ロードクロサイトは一般的には不透明な塊状の宝石でアクセサリーはもちろん、彫刻品や置物などにインカローズ(インカのバラ)と呼ばれて長い間使用されてきましたが、1800年頃にアメリカ・コロラド州のスイートホーム鉱山から透明度の高い宝石質のものが採掘されました。

しかし、ロードクロサイトはモース硬度が3.5〜4と低くデリケートなため、当時の技術では加工はもちろん、採掘も難しかったようです。他の宝石の一般的な採掘方法である鉱脈近くに穴を開け、ダイナマイトで爆破して破壊した母石の中から結晶系を探し出すということができませんでした。探し出せたとしても、爆発の衝撃で砕けてしまった使い物にならないものばかり。しかし、近年になってチェーンソーを用いて周囲の母石ごと掘り出す等の新しい技術が生まれてからは徐々に市場に出回るようになり、そして、レア物を求めるユーザーの要望に答えるように宝石種にとどまらず、鉱物種までも取り扱われました。それら全ての変化が大きな流れを生み出し、21世紀の新しい宝石文化を誕生させました。

また、「Rhode」とはギリシャ語で薔薇を、「chrom」は色を、「site」はラテン語の石を意味する「Litho」に由来した言葉で"バラのような美しい色をした宝石"という意味を含んでいます。基本的にインカローズとは同じ石ということになりますが、多くの場合は不透明で白濁しているものがインカローズ、透明度が高く良質なものがロードクロサイトと呼ばれることが多いようです。
▲スイートホーム鉱山全景
ロードクロサイトの産地はアルゼンチン、アメリカ(コロラド州)、ドイツ、ハンガリー、メキシコ、南アフリカ、日本などがありますが、1800年代から上質なロードクロサイトの産地として知られるコロラド州、その中でも1895年から最も重要な産地として認められたのがスイートホーム鉱山。

スイートホーム鉱山産のロードクロサイトの特徴はカット可能な透明度の良い原石であること。次にオレンジ気味の柔らかな帯橙ピンク色など、独特の色合いが魅力で
他の産地とは違う美しいロードクロサイトが産出されています。

しかし、現在はこのスイートホーム鉱山は閉山したという情報もあり、スイートホーム産のロードクロサイトはとても貴重なものになっています。
▲スイートホーム鉱山入り口
スイートホーム鉱山はアメリカ・コロラド州アルマの北西約6kmに位置する険しいモスキート山脈に位置し、北はブロス山にある銀鉱山、南は金鉱山という主要な2つの採掘地区の中間に存在します。

スイートホーム周辺の地形は険しく、
高さが4200メートルを超える山頂がいくつか鉱山を囲んでおり、冬には6メートル近い豪雪に見舞われるため、鉱山に行けるのは1年で2〜3ヶ月程度しかないといいます。

また、採掘は通常、雪がなくなってくる5月下旬から開始され、実際に雪がなくなって本格的な採掘活動ができるのは、7月半ば〜8月半ばのおよそ1ヶ月間のみだそうです。
▲採掘風景(1)
当店はそのスイートホーム鉱山産の良質なロードクロサイトを手に入れるため、半年も前からバイヤーを通してオーダーして、やっとの思いで直輸入することに成功致しました。

しかし、直輸入自体はこれまでにも行ってきましたが、 1992年以降、0.5ct以上の大粒のカット石は年間で100個程度しか生産されていないという数字を見ても、世界中のディーラーの取り合いは必至で、日本に入ってくる数に限りがあることは容易に想像ができるでしょう。

宝石質の原石で大きなものを手に入れることが難しいロードクロサイトでは
色や形の揃った良質のカット石をロットで手に入れることはとても難しく、現在の状況をみれば日本でこれだけ揃うのは非常に稀なことです。

もちろん、現在もオーダーをかけています。しかし、とても残念なことですがバイヤーにも次に手に入るのはいつになるか見当も付かないと言われております。
▲採掘風景(2)
現在、徐々に市場からその姿を消し始めているロードクロサイト。その珍しさ、産出量の少なさ、それらに反比例するように増え続ける需要。希少価値が高いこともあり、市場ではとても高値で取引されています。

そして、スイートホーム鉱山は閉山の情報もあり、スイートホーム産のロードクロサイトは今後、その希少価値がさらに上昇するのは必至とされている宝石のひとつでもあります。
ロードクロサイトはその名前や色から愛に満ち溢れた薔薇色の人生をもたらし、持つ人を豊かな愛情で包み込んで心の傷を癒してくれる石とされています。また、情熱の薔薇と呼ばれるほどあなたの心に活力を与え、情熱を刺激してポジティブにしてくれるとされています。つまり、ロードクロサイトは愛と情熱を象徴するよ石。「Love Passion」というネーミングはそこから生まれました。