仕入担当コータローが行く!
ピカイチ野菜くん生産者取材記
2021年7月 人参の産地 青森県 水野さん
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今回はピカイチ野菜くんでお届けしているニンジンの産地、東北の青森県にある水野さんの圃場へお伺いし、仕入担当コータローがお話を伺いました。
※今回の取材では、マスクをして距離を取り、感染症対策をしっかりと行い取材をさせていただいております。
※掲載の内容は2021年7月時点のものです。
栽培している人参の品種について
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コータロー -
いろいろと圃場を見させていただいてありがとうございます。
どのような品種を栽培されていますか?
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水野さん -
今日見ていただいた圃場は、「恋夏」と「TCH756」と「陽明」ですね。
夏人参が「恋夏」「TCH756」、これはとう立ちしにくい。
「恋夏」に関しては夏人参にしてみては甘みが強いのと色が出やすいと言われていますね。色に関してはあまり感じないですが、向陽は色が淡いのかなと思っています。
「TCH756」も同じく味がいいですね。「恋夏」は葉が勢いがあるので草が隠れやすいので有機栽培向きです。秋冬人参に関しては「陽明」が一番多く栽培しています。「ベータグロリア」のベータ系の仲間の品種です。「ひとみ五寸」は栽培しているのは僅かですが、味が抜群に良いですね。「陽明」は発芽しやすいし割れにくいし味もとても良いです。「ひとみ五寸」と比べても遜色ないぐらい。グロリアに関しては味はさっぱりぎみですが、素直に成長してくれる。1番手を支える2番手という感じです。
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コータロー -
育てるのが難しい「ひとみ五寸」があるところが凄いですね。
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水野さん -
美味しいですよね。その他に、カラフル人参ですと、「パープルターゲット(紫色の人参)」「金美人参(黄色の人参)」「京くれないEX(紅色の人参)」とかですね。
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コータロー -
たくさんの品種を育てられていますよね。 カラフル人参はレストラン用ですか?
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水野さん -
そうですね。レストランとか小売店とかで販売しています。
農業をやるきっかけ
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コータロー -
農薬・化学肥料不使用の栽培はとても大変だと思いますが、そのような栽培方法で人参を育てるきっかけは何でしょうか?
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水野さん -
私が20歳の頃、2000年だったですかね。
その時にワーキングホリデービザを使ってオーストラリアに1年行ってきました。
その時にオーストラリアの大自然と農業に出会ったことがきっかけです。
外国人の仲間とトマトファームで11日間ぐらい働きました。それで目覚めました。
生き方といいますか、農業でお日様あびて外で働いて仲間と一緒にご飯を作って、朝早いからすぐに就寝して。そういった「汗水たらして」ということに大きく憧れを感じました。私は埼玉出身なので、どちらかというと東京に憧れていました。
でも、オーストラリアの体験で一気に価値観が変わってしまいました。そして、農薬・化学肥料不使用の栽培方法にした理由は、あっちでオーガニック文化に触れ、大袈裟な言い方になりますが、地球環境にできること、人間一人ちっぽけなことですができることっていっぱいあるよなと思いまして、そこから意識するようになりました。
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コータロー -
なるほど。それで始めたんですね。農業を行う前は様々な土地を旅をしていたということですが、なぜ青森で農業を始めることを選びましたか?
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水野さん -
埼玉で暮らし旅をして、農業を始めたのは茨城県でした。
実践的な農業が学べる茨城県の水戸市にある日本農業実践学園という古くからある学校に入学しました。そして茨城県の県北の常陸太田市というところで就農しました。2015年から私の農業が始動という感じですね。
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コータロー -
水野さんの創業は茨城県だったんですね。
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水野さん -
そこで妻と出会い、青森の妻の母から「農業をしっかりやっているなら、土地や倉庫もあるし青森で第二創業してやってみたら」とアドバイスを貰いました。それが青森で農業を始めるきっかけです。
農法について(炭素循環農法や緑肥栽培について)
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水野さん -
学校行ったときに有機農法の部門がありましたが、その部門が始めたばっかりで先生も手探り状態でした。慣行農法の部門の方が農業のノウハウをしっかり教えてくれる先生だったので、この先生について勉強させてもらいました。慣行農法をやらないのであれば逆にそっちをしっかり勉強した方がいいなと思いました。それでも、自分は農薬・化学肥料を使わないと決めていましたけど。慣行農法の先生には怒られました(笑)。
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コータロー -
HPに記載されていました「炭素循環農法」(たんじゅん農法)とは何でしょうか?
また、どこでその方法を知ったのでしょうか?
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水野さん -
炭素循環農法とはとインターネットで検索すると沢山情報が出ると思いますが、難しく書かれていますよね。私が経験した中で簡単に言うと炭素率の高い植物を土に入れて微生物を増やして土を健康にするということですね。土の健康=作物の健康に繋がる。他の農法も同じような理念ではあると思います。
脱線するかも知れないですけど、人間が白米を食べるのか玄米を食べるのかの違いだと感じています。玄米を取り除くと食べやすい、玄米って糠の部分が付いている方が人間にとってミネラル等の栄養素が吸収できますよね。
だから、全ての栄養素がお腹の中で分解できる玄米と白米のようなミネラル分以外のものを分解して吸収するとで、胃や腸の細菌は変わってくると思います。
それと同じようなことが土の中でで起きている。固いものを入れれば入れるほどいろんな微生物がそれを嚙み砕いて分解していくという仕組みですね。だから微生物が集まりやすい。ただ間違えたことをしてしまうと上手くいきません。炭素率が高いものを深く、例えば40センチに入れてしまうと分解されずにずっと残ってしまったり…。浅く20センチ程のところで耕すことによって発酵が起こるとも言われますね。
ただ、やっぱり土壌の勉強ってすごく難しくて、炭素循環農法は今はあまりやっていないです。炭素循環農法の考え方も取り入れて、緑肥作物を入れています。
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コータロー -
緑肥も相当使われていますよね。
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水野さん -
炭素循環農法は2010年くらいにブラジルで炭素循環農法を提唱している林さんという方がお越しになって全国に広めたんですね。私は気持ちは継承していますけど、実際には出来ていない。難しくて…何十トン粉砕チップ買って畑に入れましたが、畑でチップがしっかりと分解しなければチップと人参が当たってしまって股割れや変形の原因になります。せっかくチップを買って播こうとしているのにこれでは…と思いチップを入れるのをやめました。上手くやっている方は本当に少なくて。
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コータロー -
イメージ的にはそれもやりながら、緑肥も含め自分の土壌に合う農法を模索しているという感じですか。
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水野さん -
緑肥に関しては炭素循環農法になるという風に言われているので、緑肥も緑のまま入れるのでなく、緑肥を一旦ハンマーナイフで粉砕し、しっかり水分を飛ばして炭素率を上げ、畑に浅くすき込んでいくということが今のうちのやり方ですね。
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コータロー -
肥をチップにしてすぐに畑に入れるわけではないですね。
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水野さん -
そうですね。チップにした状態でしばらく畑に乾かしておいてある程度カラカラになった状態のものをすき込むという感じです。そうすると腐らない。腐敗させるか発酵するかの違いと林さんは言っていました。
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コータロー -
農薬・化学肥料不使用栽培で一番大変なことは何ですか?
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水野さん -
やっぱり皆さん同じかと思いますが、除草ですね。
除草と病気が発生した時に打つ手がほぼないという点ですね。それに関連しては、土の健康を一に考えています。特に水捌けですね。微生物量とか土壌の勉強をしたり作物の生理を学んだり知識を蓄えているところですね。
農業を通しての喜び
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コータロー -
続いての質問は、農業を通しての喜びはなんでしょうか?
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水野さん -
やっぱりお客さんからの喜びの声ですね。
それに続いて家庭料理の美味しさですね。人参が美味しいねとかじゃがいもおいしいねとか、これだったらこんな料理ができるねとか家族でワイワイできることですね。シンプルですけどそこではないでしょうか。
お客様の声でいうと、人参が嫌いだったけど水野さんのにんじん食べたら好きになったとか、子供が水野さんの人参しか食べないんだとか喜びながら買ってくれる。うちの子がにんじんジュース飲めるようになったよとか聞くと嬉しいですね。
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コータロー -
お客様からの声は本当嬉しいことですよね。
メインで栽培をしている人参は10アール当りどのくらいの人参の収穫量になりますか?
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水野さん -
10アールで2トン~3トン位ですね。目標3トンです。
一般の慣行農法だと4トン位とれるところなので、少ないですけどね。
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コータロー -
でも、一般的に有機栽培だと3~3.5トンぐらいの収穫量ですよね。
ちなみに人参の他にどのような野菜を育てていますか?
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水野さん -
馬鈴薯、ニンニク、大豆、八戸市伝統野菜の糠塚きゅうり、かぼちゃとかですね。
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コータロー -
糠塚きゅうりって、どんなきゅうりですか?
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水野さん -
在来きゅうりで一般に出回るよな中国系のきゅうりとまったく違うきゅうりです。伝統野菜で江戸時代から受け継いでいる種で栽培しています。あと、料理店と協力しながら新メニューを開発しています。イベントでは糠塚きゅうりを前菜からメインまでフルコースで使っています。
有機JASについて
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コータロー -
有機JASを取得されているということですが、なぜ有機JASを取られたんですか?
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水野さん -
もともと自分で農業をやるときは有機栽培と決めていました。
お客様も農業をしている私たちも認証があった方が安心できるので。
きっかけは販売店と農園の中間に入っている企業の担当の方と仲良くなったことです。 その中間企業は基本的に農薬・化学肥料不使用栽培の作物を取り扱っている会社で、有機JASを広めようとしています。そういった企業の支援があり有機JAS認証を取得できました。
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コータロー -
地域の土地柄の問題で農薬・化学肥料不使用栽培なのにどうしても有機JAS認証が取得できない、取得しても栽培ができる量が減ってしまう農家の方もいらっしゃいます。難しい問題ですね。
水野さんの有機栽培に関する志は素晴らしいと思います、これからも一緒に頑張っていきましょう!
水野さんからのメッセージ
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