ドライフードの粒を作る難しさ

一般的なドライフードは、粉状の原材料(肉粉、穀物粉、ビタミンミネラルプレミックス)と油脂に水を加えて、エクストルーダー(押出し成型機)と呼ばれる専門の食品加工機械で製造されます。
コンピューター制御の最新式の機械で製造されるので、一旦レシピさえ固めてしまえば、あとは決められた量の各原材料を放り込めば均一な粒が出てきます。さらに着色剤も使えば色の統一も可能です。

1980年代後半、エクストルード加工技術の進歩により、原材料に生肉を使用できるようになります。それまで高度に加工されたタンパク源であるミートミールをさらにエクストルーダーにより2次加工していたものに比べ、生肉を使うことで、栄養価と嗜好性を上げることが可能となりました。ところが、生肉は肉そのものに含まれる水分や脂質の含有量に仕入ごとの微妙な違いがあり、粒の色や大きさにバラつきが発生します。そこを熟練のオペレーターが温度や時間を微調整することで許される範囲の誤差にまとめていきます。

今回Lamb + Ageing careの開発は、オリジナルドライフード第三弾ということで、工場とのやり取りもスムーズに進み、第二サンプルで早々とレシピを固めることができました。ところが、いざ本番製造に入ったら、最終工程でこれまでにはない粒のばらつきが発生し、挙句の果てに粒が詰まってしまい、何度も塊を取り除かないといけない事態が発生しました。
ミール不使用でタンパク質30%以上のレシピは、Poultry, Salmonでオペレーターもすでに経験済みですが、今回のレシピでは繊維を増やし、さらにカロリーを落とした、工場にとって初めての配合であることが原因だったようです。さすがの熟練オペレーターも温度や時間の微調整ではまとめきれず、レシピのマイナーチェンジを要求してきました。協議の結果、繊維源、脂質源となる原材料の配合率をいじり、第三サンプルを製造、何とか詰まりは解消でき、粒サイズも多少のバラつきはあるものの、許容範囲に安定させられるようになりました。

そもそもなぜ、粒が作りにくいスペックなのか

POCHI THE DOGFOODの基本コンセプトはトッピングフレンドリーです。この基本コンセプトを実現するためにタンパク質30%、カロリー315kcal/100gのスペックを確定しました。このスペックは「生肉を主原料、ミール不使用」でなければ、別段粒が作りにくいフードではありません。
実は「生肉を主原料、ミール不使用」こそが、粒を作りにくくする張本人です。
ミールはドライフードに詳しくなればなるほど、自分たちのフードには使用したくない原材料です。多少の粒のバラつきを覚悟してでも、ミール不使用にはどうしてもこだわりたかったのが私たちの出した統一見解でした。
結果として、見える部分(粒のバラつき)をある程度許容することで、見えない部分(品質)へのこだわりを貫くことになりました。(粒のバラつきを犬たちは別に気にしないだろうと。) 工場からは、もっと普通のスペックにしてはどうかと言われていますが、トッピングも楽しめるスペックは譲れません。製造回数を重ねることでオペレーターの我々のフードに対する習熟度が上がり、バラつきがなくなることを期待しています。

**最近欧米でもトッピング(トッパ―、ミキサーと呼ぶようです。)製品が良く見られるようになってきました。ドライフードだけでは味気ないと思う傾向が世界的に広がってきているようです。ただしトッピングを前提とした総合栄養食のドライフードはPOCHIしか見たことがありません。

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