楽天
美容健康コラム アルギニンは体内で合成される『非必須アミノ酸』 アルギニンは体内で合成される『非必須アミノ酸』 アルギニンは体内で合成される『非必須アミノ酸』

アルギニンの効果について

アルギニンは体内で合成される『非必須アミノ酸』のひとつです。

筋肉の増強や成長ホルモンの分泌、男性機能の改善など『活力』に関係するアミノ酸として知っている方も多いでしょう。疲労回復をアピールする栄養ドリンクに『アルギニン配合』と記載されていることも多く、激しい運動を行った際の疲労感を軽減する作用もあり、運動の効果を高めてくれるアミノ酸です。

また、ストレスに影響を与える栄養素としても知られており、ストレスを軽減させる効果もあります。
アルギニンは体内で合成される『非必須アミノ酸』のひとつ
アルギニンによる
動脈硬化・高血圧の予防
アルギニンは血管拡張作用がある『一酸化窒素(NO)』を増やす働きがあります。

一酸化窒素(NO)とは酸素(O)と窒素(N)からなる気体です。車の排気ガスに含まれているイメージがつよい一酸化窒素(NO)ですが、血管の健康に重要な物質であり大変注目されています。
アルギニンは血管拡張作用がある一酸化窒素(NO)を増やす
一酸化窒素(NO)はアルギニンによって産生されることが分かっています。アルギニンは血流にのって体を循環しており、血管の1番内側にある血管内皮細胞に入るとNO合成酵素と反応して、そこでシトルリンというアミノ酸に変換されます。

このアルギニンがシトルリンに変換される過程で、一酸化窒素(NO)が産生されています。
アルギニンがシトルリンに変換される過程で一酸化窒素(NO)が産生
血管の機能を維持するために、血管の内皮細胞には収縮や弛緩(しかん)を行う『血管平滑筋細胞』が存在します。一酸化窒素(NO)が生成されると、血管平滑筋細胞の緊張が緩む事で血管が広がり血液の流れがスムーズになります。

血流が改善すると、動脈硬化や高血圧によって発生する血管の疾病リスクが下がります。

実際に、高血圧患者の静脈内にアルギニンを注射すると、血圧が正常範囲にまで低下することが臨床試験で明らかにされています。経口摂取によっても血流が改善されることが分かっています。

アルギニンはその血流改善作用により、皮膚の血流低下が引き起こす『床ずれ』の予防に有効であるとされ、寝たきりの患者などを看護する医療現場でも取り入れられています。

また、血液中の血小板が凝縮して固まってしまうと血栓ができ、血流が滞ってしまうのですが、アルギニンには血小板が固まってしまうのを防ぐ働きもあるといわれています。
アルギニンで免疫力アップ
アルギニンは特殊栄養成分として認められています。この種の成分は、積極的な摂取により体の免疫力を高めたり、病気に対する防御反応を強化したりするための栄養療法に使用されます。

感染症にかかりにくくしたり、傷の治りを早めることを目的としています。傷を負っているときにアルギニンを高濃度摂取することで、免疫細胞が活性化し、感染症による合併症の発生を低下させることが分かっています。

また、動物実験でアルギニンでは抗酸化力のある酵素を活性させる効果や、炎症を抑える作用が報告されています。
アルギニンは炎症を抑える
体内に細菌やウイルスが侵入すると、マクロファージという免疫細胞がこれらの病原体を攻撃します。マクロファージは細菌やウイルスを取り込み、食作用によって破壊します。

一酸化窒素(NO)はこのような免疫システムの一部として作用し、特定の状況下では抗菌作用・抗腫瘍作用を持つことがあります。 アルギニンは一酸化窒素の合成を促進するため、間接的に免疫応答をサポートし、病原体に対する体の防御を強化すると言われています。
アルギニンは肝機能を助ける
アルギニンには、アンモニアの解毒効果があるとされています。アンモニアはアミノ酸を分解する代謝過程で生じますが、毒性が強いためいち早く解毒する必要があります。

アルギニンは、尿素サイクルの一環として機能するアミノ酸の一種であり、シトルリンとともに、肝臓でのアンモニアの無害化プロセスに関与します。

アルギニンは肝機能を助ける
また、肝機能の低下に伴い、肝臓がアンモニアを効率的に無毒化できなくなると、アンモニアが血液中に蓄積し、中枢神経系に影響を与えて意識障害を引き起こすことがあります。このような状態を肝性昏睡と呼びます。

アルギニンは、尿素サイクルの中でアンモニアを無毒化する働きがあるため、肝性昏睡の治療に用いられることがあります。また、アルギニンは肝臓の機能改善にも効果があるとされており、肝炎や肝硬変などの肝疾患の治療にも用いられています。
脂肪を分解する
ダイエット効果も
炭水化物は、体内に取り込まれると消化酵素によってブドウ糖に分解されます。ブドウ糖は、脳や筋肉を動かすためのエネルギーとして使われ、カロリーが消費されます。また、肝臓ではブドウ糖がグリコーゲンとして貯蔵され、必要に応じて使用されます。

カロリーが消費されると血中のブドウ糖濃度が低下する為、グルカゴンが分泌されます。分泌されたグルカゴンは脂肪を分解しブドウ糖(グリコーゲン)を作り出す働きをします。つまり、グルカゴンの分泌がダイエットには重要な要素の1つになります。

アルギニンは、一部の状況下でグルカゴンの分泌を促進し、結果として血糖値を上昇させる可能性があります。さらに、いくつかの研究では、アルギニンが脂肪の分解を促進し、エネルギー源としての利用を助けることが示唆されています。

このような働きにより、アルギニンは運動時のパフォーマンスの向上やダイエットに効果がある言われています。
アルギニンは脂肪の分解を促進
その他、適切な量のアルギニンの摂取は、血中の遊離脂肪酸濃度を低下させる事が報告されており、脂質異常症や動脈硬化のリスクを低減する効果があると考えられています。
筋力の維持にアルギニン
年齢を重ねても自立した生活を送るためには、骨格筋(筋肉)の機能を維持・向上させることが必須となります。

筋肉の機能を決定する要素のひとつに筋量があります。筋量はタンパク質の分解と合成のバランスによって決まります。

そして、骨格筋(筋肉)の合成には『哺乳類ラパマイシン標的タンパク質複合体』という物質が重要な役割を果たしており、活性化される事でタンパク質の合成が増強されます。
筋力の維持にアルギニン
持久力(スタミナ)を維持する為に重要な役割を果たす『遅筋』は、エネルギー効率の良さと耐久性のため必要です。

いくつかの研究では、アルギニンが『哺乳類ラパマイシン標的タンパク質複合体』を活性化させる事で、特に高齢者において一般的な問題である『筋萎縮』の抑制に繋がるかもしれないと示唆しています。

しかしこの事は初期の研究に基づく見解であり、アルギニンの摂取が筋萎縮の予防や進行の遅延に直接的に効果的であると結論付けるには、更なる包括的な臨床試験と研究が必要とされています。


※遅筋とは反対に、パワーは強くても、持久力が低く疲れやすい筋肉を『速筋』といいます。
アルギニンは
成長ホルモンの分泌を促す
成長ホルモンは骨の成長やタンパク質の合成を促し、体の発育をサポートします。また、血糖値の調整や脂肪の分解を行うなど、代謝にも重要な役割を果たします。

アルギニンは、脳の下垂体に働きかけて成長ホルモンの分泌を促すことが知られており、健康と美容の両面での利点をもたらします。

成長ホルモンの分泌量が低下すると、情緒不安や集中力の低下を起こすことが分かっています。そのため、成長ホルモンは健康面・美容面のほかにQOL(生活の質)の維持にも大きく関わっています。
体内で合成される
量だけでは足りない?
アルギニンは体内で合成できますが、10代をピークに合成量が減少してしまい、40代にはピーク時の約半分ほどにまで減ってしまいます。そのため、一酸化窒素(NO)の産生量が減り、年齢を重ねるとともに、循環器系の健康リスクが上がってしまうのです。

また、外傷を負ったときなど著しくストレスがかかる環境下においては、体内で合成されるアルギニンの量では必要量と比べて足りないため、必然的に体外から補わないといけません。そのため、アルギニンは準必須アミノ酸とも呼ばれています。
アルギニンの摂取方法
アルギニンの1日の推奨摂取量は2000mg〜4000mgとされており、朝食時や就寝前の摂取が効果的です。

アルギニンは鶏肉や豚肉、大豆、鮭に多く含まれています。さらに、ミネラルの一種であるマグネシウムと一緒に摂取する事で、吸収率がアップし効率的に体内に取り入れることができます。マグネシウムは昆布やワカメなどの海藻類に多く含まれています。
アルギニンはとり肉やぶた肉、大豆、鮭に多く含まれている


❑エナジードリンクに配合されている理由
海外で販売されているエナジードリンクには、よく合成タウリンが配合されているのですが、日本では合成タウリンを配合すると医薬品扱いとなり、厚生労働省の認可が必要となります。

合成タウリンは化学合成されたものですが、食品由来のタウリンもあります。合成タウリンは医薬品にしか配合できませんが、食品由来のタウリンは食品に配合できるため栄養ドリンクにも使えます。しかし、タウリンの含有についてアピールする事はできません。

そのため、日本でエナジードリンクを販売する際は合成タウリンの代わりにアルギニンが添加されることが多いのです。

またエナジードリンクによく配合されているカフェインは、交感神経を刺激して覚醒させる効果があります。アルギニンはカフェインの覚醒作用を増強させる効果があるので、一緒に配合されることが多いです。
エナジードリンクに配合
アルギニンの副作用
アルギニンは一酸化窒素(NO)の生合成を促進することで知られており、これが血管を拡張し血流を改善する効果をもたらします。

しかし、低血圧や不整脈など特定の疾患の治療で「血管作動薬」を服用している場合、アルギニンを摂取する事で、一酸化窒素が過剰に産生され「更に血圧が下がる可能性」があります。このような状況は、臓器や組織への血流が不足し、機能障害を引き起こすリスクに繋がります。

そのため、疾病に罹患している方や服薬中の方が摂取する場合は、医師や薬剤師に相談してから摂取することをお勧めします。健常な状態であっても、サプリメントなどで摂取する場合は目安量などを守り過剰摂取しないように心がけましょう。
参考文献)
●http://www.ahs.ajinomoto.com/news/pdf/20140105_release.pdf
●健康の科学, 嶋津孝 加藤秀夫 増山悦子,化学同人,2001
●臨床栄養学 栄養管理とアセスメント編,下田妙子,化学同人.2010
●アミノ酸 タンパク質と生命活動の化学,船山信次,東京電機大学出版局,2009
●PHPからだスマイル2020年10月号すぐ疲れる人 vs. いつも元気な人,株式会社PHP研究所,2020
●中木 敏夫 菱川 慶一,アルギニンパラドックス,日薬理誌(Folia Pharmacol.Jpn.)119,7〜14(2002)
●Tarzan(ターザン) 2022年6月9日号 No.834 [強い血管、巡る血流],マガジンハウス,2022
●栗原毅,薬に頼らなくても高血圧は改善できる 1日5回×3で奇跡の物質NOが増える栗原式「すわるスクワット」,笠倉出版社,2021
 
大名町スキンクリニック 院長 橋本 慎太郎
著者:大名町スキンクリニック 院長 橋本 慎太郎
金沢大学医学部卒、美容皮膚科クリニックを運営
https://m-beauty.jp/about/dr.html

参考文献やインターネット上にあるエビデンスやメーカー情報を元に分かりやすくまとめたものになります。参考になれば幸いです。
本成分は、疾病の診断、治療、予防を目的としたものではありません。疾病に罹患している場合はかかりつけ医師に、医薬品を服用している場合は医師、薬剤師に相談してください。食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスをお勧めします。
copyright (c)
エクセレントメディカル all right reserved.

〉〉