」や「ヒビ」にも効果があります。
アロエは凍傷への効果も認められています。凍傷になると寒さによって血管が狭くなり、血流が減少することでダメージを受け、体の組織が壊されてしまいます。アロエベラは、凍傷の患部に生じる「トロンボキサン」という成分の血管収縮作用を抑制し、患部の治癒を早めているのではないかと考えられています。
また、1930年頃はX線技師が放射線によって「やけど」を負うことが多かったのですが、X線を浴びて生じた皮膚炎の治療にアロエベラゲルを使用したところ、5週間後には治癒したという報告もありました。
放射線によって生じた皮膚疾患の早期回復にもアロエベラゲルの塗布は有効でした。そのため、水爆実験で日本人が放射能を被爆した際、アロエベラが治療に用いられていました。
※炎症や障害が生じると『ブラジキニン』という物質を分泌します。この物質が神経を刺激し痛みを生じさせますが、アロエにはブラジキニンを分解する力もあります。
アロエベラゲルの抗菌作用
アロエベラゲルには抗菌作用があります。やけどや凍傷による皮膚の損傷で、傷口から菌の侵入を防ぐためにも抗菌作用はとても重要です。
病原体などを見つけると周りの細胞にその情報を伝え身体を守る『ランゲルハンス細胞』という細胞があります。アロエベラの葉肉に含まれる成分にはこの「ランゲルハンス細胞」の減少を抑える働きもあります。つまり、アロエには免疫システムにも作用する重要な役割があります。
アロエは
胃や腸の働きを改善する
アロエは『アロイン(バルバロイン)』という独特な苦みのある成分を含んでおり、この成分によって腸が刺激され収縮し排便を促す作用に繋がります。アロインは胃では分解されず、腸まで届き、腸内細菌によって代謝されます。
『アセマンナン』という食物繊維もアロエに豊富にふくまれており、アセマンナンは胃や腸の食べ物を消化・吸収する働きを整えてくれます。これにより、体内の腸内細菌や酵素がより活発に働くことができます。
さらにアロエには『アロエウルシン』という胃の不調に効果のある成分が含まれており、胃もたれやむかつきを抑え、胃酸の分泌を活性化させ消化不良を防ぎます。
また、胃壁細胞から胃酸が多量に放出され胃にダメージを与えてしまうことを防いだり、胃の炎症や胃潰瘍を抑制したりする働きもあります。
アロエによる抗がん作用
アロエには抗がん作用のある『アロエマンナン』が含まれています。この成分はがん細胞の合成を抑制し、細胞死を促すことが分かっています。
また、アロエに含まれる『アロクチンA』は抗がん作用や抗炎症作用があるため、免疫系の治療への活用が期待されています。
がんへの免疫力を高める『メラトニン』とアロエベラエキスを併用することで、メラトニンの作用を増強することも分かっています。
アロエの摂取方法
生のアロエを手に入れても、調理方法が難しく生のまま食べると苦みもある為、加工食品を利用して摂取するとよいでしょう。
ヨーグルトやシャーベット、ジュースなどのアロエ製品から摂取するのが簡単です。果肉がゴロゴロ入っているものは栄養成分を取りやすいのでおすすめです。
排便改善効果が高いため、ダイエットにも向いていますし、アロエには美肌効果もある為、美容と健康に最適な食品です。
アロエの副作用と毒性について
アレルギーがある場合には、アロエを塗布すると皮膚炎を生じることがあります。キダチアロエから抽出された成分をそのまま塗布すると、皮膚刺激が生じるため刺激物質である樹脂やシュウ酸カルシウム等を取り除いた塗り薬やスキンケア用品のかたちで使用することが好ましいです。
アロエは腸を刺激して消化の働きを活性化させるため、多量・長期に服用するとお腹をくだしてしまう恐れや低カリウム血症を発症する可能性が示唆されています。
また、子宮を収縮させる作用や骨盤内充血を引き起こす作用があるため、月経期間や妊娠中の方、授乳中の方へも注意が必要です。
■アロエの多量摂取に注意
食品として流通しているものは常識的な範囲では全く問題がないものの、玉ねぎやチューリップなどにアレルギーがある人は、アロエベラの経口使用で蕁麻疹や痙攣といった皮膚刺激及び、下痢を引き起こす場合もあるようです。
他にも、ハーブ栄養補助食品の中で最も多い副作用として「肝毒性」があげられており、アロエベラ化合物の摂取により急性肝炎の報告もあります。
アロエ製剤を3〜260週間摂取した後、中毒性肝炎で入院した患者(女性6名、男性2名)は、アロエ製剤の摂取を中止した後に状態が改善されたという報告が上がっていることから、市販薬の考慮の重要性を強調しています。
アロエベラは食品、香料として「安全」であるとされていますが、国際アロエ科学評議会の基準でも、経口摂取でのアロエエキスの多量摂取には注意喚起がされています。
参考文献 Guo, X., & Mei, N. (2016). Aloe vera: A review of toxicity and adverse clinical effects. Journal of Environmental Science and Health Part C: Environmental Carcinogenesis & Ecotoxicology Reviews, 34(2), 77-96. doi: 10.1080/10590501.2016.1166826 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6349368/(アロエベラの毒性と有害性について)より
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●https://fukuyama-u.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=7103&item_no=1&attribute_id=18&file_no=1
著者:大名町スキンクリニック 院長 橋本 慎太郎
金沢大学医学部卒、美容皮膚科クリニックを運営
https://m-beauty.jp/about/dr.html
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本成分は、疾病の診断、治療、予防を目的としたものではありません。疾病に罹患している場合はかかりつけ医師に、医薬品を服用している場合は医師、薬剤師に相談してください。食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスをお勧めします。